他人名義のクレジットカードは使っていい?罪になり得る事例も解説します
「手元に現金がないから」、「現金払いよりも楽だから」でもクレジットカードを持っていない…。あなたは他人名義のクレジットカードを借りて使いたいと思ったことはありませんか?
本記事では、他人名義のクレジットカードを使ってもよいのかどうかについて、カード会社の約款(利用規約)を用いてご説明していきます。
他人名義のクレジットカードは基本的に使うことはできない!
結論から申し上げますと、他人名義のクレジットカードを使ってはいけません。
というのも、クレジットカードと一緒に届く約款(利用規約)には、カードの名義人以外がクレジットカードを使用することはできないという旨が必ず記載されているのです。
約款を読んでいないという方もいらっしゃるかと思いますが、必ず一緒に届いているものなので、一度読んでみてはいかがでしょう。
たとえばJCBカードの約款の場合は、以下のような記載があります。
カードの所有権は当社にあります。会員は、善良なる管理者の注意をもってカードおよびカード情報を使用し管理しなければなりません。また、カードは、会員本人以外は使用できないものです。
会員は、他人に対し、カードを貸与、預託、譲渡もしくは担保提供すること、またはカード情報を預託しもしくは使用させることを一切してはなりません。
ほかのカード会社の場合でもおおよそ近しいことが記されています。
上記の約款を参考にすると、もし名義人(本会員)が「貸してあげるよ」と同意のうえで他人に貸したとしても規約違反になってしまうということになります。
また「さすがに家族なら使ってもよいのでは?」と思ってしまいがちですが、実はこちらもNGです。家族内での貸し借りも違反になってしまうので、知っておきましょう。
【例外】代理人としてのクレジットカード使用は合法
他人名義のクレジットカードを使うことは規約違反になりますが、実は代理人としての使用であれば合法という例外があります。
これは、民法の「代理」という法制度に則っています。内容は、本人(ここでは名義人)から代理権を与えられた代理人は、本人として行為をおこなえるというものです。
つまり代理権のある代理人は、名義人の行為としてクレジットカードを使うことができます。
このように、代理という法制度に守られて他人名義のクレジットカード使用が規約違反にならないこともあるので、知っておくとよいでしょう。
ネットショッピングでは他人名義のクレジットカードを使えることも
例外を除いて、他人名義のクレジットカードを使うことはできないことがお分かりいただけたかと思います。
しかし実際には、ネットショッピングだと他人名義のクレジットカードを使うことができる場合があるのです。みなさんも思い当たる節があるのではないでしょうか?
基本的にネットショッピングの支払いにクレジットカードを使うときは、カード番号・有効期限・セキュリティコードといった情報が必要です。
逆に考えると、これらの情報さえ揃っていれば、他人名義のクレジットカードを使えてしまうということになります。
常に厳しく取り締まられているわけではないので使えることもあるかもしれませんが、本当はしてよいことではありません。
もし利用料金の引き落とし不備などがあったり怪しい動きがあったりすると、他人が使ったことが発覚してしまう可能性もあるのでご注意ください。
家族や配偶者には口座をまとめられる「家族カード」がおすすめ
「家族からクレジットカードを借りた方が都合がよい」と思っている方には、家族カードの発行がおすすめです。
同一家計内で引き落とし口座が散らばるのを避けたかったり、属性的にクレジットカードを発行できなかったりすることもあるかと思います。
カード会社ではそういった点で便宜を図るため、家族カードというものが発行できるようになっているのです。
家族カードとは、収入が安定している本会員(名義人)がいることを前提に、その家族も名義人と同等のカード機能やサービスを受けることができるカードのことです。
発行できるのはもちろん家族で、厳密には本会員と同じ生計を立てている配偶者・親・満18歳以上の子ども(高校生を除く)と定められていることがほとんどです。
引き落としは従来どおり本会員の口座からになるので、支出をまとめて管理できるというメリットがあります。
「引き落としが本会員の口座なら、家族は他人名義のカードを使うことになるのでは?」と思ってしまうかもしれません。
しかし家族カードの名義は、本会員ではなくそのカードを持つ家族になります。つまり規約違反にはならないのです。気になる家族カードの審査ですが、本会員の利用状況に大きな問題がない限りは通過すると考えられます。
要注意!他人名義のクレジットカードに関わったときに問われる罪
もし他人名義のクレジットカードを使ったりなんらかの形で関わってしまうと、場合によっては罪に問われることがあります。
もし罪にはならないとしても名義人が規約を違反したことになり、カード会社から以下のようなペナルティを課されることもあるのです。
- カード利用停止
- 利用金額を一括請求
- 契約解除
たとえば他人のクレジットカードを同意のうえで借りて、支払いに使ったとしましょう。すると両者に悪意がなくても名義人が規約を違反したことになるため、上記のようなペナルティが課されてしまうのです。
また、借りたクレジットカードを落としてしまったり名義人と約束していた額をオーバーして使ってしまったといったトラブルが、名義人との間で起きたとしても同様です。
すべては名義人が規約を違反したことで発生したことなので、カード補償の対象にはなりません。クレジットカードを借りた側も、このような形で名義人に迷惑をかけてしまうことになります。
また、以下では他人名義のクレジットカードに関わることによって問われる罪について解説するので、その危険性をしっかりと認識していきましょう。
他人名義のクレジットカードを所持し続けていることがバレると「遺失物等横領罪」
1つめは、遺失物等横領罪という罪です。刑法第254条で規定されています。
道を歩いていてたまたま拾った財布のなかに、クレジットカードが入っていたとしましょう。この財布を警察に届けようとせずに長期間所持し続けていると…? 遺失物等横領罪に問われる可能性があります。
遺失物等横領とは、持ち主の意思に基づかないで持ち主から離れたものを自分のものとして支配下に置くことをいいます。この罪が成立すると、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料となります。
持ち主の意思に反して持ち物を所持し続けていると罪になる可能性があるので、落とし物を拾ったらすぐに警察に届けるようにしましょう。
他人のカードを盗んだら「窃盗罪」
2つめは、窃盗罪という罪です。刑法第235条で規定されています。
他人名義のクレジットカードを盗むと…? もちろん窃盗罪に問われる可能性があります。窃盗とは、他人の財物をひそかに盗み取ることです。この罪が成立すると、10年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
拾ったり盗んだりしたカードを使うと「詐欺罪」
3つめは、詐欺罪という罪です。刑法第246条で規定されています。「なんで詐欺罪…?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実はクレジットカードを拾ったり盗んだりしたうえでカードを支払いに使うと…? 詐欺罪に問われる可能性があるのです。詐欺とは、人を欺いて財物を交付させることをいいます。
なぜ詐欺罪になるのかというと、カード会社と契約している加盟店は顧客が名義人であることを前提にクレジットカードの決済を許可して、商品を販売しているからです。
つまり、名義人ではない人物がクレジットカードを使うことは、加盟店に詐欺をはたらいていることになります。この罪が成立すると、10年以下の懲役となります。
他人名義のクレジットカードの使用は原則禁止!
本記事では他人名義のクレジットカードを使うことについて、規約違反となる根拠やその例外、罪に問われる事例を解説してきました。
冒頭でご説明したとおり、他人名義のクレジットカードを使うことは、カード会社の約款によって規約違反であると定められています。家族の場合でもNGなので、家族カードを発行するなどして対応しましょう。
また、他人名義のクレジットカードを拾ったあと長期間所持していたり盗んだり、そのうえで支払いに使ったりすると罪に問われる可能性があります。
カード会社や加盟店に見つかっていないとしても、すごくリスクのあることなので絶対にしないようにしてくださいね。
ぜひ本記事が、他人名義のクレジットカードを使うことのリスクについての学びになると幸いです。
経済学部卒業。学生時代にライター業を開始し、大学卒業後はフリーライターとして活動。当メディア「マネ会」でのクレジットカードに関する記事はもちろん、株式投資・節約・電子マネーなどのお金に関する記事を、女性ならではの目線で多数執筆中。クレジットカードは楽天カード・イオンカードセレクト・エポスゴールドカードを保有している。キャッシュレス決済はQUICPayとPayPayを愛用しており、ポイントを貯めることとクーポンを使うことが大好き。