クレジットカードの遅延損害金とは?放置すると危険な理由を解説します
クレジットカードの遅延損害金とは、クレジットカードの支払いを決められた期日までにおこなえなかった場合に発生する延滞料金のことです。
本来のクレジットカード利用分の支払いに加えて、延滞料金を上乗せして支払わなければならないので、カード利用者にとっては負担が増えることになります。
よくあるのが、普段使いとは別のクレジットカードの支払いが、給与口座とは別口座で入金を忘れてしまったというケースです。
利用額が10,000円にも満たず、普段はあまり使わないクレジットカードだったから忘れていたというケースですが、遅延損害金が発生してしまったからには速やかに対処しなければなりません。
そこで今回は、遅延損害金の計算方法や支払えない場合の対処法などについて、説明していきたいと思います。
クレジットカードの遅延損害金とは支払い期限に遅れた場合に発生する延滞料
冒頭でお伝えしたとおり、遅延損害金はクレジットカードの支払いを期日までにおこなえなかった場合に、上乗せで支払わなければならない延滞料金です。
クレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠がありますが、どちらの支払いを遅れた場合でも、遅延損害金は発生します。
遅延損害金に適用される金利は、クレジットカードの手数料よりも高めに設定されており、カードローンと同程度のこともあるので、利用者には少なからず負担となるでしょう。
主なクレジットカードの遅延損害金金利
遅延損害金の計算に適用される金利は、クレジットカードごとに異なりますし、ショッピング枠とキャッシング枠のどちらの支払いを遅延しているのかによっても変わります。
主なクレジットカードの、ショッピング枠・キャッシング枠それぞれの遅延損害金金利は、以下のようになっています。
クレジットカード | ショッピング枠金利 | キャッシング枠金利 |
---|---|---|
楽天カード | 14.6% | 20.0% |
三井住友カード | 14.6% | 20.0% |
JCBカード | 14.6% | 20.0% |
ライフカード | 14.6% | 20.0% |
オリコカード | 14.6% | 18.0% |
ショッピング枠の遅延損害金金利が14.6%、キャッシング枠の遅延損害金金利が20.0%というのがひとつの目安ではありますが、オリコカードのように少し低めの設定となっていることもあります。
ショッピング枠の支払いを遅れると銀行カードローンを利用した場合と同程度、キャッシング枠の支払いを遅れると消費者金融を利用した場合と同程度(むしろこちらのほうが高め)の金利が適用されるということを、しっかり覚えておきましょう。
専門家からのコメント
延滞損害金とは支払いを滞納したことに対する罰金(賠償金)です。したがって通常の利息より高く設定されています。
罰金とはいえ、クレジットカード会社が好き勝手に金利を決められるものではなく、利息制限法にて延滞損害金の金利の上限が決められています。
ショッピング利用の場合14.6%、キャッシング利用の場合は20%と上限金利が定められています。
遅延損害金を放置すると延滞料が増えブラックリストに載る可能性も
遅延損害金を支払わずにそのまま放置しておくと、支払わなければならない金額がどんどん増えていきます。
また、クレジットカードの支払い延滞は信用情報に登録される類の情報であり、延滞期間が長くなるとブラックリストに載ってしまう可能性もあります。
どちらも、カード利用者にとっては歓迎せざることだと思いますので、遅延損害金は放置せずにできるだけ速やかに支払うようにしましょう。
専門家からのコメント
クレジットカードの支払いを延滞した時点でそのクレジットカードは利用停止となります。さらに延滞損害金を支払わず放置すると、信用情報に登録され、クレジットカードは強制解約となります。
他のクレジットカードを作ればいいかと思っていても、信用情報に登録されてしまうと、カード会社同士で信用情報を共有していますので、他のクレジットカードを作ることはできなくなります。
また、将来、家や車を買う際のローンを組むことができなくなったり、アパートなどの賃貸借契約で保証会社を通す場合の審査に通らなかったりする可能性があります。
今すぐに確認できるクレジットカードの遅延損害金の計算方法
クレジットカードの遅延損害金は、「元金×遅延損害金金利×遅延日数÷365」という式で算出されます(うるう年の場合は÷366で計算)。
先ほど、遅延損害金を支払わずにそのまま放置しておくと、支払わなければならない金額がどんどん増えていくとお伝えしましたが、上掲した計算式のなかに「遅延日数」が含まれていることからも、その理由がおわかりいただけると思います。
ショッピング枠の遅延損害金
遅延損害金の金額がどれくらいになるのか、実際にシミュレーションをおこなって確認してみましょう。
クレジットカードの利用代金10万円分の支払いを20日間遅延しているとすると、ショッピング枠の遅延損害金金利は14.6%であることが大半なので、支払わなければならない遅延損害金は、以下のように計算できます。
100,000円×0.146×20÷365=800円
10万円というクレジットカード利用分に対して、800円の延滞料金ならそこまで気にする必要はないな、と思われるかもしれません。
しかし、これをそのまま放置しておくと金額はどんどん膨れ上がっていきますので、できる限り早く対処する必要があります。
キャッシング枠の遅延損害金
キャッシング枠の遅延損害金金利は、ショッピング枠の遅延損害金金利よりも高めに設定されているので、遅延日数が同じでも支払わなければならない遅延損害金の額は大きくなります。
先ほどのシミュレーションと同じ条件で、遅延損害金金利だけをショッピング枠の20.0%に変更すると、支払わなければならない遅延損害金は以下のようになります。
100,000円×0.2×20÷365≒1,096円
今回はクレジットカードの利用代金10万円という条件のため、ショッピング枠にしろキャッシング枠にしろ、遅延損害金の金額は1,000円前後で済んでいます。
しかし、クレジットカードで決済した金額がもっと大きいと、それに応じて遅延損害金の金額も大きくなるということは、念頭に置いておかなければなりません。
ショッピング枠の支払いとキャッシング枠の支払いのどちらもを遅延している場合、それぞれの遅延損害金をきちんと計算したうえで、支払わなければならない金額を算出しましょう。
クレジットカードの遅延損害金の支払い方法
遅延損害金を支払いたい場合、遅延損害金のみで銀行振込をおこなったり、遅延損害金のみが口座から引き落とされるわけではありません。
遅延損害金は、あくまでも本来のクレジットカードの利用代金に上乗せして支払われるものなので、遅れている分のクレジットカードの支払いをおこなう際に一緒に支払います。
遅れている利用代金の支払い方は、カード会社から郵送されてくる振込用紙を利用して支払う方法や、カード会社指定の口座に振り込みで支払う方法などさまざまですので、カード会社の指示に従うようにしましょう。
どのような方法で支払うにせよ、支払わなければならない遅延損害金をきちんと計算したうえで、支払うようにしてくださいね。
クレジットカードの遅延損害金を支払えない場合の対処法
クレジットカードの遅延損害金は1日でも早く支払わなければなりません。
数千円や数万円ではすぐに支払えるケースは多いでしょうが、数十万円をこえるケースでは、手持ちのお金が厳しくどうしようもない、という方もおられるかもしれません。
クレジットカードの遅延損害金をどうしても自力で支払えない場合の対処法としては、任意整理などの債務整理を検討したりといった方法が考えられます。
家族に相談する
金額にもよりますが、自身が持っているお金では支払えない場合には、家族にお願いするということも考えたほうが良いでしょう。
当然、家族からはさまざまなことをいわれてしまう可能性がありますが、カード会社と金融トラブルをずっと抱えるよりはよいはずです。
カード会社に相談する
自分の支払い能力以上の金額を請求されている状態であれば、カード会社にその状況を相談するということも検討しましょう。
カード会社によって対応の内容は異なりますが、こういった状況の場合、いくつかの対策を用意している場合があります。
また、誤ったイメージを持たれている方がいらっしゃるかもしれませんが、支払いができないからといって、カード会社の担当者から暴力的な言動を取られることはないので、安心して相談しましょう。
専門家に相談する
金額があまりにも多く、どうしても支払いができなさそうな場合は、債務整理を検討する必要があるかもしれません。
債務整理をおこなえば、支払わなければならない利息をカットしてもらえる可能性があります。
債務整理をおこなっていることや、クレジットカードの支払いが遅れていることを周囲に知られたくないという場合は、裁判所を介さずにおこなえる任意整理というものがあります。
任意整理は債権者(カード会社)と債務者(カード利用者)の話し合いによっておこなわれる債務整理ですが、弁護士に依頼することで話し合いをすべて任せることができます。
ただし、債務整理をおこなうとその事実が信用情報に登録されてブラックリストに載ってしまいますし、任意整理したクレジットカードは解約されてしまいます。
5年~10年間はローンの契約やクレジットカードの新規発行といった金融取引をおこなうのが難しくなること、クレジットカードが使えなくなってしまうことは、覚悟しておかなければなりません。
あくまでも最終の手段として、考えておくのがよいでしょう。
遅延損害金を二度と発生させないために銀行口座を変更する
クレジットカードの遅滞損害金が発生するケースとして多いのは、銀行口座の残高不足です。
クレジットカードの口座を普段からあまり使わない銀行口座にしていると、入金を忘れてしまいます。また、支払いのたびに入金作業をするのは手間がかかります。
遅延損害金を二度と起こさないためにも、銀行口座を給与口座に変更することを検討しましょう。
クレジットカードの遅延損害金まとめ
クレジットカードの遅延損害金は、支払いが遅れた場合に発生する延滞料金です。
支払わないままでいると、どんどん金額が増えるうえにブラックリストにも載ってしまうので、1日でも早く支払わなければなりません。
どうしても支払いが難しそうな場合は、家族など周りに助けを求め、それも難しそうであれば、債務整理をするなりして早めに対処しましょう。
専門家からの一言
誰でもうっかりして引き落としができなかったということがあるかもしれません。
引き落としができなかったと気づいたら、すぐにカード会社に連絡をして、振込先を聞いて振り込むか、再度引き落とししてもらうか、カード会社の指示にしたがってください。
請求されてから、または連絡が来てから支払えばいいかとのんびりしていると、クレジットカードが利用停止になり、その間にカード払いにしていた携帯料金や電気代の請求があれば、それらも延滞扱いとなります。
延滞損害金を支払えばいいという問題ではなく、日々の生活に様々な影響が出るかもしれないということを覚えておき、日頃から銀行口座のチェックは怠らないようにしましょう。
国内の生命保険会社に12年勤務後、2003年4月ファイナンシャルプランナーとして独立。2007年に法人化。2006年より「マネーじゅく@三重」として子どもから大人までの金銭教育をサポートする活動も開始。現在は、「わくわくの明日と共に」をモットーに、不安から安心へ変わる、ライフプラン作成や家計相談、相続相談などのコンサルタントとして活動中。また、マネーに関する講師、執筆、監修も行う。2015年度金融知識普及功労者として金融庁・日本銀行から表彰を受ける。
不動産広告の営業マンを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中。 クレジットカードやカードローンに関する知識を、公平な視点で分かりやすく伝えることを目指しています。 私生活でもいろいろなクレジットカードを使い分けながら、自分にとって最適な使い方を模索中。毎月貯まっていくポイントを見ながらその使い方を考えるのが、ひそかな楽しみ。 自分の実体験や気付きをもとにした、オリジナリティのある記事をお届けしたいと思っています。