生活福祉資金貸付制度でお金を借りるには?貸付条件や種類、受給までの流れを解説!

生活福祉資金貸付制度でお金を借りるには?貸付条件や種類、受給までの流れを解説!

生活福祉資金貸付制度とは、生活に困窮している人々に対して一時的な資金援助をおこなう制度です。

この記事では、審査条件や制度が受けられる対象者について解説します。

生活福祉資金貸付制度とは?

生活福祉資金貸付制度のイメージ

生活福祉資金貸付制度は、一定の条件を満たした人に、低利息または無利子で生活費の貸し付けをおこなう制度です。

生活費を工面するための収入がなく、かつ必要な生活費を調達するためには借入が必要であると認められた人が対象となります。

ここでは具体的な貸付条件や、貸付の対象外になる可能性がある人について解説します。

具体的な貸付条件

生活福祉資金貸付制度は主に以下のような人を対象に貸付をおこないます。

貸付条件
  • 低所得者世帯:必要な資金を他から借りることが困難な世帯
  • 障害者世帯:障害者手帳などの交付を受けた人が属する世帯
  • 高齢者世帯:65歳以上の高齢者が属する世帯

上記に当てはまっていても、一定の給与をもらっていたり、他の公的支援(生活保護・失業等給付金など)を受けている人は対象外となります。

ただし、失業や収入の減少に伴う事情があれば利用できるケースもあります。

一定額の収入がある人は対象外

生活福祉資金貸付制度は、一定額以上の収入がある人は対象外になります。

具体的な収入額については貸付の種類や自治体によって異なりますが、収入基準額よりも高い場合は対象外となるケースがほとんどです。

例えば、2019年度における東京都の福祉資金の貸付を受ける単身者の場合、収入基準月額の191,000円以上得ている人は対象外となります。

もし自分が対象となるか不明ならば、住んでいる自治体に相談することをおすすめします。

他の公的支援(生活保護・失業等給付金など)を受けている人は対象外

制度を利用するためには、他の公的支援が受けられないことが条件となります。

具体的には、以下のような条件が該当します。

生活保護を受けていないこと

生活保護は、生活困窮者に対して最低限の生活費を支給する制度です。

生活保護を受けている場合は、生活福祉資金貸付制度を利用することができません。

失業保険や健康保険給付などの公的支援を受けていないこと

失業保険や健康保険給付は、失業や病気などの状況に対して支援を受けることができる制度です。

これらの公的支援を受けている場合は、生活福祉資金貸付制度を利用することはできません。

生活福祉資金貸付制度の連帯保証人になっている人は対象外

生活福祉資金貸付制度には申請者が必要とする資金を貸し付けるために、申請者自身、または連帯保証人を立てていた場合には申請者自身か連帯保証人からの返済が必要となります。

連帯保証人とは、貸し付けを受ける人が返済しない場合に、その債務を一定期間負担する人のことです。

ほかの人の連帯保証人になっている人は、生活福祉資金貸付制度の対象外となり、貸付を受けることができません。

借金の債務整理費用目的は基本的にNG

生活福祉資金貸付制度は、人々の生活再建を支援するために用意されたもので、利用目的が債務整理である場合には不可となります。

もし虚偽の内容で申告をして制度利用した場合は、不法行為として扱われるので注意しましょう。

実際に2021年11月、新潟県上越市で緊急小口資金特例貸付制度を悪用しようとした人が逮捕された事例もあります。

連帯保証人なしでも融資を受けることができる

生活福祉資金貸付制度に連帯保証人が存在することをお伝えしましたが、借りる場合に必ずしも連帯保証人が必要となるわけではありません。

申請者だけで借り入れをおこなうこともできます。

ただし、連帯保証人なしの場合、借り入れの金額によっては年1.5%の貸付利子がかかります。

貸付利子は以下のとおりです。

貸付利子
  • 連帯保証人あり:無利子
  • 連帯保証人なし:年1.5%

例えば、10万円の借り入れの場合、1年間で1,500円の利息がかかります。

生活福祉資金貸付制度は4種類ある

生活福祉資金貸付制度は4種類ある

生活福祉資金貸付制度には、その目的によって4つの制度が用意されています。

4つの制度
  • 総合支援資金:生活上で困っている人のための資金。生活支援費、住宅入居費、一時生活再建費を含みます。
  • 福祉資金:医療や介護にお金が必要な人のための資金で、緊急小口資金を含みます。
  • 教育支援資金:子供の教育費が不足している場合に必要となる就学支度費をサポートします。
  • 不動産担保型生活資金:不動産を所有している高齢者向けのサポート資金で、要保護世帯が対象となっています。

緊急小口資金は、最短で5営業日で借り入れを受けられます。

総合支援資金と併用することも可能であることや自然災害、コロナ関連での特例もあったことから、緊急時に情報を確認しておくとよいでしょう。

ここからは各制度について解説します。

生活に必要な支援を受けられる「総合支援資金」

総合支援資金は失業などにより、生活上で困難な状況を経験している人の生活再建を目的とした制度です。

この制度では、原則3ヶ月間の生活費を借りることができます。

貸付限度額は単身者で月15万円以内、二人以上世帯で月20万円以内となっています。

また、3ヶ月を超えても生活再建が見込めない場合は借り入れ期間を延長することも可能で、最長12ヶ月間の支援を受けることができます。

さらに総合支援資金は住宅入居費と生活支援費、一時生活再建費に分かれています。

住宅入居費は新しい住居を入手する必要がある際に受けられる制度で、最大40万円までの借り入れが可能です。

生活支援費は生活再建までの期間に要する生活費用のための制度であり、原則3ヶ月間(最大12ヶ月間まで)で単身者は月15万円以内、二人以上の場合は月20万円以内の借り入れが可能です。

一時生活再建費は就職や転職に必要なスキル習得にかかる費用などに使用することが可能で、最大60万円までの借り入れが可能です。

医療や介護のための支援を受けられる「福祉資金」

福祉資金は、医療や介護を受ける際に必要なお金を支援するもので、最大で580万円まで借り入れができます。

緊急小口資金は福祉資金に含まれる位置付けにあります。

この福祉費の使用用途には、ケアサービス料、介護サービス料、住宅修理料などが含まれます。さらに障害者用の車両の購入にかかる費用など多くの用途に使うことができます。

緊急小口資金は、休業や失業などの原因で生活が困難な人々を対象としています。

緊急小口資金の償還期限は措置期間後12ヶ月。さらに無利子で連帯保証人の必要もなく、早急にお金が必要な人は対象であるか確認すべき制度といえるでしょう。

また、緊急小口資金と生活福祉資金貸付制度を併用することも可能で、受給額が不十分だった場合も補えます。

教育費の支援を受けられる「教育支援資金」

教育支援資金は、生活自体は送れているものの教育にかかる費用が捻出できない人のための制度です。

この制度を利用すると、就学・修学に必要な授業料や制服・通学定期代などの学費を借り入れることができます。

また、入学に必要な就学支度費(50万円まで)も借り入れることが可能です。

教育支援資金の融資上限は、大学の場合は月6,5万円以内、短大や専門学校の場合は月6万円以内、そして高等学校の場合は月3,5万円以内となっています。

申請者の世帯の状態によっては、無利子で借り入れを受けられる可能性があります。

不動産を所有する高齢者向けの「不動産担保型生活資金」

不動産担保型生活資金は、住居用の不動産を持つ高齢者に対して、該当する資金を貸付する制度です。

対象となる不動産は、土地評価が1,500万円以上の一戸建てです。マンションや借地借家は対象外ですので気を付けましょう。

不動産担保型生活資金の貸付上限額は、土地の鑑定評価額の70%程度までとなります。1ヶ月の上限金額30万円として3ヶ月ごとに貸付を受けられます。

要保護世帯向け不動産担保型生活資金では、土地だけでなく建物の評価額を含めた金額の70%までを対象としています。

また集合住宅も対象となっており、評価額の50%が上限となります。

生活扶助額の1.5倍以内の金額であれば、3ヶ月間隔で受けられますが、借受人の死亡や貸付元利金が限度額に達した場合には契約が終了します。

生活福祉資金貸付制度の申し込みから受給までの流れ

生活福祉資金貸付制度の申し込みから受給までの流れ

生活福祉資金貸付制度を利用する場合、以下のステップが必要となります。

基本的には1ヶ月ほどかかるため、事前の準備をしておき、早めに申し込みをおこなうことが重要です。

生活福祉資金貸付制度を利用する流れ
  1. 市区町村の社会福祉協議会に必要書類を提出する
  2. 貸付決定通知または不承認通知書が都道府県社会福祉協議会から送付される
  3. 貸付決定通知が届いた場合は借用書の提出が必要
  4. 貸付金の受取り

申請に必要な書類を集めて市区町村の社会福祉協議会の窓口に出向きます。先に電話で連絡をとってから相談に行くとスムーズに手続きが可能です。

手続きが完了すると都道府県社会福祉協議会によって、生活福祉資金の審査が実施され、不承認通知書または承認通知書が届きます。

なお、不承認通知の場合でも不承認の理由は開示されないことが多く、再審査の依頼などはできません。

承認通知書が届いた場合は、市区町村の社会福祉協議会で必要な手数料を払い、借用書の手数料を交わしてください。

借用書以外に必要となる主な書類は、住民票の写しや収入証明などがあります。貸付を受ける種類や自治体によって異なる場合があるので、窓口に確認しておくとよいでしょう。

審査が通り必要書類も提出したら、指定した口座などに貸付金が送金されます。住宅入居費を利用した場合は、不動産媒介業者などに直接送金されるケースもあります。

審査期間は最短1ヶ月!早めの申請を

生活福祉資金貸付制度の申請は、緊急小口資金を除いて最短でも1ヶ月は必要です。

利用を希望する場合はなるべく早く手続きをおこなってください。

また、不備があった場合は審査期間がさらに長くなる可能性もあるため、申請書類を正しく作成して、不備なく提出してください。

措置期間が終わると口座振替による返済が開始される

措置期間が終了すると、口座振替を用いた返済が開始されます。

返済の開始日と引き落としの額を正確に確認し、予めお金を振込口座に用意してください。もし不足分があった場合は、送付された振込取扱票を早急に処理してください。

また、滞納が続くと、共同借入者や保証人へ督促状が送付されることもあります。

先方からの案内通り、返済を実施できない場合にはできるだけ早く自治体の社会福祉協議会などに相談してください。

生活福祉資金貸付制度のまとめ

生活福祉資金貸付制度とは、生活に困窮している人や、緊急にお金が必要な人に対して、自治体が一定の条件を満たせば無利息や低利子で融資する制度です。

この制度を利用することで生活費の一時的な補填や、緊急時の医療費や学費の支払いなどが可能になります。

もし生活に困窮した場合は対象となっている可能性がありますので、自治体に確認するとよいでしょう。

<参考>
お金を借りる方法一覧!|ドットマネー

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