グレーゾーン金利とは?歴史と現在の法制度について詳しく解説
テレビCMや看板で「払いすぎた利息を返してもらえる」という文字を見たことがある人も多いと思います。
過去にお金を借りていた際、その借金に設定された金利がグレーゾーンのものだった可能性があり、「過払い金」が発生している可能性があります。
今回は、その騒動の原因となったグレーゾーン金利について解説していきます。
現在、借入れの上限金利は、借入金額に応じて年15.0%~20.0%と定められています(※)。
本記事では、なぜ法律で制限されているはずの金利でグレーゾーン金利が発生したのか、あなたが使っている消費者金融は法律に則った金利を適用しているのか、確認してみましょう。
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- グレーゾーン金利とは、利息制限法と出資法の上限金利の間の金利のこと
- 借入れの上限金利は、年15%~20%と定められている
- 過去に多く支払った過払い金請求は、完済日から10年間を過ぎると時効になってしまうので要注意
出資法と利息制限法
グレーゾーン金利を理解するためには、2つの法律の理解が必要となります。その2つの法律とは「出資法」と「利息制限法」です。
どちらも貸し出すお金の金利に上限を付ける法律ですが、定められた上限金利が異なっていました。その結果、賃金業者にどちらの法律を適応させるかが曖昧な状態となったのです。
出資法
出資法は、1954年に制定された法律です。
お金を貸す業者が強い立場を利用して不当に高い利息を得ることができないように規制をしたものです。
年率20%を超える契約をした場合には、5年以下の懲役もしくは1,000万円の罰金を科せられることになります(出資法第5条)。
現在は「年20%を超える契約」という条件になっていますが、2010年以前の改正前の出資法では「年29.28%を超える契約」と明示されており、年29.28%以下なら罰則はありませんでした。
利息制限法
利息制限法は、出資法と同じ年の1954年に制定された法律です。
出資法と同じように、貸し出しにかかる実質年利率の制限をしています。
利息制限法は、出資法よりも厳しい実質年利率となっており、利息制限法の上限金利は下記の通りとなっています。
- 借入額が10万円未満…20.0%
- 借入額が10万円以上100万円未満…18.0%
- 借入額が100万円以上…15.0%
ただ、当時は利息制限法は守られておらず、ほとんどの場合、規制の緩い出資法の実質年利率が適用されていました。
なぜなら、出資法では法律に違反すると厳しい処罰が待っていますが、利息制限法では特に罰則は設けられていなかったからです。これがグレーゾーン金利の根本となる問題でした。
専門家からのコメント
利息制限法と出資法はそれぞれの目的や対象としている者に違いがあります。
利息制限法が対象としているのは、立場の弱い借り手側を保護する法律で、一方、出資法が対象としているのは、基本的に貸金業者や金融業者で、貸し手側を厳しく取り締まろうとする法律です。
このように、それぞれの法律の目的や対象者の違いにより、一昔前は上限金利に違いがありました。
出資法と利息制限法の差で生まれたグレーゾーン金利
2つの法律には上限金利に差があり、低いほうの利息制限法には罰則規定がなく、出資法には罰則がありました。
そのため29.28%から20.0%の間で融資をおこなう貸金業者があり、その間がグレーゾーン金利と呼ばれる部分になります。
- 出資法での上限金利…年29.28%
- 利息制限法での上限金利…年20.0%
大打撃を受けた消費者金融
2010年に出資法の上限金利が年率29.28%から年率20%に引き下げられました。
このことによりグレーゾーン金利で多く徴収した利息については、消費者金融から個人の利用者に対して返還を応じられた場合、利用者に返還しなければならなくなりました。
その返還を求めることを過払い金請求といいます。
このように消費者金融への影響が大きく、また消費者金融へのイメージが非常に悪くなったこともあり、消費者金融は次々と大手銀行の子会社となっていった背景があります。
グレーゾーン金利の時効は?
グレーゾーン金利で必要以上に支払っていた利息の返還請求はいつまで可能なのでしょうか?民法で定められているように、グレーゾーン金利の時効は、契約して借りたお金を完済してから10年間といわれています。
ここでのポイントは「完済してから」という期間の起点となる部分です。
キャッシングの契約を2000年におこない、すべて完済した時期が2010年だと仮定すると、時効は2020年までということになります。
もし契約した時点から10年と勘違いしてしまうと、すでに時効を迎え、返還請求ができないと思い込んでしまいます。時効の起点は完済した時点であるということは認識しておきましょう。
今も違反している業者はいるの?
法律の改正により、利息制限法の実質年利率を上回る条件でお金を貸し出す業者は減りました。
しかし、大手消費者金融ではなく、街の電柱などで広告を出している業者には注意が必要です。
大手消費者金融であれば、貸し出し条件などを多くの人の目に触れられているため、法律に違反するような契約をおこなうことができません。
一方、あまり目をつけられていない業者では、法外な実質年利率で契約を迫ってくる可能性があります。
そのときには、断固として断るか、断ることが難しいのであれば、「法テラス」など公共機関へ相談するようにしましょう。
専門家からのコメント
闇金からお金を借りる人の多くは、いわゆる多重債務者で、一般の消費者金融からは借入できなくなった人がほとんどでしょう。
闇金側も、貸すときに家族や親せきの資産状況をきちんと調べ、返済可能であると判断して貸付しています。
つまり、本人が返済できなかった場合、家族や親せきの資産からの返済を強要されます。
闇金から借りる場合は他の人にも相当な迷惑をかけることになることは認識しましょう。
グレーゾーン金利のまとめ
グレーゾーン金利というのは、利息制限法と出資法の上限実質年利率が異なったため発生しました。すでに法律は改正され、現在は上限金利が20%となっています。しかし、違法な金利で貸し出す業者も少なからず存在します。
上限金利の違いで過去に多く支払った利息を返してもらえる過払い金請求は、完済日から10年間を過ぎると時効となってしまいます。もし、返済した借金に心あたりがあったら、一度公共機関や法律事務所に相談してみてもいいでしょう。
専門家からの一言
グレーゾーン金利が撤廃され、さまざまな法規制が導入されたことにより、現在は誰もが安心して消費者金融を利用できるようになりました。
多くの消費者金融業者は、過払金請求に対しても誠実に対応してくれます。
そうはいっても、カードローンやクレジットローンの金利は15%~18%であるものが多く、高金利であることには変わりません。
もし、消費者金融を利用する場合には、無理のない返済計画を立てましょう。
東京都新宿区に事務所を構え、高品質・低価格のサービスを提供している。趣味はスポーツ観戦。大手監査法人勤務の後、会計コンサルティング会社を経て、税理士として独立。中小企業、個人事業主を会計、税務の面から支援している。独立後10年間で法人税申告実績約300件、個人所得税申告実績約600件、相続税申告実績約50件。セミナー、研修会講師年間約10件など。仕事に取り組むなか、従業員が少ない中小企業や小規模事業者の経営環境の厳しさを身をもって実感している。
2008年青山学院大学国際政治経済学部卒。在学時にファイナンシャル・プランナー(FP)の資格を取得。 2012年に株式会社サイバーエージェントに入社し、Ameba事業部にて編集に従事。 2018年8月にCyberOwlへ異動し、マネ会の編集長就任。FPの知識を活かして、クレジットカード、カードローン、キャッシュレスの記事作成に携わる。難しいことをわかりやすく伝えるがモットー。 ラグジュアリーカード<Titanium Card>とセゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カードをメインに、アメックスゴールドやJCBゴールド、楽天カードなど10枚以上のクレジットカードを保有。