母子父子寡婦福祉資金貸付でお金を借りるには?審査基準も解説
母子父子寡婦福祉資金貸付は、審査をクリアすれば、低金利での資金貸付が可能です。
この記事では、母子父子寡婦福祉資金貸付の詳細や資金の種類、申請に必要な書類や借入までの具体的な流れ、審査に通過するためのポイント、などをわかりやすく紹介します。
母子父子寡婦福祉資金貸付の利用を検討している方はぜひ参考にしてください。
また母子父子寡婦福祉資金貸付でなく、さまざまなお金を借りる方法を知りたい方は以下の記事もチェックしてみてくださいね。
>> お金を借りる方法98選!即日で今すぐ借りたい人におすすめな借り方を解説
母子父子寡婦福祉資金貸付とは?
母子父子寡婦福祉資金貸付とは、20歳未満の児童を扶養している母子家庭や父子家庭といった、ひとり親世帯がお金を借りられる制度のことを指します。
経済的自立と生活意欲の助長や、ひとり親の児童における福祉を推進することを目的とした制度です。
修学目的をはじめとし、貸付資金は全部で12種類あります。詳しい対象や貸付条件、限度額などについて以降で解説します。
ひとり親が融資を受けられる制度
母子父子寡婦福祉資金の貸付対象者は、主にひとり親(母子家庭の母、父子家庭の父)や、その子ども、そして寡婦です。寡婦とは、夫と死別又は離別した独身女性のことを指します。
具体的には、以下のような目的で資金を借りられます。
資金の種類 | 貸付対象等 | 内容 |
---|---|---|
事業開始資金 |
・母子家庭の母 ・父子家庭の父 ・母子・父子福祉団体 ・寡婦 |
事業(例えば洋裁、軽飲食、文具販売、菓子小売業等、母子・父子福祉団体については政令で定める事業)を開始するのに必要な設備、什器、機械等の購入資金 |
事業継続資金 |
・母子家庭の母 ・父子家庭の父 ・母子・父子福祉団体 ・寡婦 |
現在営んでいる事業(母子・父子福祉団体については政令で定める事業)を継続するために必要な商品、材料等を購入する運転資金 |
修学資金 |
・母子家庭の母が扶養する児童 ・父子家庭の父が扶養する児童 ・父母のない児童 ・寡婦が扶養する子 |
高等学校、高等専門学校、短期大学、大学、大学院又は専修学校に就学させるための授業料、書籍代、交通費等に必要な資金 |
技能習得資金 |
・母子家庭の母 ・父子家庭の父 ・寡婦 |
自ら事業を開始し又は会社等に就職するために必要な知識技能を習得するために必要な資金(例:訪問介護員(ホームヘルパー)、ワープロ、パソコン、栄養士等) |
修業資金 |
・母子家庭の母が扶養する児童 ・父子家庭の父が扶養する児童 ・父母のない児童 ・寡婦が扶養する子 |
事業を開始し又は就職するために必要な知識技能を習得するために必要な資金 |
就職支度資金 |
・母子家庭の母又は児童 ・父子家庭の父又は児童 ・父母のない児童 ・寡婦 |
就職するために直接必要な被服、履物等及び通勤用自動車等を購入する資金 |
医療介護資金 |
・母子家庭の母又は児童(介護の場合は児童を除く) ・父子家庭の父又は児童(介護の場合は児童を除く) ・寡婦 |
医療又は介護(当該医療又は介護を受ける期間が1年以内の場合に限る)を受けるために必要な資金 |
生活資金 |
・母子家庭の母 ・父子家庭の父 ・寡婦 |
・知識技能を習得している間、医療若しくは介護を受けている間、母子家庭又は父子家庭になって間もない(7年未満)者の生活を安定・継続する間(生活安定期間)又は失業中の生活を安定・継続するのに必要な生活補給資金 ・児童扶養手当受給相当まで収入が減少した者の生活を安定・継続するのに必要な生活補給資金(児童扶養手当を受給している者は除く) |
住宅資金 |
・母子家庭の母 ・父子家庭の父 ・寡婦 |
住宅を建設し、購入し、補修し、保全し、改築し、又は増築するのに必要な資金 |
転宅資金 |
・母子家庭の母 ・父子家庭の父 ・寡婦 |
住宅を移転するため住宅の貸借に際し必要な資金 |
就学支度資金 |
・母子家庭の母が扶養する児童 ・父子家庭の父が扶養する児童 ・父母のない児童 ・寡婦が扶養する子 |
就学、修業するために必要な被服等の購入に必要な資金 |
結婚資金 |
・母子家庭の母 ・父子家庭の父 ・寡婦 |
母子家庭の母又は父子家庭の父が扶養する児童及び寡婦が扶養する20歳以上の子の婚姻に際し必要な資金 |
上記のように、資金の用途は種類によって異なります。
学費や生活費など子どもに関する費用だけではなく、自身が仕事をするために必要となる資格を取得するための費用にも使うことが可能です。
このように、ひとり親や子どもが経済的に安定的に生活できるため、安全に生活できるために社会福祉の一環として支給されるものが母子父子寡婦福祉資金貸付です。
子どもが扶養から外れても利用できる
紹介したとおり、母子父子寡婦福祉資金貸付は一般的に、20歳未満の子どもを扶養している母子、父子に支給されるものです。
しかし、種類によっては子どもが扶養から外れたとしても、母子家庭の母親であれば母子父子寡婦福祉資金貸付を利用できます。
例えば、生活資金の貸付では、子どもが扶養から外れた母子(寡婦)の場合、月額72,000円を限度として貸付が受けられます。
これは、母子家庭の母自身の平均年収は223万円(うち就労収入は181万円)、父自身の平均年収は380万円(うち就労収入は360万円)といったように、父子家庭と比較して母子家庭のほうが収入は低い傾向にあるためです。(※)
無職でも利用はできる
母子父子寡婦福祉資金貸付は国の制度のため、対象者が無職でも借りることはできます。
例えば、出産直後の母子家庭の母親などは働くことが難しく、生活費の捻出が難しいケースなどもあるでしょう。母子父子寡婦福祉資金貸付では、働けない事情を考慮したうえで、もし無職だとしても借りることが可能ば場合があります。
ただし、母子父子寡婦福祉資金貸付は「給付」ではなく「貸付」であり、将来的には返済が必要なものでもあります。
申し込み時点で無職でも借りられる可能性はありますが、働く意思があることは積極的に見せたほうが良いかもしれません。
金利は1.0%
母子父子寡婦福祉資金貸付の金利は、種類にもよりますが、ほとんどの場合一律で年1.0%です。消費者金融の金利は年3.0〜18.0%が一般的なので、比較するとかなり低金利です。
金利によって発生する利息は、借りる期間に応じて多くなります。そのため、母子父子寡婦福祉資金貸付では、消費者金融に比べると、利息を抑えた借入が可能になります。
また、年1.0%の利息も、連帯保証人をつけることで無利息にできる点も大きな魅力です。
【一覧】母子父子寡婦福祉資金貸付は12種類ある!
母子父子寡婦福祉資金貸付12種類それぞれには、借入できる金額の上限があります。種類ごとの上限金額は以下のとおりです。
資金の種類 | 限度額 |
---|---|
事業開始資金 |
一般:326万円 団体:489万円 |
事業継続資金 |
一般:163万円 団体:163万円 |
修学資金 |
高校、専修学校(高等課程):月額5万2,500円 高等専門学校(1~3年):月額5万2,500円 高等専門学校(4~5年):月額11万5,000円 専修学校(専門課程):月額12万6,500円 短期大学:月額13万1,000円 大学:月額14万6,000円 大学院(修士課程):月額13万2,000円 大学院(博士課程):月額18万3,000円 専修学校(一般課程):月額5万2,500円 |
技能習得資金 |
一般:月額6万8,000円 特別:一括81万6,000円 運転免許:46万円 |
修業資金 |
一般:月額6万8,000円 特別:一括46万円 |
就職支度資金 |
一般:10万5,000円 特別:34万円 |
医療介護資金 |
医療:340,000円 特別:480,000円 介護:500,000円 |
生活資金 |
■技能習得、医療・介護、失業中の生活安定を目的とする場合 一般:月額10万8,000円 技能:月額14万1,000円 ■児童扶養手当受給相当まで収入が減少した場合 児童扶養手当の支給額 (令和5年度は月額4万4,140円) |
住宅資金 |
一般:150万円 特別:200万円 |
転宅資金 | 26万円 |
就学支度資金 |
小学校:6万4,300円 中学校:8万1,000円 国公立高校等:16万円 修業施設:28万2,000円 私立高校等:42万円 国公立大学・短大・大学院等: 42万円 私立大学・短大等:59万円 |
結婚資金 | 31万円 |
貸付期間、据置期間(利子のみの返済が可能な期間)、償還期間なども、種類によって個別に規定されているので確認しておきましょう。
どの種類を利用すれば良いかわからない場合や、種類ごとの詳細を知りたい場合、最寄の地方公共団体の福祉担当窓口に問合せることをおすすめします。
母子父子寡婦福祉資金貸付金でお金を借りるためには?審査の基準は?
母子父子寡婦福祉資金貸付は利用したい人全員が自由に利用できるわけではありません。資金を借りるためには審査を通過する必要があります。
母子父子寡婦福祉資金貸付に申し込むための条件や、審査でチェックされる可能性が高いポイントを簡潔に紹介します。申し込む前に確認しておきましょう。
配偶者がいないことが前提
母子父子寡婦福祉資金貸付は、その名前のとおり配偶者がいない、ひとり親世帯への融資を前提とした制度です。
例えば、埼玉県では以下のような点を「貸付けを申請できる方」として定規しています。
条件 | 備考 |
---|---|
1.母子家庭の母及び父子家庭の父 |
20歳未満のお子さんを扶養している方で、 (1)配偶者が死亡又は配偶者と離婚し、現に結婚していない方 (2)配偶者の生死が不明、又は配偶者から遺棄※されている方※遺棄の状態が1年以上継続すると認められる場合に限ります。 (3)配偶者が外国にいるため、その扶養を受けることができない方 (4)配偶者が精神又は身体の障害により長期にわたって働けない方 (5)配偶者が法令により拘禁されているため、その扶養を受けることができない方 (6)婚姻によらないで母又は父となり、現に結婚していない方 |
2.父母のない、20歳未満の子 | - |
3.寡婦 |
・現在子を扶養していない場合、所得制限があります ・かつて母子家庭の母であった方で、現在も上記1.(1)~(6)のいずれかに該当する方 |
4.40歳以上の配偶者のない女性であって、1.又は3.以外の方 | 現在子を扶養していない場合、所得制限があります |
5.1.及び3.に該当する方の子 |
修学資金・就学支度資金・修業資金・就職支度資金のみ ※お母さんやお父さん又は寡婦の方が連帯保証人としての要件(収入・資産等)を満たしている場合に限ります |
「配偶者がいない」とは、離婚が成立している方、もしくは夫・妻のどちらかが死別している方で、現在も婚姻していないケースを指します。
例えば、別居しているだけでは離婚とはいえないため、貸付の対象者とはなりません。
また、「婚姻状態」とは婚姻届けを出していない内縁の妻や夫も含まれます。つまり、内縁の妻だとしても配偶者として扱われ、貸付対象とはならないので注意しましょう。
定期的な収入がある
母子父子寡婦福祉資金貸付は「給付」ではなく「貸付」です。将来的に返済しなければならないため、返済能力があるかどうかも審査でチェックされるポイントになる可能性が高いでしょう。
特別な事情がなく、無職で定期的な収入がない場合は、貸付対象と見なされない可能性があるため注意が必要です。
一方で、雇用形態は定まっていないアルバイトやパートでも、月に2万~3万円程度の収入があれば審査に通過できる可能性は高くなります。
反対に、生活するために十分な収入を得ている場合も、貸付の対象外とみなされます。
あくまでも生活支援のための、返済が必要な貸付である点は覚えておきましょう。無収入かつ働ける状況にある方は、働き口を見つけてから申請することをおすすめします。
子どもを養育していなくても所得制限以内なら対象となり得る
現在子どもを養育していない方でも、前年の所得が203万6,000円以下であれば貸付の対象となります。例えば、昔母子家庭で子どもを養っており、子どもが20歳を超えて自立した場合などがこのケースにあたります。
所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額を指します。アルバイトやパートなどであれば、毎月の給与である程度予測することが可能です。毎月の給与が17万円程度がひとつの目安になるでしょう。(17万円×12ヶ月=204万円になるため)
ただし、概ね毎月17万円の給与でも、正社員として働いている方は、残業代などの各種手当により、203万6,000円以下という所得制限を超えている可能性があります。
母子父子寡婦福祉資金貸付への申請をする前に、しっかりと計算しておくことが大切です。
母子父子寡婦福祉資金貸付金の審査が落ちてしまう人
続いては、母子父子寡婦福祉資金貸付の審査に落ちてしまう人の特徴を紹介します。
明確な基準などは公表されていませんが、一般的な傾向として、以下のような項目に該当する人は、審査落ちする可能性があります。
- 生活保護受給者
- 借金がある人
- 充分な収入がある人
- 税金などを滞納している人
- 無職の人
申請すれば誰でも利用できるものではないので、上記のような項目に該当しないかチェックしてみてください。
以下で簡潔に紹介します。
生活保護受給者
生活保護受給者は、母子父子寡婦福祉資金貸付を受けられません。双方は併用できないので注意しましょう。
生活保護は、母子父子寡婦福祉資金貸付を含めた公的融資制度などを利用できないことを踏まえたうえで、生活に困っている人を助けるためにあるものです。
そのため、生活保護を申請する際に、公的融資制度などを受けていないかの調査がおこなわれます。
また、生活保護は支給金であり、母子父子寡婦福祉資金貸付を含めた「貸付」への返済に充てることはできません。
生活保護を打ち切ることで、母子父子寡婦福祉資金貸付に通過できる可能性がありますが、どちらが自分にとって有益かをよく考えたうえで選びましょう。
借金がある人
母子父子寡婦福祉資金貸付は「貸付」であるため、すでに他社から多額の借金があり、明確な返済計画が立てられない方は審査に落ちてしまう可能性が高くなります。
そもそも母子父子寡婦福祉資金貸付は、利用者が経済的に自立するための制度であり、投資や借金の返済を目的とした貸付制度ではありません。
借金の返済に困っている場合は、各都道府県に設置されている消費者生活センターなどに相談してみましょう。
充分な収入がある人
母子父子寡婦福祉資金貸付の申請要件として、所得制限に関する上限はとくにありません。しかし、充分な収入があり、生活ができている人は貸付対象とならない可能性があります。
生活するための充分な収入があると、自立できているとみなされるためです。また、生活が苦しいといっても、ギャンブルや投資などを理由に苦しいとなっている場合も、対象とはなりません。
生活苦に陥っている原因を辞めれば、通常どおりの生活に困らない状態に戻れると判断されるためです。
もし収入が多い方が資金を調達したい場合、消費者金融や銀行などの金融機関からお金を借りた方が良いでしょう。
税金などを滞納している人
住民税や健康保険料などの税金を滞納している場合も、審査落ちの原因になってしまう可能性があります。
母子父子寡婦福祉資金貸付からの借入により、一時的に滞納を改善できても、それは借金によって滞納に対処しているようなものです。つまり、お金を借入できても、家計の根本的な改善にはつながらないと判断されてしまいます。
また、税金の滞納があることが返済能力を疑われる原因になることも、審査落ちの要因になるケースもあるでしょう。
母子父子寡婦福祉資金貸付を利用したいのであれば、まずは滞納している税金を少しでも返済し、返済能力があることを示すことが大切です。
無職の人
無職の場合、返済能力がないため審査に落ちる可能性は非常に高いといえます。連帯保証人を立てたとしても、貸付の返済をおこなうのは本人であるため、無職の方が借入できる可能性は低いといえるでしょう。
もし妊娠中や出産直後などで働くことが難しい場合は、事情を説明することをおすすめします。
どうしても働けない状況の場合は、返済などない「生活保護」などの受給も検討してみましょう。
母子父子寡婦福祉資金貸付金でお金を借りる方法
母子父子寡婦福祉資金貸付の申請には、必要な書類や事前に確認しておくことも多いため、あらかじめ準備しておくことが大切です。
母子父子寡婦福祉資金貸付を借りるまでの大まかな流れは以下のとおりです。
- 必要書類と申請書を提出する
- 審査時に面談をおこなう
- 返済方法を設定する
準備するべき具体的な書類の種類や、各項目の流れについて、以下で簡潔に紹介するので参考にしてください。
必要書類と申請書を提出する
最初に、お住まいの市役所・町村役場のひとり親家庭支援担当窓口、または所管の県福祉事務所に相談のうえ、以下の書類を準備して提出します。
提出先は都道府県の各市役所です。
- 申請書
- 戸籍謄本(概ね3ヶ月以内に発行されたもの)
- 所得証明書及び住民税納税証明書
- 連帯保証人を立てる場合、連帯保証人の所得証明書
- 申請者の個人番号(マイナンバー)がわかるもの
- その他資金の種類により、入学許可書の写し、事業計画書、収支計画書等
なお、上記は埼玉県庁のホームページを参考にしています。
必要書類は申請する資金の種類によっても異なります。たとえば、修学資金を借りる場合、合格通知書などがあれば合格発表前でも申請できるなど、さまざまな規定があります。
自身が住んでいる都道府県や自治体ホームページで確認するか、窓口で必要書類について確認しておくことが大切です。
審査時に面談をおこなう
申請後には、それぞれの管軸により審査がおこなわれます。また、審査に際して、面談が必要となることも覚えておきましょう。
面談では、生活ぶりや、借入の目的、資金返済計画などを細かく聞かれることが一般的です。
嘘偽りなく回答しましょう。連帯借受者も一緒に面談に参加することが求められるケースもあります。
返済方法を設定する
面談の内容を踏まえて審査がおこなわれ、審査に通過すれば自宅に「貸付決定通知書」が送付されます。
借入れたあとは、設定した返済計画に基づき返済していきます。返済は一般的に、月賦、半年賦、年賦のなかから選びます。
返済可能で無理のない範囲での借入をおこない、しっかりと返済計画を立てておくことが大切です。
資金の種類によって据置期間(利子のみの返済が可能な期間)や償還期間が定められているので、事前にしっかりと確認しておきましょう。
なお、連帯保証人有りの無利子で借りた場合、利息が発生しないため、据置期間中は返済なしで済みます。
母子父子寡婦福祉資金貸付金の審査を通過するためのポイント
母子父子寡婦福祉資金貸付金の詳しい審査基準は非公開です。しかし、以下の点を意識することで、審査に通過できる可能性を高くできる可能性があります。
- 連帯保証人を立てる
- 子ども自身を貸付対象とする
- 必要書類を揃えておく
- 借入希望額は必要最低限にする
それぞれについて以下で詳しく紹介するので、少しでも審査通過の確率を高めたい方は参考にしてください。
連帯保証人をたてる
申請の際に連帯保証人をたてておくことで、審査に通過しやすくなる可能性があります。連帯保証人とは、債務者が金銭を返済しない場合、債務者に代わって、借金を返済することを約束した人のことです。
貸付する側からすると、連帯保証人がいることで、貸し倒れのリスクを低減できます。連帯保証人の資金力や保証力が高ければ、その分審査に通過できる可能性も高くなるでしょう。
ただし、連帯保証人として認められるためには一定の条件があるため注意しましょう。たとえば、埼玉県では以下のような条件が設定されています。
- 申請者と別生計の人
- 県内・近隣に住む60歳未満の親族
- 保証能力がある人
詳しい条件は各都道府県で異なるケースがあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
保証人は原則として親族でなければならないため、もし家族に頼れない場合は、返済能力が示せるように、お金を貯めてから申し込むと審査通過の確率を高められます。
子ども自身を貸付対象とする
母子父子寡婦福祉資金貸付のなかには、親ではなく、20歳未満の子ども自身を貸付対象にした資金の種類もあります。
12種類ある資金のうち、以下のものについては、子どもを貸付の対象にしています。
資金の種類 | 貸付対象 |
---|---|
修学資金 |
・母子家庭の母が扶養する児童 ・父子家庭の父が扶養する児童 ・父母のない児童 ・寡婦が扶養する子 |
修業資金 |
・母子家庭の母が扶養する児童 ・父子家庭の父が扶養する児童 ・父母のない児童 ・寡婦が扶養する子 |
就職支度資金 |
・母子家庭の母又は児童 ・父子家庭の父又は児童 ・父母のない児童 ・寡婦 |
医療介護資金 |
・母子家庭の母又は児童 (介護の場合は児童を除く) ・父子家庭の父又は児童 (介護の場合は児童を除く) ・寡婦 |
それぞれの資金の種類ごとに6ヶ月〜1年など据置期間が設定されており、期間中は利子を除いた返済は必要がないため、比較的落ち着いた返済計画を立てられます。
なお、子ども自身を貸付の対象とする場合、保証人をたてる必要があります。
頼れる親族がいない方でも、子どもを借入対象にし、親を保証人とすることで、審査通過の確率を高められるかもしれません。また、保証人有りで借りることにより、無利子での借入も可能になります。
必要書類を揃えておく
必要書類を用意したうえで申し込みにいくと、審査員からの評価が高くなる可能性があります。必要書類をしっかりと用意している人は、それだけで計画性があり責任感の強い人と見られるためです。
連帯保証にがいる場合には、保証人の戸籍謄本や収入証明書をはじめ、関連する書類の用意が必要になります。
資金の種類によってはその他の書類が必要になるケースもあり、用意に時間がかかるケースもあるため注意しましょう。
事前に各自治体のホームページや窓口で確認しておき、申請前に用意しておくことが大切です。
借入希望額は必要最低限にする
少しでも審査通過の確率を高める方法として、借入希望額を必要最低限にしておくこともポイントのひとつです。
審査では返済能力が問われるため、借入希望額を返済可能な金額に設定しておくことで、審査通過の確率を高められるかもしれません。
反対に、返済能力以上の希望額を設定すると、審査が厳しくなり落ちる原因となり得るので注意しましょう。
借りる際に重要なことは、「確実に返済ができるかどうか」です。返済できるだけの金額を借りるのが、審査を通過するためのポイントであることを覚えておきましょう。
母子父子寡婦福祉資金貸付金でお金を借りる際の注意点
母子父子寡婦福祉資金貸付はお金に困っている方にとって便利な融資サービスですが、以下の注意点があることも覚えておきましょう。
- 支払いを滞納すると違約金が発生する
- 融資を受けるまでに数ヶ月かかる
それぞれについて、以下で詳しく紹介します。
支払いを滞納すると違約金が発生する
母子父子寡婦福祉資金貸付はあくまでも借入であるため、借りたあとには返済が必要になります。決められた返済期日までに支払いをおこなわない場合、滞納とみなされて違約金が発生するので注意しましょう。
2023年6月現在、設定されている違約金は年3%です。返済が遅れた日数に応じて支払う利息は多くなるため、支払いが遅れるほど違約金によって家計が苦しくなってしまうため注意しましょう。
返済が遅れると、市役所や担当から催促状や電話などがきて、違約金をプラスした請求書が通知されます。連絡を無視し続けると、勤め先にも連絡がきて、周囲の人に知られる可能性もあります。
最悪の場合、差し押さえにまで発展する可能性もあるので、催促の連絡は無視してはいけません。もし生活が苦しく、返済ができないと判断した場合は、すぐに担当者に連絡して相談しましょう。
事情によっては返済期日を変更してくれる可能性があります。
融資を受けるまでに数ヶ月かかる
母子父子寡婦福祉資金貸付は申請したからといって、すぐに融資を受けられるわけではありません。申請してから融資を受けるまでには、一般的に1〜3ヶ月程度かかることも多いとされています。
いますぐにお金を借りたい場合でも、すぐに借りることはできないため注意しましょう。
お金が必要になる予定があるのならば、余裕を持って3ヶ月前から申請するなど、早めの行動を心がけることが大切です。
母子父子寡婦福祉資金貸付金の返済ができないときの対処法
母子父子寡婦福祉資金貸付で借りたお金が返済できない状態に陥った場合、対処法として以下のようなものが挙げられます。
- 免除申請をする
- 猶予申請をする
- どうしても返済できないなら専門家へ相談
前述したとおり、返済できないまま放っておくと違約金が発生するため、上記の対処法は事前に確認しておきましょう。
それぞれについて、以下で詳しく紹介します。
免除申請をする
母子及び父子並びに寡婦福祉法15条では、以下のような特定の事由に該当すると判断された場合、借入額の全部もしくは一部の免除が認められると規定されています。
- 貸付者が死亡した場合
- 精神や身体の障害により返済ができなくなった場合
- 所得の状況などにより返済ができなくなった場合
なお、精神的・身体的障害があると証明するにあたっては、医師の診断書が必要です。
免除できる額、条件・判断は自治体によって異なるため注意が必要です。事前にホームページなどで確認しておくか、窓口で相談してみましょう。
猶予申請をする
免除ではなく、支払い期日を猶予してもらう方法もあります。返済の猶予が認められるケースとしては以下のような場合が該当します。
- 災害、盗難、疾病、負傷その他やむを得ない理由がある場合
- 在学中により返済が難しい場合
- 新型コロナウイルスの影響で収入が減少した場合
たとえば、横浜県川崎市のホームページでは、新型コロナウイルスによる経済的不況に陥り、返済が困難になった場合には、1年以内の期間で猶予が認められるとされています。
具体的な期間や条件については窓口で確認し、必要に応じて申請しましょう。
どうしても返済できないなら専門家へ相談
紹介したような自由に当てはまる場合、返済の免除や猶予の判断は各自治体に委ねられるため、必ず免除・猶予が認められるとは限りません。
どうしても返済ができず、申請しても免除・猶予が認められない場合は弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。
母子父子寡婦福祉資金貸付は国の制度ではありますが、一般的な消費者金融と同じく、債務整理の対象となります。専門家を通して利子や違約金の減額、返済猶予の交渉などができる場合があります。
母子父子寡婦福祉資金貸付の返済にどうしても対処できない場合、自己破産が認められるケースもありますが、自分で判断せず、まずは専門家に相談して適切なアドバイスをもらうことが大切です。
母子父子寡婦福祉資金貸付金でお金を借りる際のよくある質問
最後に、以下のような母子父子寡婦福祉資金貸付に関してよくある質問について紹介します。
- 母子父子寡婦福祉資金の違約金の計算方法は?
- 母子父子寡婦福祉資金貸付金の要件は?
- 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の読み方は?
- 母子寡婦福祉資金貸付金の振込日はいつ?
- コロナの影響で母子父子寡婦福祉資金貸付金の返済が停滞したら?
申請を検討するなかで、同じような疑問が浮かんでくるケースも多いので、事前に理解しておくことをおすすめします。
それぞれ簡潔に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
母子父子寡婦福祉資金の違約金の計算方法は?
2023年6月現在、母子父子寡婦福祉資金貸付の違約金は、金利(年率)3%です。違約金は「滞納金額×0.03×滞納日数÷365」で計算されます。
たとえば、100万円を借りていて、1年支払いを遅延した場合、計算式に当てはめると「100万円×0.03×365÷365」になり、違約金は3万円になります。
消費者金融では年率18〜20%近くとなるケースも多いため、比較的低いですが、年率が低いからといって長期間滞納し続けることは避けましょう。
計算式を見ても分かるとおり、滞納の期間が長くなるほど違約金の額も大きくなります。滞納することなく返済するためには、返済計画をしっかり立て、確実に返済できる金額だけ借りることが大切です。
母子父子寡婦福祉資金貸付金の要件は?
貸付要件は、20歳未満の児童を扶養している配偶者のない女子または男子、寡婦等に貸し付けられます。つまり、大前提として母子家庭もしくは父子家庭であることが必要になります。
それ以外の要件や貸付が認められるかの判断は、自治体によって異なります。そのため、もし母子父子寡婦福祉資金貸付を利用することを検討しているのであれば、各自治体の窓口で相談してみることが大切です。
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の読み方は?
母子父子寡婦福祉資金貸付制度の読み方は、「ぼし ふし かふ ふくし かしつけきん せいど」です。
母子寡婦福祉資金貸付金の振込日はいつ?
振込日は資金の種類や自治体によって異なります。
一例を挙げると、新潟市の修学資金では、年4回の場合、4月・7月・10月、1月それぞれ末日に3ヶ月分。年2回の場合は、4月・10月それぞれの末日に6ヶ月分が支払われるとされています。(休日にあたる場合は金融機関の前営業日)
申請から最初の振込までかかる日程は早くて1ヶ月、遅い場合3ヶ月ほどかかる場合もあるので、お金が必要になる予定があるのならば早めに申請しましょう。
コロナの影響で母子父子寡婦福祉資金貸付金の返済が停滞したら?
新型コロナウイルスの影響で収入に影響が及び、返済が困難になって停滞した場合は、支払猶予の申請をおこなえます。
専用の窓口を作っている自治体もあるため、新型コロナウイルスの影響で滞納してしまいそうな場合、まずは担当者に相談してみてください。
まとめ|審査を通過するポイントを確認して母子父子寡婦福祉資金貸付金でお金を借りよう!
母子父子寡婦福祉資金貸付金は、ひとり親の生活を支えるための貸付金制度です。基本的にひとり親であれば誰でも申請可能ですが、自治体によって細かい要件や判断基準が異なる場合があります。
ひとり親だとしても、生活保護とは併用できないほか、得ている収入によっては申請が通らないケースもあります。そのほか、無収入や多額の借金がある場合などは、返済能力がないとみなされると審査に落ちる可能性もあるでしょう。
申請を検討しているのであれば、返済計画を立てたうえで、無理なく返済可能な現実な希望借入額を理解したうえで、各自治体の窓口に相談してみてください。
<参考>
・お金を借りる方法一覧!|ドットマネー
31歳。クレジットカード系270記事以上、ビジネススキル記事100記事以上、書籍執筆、などなど金融系・経済系のライティングが好き。ガジェット・旅行・音楽・ゲーム・芸能・心理学など多数のライティングを経て現在にいたる。読書好きで月に30冊は読破。読書の経験から「読みやすさ・わかりやすさとは」を常に研究中。作成文章でも経験読者さんにとって分かりやすく、読みやすい、求めている正確な情報をお届けすることをモットーに執筆しています。