生活保護受給者はカードローンを利用できる? もしものときにお金を借りる方法とは?

生活保護受給者はカードローンを利用できる? もしものときにお金を借りる方法とは?

生活保護といっても、生活に必要最低限の支給額しか受け取ることができないため、「日々の生活がとても苦しい」、「子どもの進学を考えられない」などといった金銭的な問題を抱えている人は多いです。

そのため、カードローンの利用を検討している人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、生活保護受給者もカードローンを利用できるのか、カードローン以外の借入れ先はあるのかなど、生活保護受給者がお金を借りる方法について解説していきます。

生活保護受給者は基本的にカードローンを利用できない

生活保護受給者はカードローンを利用できないのか、結論からいえば基本的に「できない」といえます。

しかし、法律的には生活保護受給者がカードローンの利用をしてはいけないという決まりはありません。

法律上では、生活保護を受給していてもカードローンの利用は可能ということです。

ただ、生活保護受給者がカードローンの審査に通過して借入れができるようになったとしても、生活保護の支給額から差し引かれる、最悪は受給資格を失うことになってしまうというリスクがあります。

また、生活保護を受ける資格の問題以外にも、生活保護受給者が基本的にカードローンを利用できないとされる理由があるのでお話します。

生活保護受給者のカードローン利用が基本的にできない理由

生活保護受給者のカードローンを利用できない理由には、カードローンの審査が大きく関係しています。

そもそも生活保護制度は、働きたくても働けない方など生活に困窮する方へのサポートであり、自立へ促すための制度になります。

生活保護の支給額は、あくまで生活を送るための必要最低限の費用であり、借金の返済に充てるためのものではないのです。

そして貸金業者は、安定した収入がある方にしか貸付けをすることができません。

なかには、生活保護受給費を安定した収入があるように思う方もいますが、支給額は返済に充てることができないとし、安定した収入とは判断されないのです。

そのため、カードローンの審査に通過することが難しくなり、生活保護受給者は基本的にカードローンを利用できないとされています。

「生活保護でも借入れ可能」という甘い言葉には要注意!

注意してほしいのが、「生活保護でも借入れ可能」という謳い文句で貸付をおこなう業者です。

こういった業者は悪徳業者であることが多く、高金利で貸付けや生活保護の手帳を担保に貸付けをおこなう業者もいます。

最終的には、支給額をそのまま取られてしまうこともあるので、「生活保護でも借入れ可能」という甘い言葉には乗らないようにしましょう。

消費者金融を考える前に市町村の生活福祉課に相談を!

市町村の生活福祉課は、生活保護についてはもちろんですが、生活に困ったときの相談も受け付けています。

場合によっては、一時的に扶助してくれることもあるので、カードローンを検討をする前に相談するのがおすすめです。

たとえ、ウソの情報を使ってカードローンの審査をくぐり抜けたとしても、必ずバレてしまうときがきます。

生活保護受給者資格のはく奪などといったことも考えられますので、まずは市町村の生活福祉課へ現状を相談しましょう。

生活保護受給者も利用できる生活福祉資金制度とは?

ここまでお話ししたように、法律上は問題はないものの生活保護受給者の場合、金融業者や貸金業者からの借入れが難しいのが現状です。

しかし、どうしてもお金が必要だという場合、生活保護受給者が借入れをする方法として、「生活福祉資金貸付制度」があります。

「生活福祉資金貸付制度」とは、「生活福祉資金制度」「生活福祉資金」などとも呼ばれ、厚生労働省が管轄する生活を経済的に支える公的な制度になります。

生活福祉資金制度の対象者
  • 市町村民税非課税程度の低所得者
  • 障がい者手帳などを持つ障がい者世帯
  • 65歳以上の高齢者世帯

生活保護受給者の場合は、低所得であることを理由に、生活福祉資金制度の対象になることがあります。

生活福祉資金制度の特徴
  • 無利息で借入れが可能
  • 都道府県社会福祉協議会が実施
  • 市区町村社会福祉協議会が窓口

生活福祉資金制度は、市区町村福祉協議会が窓口になっているので、お住まいの市区町村に相談をすることになります。

消費者金融などの貸付けと違うのは、連帯保証人を立てることで、無利子で借入れが可能という点です。

原則、連帯保証人が必要となりますが、難しいという場合は年1.5%の利子で借入れができるなど、低金利になっています。

ただ、後述で説明する「教育支援資金」に関しては無利子、「不動産担保型生活資金」は年3.0%の利子が発生します。

生活福祉資金制度の種類とは?

生活福祉資金制度には、以下の4つの種類があります。

生活福祉資金貸付制度の種類
  1. 総合支援資金
  2. 福祉資金
  3. 教育支援資金
  4. 不動産担保型生活資金

それぞれ、資金用途などが異なるので詳しく説明していきましょう。

①総合支援資金

総合支援資金とは、生活を立て直すための資金になります。

資金の種類 生活支援費 住宅入居費 一時生活再建費
目的・用途 生活を立て直すための費用 敷金・礼金など賃貸契約を結ぶための費用 ・生活を立て直すために必要な一時的な費用
・就職などを目的とした技能習得のための費用
・債務整理をするための経費
など
貸付限度額
・単身の場合:月15万円以内
・2人以上の場合:月20万円以内
40万円 60万円
償還期限 据置期間経過後10年以内
利子 ・保証人あり:無利子
・保証人なし:年1.5%

総合支援資金は、失業中や、低所得などの方が生活を送るためもしくは、生活を立て直すために必要な経費の支援になります

借りることによって就業に必要な資格が取れ、収入につなげられるといった場合や、どうしても工面できない生活費を借りたいといった場合に利用します。

②福祉資金

「福祉資金」は福祉用具や、介護用品など福祉に関した費用の支援、一時的に発生した医療費などの支援をするための生活福祉資金です。

資金の種類 福祉費 緊急小口資金
目的・用途

・住宅の増改築
・福祉用具などの購入
・障がい者用の自動車の購入
・介護サービスなどを受ける費用
・日常生活上一時的に必要な経費
など
緊急かつ一時的に生計の維持が困難な場合の少額費用
貸付限度額 ・最高580万円以内
※資金の用途に応じて上限目安額を設定
10万以内
償還期限 据置期間経過後20年以内 据置処置経過後12カ月以内
貸付利子 ・保証人あり:無利子
・保証人なし:年1.5%
無利子

障がい者や高齢者がいる世帯が、福祉用具など必要な経費を借入れをするための利用を目的としています。

たとえば、介護や福祉の観点から、住宅のリフォームが必要になった場合の資金などの貸付けが可能です。

③教育支援資金

教育を受けるための支援資金として「教育支援資金」があります。

資金の種類 教育支援費 就学支援費
目的・用途 低所得世帯で、高校や大学などに進学するための経費 低所得世帯で高校や大学などに入学するための経費
貸付限度額 ・高校
 月3.5万円以内
・高専
 月6万円以内
・短大
 月6万円以内
・大学
 月6.5万円以内
※場合によって上限の1.5倍まで可
50万円以内
償還期限 据置期間経過後20年以内
利子 無利子

低所得世帯が高校や大学など進学にかかるお金の支援として「教育支援資金」があります。

授業料や制服代など、学業にかかるお金の貸付けを目的とする場合に利用します。

④不動産担保型生活資金

「不動産担保型生活資金」は住んでいる家や土地など不動産を担保に生活資金を貸付けする制度です。

資金の種類 不動産担保型生活資金 要保護者向け不動産担保型生活資金
目的・用途 低所得の高齢者に対し、居住用不動産を担保として生活資金を貸付ける 要保護の高齢者世帯に対して、居住用不動産を担保に生活費を貸付ける
貸付限度額 ・土地の評価額の70%程度
・月30万円以内
・土地・建物の評価の70%程度
・生活扶助費の1.5倍以内
償還期限 据置期間終了時
利子 3.0%もしくはプライムレートのいずれか低い利率

住んでいる家を担保にするということは、財産があると判断されます。

そのため、他の生活福祉資金とは違い、無利子での借入れができません。

生活福祉資金を利用する際の注意点

生活福祉資金は、公的な支援制度であり無利息もしくは低利息での借入れができるため安心して利用できるでしょう。

しかし、生活福祉資金を利用上で注意してほしい点があるので、ご紹介していきます。

①審査がある

公的な支援制度といっても、借入れをするためには審査を受けなくてはいけません。

また、審査は都道府県もしくは市区町村の社会福祉協議会でおこなわれています。

つまり、判断はその自治体次第ということになります。

申込み者が殺到しているなどさまざまな理由から、生活保護を受けていたとしても生活福祉資金を利用することができない可能性もあると覚えておきましょう。

②手続きに時間がかかる

生活福祉支援制度も、資金の種類によって手続きの方法や必要書類が異なります。

たとえば、総合支援資金では、自立相談支援機関に相談してから生活福祉資金制度の手続きに入るなど、段取りがいくつもあります。

そのため、どんなに急いで手続きを進めても、融資されるまで1カ月程度の時間が必要です。

ただ、緊急小口資金に関しては、緊急的な一時金になるため1週間程度で融資が受けられます。

とはいえ、カードローンのように即日融資とはいかないので注意が必要です。

生活保護受給者はカードローンではなく生活福祉資金の検討を

今回は、生活保護受給者はカードローンの利用ができるのか、そしてお金を借りる方法についてお話しをしてきました。

生活保護受給者は、法律上は可能であっても貸金業者もしくは、生活保護の規定によってカードローンの利用は難しいといえます。

そのため、もし生活に困るような状況になった場合は、まず各市町村の生活福祉課に相談しましょう。

それでも、「お金をなんとかしないと学費が出せない」「生活が苦しい」という状況であれば、「生活福祉資金貸付制度」を検討してみてください。

2019年に株式会社サイバーエージェントに入社。 クレジットカード、キャッシュレス、カードローンの記事作成を担当。 愛用クレジットカードは楽天ゴールドカードでネットショッピングでは楽天市場を利用するようにしている。楽天ペイ、楽天Edyも使っており、楽天のダイヤモンド会員を維持している。最近はスマホを楽天モバイルに変えるか悩んでいる。 ヤフーカードやPayPay、Kyashなども利用しており、お得にポイントを貯めることが趣味。

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