母子家庭がカードローンを利用する前にチェックしたい公的支援について徹底解説
母子家庭の方がカードローンでお金を借りようと思ったものの、審査通過が不安で申込みに踏み切れないこともあるのではないでしょうか?
そこでチェックしたいのが公的支援で、目的に応じたさまざまな制度がそろっています。
当記事では各市区町村で実施する母子家庭の公的支援について、詳しい特徴に申込み方法などをまとめました。
そのほかに母子家庭のカードローン利用、母子家庭が申請可能な手当ても解説するので、お金を借りることを検討している場合はぜひチェックしてください。
母子家庭がお金を借りる方法はあるのか?
子育て費用に生活費をはじめ母子家庭の方がお金を必要とする機会は多いですが、借りる方法として挙げられるのが以下の2つです。
- 金融商品の利用
- 公的支援の利用
カードローンやフリーローンなどの金融商品は母子家庭であること関係なく、申込み時の審査に通過すれば利用できます。ただし契約内容しだいで高額な金利がつくので、無利子・低利子でお金を借りられる公的支援の利用を優先したいところです。
何かと多い支出をおさえる意味でも、金融商品ではなく公的支援を利用しましょう。
まずは公的支援を利用しよう
母子家庭で金銭的な余裕がない方、これから先の子どもの教育費などでお金が必要な方は以下で解説する公的支援の利用を検討してください。
- 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
- 生活福祉資金貸付
利用できるのは2種類ですが、こちらではそれぞれの具体的な支援内容、支援を受けるために必要な条件について解説します。
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
母子家庭の公的支援のなかで欠かせないのが、厚生労働省の支援する「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」です。
母子父子寡婦福祉資金を利用するには条件があり、以下のようになります。
- 20歳未満の児童を扶養する、ひとり親家庭の母もしくは父
- 寡婦
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度はあくまでも「国からお金を借りる制度」です。ひとり親家庭の方の自立と安定した生活を送ることを目的に貸し出しをおこないますが、上記の条件に該当しても借入れするには審査通過が必要になります。
また、各市区町村によって異なる条件を求める場合もあるので、利用する際は居住する自治体の担当課に確認するとスムーズです。
用途に応じた12種類の貸付がある
母子父子寡婦福祉資金の使い道は多く、用途に応じた12種類から選べます。
- 事業開始資金
事業を開始するために必要な設備、機械などの購入資金 - 事業継続資金
現在、営んでいる事業継続に必要な資金 - 技能習得資金
事業開始、就職に必要な知識習得のための学習資金 - 就職支度資金
就職するために必要な衣服に履、通勤用自動車などの購入資金 - 住宅資金
住宅の建設に購入、補修、保全、増改築に必要な資金 - 転宅資金
住宅を引っ越す際に発生する敷金・礼金などの賃借資金 - 医療介護資金
医療・介護を受けるために必要となる資金 - 生活資金
技能を習得している、医療もしくは介護を受けている、母子家庭または父子家庭になって7年未満の方が安定した生活を維持するために必要な資金 - 結婚資金
20歳以上の子の婚姻に必要な資金 - 就学資金
高等学校、大学、高等専門学校または専修学校に就学させるための資金(授業料、書籍代、交通費) - 就学支度資金
小学校・中学校・高校・大学などに就学する際に必要な資金 - 修業資金
子どもが事業開始、就職に必要な知識習得のための学習資金
そのほかに貸付利用対象をはじめ、貸付限度額の上限に据置期間、償還期間に利率などの詳しい内容は「男女共同参画局」のリンクで確認できます。
母子寡婦福祉資金は連帯保証人をつければ無利子
母子寡婦福祉資金を利用する大きなメリットが連帯保証人をつけることによって、お金を無利子で借りられることです。
それに対し、連帯保証人が用意できない場合は年1.0%となりますが、それでも一般的なカードローンと比べると低金利で利用できます。
また、上記で解説したなかの修学資金、修業資金、就学支度資金では、母か父、もしくは子どもが連帯保証人となれば無利子です。
母子寡婦福祉資金の審査から融資までにかかる期間は約1ヶ月
母子父子寡婦福祉資金でお金を借りるには、申請から融資開始まで約1ヶ月かかるとされています。
- 相談
- 申請
- 審査
- 貸付決定
- 資金交付
- 償還(返済)開始
母子父子寡婦福祉資金は提出書類や担当者との面談を通して償還可能かどうか、貸付によって自立につながるかどうかなどを審査します。
相談窓口になる各市区町村のホームページに「審査及び交付に時間がかかるため余裕をもって事前相談をしてください」などの記載もあるほどです。そのため、利用を検討した時点で相談するのがよいでしょう。
今すぐにお金が必要で母子父子寡婦福祉資金の貸付決定を待てない方もいるかもしれません。その場合は親や知人から一時的に借金をしたり、カードローンを契約したりすることを考えてください。
母子寡婦福祉資金の審査に落ちる方の特徴
母子父子寡婦福祉資金は金融商品などと異なり営利目的でおこなうものではありません。そのため、審査は厳しめの傾向にあります。
ただし、経済的に困っているひとり親家庭を支援する目的があることから、返済計画を十分相談するなどすれば審査に通過する可能性は十分にあるでしょう。
もちろんすべての方が審査に通過するわけではありませんが、こちらでは審査に落ちる方の特徴を以下にまとめました。
- 母子寡婦福祉資金を利用しなくても問題ないくらいの収入を得ている方
- 無収入もしくは収入がかぎりなく低い方
- 生活保護受給者
- 多重債務者もしくは債務整理をおこなった方
- 返済の意思が低いと判断できる方
母子寡婦福祉資金を滞納した場合は違約金が発生
母子父子寡婦福祉資金の支払いを滞納した場合、違約金が発生します。納付期限の翌日より元利金に対する利子が年率5%となるほか、連帯保証人にも督促が入ります。
そして、一時償還請求に財産の差し押さえがおこなわれる場合もあるので、返済が厳しい場合は早めに各市区町村の窓口に相談してください。
就学中などを理由に支払い猶予をもらえる場合もあります。
母子寡婦福祉資金の申込みに用意するもの
母子父子寡婦福祉資金の申込み時の提出書類は各市区町村によって違いはあります。
一例として「東京都福祉保健局少子社会対策部育成支援課」が必要とするのは以下のとおりです。
- 貸付申請書
- 戸籍謄本(母または父、子または児童の戸籍がわかるもの)
- 借受人、連帯買受人、連帯保証人、の印鑑登録証明書
- 世帯全員の住民票記載事項証明書または住民票の写し
- 母または父、連帯保証人の収入を証明できる書類
- 生活費収支内訳
このほかに借入目的に応じた書類が必要な場合があります。詳しくは相談時に担当に確認してください。
手続きは各市区町村窓口の対応のみで電話やWEBなどの受付はしていません。また、戸籍謄本や住民票などの必要書類は一度で取りに行くようにすれば何度も足を運ばずに済みます。
生活福祉資金貸付
「生活福祉資金貸付制度」は低所得者に高齢者、障害者などの経済的支援が必要な世帯に貸付をおこなう制度です。管轄するのは厚生労働省となり、相談の窓口は各都道府県に市区町村の社会福祉協議会となります。
申込み時に地区の民生委員と面接があり、資金貸付から返済完了までの間は資金を借りた世帯の生活全般における相談支援もおこないます。
連帯保証人を立てられる場合は無利子、立てない場合でも年1.5%の低利子で借入れが可能です。ただし貸出内容によって保証人が不要なケースもあります。
生活福祉資金貸付の利用条件
生活福祉資金貸付の利用できるのは以下の3つの世帯です。
- 低所得者世帯
- 必要な資金を他から借り受けることが困難である世帯
- 障害者世帯
- 高齢者世帯
生活福祉資金貸付の種類
生活福祉資金貸付は4種類あり、それぞれで資金使途が決まっています。資金のなかには生活費に使えるものもありますが、借りたお金は基本的に社会福祉協議会に認められた資金使途にしか使えません。
- 福祉資金
福祉費、緊急小口資金 - 教育支援資金
教育支援費、就学支度費 - 不動産担保型生活資金
不動産担保型生活資金、要保護世帯向け不動産担保型生活資金
貸付限度額、据置期間、償還期限、貸付利子、保証人などの詳しい内容は、厚生労働省のホームぺージ内にある「生活福祉資金貸付条件等一覧」を確認してください。
生活福祉資金貸付の審査期間は最短で1ヶ月
母子寡婦福祉資金と同じく生活福祉資金貸付制度も審査期間が長く、最短でも1ヶ月はかかると思っていてください。
生活福祉資金貸付制度の申込みにあたり多くの書類提出が必要で、それらのすべてを社会福祉協議会で目を通さなくてはなりません。そのため、一般的なカードローン以上に時間がかかることになります。
ただし、これまで定期的な収入を得て生活の維持ができたものの、緊急かつ一時的に家計を維持できなくなった低所得世帯限定で「緊急小口資金」を利用できます。
最大10万円までを最短5営業日で借りられますが、生活の困窮した理由が決められた貸付対象に該当することが利用の条件です。
医療費や介護費の支払いをした、火災などの被災を理由に生活費が必要など、詳しいことは社会福祉協議会に相談してみるのがよいでしょう。
生活福祉資金貸付の審査に落ちる方の特徴
生活福祉資金貸付の審査はどなたでも通過できるわけではありません。以下で審査に落ちる方の特徴の中で代表的なものを挙げてみました。
- 生活保護を受けている方
- 安定した収入がない、返済能力のない方
- 他の貸付制度を利用できる方
- 多額の負債のある方
- 住民票と居住地の住所が異なる、特定の住所がない方
生活福祉資金貸付の申込み方法
生活福祉資金貸付制度の申込み方法は「総合支援資金・緊急小口資金」「福祉費・教育支援資金・不動産担保型生活資金」と2種類あります。
- 自立相談支援機関に相談、申込み
- 自立相談支援機関と社会福祉協議会間で情報共有
- 市区町村社会福祉協議会に相談、申込み
- 市区町村社会福祉協議会および都道府県社会福祉協議会にて確認と審査
- 貸付決定通知書または不承認通知書の送付にて審査結果を通知
- 貸付決定の場合は都道府県社会福祉協議会に借用書を提出する
- 貸付資金交付
- 市区町村社会福祉協議会に相談、申込み
- 市区町村社会福祉協議会および都道府県社会福祉協議会にて確認と審査
- 貸付決定通知書または不承認通知書の送付にて審査結果を通知
- 貸付決定の場合は都道府県社会福祉協議会に借用書を提出する
- 貸付資金交付
生活福祉貸付の申込み時に用意するもの
生活福祉貸付制度を利用するにあたり、用意するものが多くあるので不備のないように準備しましょう。
なお、大阪府社会福祉協議会では以下を必要としていますが、申込む市区町村によって異なる場合がありますので事前確認をするようにしてください。
- 借入申込書
- 本人確認書類
- 申込世帯全員の住民票
- 貸付の原因を証明できる書類
- 申込み金額の必要性を証明できる書類
- 所得の状況および償還能力の証明できる書類
- 生活福祉資金 相談受付票
- 自立相談支援事業実施機関の意見書
- 借用書
- 預金口座振替依頼書
- 各種同意書
- その他、申請に必要となる添付書類
教育支援資金を利用する際に「入学を証明できるもの」が必要になる場合があり、そのほかにも相談内容によって申込み後に追加書類の提出が必要なことがあります。
母子家庭でもカードローンは利用できる?
母子家庭でお金が必要な方が最優先で検討したいのが公的支援の利用ですが、そのほかのお金を借りる選択肢にカードローンがあります。
WEBからの申込みが24時間・365日で対応していたり、郵送物の送付が不要だったりするほか、融資開始までの手続きも比較的シンプルで借りやすいです。また、公的支援同様に審査通過の必要がありますがハードルが高すぎるわけではありません。
ただし、支払う利息が高額になるデメリットがあることから、計画的な利用と返済をおこなうのが求められるでしょう。
母子家庭でもカードローンの利用はできる
カードローンは「安定した収入があること」を利用条件とする業者が多いので、こちらに該当すれば母子家庭でも審査通過の可能性は十分にあります。
安定した収入がある状態とは正社員にかぎらず、パートやアルバイトでも問題ありません。しかし、収入に対して支払い能力がないと判断されれば審査通過は難しいでしょう。
また、審査落ちするとその事実が信用情報に登録されてしまうので、新たに別のカードローンに申込んだときの審査通過が不利になります。
専業主婦の場合、自身に収入がなくても配偶者に安定した収入があればカードローンの利用が可能な場合がありますが、母子家庭の場合はひとり親家庭のため適用外です。
ただし公的な支援を最優先に検討しよう
カードローンにもメリットはありますが、公的支援と比較するとどうしてもデメリットが目立ちます。とくにカードローンの金利は見過ごせないポイントで、利用開始後に利息の支払いが負担になる可能性も十分に考えられるでしょう。
カードローンの金利は審査時に決定する利用限度額に応じて変わりますが、消費者金融の場合は18%ほどの高めの設定となることがあります。
毎月の支払いを延滞することを避けるためにも、カードローンの利用は公的支援の審査通過が難しく、お金を用意する方法が見当たらないときの最終手段に考えるのがおすすめです。
市役所などに確認!母子家庭がもらえる手当も利用しよう
公的支援以外に母子家庭が公的機関からもらえるお金も理解しておくと役立つでしょう。
なお、公的支援は自分自身で役所に申請しないともらえないお金がありますから、あらかじめ制度の概要を調べるようにしてください。たとえば東京都に「児童育成手当」があるように、居住する市区町村によって独自の支援制度を用意する場合があるからです。
母子家庭がもらえる手当はいくつかありますが、そのなかで代表的なものを取り上げて解説します。
児童手当
母子家庭、父子家庭のひとり親でなくても「児童手当」は子どものいる方を対象に支給されます。
- 国内に住所がある中学校修了までの子どもの養育者
(中学校修了とは15歳に達した後の最初の3月31日まで)
- 3歳未満:15,000円
- 3歳から小学生までの第1子、第2子:10,000円
- 3歳から小学生までの第3子以降:15,000円
- 中学生:10,000円
児童手当は10月、2月、6月に4か月分が支給され、6月分から翌年5月分までを1年度とします。
受給するには毎年6月に現況届の提出が必要で、現況届の提出がない場合は6月分以降の児童手当の受給ができません。
また、児童手当には所得制限があり、受給者の所得が制限を超える場合は児童の年齢など関係なく、児童一人につき5,000円が支給されます。
児童扶養手当
母子家庭および父子家庭に支給される代表的な手当てが「児童扶養手当」です。
18歳に達して最初の3月31日までの間の年齢にある子どもの養育者が受給対象で、児童手当と同様に所得によって支給金額が異なります。
なお、支給区分は「全額支給」「一部支給」「不支給」の3つがあり、詳しくは以下を参考にしてください。
- 児童数1人の場合
全額支給:42,910円
一部支給:42,900円~10,120円 - 児童数2人の場合
全額支給:10,140円を加算
一部支給:10,130円~5,070円を加算 - 児童数3人以上の場合
全額支給:1人あたり6,080円を加算
一部支給:1人あたり6,070円~3,040円を加算
所得があらかじめ決められた限度額を超えてしまうと手当の全部、あるいは一部が支給停止となるので注意してください。
また以下の場合は不支給となる場合があるので、必ず事前相談するなどしてください。
- 請求者および児童が日本国内に住所がない
- 児童が児童福祉施設などに入所、里親に委託されている
- 養育者が婚姻の届出を出さず、内縁関係にある
母子家庭の住宅手当
ひとり親家庭の支援制度は自治体によって独自のものを導入している場合があります。そのなかのひとつが家賃補助などをおこなう「母子家庭の住宅手当」です。
関東では東京都武蔵野市や神奈川県鎌倉市をはじめ、いくつかの自治体で実施されていて条件は異なります。たとえば、20歳未満の児童を養育している、家賃が10,000円以上で民間の住宅を借りているなどの条件があるので事前確認が必要です。
母子家庭のお金を借りる方法まとめ
母子家庭で子ども育てることは大変ですし、金銭面の負担も大きいはずです。しかし「お金が必要だからカードローンで借りよう」などと安易に考えるのは得策ではありません。
目先のことだけ考えて何とか返済できると思ったものの、無計画な借入れがゆえに返済が苦しくなる場合もあるからです。
それでは大切な子どもの将来に影響が出る可能性もあるので、最初に公的支援などの利用ができないか調べることが重要になります。詳しい内容がわからなければ、居住する市区町村役所の担当に相談しましょう。
ただし、公的支援は相談から融資開始までの時間がかかるので、それまでのつなぎやサポートがわりにカードローンを利用するのも選択肢のひとつです。
<参考記事>
・カードローンおすすめランキング|ドットマネー
学生時代には月間1,000万PV規模のWebメディアでインターンを経験。 SI系のベンチャー企業での勤務を経て、2017年に株式会社サイバーエージェント入社ののち株式会社CyberSS(現:CyberOwl)に異動。 クレジットカードはアメリカン・エキスプレス・カード(グリーン)とJAL Global WALLET、キャッシュレスではLINE Payを愛用中。 釣りが趣味で船、陸問わず釣りに行く。どこかにマイルを使って南の島に釣りに行くのが目標。