クレジットカードでお金を借りるには?キャッシングの利用方法やメリット・デメリットを解説
クレジットカードのキャッシングは、現金決済にしか対応していないお店で所持金がないときや、海外旅行中に現金が必要になったときなどに重宝するサービスです。
24時間365日、近所のコンビニや銀行のATMから気軽に借入ができ、非常に便利なキャッシングサービスですが、中にはどうやって利用したらいいのかわからないという方もいらっしゃるかもしれません。
「クレジットカードを使って、どうやってお金を借りるの?」
そのような疑問を解消すべく、本記事ではクレジットカードを使ってキャッシングする方法をわかりやすく解説。キャッシングの基本情報から利用方法、メリット・デメリットなどを余すところなく解説していきます。
クレジットカードのキャッシングとは「お金を借りる」機能
まだキャッシングサービスを利用したことがない方にとっては、「キャッシング」がどのようなものなのかイメージできないという方もいらっしゃるかもしれません。
キャッシングとは、お金を借りるサービス全般のことをいいます。そして、キャッシングを利用する方法としては、クレジットカードとカードローンの2種類があります。
今回は上記2つのうち、クレジットカードを使ったキャッシングについて解説していきます。
ショッピング機能とキャッシング機能の違い
クレジットカードには、「ショッピング機能」と「キャッシング機能」の2つの機能があります。
- ショッピング機能…現金を使わずに買い物や家賃、光熱費などの支払いができる機能
- キャッシング機能…クレジットカード会社から現金を借入できる機能
これらの限度額は、それぞれ「キャッシング枠」と「ショッピング枠」と呼ばれています。
もし、手持ちのクレジットカードにキャッシング枠が付帯しているなら、特別な手続きをせずにすぐにキャッシングを利用することができます。
しかし、クレジットカードの発行時にキャッシング枠を0円にして申し込んだ場合、すぐにキャッシングを利用することはできません。そのような場合、カード会社のホームページからキャッシング枠の新規設定をし、審査を受ける必要があります。
新規設定は10分程度で完了します。手続きは、カード会社のサイトにある「キャッシング」のページからおこなってください。
キャッシング枠とショッピング枠について
キャッシング枠とショッピング枠は、それぞれが個別に設定されているケースと、ショッピング枠の中にキャッシング枠が組み込まれているケースの2種類があります。
2つの枠が別々に設定されている場合、それぞれ決められた限度額まで利用することができます。
いっぽう、キャッシング枠がショッピング枠の一部として組み込まれている場合、「ショッピング利用額+キャッシング利用額」が、ショッピング枠を超えることはできません。
たとえば、ショッピング枠が50万円でキャッシング枠が20万円のクレジットカードでキャッシングを10万円利用した場合、ショッピングで利用できる上限は40万円となります。
反対に、ショッピングで45万円利用した場合、キャッシングで利用できる上限は5万円となります。キャッシング枠が20万円だとしても、5万円までしか借入することができないので注意が必要です。
キャッシングできる上限は年収の3分の1まで〜総量規制について
キャッシング枠は総量規制の対象のため、最大で年収の3分の1までしか借入することができません。
総量規制とは、クレジットカード会社や消費者金融などの貸金業者が、個人に融資をおこなう際に年収の3分の1を超える金額の貸付を禁止する規制です。
そのため、たとえば年収が300万円の方の場合、キャッシング枠などの借入れは最大で100万円となります。
ただし、キャッシング枠の金額はカード会社が申込者の返済能力を鑑みて個別に決めているため、「絶対に年収の3分の1までは融資してもらえる」というわけではないので注意が必要です。
専門家からのコメント
総量規制とは、クレジットカード会社や消費者金融などの貸金業者が、個人に融資をおこなう際に年収の3分の1を超える金額の貸付を禁止する規制ですが、総量規制になじまない貸付けとして、総量規制の「除外貸付け」に分類される契約として次の貸付契約があります。
その借入額が借入残高に算入されないため、総量規制に影響を与えない貸付契約です。
1. 住宅ローンに係る貸付
2. 自動車担保貸付け(自動車ローン)
3. 高額療養費(医療費)の貸付け
4. 有価証券を担保とする貸付け
5. 不動産(個人顧客または担保提供者の居宅などを除く)を担保とする貸付け
6. 売却を予定する不動産の売却代金により返済される貸付け
キャッシング枠は増額できる
カード会社に申請することで、キャッシング枠は増額することができます。
一般的に、キャッシング枠増額の申請は電話かインターネットでおこなうことができます。カード会社にもよりますが、審査期間は1〜2週間程度のところが多いようです。
キャッシングの3つのメリット
クレジットカードを使ったキャッシングには、以下の3つのメリットがあります。
- 24時間365日利用できる
- 審査不要で利用できる
- 海外でもキャッシングできる
どのような内容なのか、順番に解説していきます。
24時間365日利用できる
クレジットカードのキャッシングの一番のメリットは、必要に応じて気軽にATMやCD(キャッシュディスペンサー)でお金が借りられることです。
食事の誘いや冠婚葬祭、車の修理代や旅行など、急な用事で現金が必要なときに、24時間365日利用できるクレジットカードのキャッシングは非常に重宝します。
審査不要で利用できる
前述のとおり、手持ちのクレジットカードにキャッシング枠が付いている場合、新たに審査を受けることなくすぐにキャッシングを利用することができます。
もしキャッシング枠が付いていなくても、カード会社のホームページから簡単に新規設定の申請ができるため、面倒な手続きをおこなう必要はありません。
海外でもキャッシングできる
海外滞在時に、ATMから現地通貨を引き出せる点もキャッシングのメリットの1つです。
もし、海外旅行中に「現金が必要になったが、手持ちがない!」という事態になっても、キャッシング機能が付いたクレジットカードを持っていれば安心です。
「海外旅行のためだけにキャッシング枠を付けている」という方もいるほど、海外キャッシングは便利な機能です。海外に行く機会が多い方は、マストで利用したいサービスです。
キャッシングの3つのデメリット
困ったときにいつでも利用でき、非常に便利なクレジットカードのキャッシングですが、決してデメリットがないわけではありません。
キャッシングのデメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。
- 借り過ぎると返済が難しくなる
- 利用してもクレジットカードのポイントが付与されない
- 不正利用されても補償されないことがある
以下で詳しく解説していきます。
借り過ぎると返済が難しくなる
コンビニのATMなどで気軽に利用できるのがキャッシングの特長でもありますが、無計画に利用し自分の返済能力に見合わない金額を借りてしまうと、月々の返済が困難になる場合があります。
キャッシングはあくまで「借金」です。借りたお金をどのようなスケジュールで返済していくかを事前に考え、計画的に利用していくことが何よりも大切です。
専門家からのコメント
クレジットカード等のキャッシングは、魔法のように現金が手に入ります。
現在では、銀行ATMだけではなく、コンビニエンスストア等を代表として街のいたる所で気軽にキャッシングをすることが可能です。
ATM等での引き出しには、その都度手数料がかかります。一回の手数料は100円~200円程度ですが、頻繁に利用するとかなりの負担となりますので注意が必要です。
また、お酒に酔った勢いで多額のキャッシングをしてしまい、あとで後悔するようなこともあるようです。
1社のキャッシング枠だけでは足りず2社・3社と増えてしまい、借金を借金で返済する自転車操業となり多重債務者となってしまう恐れもあります。
一時的にお金が必要な場合クレジットカード等のキャッシングはたいへん便利でありがたい存在ですが、あくまでもキャッシングはお金を借りているということをしっかり認識して利用しなければなりません。
利用してもクレジットカードのポイントが付与されない
ショッピング機能と異なり、キャッシングサービスでは利用してもクレジットカードのポイントは付与されません。
「ポイントを貯めたいから、クレジットカードのキャッシングを利用する」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、キャッシングではポイントは貯まらないので気をつけましょう。
不正利用されても補償されないことがある
盗難や紛失などにより暗証番号が第三者に知られた場合、クレジットカードを不正利用されてしまう恐れがあります。
スキミングなどによりデータが盗まれてしまった場合には補償の対象になりますが、キャッシング利用時に登録された暗証番号が使用されている場合は、原則としてカード会社は損害を補償してくれません。
そのため、暗証番号には自身の誕生日など推測されやすいものは控えたほうが賢明といえるでしょう。
初めてでも簡単!キャッシングの利用手順
「キャッシングを利用したいけど、手順がわからない」という方のために、本章ではATMを利用したキャッシングの手順について説明していきます。
ATMを利用したキャッシングの手順は、以下のとおりです。
- ATMのメニューから「お引き出し」を選択し、クレジットカードを挿入する
- 暗証番号を入力し、返済方法を選択
- 借入金額を入力する
各手順について、簡単に説明していきます。
①ATMのメニューから「お引き出し」を選択し、クレジットカードを挿入する
まず、ATMの画面上のメニューから「お引き出し」を選択し、クレジットカードを挿入します
②暗証番号を入力し、返済方法を選択
クレジットカード発行時に登録した4桁の暗証番号を入力し、続けて返済方法を「1回払い」もしくは「リボ払い」から選択します。
1回払いもリボ払いも両方とも手数料がかかりますが、リボ払いは分割になる分だけ支払う手数料が増えてしまいます。そのため、特別な理由がない限り返済方法は1回払いをおすすめします。
③借入金額を入力する
続けて、借入金額を入力します。カード会社にもよりますが、大半は1万円単位の借入しかできないようです。
また、ATMでキャッシングをすると、別途ATM手数料がかかります。エポスカードなどATM手数料が無料なところもあるようですが、ほとんどのカード会社では以下の手数料が適用されています。
キャッシング利用額 | ATM手数料(税込) |
---|---|
1万円以内 | 110円 |
1万円超 | 220円 |
近所のコンビニで気軽に利用できるからといって頻繁に利用していると、手数料だけでそれなりの出費になってしまうので注意が必要です
以上がATMを利用したキャッシングの手順となります。現金、クレジットカード、利用明細の取り忘れに気をつけましょう。
キャッシングの返済方法は1回払いとリボ払いのみ
キャッシングの返済方法には、1回払いとリボ払いの2種類があり、自身に合ったものを選ぶことができます。
1回払いは借入金を一括で返済する方法で、リボ払いは毎月一定の額を返済していく方法です。リボ払いはATMで振り込んで返済する方法と、口座から振り替えて返済する方法のどちらかを選ぶことができます。
金利と利息について
クレジットカードを使ってキャッシングをすると、借りた期間に応じて利息がかかります。
一般的に、クレジットカード会社はキャッシングの利息を年利で表記します。しかし、「年利◯◯%」という表記を利用者が見ても、借りた期間に対してどのくらいの利息がかかるのかはわかりづらいものです。
利息を計算したいときは、年利を日割りで計算するとわかりやすくなります。利息を日割りで表す計算方法は、以下のとおりです。
- 利息 = 借りた金額 × 年利 ÷ 365 × 借りた日数
この計算方法で、「20万円」を「年利15%」で「30日間」借りていた場合の利息を計算すると、次のようになります。
20万円 × 0.15 ÷ 365 × 30 =2,465円(利息)
もし借りた金額に対してどのくらいの利息がかかるか気になったときは、この計算式を利用してみてください。
リボ払いは利息の支払いに注意!
リボ払いは、支払いごとに一定の利息がかかります。券種によって金利は異なりますが、年15〜18%程度が相場となっているようです。
リボ払いは支払金額が安く設定される傾向があるため、返済期間が長期化し、利息が膨らみやすいというデメリットがあります。
たとえば、金利年18%の定額方式のリボ払いで10万円の借入をし、毎月5,000円ずつ返済する場合、支払回数は25回となり、2年以上支払い続けることになります。また、その間に支払う利息も20,929円となるため、トータルで支払う金額も20%以上増加することになります。
リボ払いは支払回数が増えるほど利息も増えるため、長期間にわたっての利用はおすすめできません。支払う利息を少なくしたいという方は、1回払いを選択しましょう。
クレジットカードでキャッシングする方法まとめ
クレジットカードのキャッシング機能について解説してきました。
最後に、特に重要なポイントをまとめてみました。
- キャッシングとは、現金を借りるサービスのこと
- 手持ちのクレジットカードにキャッシング枠が付いている場合、特別な手続きをせずにすぐにキャッシングを利用できる
- カード発行時にキャッシング枠を希望しなかった場合、カード会社のサイトから新規設定の手続きをおこなう必要がある
- キャッシング枠は増額できる(要審査)
- 24時間365日、海外でも利用できるのが最大のメリット
- 返済方法は1回払いとリボ払いのみ
クレジットカードのキャッシングは、食事の誘いや冠婚葬祭、車の修理代や旅行など、急な用事で現金が必要なときにとても役に立つサービスです。
24時間365日、海外でも利用できるなど大変便利なサービスですが、頻繁に利用していると、月々の返済が困難になる危険があります。
クレジットカードのキャッシングは、借りた期間に応じて利息がかかります。特に、返済期間が長期化しやすいリボ払いは利息が膨らみやすいので注意が必要です。
キャッシングを利用する際は、事前に返済計画をしっかり立ててから利用するようにしましょう。
<参考>
・お金を借りる方法一覧!|ドットマネー
専門家からの一言
クレジットカード等のキャッシングやリボ払いはたいへん便利で助かる機能ですが、しっかり返済計画を意識して利用しなければなりません。
お金を借りているということは必ず返済しなければならないのです。
また、キャッシングやリボ払いの返済利息に係る年利率は15%~18%が相場となっており、リボ払いの残額が多額となっている場合は全額返済することが困難になる恐れもあります。
例えばリボルビング払いでの残高が100万円ある場合、毎月の返済額を1万円と仮定します。すると、毎月の返済額1万円に対し、年利率18%の場合は利息だけで毎月15,000円増え続けることになるのです。
返済し続けても借金は毎月5,000円ほど増え続けることになるのです。また、この年利率18%というのは大変な高金利です。
現在、都市銀行の定期預金利率は0,002%(2020年7月22日現在)です。返済利率は都市銀行の定期預金金利の実に9,000倍です。この返済利率の実態をよく考えてみる必要もあると思います。
現在、大阪でFP事務所を開業している独立系ファイナンシャルプランナーです。業務は相談・講師・執筆と3本の柱で仕事をさせていただいております。相談業務はライフ・リタイアメントプランニング相談が中心となりますが、住宅の購入やその他の諸問題、相続・贈与に関するご相談、離婚後の家計相談など多岐に亘ります。その他地方自治体の生活困窮者支援に基づく相談業務も受託しています。講師業では地方自治体や企業等でのセミナーなどを受注しており、高等学校・専門学校・大学等で非常勤講師として教壇にたっています。また、FPとして大切な分野である、『金融経済教育』にも尽力しており、高等学校等でお金に関するお話をさせていただいております。
高校卒業後、ペットショップに就職。ペットをこよなく愛する駆け出しライター。ペット関連の記事を中心に執筆してきて、現在に至る。クレジットカードの「年会費無料」「お得」という言葉に弱く、多くのクレジットカードを所持してしまった挙句、財布がパンパンになっている。イオンカードのときめきポイントにときめき、つい愛犬愛猫の用品や、おやつを買ってしまう癖がある。最近ではスマホアプリのポイ活にハマっているポイント大好き人間。