不動産担保ローンの特徴を徹底解説!審査の方法や金利は?
一般的なカードローンなどでは、借りる人の信用によって借りられる金額が決まります。目には見えませんが、これは借りる人の信用を担保にしているようなものです。
このようなローンは無担保ローンと呼ばれますが、形のあるものを担保にするローンは有担保ローンと呼ばれており、その中でも特に不動産を担保にするローンを不動産担保ローンといいます。
では、この不動産担保ローンにはどのような特徴があるのでしょうか?今回は、不動産担保ローンの特徴や注意点についてご紹介します。
不動産担保ローンは不動産を担保にして借りるローン
不動産担保ローンとは、名前の通り不動産を担保にしてお金を借りるローンのことです。
つまり、あなたが所有している不動産や土地を、銀行などお金を貸す側に抵当権を与えることで、お金を借りる方法です。
カードローンなどの無担保ローンとは違い、不動産担保ローンでは住宅などの不動産を所有していない限り、融資を受けることができません。
また、不動産担保ローンでは担保にする不動産の価値によって、利用の可否や利用限度額が決められています。
そのため、不動産担保ローンを利用する前には、所有している不動産の価値をしっかりと確認しておくことが望ましいでしょう。
不動産担保ローンは、主に銀行や信販系の金融機関で取り扱われています。
不動産担保ローンの3つの特徴
不動産担保ローンには、主に3つの特徴があります。
- 低金利で大きな金額を借りられる
- 資金の使い道が自由
- 長期間の借入も可能
それぞれの各特徴について具体的にご説明しましょう。
不動産担保ローンは低金利で大きな金額を借りられる
カードローンでは、最初の借入限度額が数十万円に設定されることが多く、数百万円などのまとまったお金を借りる方法としては適していません。
これは、カードローンが無担保融資といって、融資を受ける側の信用のみでお金を貸し出しており、金融機関にとって貸し倒れのリスクが比較的高いためです。
一方で不動産担保ローンでは、万一返済ができなくなった場合に、担保にした不動産を売却した資金で返済することになります。
つまり、万一のときに売却できる具体的な財産があるため、お金を貸す金融機関にとっては貸付のリスクが比較的少ないローンです。
このような特性によって、不動産担保ローンでは金利が低く設定されているケースが多く、利用限度額も高い傾向が見られます。
利用限度額が最も低くても100万円から、最大では数千万円も借りることが可能となっています。まとまったお金が必要な際に有効なローンです。
不動産担保ローンは資金の使い道が自由
自動車ローンや住宅ローン、教育ローンなど、資金使途が限定されているローン(目的ローン)もありますが、不動産担保ローンはフリーローンの一種であるため、融資を受けた資金の使い道は自由とされています。
目的ローンでは、使用用途を限定することで返済金の未回収リスクを抑える必要がありますが、不動産担保ローンの場合には、もしもの場合には不動産を売却して返済金を受け取ることが可能なので、特に使用用途も限定していません。
あくまでも不動産は「担保」であり、資金を不動産にしか使えないというわけではありません。
なかには、事業用として利用できる不動産担保ローンもありますし、複数のローンの返済をまとめられる「おまとめローン」として利用することも可能です。
また、前項でも軽く触れましたが、不動産担保ローンでは個人の信用力に関わらず、「担保にする不動産にどのくらいの価値があるか」によって利用の可否や借入金額が決められています。
そのため、例えば信用力の問題でほかのローンを断られてしまった場合でも、価値が高い不動産を所有していれば、不動産担保ローンを利用できる可能性があります。
更に、担保に使いたい不動産が住宅ローンの支払途中であっても、不動産担保ローンを利用することが可能なこともあります。
不動産担保ローンは長期間の借入も可能
カードローンなどの無担保ローンでは、基本的に数年間でお金を返済しなければなりませんが、不動産担保ローンでは通常5年~10年の長期での借入が可能です。
中には、返済期間を20年~30年に設定できる不動産担保ローンも見られます。
専門家からのコメント
金融機関によっては、担保として利用できる物件の対象を、地域によっては取り扱いができないなどといった条件を付けていることもあるようです。
また、おおよその融資限度額を知る手掛かりとして、毎年市区町村から送られてくる固定資産税の納付書に同封されている固定資産税評価明細書に記載されている対象物件の評価額を参考にしてみると良いかもしれません。
不動産担保ローンの金利
不動産担保ローンの金利は、主に下記の3つにわけられます。
- 全期間固定金利型
- 固定金利特約型
- 変動金利型
全期間固定金利型
契約時に決めた金利が借り入れ開始から返済終了までの全期間で適用されるタイプです。契約時に返済計画が決まり、金利相場に影響を受けることがないので、情勢の動向に左右されることがありません。
そのため、変動金利型よりは金利が高い傾向にあります。
固定金利特約型
一定期間を固定金利で設定し、その期間終了後に変動金利に変更するタイプです。
固定金利期間は3年、5年、10、20年などと設定され、その節目に家計変化がすでに見込める方におすすめです。
変動金利型
情勢の動向によって金利が変動していくタイプです。
固定金利と比べると比較的低金利の傾向にありますが、いつ金利が変わるかがわからないため、返済計画が立てづらいタイプにはなります。
不動産担保ローンの申し込み方法
不動産担保ローンは、大手銀行であれば提供しているサービスです。各銀行のインターネットサイトや銀行窓口で申し込みをすることができます。
また、「不動産担保ローン」として提供している場合もあれば、「多目的ローン(担保型)」として提供されている場合もあります。
同様の商品でも、このように銀行によって特色が大きく違います。
金利の低さや幅、繰り上げ返済の有無や、様々な手数料など、多くの比較すべき要素があります。
借りるお金の金額も大きいため、それぞれのサービス内容や特色を理解した上で、申し込みをする銀行を決めるようにしましょう。
不動産担保ローンの審査方法は?
不動産担保ローンの審査は、仮審査と本審査があり、仮審査で数日〜1週間程度、本審査だと1週間〜3週間程度かかると言われています。申込みをしてすぐに借りられるわけではないので、準備をしっかりとしておきましょう。
不動産担保ローンの審査では「信用力」「不動産の価値」を審査して判断しています。
信用力とはつまり借りたお金を返せるだけの返済能力がきちんとあるかを見ます。勤務先や勤続年数、年収などを見ながら収入に対しての返済負担率なども考慮しています。また、過去の返済状況や年齢、ほかの金融機関からの借入状況などの審査を行いしっかりと返済できるかを見ています。不動産担保ローンは金額が大きく長期にわたるため、信用力は非常に重要な審査ポイントです。
不動産の価値の審査では、担保となる建物と土地それぞれの評価を行い、担保評価額を算出します。仮に返済できなくなった場合、担保となっている不動産を売却することで返済額を回収するため、担保評価額はローンで借りられる金額にも大きく影響します。
不動産担保ローンで注意したい4つのポイント
最後に、不動産担保ローンには、低金利で大きな金額を借りられるなどのメリットがありますが、注意しておきたい点もいくつかあります。それは下記の4点です。
- 返済が滞る場合、不動産を失う可能性がある。
- 諸費用や時間がかかる
- ほかのローンと金利をしっかりと比較する
- 不動産担保ローンの完済は満75〜80歳以下と年齢が限られる
不動産を失う可能性がある
不動産担保ローンでは不動産を担保にするため、返済ができなくなった場合には、担保にした不動産を失うことになります。
また、不動産の価値が下がって「担保割れ」を起こしている場合、不動産を売却しても返済するお金を完全に回収できないことがあります。
この場合には、追加で返済する金額を支払わなければなりません。
諸費用や時間がかかる
不動産担保ローンを利用する際には、事務手数料や不動産鑑定費用、印紙代、抵当権の登記費用などの費用がかかります。
金額は利用する金融機関によって違いますが、総額で20万円~30万円ほどかかることもあります。
また、審査にも時間がかかるため、借入までには一般的に、短くても3週間から1ヶ月程度の時間がかかります。
カードローンでは、最短即日で利用できる場合もありますが、不動産担保ローンを即日で利用できる方法はありません。短期間での借入は難しいため、申し込むタイミングに注意しておきましょう。
なぜ時間がかかるのかというと、借りるお金が大きいということと、審査の中に「不動産の鑑定」が入っているからです。
また、その際にはあなたと銀行の担当者が対面で審査をすることになります。メールや電話で済ませることはできません。
ほかのローンと金利をしっかりと比較する
不動産担保ローンの金利は確かに低い傾向にありますが、必ずしもほかのローンより低いわけではありません。
また、例えばカードローンなど、通常時の金利が高いローンであったとしても、「無利息期間」などの金利優遇キャンペーンを利用すれば、不動産担保ローンよりも金利を抑えられる可能性もあります。
そのため、返済期間や借入金額を踏まえた上で、ほかのローンと金利及びサービスをしっかりと比較するようにしましょう。
不動産担保ローンの完済は満75歳~80歳以下と年齢制限がある
不動産担保ローンは、借りたお金を完済する年齢が決まっています。一般的には満75歳~80歳以下となっているため、65歳時点で20年支払いの不動産担保ローンを組むことはできません。
いくら多額のお金を借りることができるローンであっても、借り入れ始める年齢によっては、借り入れができる金額は限られてきてしまいます。
専門家からのコメント
変動金利と固定金利を選ぶ際には、将来の金利動向も考慮したりもします。
たとえば、将来金利が上がると予想するならば、固定金利で借りた方が有利ですし、反対に金利が下がると見れば、変動金利で借りた方が有利になります。
予測なんてできないし、煩わしいと考える場合には、とりあえず固定金利して支払額を計画的にするというのも一つです。
不動産担保ローンのまとめ
不動産担保ローンは、不動産を担保にしてお金を借りるローンです。
不動産担保ローンでは、低金利で大きな金額を借入できる上、資金使途は自由で長期の利用も可能となっています。
また、不動産担保ローンの金利は主に3種類に分けられ、それぞれに特徴があります。自身に合う金利のプランを選ぶようにしましょう。
不動産担保ローンを利用する際は、返済ができなかった場合に不動産を失う可能性があるところに注意する必要があります。
不動産担保ローンの利用時には諸費用や時間がかかるため、本当に不動産担保ローンを選ぶべきか慎重に利用を決める必要があります。
専門家からの一言
不動産担保ローンに限ったことではありませんが、借入をする際には、計画的な借入をすることがとても大切です。
特に月々の返済額の設定は、最も重要な項目です。毎月支払うことになる返済元本と利息の合計が、収入金額から無理なく支払える範囲となるように融資額を考えるようにしましょう。
借りられるだけ借りるというような発想は、避けることが賢明でしょう。
CFP、FP1級技能士の資格を有し、栃木県宇都宮市を中心にファイナンシャルプランナーとして活動しております。生命保険会社と税理士事務所に勤務した経歴があり、保険や税務会計の実務をこなしてきました。また、税理士事務所に務めていた約10年間の間に、株式投資や投資信託などで資産運用を行い、それなりの資産形成に成功し、現在では不動産投資など投資の幅を広げています。ファイナンシャルプランナーとしては、金融機関から独立した完全中立な立場で相談及びアドバイスをさせて頂いていて、お金のことを学ぶ「学習」を中心としたサービスを行っています。
2008年青山学院大学国際政治経済学部卒。在学時にファイナンシャル・プランナー(FP)の資格を取得。 2012年に株式会社サイバーエージェントに入社し、Ameba事業部にて編集に従事。 2018年8月にCyberOwlへ異動し、マネ会の編集長就任。FPの知識を活かして、クレジットカード、カードローン、キャッシュレスの記事作成に携わる。難しいことをわかりやすく伝えるがモットー。 ラグジュアリーカード<Titanium Card>とセゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カードをメインに、アメックスゴールドやJCBゴールド、楽天カードなど10枚以上のクレジットカードを保有。