クレジットカードも過払い金の対象になる?注意点や請求方法もあわせて紹介!

クレジットカードも過払い金の対象になる?注意点や請求方法もあわせて紹介!

過払い金請求と聞くと、「払いすぎた利息が戻ってくる!」などの印象的なフレーズのCMを思い出す人も多いはず。

そもそも過払い金とは借入れで払いすぎた利息のことです。しかし、借入れ金の利率上限は法律で定められているはずなのに、どうして“払いすぎ”が発生してしまうのでしょうか? また、日本人の多くが所有しているクレジットカードも過払い金請求の対象になることはあるのでしょうか?

この記事では、クレジットカードの利用で過払い金が発生する仕組み、請求できるケースや知っておきたいリスクについて、わかりやすく解説します!

クレジットカードの過払い金請求できるケース

クレジットカード会社といえば、健全な経営やクリーンなイメージがつきもの。そのため、クレジットカードは過払い金請求と無縁だと感じられるかもしれません。

しかし、クレジットカードの過払い金請求できるケースもあります。具体的に見ていきましょう。

請求できるのは2010年以前のキャッシング枠の利息!

クレジットカードの利用にはショッピング枠とキャッシング枠があり、過払い金請求の対象となるのはキャッシング枠です。

ショッピング枠は、本来現金で支払うべき料金をクレジットカード会社が立て替えるもの。法律上の借金には当たらないため利息を払う必要はなく、過払い金が発生することはありません。

一方のキャッシング枠はクレジットカード会社から現金を借入れるもの。消費者金融のカードローンと同じく借金として扱われるため、利息が発生します。この利息に払い過ぎが認められれば、過払い金として返還請求することができるのです。

ただし、過払い金請求の対象になるのは、2010年以前のキャッシング枠の利息になります。

2010年以降の支払いで過払い金請求ができない理由

2010年以降の支払いで過払い請求ができない理由は、法律が変わったからです。

2010年以前は、クレジットカード会社も含めた金融業者は利息制限法の上限である20.0%以上の利息を取る、いわゆるグレーゾーン金利を設定していました。

しかし、2007年に法律が変わり、2010年以降は全ての企業が年15.0%〜20.0%の上限金利に従うようになりました。

過払い金請求とは、グレーゾーン金利時代に多く支払っていた利息の返還を請求することです。そのため、2010年以降のキャッシングの利息は過払い金請求の対象にはなりません。

リボ払いを選択しているときも対象に!

2010年以前にクレジットカードのキャッシング枠を利用したことがあるなら、一括払いやリボ払いといった返済方法に関係なく、過払い金請求の対象となる可能性があります。

一括払いと違い、リボ払いは1回の返済にかかる利息が少額になることから、過払い金が発生していると気づかないケースもあるので注意が必要です。過去の取引履歴をチェックして、過払い金が発生していないか調べておきましょう。

また、リボ払いは毎月の返済額を一定にすることで利用者の負担は減るものの、返済期間が長引きやすいため支払う利息も膨らみがち。そのため、思いがけないほど高額の過払い金が発生している可能性があります。

請求できるケース
  • 返済方法は関係なく、2010年以前のキャッシング枠の利息のみ。

専門家からのコメント

大泉稔
大泉 稔

2010年、改正貸金業法の施行により、いわゆるグレーゾーン金利は無くなったのは、本稿にある通りです。

しかし施行以前に支払ったグレーゾーン金利まで遡って否定され、過払い金ということになるものなのでしょうか?

そもそもキャッシングやリボ払いを利用する時に、高い金利を承知し、また返済してきたはず(=みなし弁済といいます)なのに、「今になって、都合の良いお話では?」と疑問にお感じの方もいらっしゃるでしょう。

2006年1月13日に、最高裁判所で出された判決が「みなし弁済の否定」だったからです。最高裁判所、つまり国の判断によるものなのです。

そのため、2010年以前の利息についても過払い金を請求できるというわけです。

クレジットカードの過払い金請求ができないケース

せっかく過払い金請求の対象者であることがわかったとしても、条件によっては請求できないこともあります。正当な権利であるはずの過払い金請求ができない理由にはどんなものがあるのでしょうか?

そこで、クレジットカードの過払い金請求ができないケースについてもお伝えします。

お金を借り入れたクレジットカード会社が倒産したとき

倒産した会社には債務を返済する義務はありません。その代わりに、破産管財人が残された財産を平等に分配し、配当金として債権者に支払います。

この場合、過払い金は債務にあたり、請求者は債権者にあたります。つまり、倒産したクレジットカード会社に過払い金を請求すると、配当金として支払われることになるのです。

倒産してしまうほどの経営状況ですから、配当金で過払い金の満額が支払われることはなく、配当率はわずか数%にまで下がるのが一般的です。

吸収されたクレジットカード会社なら過払い金請求が可能!

クレジットカード会社には吸収合併された会社も少なくありません。この場合は倒産とは違い、吸収した側のクレジットカード会社に過払い金請求することが可能です。

ここ数年で吸収合併された主なクレジットカード会社は以下のとおりです。

吸収合併された主なクレジットカード会社
現行のクレジットカード会社 吸収合併された会社
エポスカード ・ゼロファースト
OMCカード ・セントラルファイナンス
・クオーク
三菱UFJニコスカード ・日本信販
・UFJカード
・DCカード

過払い金の請求は可能でも、クレジットカード会社によって対応のスピードはまちまち。新たな吸収合併がいつ起こるとも限りませんので、過払い金請求は早めにおこなうことが肝心です。

過払い金請求の時効が成立してしまったとき

過払い金は10年で時効が成立します。つまり、クレジットカード会社との最終取引日(最後にキャッシング枠の返済を行った日から)10年経つと、1円も戻ってこなくなるのです。

ただし、最終取引日の判断には明確なルールはなく、時効の成立条件は曖昧です。たとえば、完済から1年後のキャッシングだと以前の借金の時効は進むのに、1年以内のキャッシングだと時効は進まないなど、利用者には判断しづらいことも少なくありません。

正確な時効成立日を把握したいなら、法テラスなどで専門家にアドバイスを仰いでおくと確実です。

クレジットカードのショッピング枠を利用しているとき

ショッピング枠の支払いにリボ払いを選択していると、分割ローンを利用している感覚になり、過払い金請求に該当すると勘違いしてしまう人もいるでしょう。

しかし、支払い方法がなんであろうと、ショッピング枠でのクレジットカード利用は借金には当たらず、過払い金請求の対象ではありません!

ショッピング枠のリボ払いで支払うのは手数料であって、借金の利息とは考えられていません。どれだけ高額の手数料を支払ったとしても、過払い金として返還されることはないのでご注意を。

クレジットカード会社へ過払い金請求をするときの注意点

クレジットカード会社へ過払い金請求をすることでデメリットを生じることがあります。リスクを回避しながら自分のお金を取り戻すには、いくつかの注意が必要です。

過払い金請求をするにあたって気をつけておきたいポイントをお伝えします。

ブラックリスト入りする可能性がある

過払い金請求でもっとも注意すべきなのが、ほかに借金が残っているケースです。

借金の返済が終わっていない状態で過払い金を請求する場合、人によっては返還される過払い金より借金の残額が多いこともあるでしょう。すると、過払い金請求の手続きが債務整理とみなされ、信用情報機関に金融事故としての記録(ブラックリスト)されてしまう。

ブラックリスト入りすると、クレジットカードや住宅ローンなどの審査に通りにくくなり、不都合が生じることになります。

ちなみに、過払い金で借金が相殺されると金融事故として記録されません。借金があるときには残額に気をつけましょう。

専門家からのコメント

大泉稔
大泉 稔

ブラックリスト入りをしてしまった時の影響で、意外と忘れがちなのが携帯電話(スマートフォン)等の端末代金の分割払いです。

端末代金の分割払いは、月額使用料と一緒に請求され(=しかも、最近では請求明細が届かない)、利息も付きませんから、「借金」という意識が無いかも知れません。

しかし、端末代金を分割払いで払う時は「個別信用購入あっせん契約」が交わされる、れっきとしたクレジット契約なのです。

本稿には「借金があるときには残額に気をつける」とありますが、この借金には携帯電話の端末の分割払いも含まれるのです。

ショッピング枠に未払いがあるときも要注意!

キャッシング枠の利用がなかったとしても、ショッピング枠で未払いがあるなら注意が必要です。

ショッピング枠に残債があると、過払い金はその支払いに充当されます。このとき、過払い金でショッピング枠の残債を払いきれないようなら、債務整理の手続きだと判断されてブラックリスト入りしてしまう可能性があります。

ショッピング枠の未払いを放置していれば、いずれはブラックリストの要因になります。過払い金を請求する前に、ショッピング枠の未払いを解消しておくといいでしょう。

過払い金請求をしたクレジットカードは使えなくなる

過払い金請求をしたクレジットカードは、基本的に使えなくなります。事実上の解約です。

さらに、過払い金請求後は、同じカード会社で新たにクレジットカードを作るのがむずかしくなる可能性もあります。

クレジットカードを普通に解約したくらいでは信用情報に傷がつくことはありません。しかし、クレジットカード会社内では過払い金請求による解約も債務整理として記録される可能性があり、新たなカードを作ろうとしても審査に通りにくくなることが多いのです。

また、同じ系列のカード会社やグループ会社でも審査が厳しくなる場合もあります。

過払い金請求によるメリットと比べて、どちらを優先するか検討するといいですね。

家賃や公共料金の引き落とし先にしている場合は変更の必要が

上記で記載したように、過払い金請求をすると対象のクレジットカードは使えなくなります。公共料金やスマホ料金をクレジットカードで支払っているなら、引き落とし先の変更を忘れないようにしましょう。

変更手続きをしないまま過払い金請求をしてしまうと、料金の滞納によってブラックリスト入りするリスクがあります。

請求手続きを始めたら、同時にクレジットカードに必要な手続きも済ませましょう。

貯まったポイントが失効してしまう

多くのクレジットカードが魅力的なポイント制度を導入しています。過払い金請求によってクレジットカードが使えなくなる前に、ポイントの状況確認も忘れないようにしてください。

過払い金請求の対象になるほどクレジットカードを利用している人なら、ポイントがたくさん貯まっていても不思議ではありません。

ポイントはネットショッピングに使えたりプレゼントと交換できたりと、使い道がいろいろ用意されていることがほとんど。ポイントをきっちり有効活用してから、過払い金の請求手続きに入りましょう。

クレジットカードの過払い金を請求する方法

クレジットカードの過払い金請求をする方法は2種類あります。

過払い金請求をする方法
  • 自分で過払い金請求する
  • 専門家(司法書士・弁護士)に依頼する

過払い金請求は法律関係の資格が無くても、自分で手続きをおこなえます。自分で手続きをすれば、弁護士や司法書士といった専門家への依頼報酬が発生しませんが、推奨はできません。

なぜなら、複雑な手続きと計算、金融業者との交渉など、過払い金請求には多くの手間と時間が掛かります。その上、間違った手続きだと、多くの時間を費やしても返金されないという結果に終わるかもしれません。

専門家に依頼するのは手数料(依頼報酬)が発生して、過払い金が少なくなるというデメリットはあります。しかし、専門家は一般人に比べて知識とノウハウを持っているため、成功する確率は高まるでしょう。

自分で手続きをするよりも、専門家に依頼すれば手間は最小限におさえられますので、弁護士や司法書士に相談してみましょう。

クレジットカードの過払い金請求まとめ

過払い金請求を勧めるCMは今もたくさん見られます。しかし、2010年にグレーゾーン金利が完全撤廃されてからは、過払い金請求の対象者はどんどん減少しています。

10年という時効もあり、対象者がいなくなるのもそう遠い日ではないかもしれません。

だからこそ、クレジットカードを過払い金の対象だと考えてこなかった人は、1日でも早くカードの利用状況を確認しておきたいところ。2010年以前にキャッシング枠を利用したことがあるなら、取引履歴の詳細をぜひチェックしておきましょう。

大泉稔

専門家からの一言

大泉 稔

「過払い金請求で〇〇円が戻ってきた」というテレビCMや、インターネット広告をご覧になることがあると思います。

利息や支払いなどの条件を承諾し、支払ったお金が「(CMや広告のように)簡単に取り戻すことができるのか?」と疑問に感じる方も多いでしょう。

確かに、意外なほど、あっさりと取り戻すことが出来た時期もありました。

しかし、本稿の末尾にも書いてあるように「対象者が減っている」ため、カード会社のほうも、裁判などに持ち込み「取り戻すことができるとしても、手続きが面倒で、時間も費用もかかる」場合もあるようです。

カード会社は過払い金請求を「諦めさせる」作戦に出るのですね。

とはいえ、「たくさんの利息を払うのが大変だった。過払い金を少しでも取り戻すことができるものなら、請求したい」というお気持ちの方も少なくないと思います。

ですが、いくら信用情報に傷が付くことが無いとはいっても、「過払い金請求をおこなった」という記録が残ることになり、「不利が全く無い」とはいい切れないのは、本稿にもある通りです。

なぜでしょうか?例え、過去に払った利息が、当時はグレーゾーンであり、今は過払い金請求の対象であったとしても、全部、ひっくるめて承諾し、契約したからです。

つまり利用者から見れば、最高裁の判例を根拠にした請求であっても、カード会社から見れば「当時の契約をひっくり返される」ことになるからです。

保険代理店を営む傍ら、専門学校の非常勤講師、並びにWEBでの執筆を手掛けています。趣味は株式投資とスポーツジム。明星大学にて日本文学を学んだ後、刑務所職員、京王電鉄子会社、社会保険庁、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て独立し、現在に至っています。

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お得情報が大好き! 5の付く日にはyjカードでヤフーショッピング。もちろんヤフープレミアム会員!電子決済はキャンペーンに釣られPayPay・LINE Payに登録。 動画配信サービス系のライター・編集を経て現在はマネ会にてクレジットカードの記事を担当。 休日は日の当たる公園のベンチで読書か、美味しい中華屋のある街を散歩。焼酎は「麦」ウイスキーは「スコッチ」野球漫画は「キャプテン」と「タッチ」が好き。

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