自己破産後のクレジットカードは使える?自己破産したあとの対応方法とあわせて解説!
自己破産を考えている人や現在申請中の人のなかには、「今使っているクレジットカードはどうなるの?」、「自己破産後にクレジットカードは作れるの?」などの疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
基本的に自己破産後は、今持っているクレジットカードが使えなくなり、 その後新たなカードも一定期間は作れなくなります。
今回は、自己破産とクレジットカードの関係について解説し、自己破産したあとの対処で知っておきたいことも説明していきます。
自己破産すると契約中のクレジットカードは使えなくなる
自己破産をすると、持っているクレジットカードはすべて利用できなくなります。自己破産をして免責が下りると、借金の支払い義務がなくなりますが、個人の信用力は低下してしまうためです。
また、カードに付帯する特典や追加カードなど、すべてのサービスが利用不可となります。
- 家族カード
- ETCカード
- 各クレジットカードのポイント
- 各種公共料金などの自動引落サービス
たとえば、「配偶者やお子さんに家族カードを発行している」、「自動車にETCカードを設置している」などの場合には、自己破産後は使うことができなくなります。公共料金の自動引落サービスが止まることも注意してください。
一回も使っていないクレジットカードがある場合はどうなるの?
自己破産をした人は、保有しているすべてのクレジットカードが使えなくなるので、カード発行後に一回も使っていない場合であっても関係なく、利用することができません。
また、自己破産をする場合、弁護士などの専門家に依頼する際に持っているカードや現在のローンなどの借金をすべて申告する必要があります。
一回も使っていないクレジットカードだからといって、申告をせずに自己破産を依頼したあとに使ってしまうと、「自己破産自体が認めらないケース」や最悪、「詐欺罪」に問われる可能性があるので注意しましょう。
クレジットカードは自己破産手続きのどの時点から使えなくなる?
クレジットカード決済をよく利用している人であれば、自己破産手続きのどの時点でカードが使えなくなるのか、気になってしまいますよね。
クレジットカードが利用できなくなるタイミングは、クレジットカード会社が自己破産手続き開始の連絡を受け、強制解約手続きをおこなったときです。
たとえば、自己破産手続きを弁護士や司法書士へと依頼した場合、弁護士や司法書士は依頼と同時に「受任通知」を送付します。クレジットカード会社を含む債権者に、自己破産手続き開始を知らせるためです。
これはとても大切な通知で、弁護士や司法書士が自己破産開始手続きを開始すると、債権者は「強制執行(給料差し押さえなど)」を申し立てることができなります。債権者からの催促に悩んでいる人にとって、利点となる手続きです。
しかし、クレジットカード会社は、この通知を受けて「強制解約」手続きへと移行します。つまり、文字どおりクレジットカード会社はカードを強制的に解約するため、以降はカードを利用できなくなるというわけです。
また、債務が残っていないカードがあったとしても、途上与信やカードの更新時に自己破産の事実は発覚し、強制解約されます。一時は使用できる可能性がありますが、いずれは利用できなくなると考えておいてください。
自己破産手続きの流れ
それでは、実際に自己破産手続きをおこなった場合、どのような手続きとなるのか具体的にみてみましょう。
- 弁護士、司法書士へ自己破産手続きを依頼
- 弁護士、司法書士が受任通知を債権者へ送付し、債権調査
- 自己破産申立てに必要な書類の準備
- 自己破産申立て
- 破産手続開始決定(いわゆる破産宣告)後、免責決定
自己破産手続きは、上記のような流れで手続きを踏み、「免責決定」ですべての借金を返済する義務が免除されます。
ただし、自己破産手続きのなかで「免責不許可自由」が発覚したときは、免責決定が下りないこともあるため、注意が必要です。
免責不許可自由には、浪費やギャンブルでの借金のほかに、「特定債権者への偏った弁済」が含まれています。カードを使い続けるために一部カードを申告しないと、結果的に免責が下りないこともあるため、覚えておきましょう。
配偶者が自己破産した場合、自分のクレジットカードは使えない?
配偶者が自己破産をしたとしても、自分のクレジットカードは問題なく使えます。
たとえば、旦那さんが自己破産してしまった場合、生活をともにしている奥さんのカードが利用できるか、心配になってしまいますよね。
しかし、クレジットカードにおける信用力は、基本的に個人に帰属しています。奥さんが自己破産したのでなければ、奥さんの信用力に問題はなく、継続してカードは使用可能です。
自己破産後に新しくクレジットカードをつくる際に知っておきたいこと
これまで解説したように、自己破産をすると、持っているクレジットカードはすべて利用できなくなります。
しかし、自己破産をしても、二度と新しいクレジットカードをつくれないわけではありません。次項から、自己破産後にカードをつくるときに知っておきたいことを、対応方法とあわせて解説します。
自己破産後は5~10年間はクレジットカード発行をできない
自己破産をした事実は、クレジットカード会社から個人の信用情報として、信用情報機関へと登録されます。信用情報機関は、この信用情報を一定期間保存します。
とくに自己破産は、信用情報のなかでも「事故情報」と呼ばれており、事故情報があると基本的にクレジットカードの審査は通過できなくなります。各信用情報機関における自己破産情報の保存期間は下記のとおりです。
指定信用情報機関名 | 期間 | 主な加盟会社 |
---|---|---|
CIC(株式会社シー・アイ・シー) | 5年 | クレジットカード会社、信販会社 |
JICC(株式会社日本信用情報機構) | 5年 | 消費者金融、信販会社 |
KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 10年 | 銀行、信金などの金融機関 |
カード会社では、審査の際に必ず上記のいずれかの信用情報機関へ照会します。
したがって、信用情報機関に情報が保存されている5年間は、新しくクレジットカードを発行できません。自己破産をしたあとでもキャッシュレス決済をしたい場合には、クレジットカード以外の方法を検討する必要があります。
専門家からのコメント
内閣総理大臣が指定する指定信用情報機関には上記のような機関が3つ存在します。
いずれも審査業務は一切しておらず、もっぱらローン等に関する個人情報を登録し、借入者本人のほか、加盟会員(会社等)に情報を提供しています。
なお、個人(借入者本人)への開示はスマートフォン(アプリ)・郵送・窓口などでも可能です。
また、本人確認書類(2種類)と開示手数料が、各機関毎に1,000円(税込)必要となります。
その支払い方法はクレジットカード払い、コンビニ払い、ATMでのペイジー払い、オンラインバンキングなどで可能です)クレカ払い以外の各種支払手数料は必要)。
なお、登録情報開示申込書の様式は各機関のwebサイトや一部のコンビニで入手できます。
情報保存の期間が過ぎた後は以下の記事で紹介しているクレジットカードを検討してみてください。
自己破産のときに契約していたクレジットカード会社は避ける
自己破産情報が削除されたあとにカードを選ぶ際には、自己破産のときに契約していたクレジットカード会社を避けてください。
たしかに、信用情報機関に登録された自己破産情報は5~10年で保存期間は終了します。しかし、各カード会社が保有している情報は、削除されることなく保有されつづけます。
そのため、自己破産のときに契約していたクレジットカード会社では、審査を通過することは難しいでしょう。審査落ちしてしまうと、ほかのカード発行にも支障がでてしまうため、同じ会社を避けることが賢明です。
また、クレジットカードのなかには、「カード名の会社」と「実際に審査・運営している会社」が異なるケースがあります。実際に審査・運営している会社が過去に債権者だった場合、審査落ちすることがあるため、注意しましょう。
審査に落ちたとしても、すぐに次のカードを申込まない
もし、カードを申込んで審査落ちしてしまっても、すぐに次のカードを申込まないようにしましょう。
短期間に複数枚のカードを申込むと、カード会社に「多重申込み」と判断され、審査落ちの要因となってしまいます。
カードへ申込んだ情報は、信用情報機関で6ヵ月保存されます。したがって、一度審査に落ちてしまった場合には、次のカードを申込むまでに6ヵ月間ほど期間を空けると、カードの審査に通過しやすくなります。
審査に通りやすくなる人の共通点を確認しておこう
自己破産後は、一定の期間を経過すれば新たにクレジットカードを作ることができるようになります。
しかし、クレジットカードは審査に通過できなければ作ることができないので、自己破産を経験した人にとっては不安なことも多いと思います。
ということで、ここではクレジットカードの審査に通りやすくなる人の共通点について紹介していきます。少しでも審査通過率を上げたい人は、しっかりと確認しておきましょう。
安定した収入がある
クレジットカードの審査基準は、カード会社やカードのランクによって異なりますが、基本的に「本人または配偶者」に収入がなければ審査を通過することが難しいです。
また、収入がある場合でも、アルバイトやパートなどの収入が安定しない人より正社員などの収入が安定している人のほうが審査では有利になります。
ちなみに、クレジットカードの申込み条件には、年収についてまったく触れていないケースもありますが、基本的に無職でまったく収入のない人は、審査に通過することがほぼできませんので覚えておきましょう。
良好なクレヒスを積んでいる
クレジットカードは信用取引で成り立っているため、入会審査では個人の信用力が重要になります。
先の項目で触れていますが、カード会社は顧客の信用力を見るために信用情報機関に照会をおこない、顧客のカード利用履歴、いわゆるクレジットヒストリー(クレヒス)を確認します。
良好なクレヒスを積んでいる人は、カード会社側に「しっかりと支払いをしてくれる人」と認識されるため、審査で有利になる傾向があります。逆に、クレヒスの状態が悪い人は、審査で不利になってしまうので覚えておきましょう。
また、自己破産後の人はクレジットカードやローンを利用できないため、信用情報機関に信用情報が登録されず、クレヒスが真っ白な「スーパーホワイト」と呼ばれる状態に陥りやすくなるので注意が必要です。
スーパーホワイトの人は、カード会社側に「クレヒスがない=金融事故を起こしている可能性がある」と判断され、審査で不利になる可能性が高いです。
ただ、クレヒスは、携帯電話の分割払いでも積むことができるので、クレヒスがまったくないという人は、携帯電話の分割払いからはじめてみるとよいでしょう。
携帯電話だけでなく固定電話の回線がある
固定電話の回線がある人は、カード会社側から「確実に連絡が取れる人」と認識されるため、信用力が高くなり、審査で有利になる傾向があります。
また、一般的にクレジットカードの審査では、スコアリング方式と呼ばれるシステムを採用しているケースが多くなります。
スコアリング方式は、申込みの際の項目ごとに点数を付けて、合計点が基準に到達しているのかを見るのですが、固定電話の有無もスコアリングの対象になることを覚えておきましょう。
ですので、固定電話の回線を引いている人は、申込みの際に携帯電話だけでなく、固定電話の番号も記入するようにしてください。
ちなみに、近年は携帯電話しか持っていないという人も多くなっているため、固定電話がないからといって、審査に落ちてしまうということはありませんので安心してください。
クレジットカードが使えないなら別のカードを検討しよう
さきほどお伝えしたように、自己破産してから5年以内の場合、クレジットカードを発行することができません。
その期間は、クレジットカードと同様の決済ができる別のカードを検討しましょう。代替方法となる別のカードとして、「家族カード」、「デビットカード」、「プリペイドカード」を紹介します。
家族カード
家族カードは、クレジットカード会員の家族へ発行できる追加カードです。家族カードには、下記のようなメリットがあります。
- 本会員の信用力を元に発行されるため、自分が審査を受けなくてよい
- 通常のクレジットカードと同様に利用できる
家族カードはクレジットカード本会員の信用力を元に発行されるため、自分は審査を受けません。追加カードとはいえ、ほぼ通常のクレジットカード同様に利用できる点も魅力的です。
デメリットとしては、配偶者や両親など家族のだれかがクレジットカードを持っている必要があること、利用可能枠は本カードと共有するため、枠を圧迫してしまうことなどがあげられます。
また、クレジットカードを利用した金額は、本会員に一括して請求されます。明細も同様のため、何に使ったかを本会員に把握されてしまうことに注意してください。
専門家からのコメント
家族カード(いわゆるファミリーカード)は、全く収入のない家族(奥さんや学生さんなど)でも、家族会員として需要に応じて容易かつ随時追加発行できるメリットがある反面、デメリットもあります。
カードや暗証番号の管理は本契約会員と変わりません。
しかも、カード会社への手続きも原則本契約会員を介して行わなければなりません。家族会員が勝手にできないわけです。
なお、キャッシングの付与は可能なカードとできないカードがあります。
できる場合は、本契約会員と同様の枠内(合わせて50万円など)でコンビニATMなどでも借り入れが可能となるため、家庭の事情やニーズに合わせて選びましょう。
デビットカード
デビットカードは、銀行口座に基づいて発行されるカードで、口座残高の範囲内で決済をおこないます。自分でお金を管理したい人におすすめのカードです。
- 前払い制のため、審査を必要としない
- クレジットカードに近い決済機能を持つ
デビットカードでは、口座残高からすぐに引き落とされる即時決済のため、後払いのクレジットカードのように審査がありません。
しかも、コンビニやネットショップなどで、クレジットカードに近い決済をおこなえます。
注意点は、クレジットカードとくらべると、使用できない店舗・ネットサービスがあることです。たとえば、携帯会社の月額料金などでは、デビットカードに対応していない場合があります。
また、銀行口座から直接引き落とされるため、分割払いやリボ払いに対応していないデメリットも存在します。
プリペイドカード
プリペイドカードは、事前にお金をチャージすることで、チャージ内の金額で支払いをするカードのことです。
近年では国際ブランドが付帯するプリペイドカード(ブランドプリカ)も発行されており、国際ブランドに対応する場所で決済をおこなえます(Vプリカ、バンドルカードなど)。
- チャージ制のため、審査を必要としない
- 銀行口座を登録しなくてよい
- 付加価値がある
プリペイドカードは事前チャージ制のため、審査は不必要です。
また、デビットカードのように銀行口座を登録する必要がなく、入金がコンビニ払いやキャリア決済など多彩なこともメリットです。
ただし、プリペイドカードは実店舗やインターネット、海外など幅広く決済可能ですが、クレジットカードやデビットカードとくらべると、まだ利用可能店舗が少ない側面があります。
なお、よくガソリンの給油などで利用できるプリペイドカードには、値引きなどの付加価値がある場合もあります。
クレジットカードの自己破産についてのまとめ
- 自己破産すると、現在持っているカードは利用できなくなる
- 自己破産後、最低5年間は新しくカードを発行できない
- 自己破産情報が削除されたあとは、携帯の割賦契約などでスーパーホワイトを解消する
- カードを発行できない期間は、家族カードやデビットカードなどを利用する
自己破産をすると、持っているクレジットカードは利用停止となり、そのあと一定期間、クレジットカードを発行することができなくなります。
しかし、自己破産したら二度とクレジットカードを作成できないわけではありません。
期間を空け、スーパーホワイトを解消することで、また希望するクレジットカードを作成することが可能です。
クレジットカードを使えない間でも、家族(本契約者)カードやデビットカード、プリペイドカードなら、クレジットカードと同じような決済ができます。自分に適した代替方法を選択して、将来のカード発行に備えましょう。
専門家からの一言
自己破産手続きでは免責決定を受けると全債務の返済を免れますが、今回の記事にもあるように本人名義のクレジットカードなどは一定期間にわたり一切使用ができなくなります。
ただし、家族が本契約者のカードであれば有効です。
また、生活に必要な場面「家電店等での買物、ネット決済等」で本人が保有のデビットカードが利用でき、プリペイドカードも現金代わりに使用できるわけです。
このように今どきのカード時代にカードが全く使用できないわけではありません。
将来再びクレジットカードを持つかどうかは別のお話ですが、期間を空ければ再び持つことも叶います。
つまり、今回の記事の中にもありますように、種々の注意点に気を付けてトライすれば再びゲットできます。
そして、これは、家計の立て直しをもう一度やり直せるチャンスでもありますので慎重に利用しましょう。
ファイナンシャル・プランナー。FP1-オフイス21代表。ライフプラン&マネーに関するコンサルタント。2003年10月1日創業。夢(プランの提案)の実現へ専門家パートナーと共に17年にわたり「相談・サポート」をしている。金融・財務などの法人のコンサルテイングも行う。日経セミナー・パナソニックなどでの講演の他、金融機関での研修・原稿(執筆・監修)など多数。
食品や雑貨商品などを扱うライター・編集を経て、マネ会を担当。クレジットカードのポイント還元や特典だけでなく、各カード会社の戦略やマーケティングにも興味あり。普段使っているクレジットカードはJALカードで、実家への帰省の際には、貯めたマイルを特典航空券に交換している。ヤフオクやヤフーショッピングで買い物をする際には、ヤフーカードも使用。体を動かすことが好きで、定期的にジムで筋トレ。機会あれば、山へハイキングに出かけ、帰りの温泉を楽しむ。