ロストバゲージが発生する理由と今すべき対処法をくわしく解説します
「ロストバゲージ」とは、ロスト(lost=失われた)バゲージ(baggage=荷物)という英語の意味どおり、旅行中に荷物を失ってしまうことや、失ってしまった荷物そのものを意味します。
この記事ではロストバゲージに遭ってしまって困っている方、あるいは旅行に備えておきたい方に向けて、お役に立てそうな内容をまとめています。
ロストバゲージが起きてしまう原因、今すべき対処方法や、ロストバゲージにならないための対策や、ロストバゲージを補償してくれる保険が付帯しているクレジットカードなどについて、説明していきます。
ロストバゲージとは?
冒頭でも簡単に触れましたが、あらためてロストバゲージとは何かについて、説明しておきましょう。
ロストバゲージは、旅行中に荷物が紛失してしまうことを意味しますが、特に「飛行機に搭乗する際に預けた荷物が紛失すること」を指しています。
飛行機から降りた後、手荷物受取所のターンテーブルで自分の荷物が流れてくるのを待つと思いますが、その際に自分の荷物が流れてこないのが、まさに「ロストバゲージ」なのです。
スーツケースのなかにはたくさんのものが入っていると思いますので、ロストバゲージにあってしまった場合の影響は計り知れません。
ロストバゲージにあってしまう確率は決して高いわけではないため、これまで何度も旅行してきて一度もロストバゲージにあったことがないという人も、たくさんいらっしゃるでしょう。
しかし、ロストバゲージの悲劇はいつ自分の身に降りかかるかわかりませんので、自分もいつかロストバゲージにあうかもしれないと考えて、対策をしておいたほうがいいですね。
ロストバゲージが起こってしまう原因は?
ロストバゲージが起こってしまう原因としては、主に以下であげる4つの理由が考えられます。
荷物の積み込みの遅延で起こる
ひとつは、預けた荷物の積み込みの遅延が原因で起こるディレイドバゲージです。
ディレイドバゲージの場合、肝心の荷物が自分の乗ってきた飛行機に積み込まれていないので、ターンテーブルでいくら待ってみても自分の荷物は流れてきません。
遅れはするものの手元に届く確率は高い
ただ、ディレイドバゲージの場合は荷物がなくなっているわけではなく到着が遅れているだけなので、多少の時間的遅れがあったとしても、荷物が手元に届く確率は高いです。
そのため、厳密な意味では「ロスト」バゲージではありませんが、空港到着後に搭乗時に預け入れた荷物が回収できないという点では同じです。
行先や搭乗便の書かれたタグが誤って発行されてしまう
搭乗時に預ける荷物には、行先や搭乗便の書かれたタグが付けられ、荷物はこのタグをもとにして仕分けられます。
このタグが誤って発行されてしまうと、荷物は目的地とは全く違うところへと送られてしまうことになります。
「そんなバカなことが…」と思われるかもしれませんが、実際にそういったミスが発生しているわけですから、不運としかいいようがありませんね。
乗り継ぎなどでの積み込み忘れ・ミス
飛行機を乗り継ぐことになると、当然預けた荷物も元の機体から乗り継ぎ先の機体に乗せ換えられることになります。
この際の積み込み忘れやミスも、ロストバゲージの原因のひとつです。
日本の空港で乗り継ぎをする場合にはほぼ発生しないようですが、海外の空港で乗り継ぎをする場合のロストバゲージの原因は、大半はこの理由のようです。
他人に間違えて持っていかれてしまう
あなたのスーツケースが、たまたま同じ飛行機に乗っていたほかの乗客のスーツケースとそっくりで、その乗客があなたのスーツケースを先に見つけてしまって持っていってしまう、ということもあります。
この場合は空港スタッフの落ち度ではないとはいえ、自分の荷物を受け取れないという点ではほかの理由と変わりありません。
詳しくは後述しますが、自分のスーツケースがほかのスーツケースと間違えられにくくなるように、対策を取るようにしましょう。
ロストバゲージへの対策
ロストバゲージが起きてしまう原因は、おわかりいただけたと思います。
では、ロストバゲージになってしまわないための対策もいくつかあげていきましょう。
ネームタグを付けるなど手軽にできる方法もありますので、ロストバゲージにあってしまわないように、できる範囲で自衛したいですね。
ネームタグを付ける
ネームタグは自分の名前などを記入できるタグですが、それを付けておくことで、ほかに似たようなスーツケースがあったとしても、間違って持っていかれてしまうことを防げます。
航空会社から無料で配布されることもありますし、市販のものもありますので、どちらを利用してもかまいません。
ただ、ネームタグを付けておいても荷物の取り違えを100%防げるわけではありませんので、ネームタグには自分の名前以外に現地で連絡の取れる電話番号を記入しておくのもおすすめです。
こうすることで、間違えて荷物を持っていってしまった人からのコンタクトがスムーズにおこなわれるようになり、荷物が回収できる可能性が高まります。
自分の連絡先を記入するのが不安だという人もいると思いますので、必ずしも電話番号を記入しなければならないというわけではありません。
自分のスーツケースをほかのスーツケースと区別するという意味では、キーホルダーなどを付けておくことでも、ネームタグと同様の効果が期待できます。
ただ、付けておくキーホルダーのサイズが大きすぎると、ほかの荷物に引っかかって取れてしまう可能性がありますので、その点には注意しておきましょう。
過去のタグやシールなどをはがしておく
以前に旅行したときのタグやシールなどが残ったままだと、空港スタッフの方が荷物を積み込む際に勘違いしやすいです。
過去のタグやシールはすべてはがして、人為的ミスを誘発しないようにしておきましょう。
スーツケースの写真を撮っておく
自身のスーツケースの全体像がわかる写真を撮っておけば、万が一ロストバゲージが起きてしまった場合でも、写真を見せることで荷物を探してもらいやすくなります。
海外では現地の言葉がわからないことも多いと思いますが、写真を見せれば一発で伝わりますからね。
また、スーツケースの外観だけでなく、中身の写真を撮っておくことも有効です。
ロストバゲージが起こってしまった際に、見つかったスーツケースが確かに自分のものであることを証明するために、中身にはどのようなものが入っているかの説明を求められることもあります。
そのような場合でも、中身の写真を見せることは何よりの証明になります。
自分自身の物の管理にも役立つという、副次的な効果も期待できるでしょう。
荷物は機内に持ち込めるサイズのものにする
ロストバゲージが起こるのは荷物を預けるからであり、自分の荷物は自分で管理するようにすれば、ロストバゲージが起こる心配はありません。
そのため、荷物の大きさを調整して機内に持ち込めるサイズにまとめてしまうというのも、ロストバゲージの対策となるでしょう。
ただし、必然的に荷物のサイズが制限されるため、人を選ぶ方法にはなります。
搭乗手続きを早めに済ませておく
時間ギリギリに搭乗手続きをすると、スタッフの方も時間に追われているためミスが起こりやすくなり、ロストバゲージの発生確率も高まってしまいます。
搭乗手続きを早めに済ませておくことで、時間に余裕があるときに荷物を仕分けてもらえるので、ロストバゲージが起こる可能性も低くなるでしょう。
直通便を利用するようにしてできるだけ乗り継ぎを避ける
飛行機の乗り継ぎは、ロストバゲージが起きやすいタイミングです。
直通便を利用するようにして、できるだけ乗り継ぎを避けることによって、ロストバゲージの発生を避けやすくなります。
ロストバゲージにあってしまった時に今すべき対処法
ロストバゲージへの対策をお伝えしましたが、どれだけ対策をしたとしても、ロストバゲージが起きてしまう可能性はゼロにはなりません。
万が一ロストバゲージにあってしまった場合の対処法を、以下でいくつかお伝えしていきましょう。
航空券とクレームタグを空港スタッフに見せる
航空券とクレームタグを空港スタッフに見せることで、荷物の確認をしてもらえます。
もしも海外の空港であれば、「My baggage didn't come out.(私の荷物がでてきません)」と伝えてください。
クレームタグとは、荷物を預け入れる際に預ける荷物と引き替えに受け取るタグのことで、航空券に貼り付けられている場合もあります。
荷物の確認をしてもらうことで、自分の荷物の現状を知ることが最優先ですからね。
手荷物紛失証明書を作成する
荷物の確認をしてもらっても手荷物が発見できなかった場合は、手荷物紛失証明書(Property Irregularity Report: PIR)を作成することになります。
ロストバゲージの申告すれば、空港のスタッフから案内があるのが一般的です。
手荷物紛失証明書には、氏名や連絡先の電話番号・旅行中の滞在先、紛失したスーツケースの色や形などを記入します。
ロストバゲージになっていた荷物が見つかった場合、その時点での滞在先にスーツケースを送ってもらえます。
なお、作成した手荷物紛失証明書の控えは、保険会社とやり取りをする場合に必要なので、必ず受け取っておきましょう。
航空会社に申告して補償してもらう
ロストバゲージが起こってしまった場合は、航空会社に申告することで、最低限の日用品である、Tシャツなどの下着や歯磨きセット、洗顔フォームやシャンプー、タオル類などを購入するための料金を補償してもらえる場合があります。
つまり、必要なものを空港で購入してそのレシートを保管し、後で渡すことで、補償されるケースがあります。
また、別の航空会社では、洗面用具や一泊分の下着などの品物を、現物支給してもらえるケースもあるようです。
いずれにしましても、その補償の内容や方法は事前に航空会社に確認をとる必要があります。
これらは航空会社からの補償になるので、ロストバゲージが起こった当日中に現地の空港で交渉しなければなりません。
ロストバゲージが起きた結果、必要な品物を急きょ購入しなければならなくなった場合は、その際の領収書を取っておいて後日、航空会社に対して請求する形となります。
ロストバゲージはクレジットカードの付帯保険で補償してもらえる?
クレジットカードには、旅行障害保険のように旅行中のさまざまなトラブルを補償してくれる保険が付帯している場合があります。
そういった付帯保険の補償内容のなかに、ロストバゲージを補償してくれるものがあれば万が一の際にも便利ですよね。
ロストバゲージは、クレジットカードの付帯保険で補償してもらえるのでしょうか。
航空便遅延に関する保険が付帯していれば補償してもらえる
クレジットカードによって、渡航便遅延保険だったり航空機遅延保険だったりと名称は異なるものの、航空便遅延関連の保証が付帯していれば、ロストバゲージが起きた場合に補償が受けられます。
なお、補償を受ける場合は「ロストバゲージ」と「ディレイドバゲージ」が厳密に区別されていることが多く、ロストバゲージに比べるとディレイドバゲージのほうが、補償金額が安くなっています。
手元に荷物が届かないロストバゲージと荷物の到着が遅れるだけのディレイドバゲージは、不便さの度合いが異なるので、その分補償金額も抑えられているんですね。
ロストバゲージを補償してもらえるのは上位クラスのクレジットカード
クレジットカードの付帯保険でロストバゲージに対する補償が受けられると聞くと、少しホッとするかもしれませんね。
しかし、航空便遅延に関する保険は総じてステータス性の高いカードにしか付帯していないことには、注意しておかなければなりません。
一般カードで補償を受けられるものはほぼないので、ロストバゲージに対する補償を受けたければ、ゴールドカードやプラチナカードなどの上位ランクのカードを所有する必要があります。
ロストバゲージの補償付きのおすすめのクレジットカード3選
では最後に、ロストバゲージに対する補償が付いたおすすめのクレジットカードとして、「JCBゴールド」、「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」、「MUFGカード ゴールド」の3枚をご紹介しましょう。
ロストバゲージが起きやすいのは海外旅行においてなので、海外旅行傷害保険についてもあわせて説明します。
JCBゴールド
- ゴールドカードならではの充実した海外旅行傷害保険 最高1億円!(利用付帯)
- 空港ラウンジサービス(国内・海外)等、サービスが充実!
- ワンランク上のゴールドカード「JCBゴールド ザ・プレミア」へご招待のチャンス!
年会費初年度 | 無料 |
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年会費2年目〜 | 11,000円(税込) |
ポイント還元率 | 0.5%~10.0% |
発行スピード | 1週間 |
国際ブランド |
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電子マネー |
|
- 付帯サービス
JCBゴールドの海外旅行傷害保険の補償内容は、以下のようになっています。
- 死亡・後遺傷害…最高1億円
- 傷害による治療費用…最高300万円
- 疾病による治療費用…最高300万円
- 携行品損害…1旅行につき最高50万円
- 賠償責任…最高1億円
- 救援者費用…最高400万円
JCBゴールドの海外旅行傷害保険は、死亡・後遺障害の補償内容のみ利用付帯と自動付帯に分かれており、自動付帯のみの補償内容は最高5,000万円となります。
賠償責任も最高1億円まで補償してくれるので、非常に使い勝手のいい補償内容です。
JCBゴールドでは、国内旅行・海外旅行共に、ロストバゲージ・ディレイドバゲージに対する保険が付帯しています。
飛行機到着後6時間以内に手荷物が届かず、到着後48時間以内に衣料等を購入した場合は、最高2万円の補償が受けられます。
飛行機到着後48時間以内に手荷物が届かず、到着後96時間以内に衣料等を購入した場合は、最高4万円の補償が受けられます。
旅行先での買い物の保証や、飛行機搭乗時に預けた荷物が紛失した際の保証もあり、万が一の際も安心だと思います。
ロストバゲージが起こる可能性は非常に低いものの、万が一のことを考えれば、そういった事態に対する補償が設けられているのは非常にありがたいですね。
アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード
- 旅行・グルメ・テーマパーク/施設などで利用できる優待が多彩
- 年間200万円以上利用で国内対象ホテルの1泊2名分の無料宿泊券プレゼント
- 継続特典で1万円分のトラベルクレジットを進呈
年会費初年度 | 39,600円(税込) |
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年会費2年目〜 | 39,600円(税込) |
ポイント還元率 | 0.5% |
発行スピード | 2週間~3週間ほど |
国際ブランド |
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電子マネー |
|
- 付帯サービス
アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードの海外旅行傷害保険の補償内容は、以下のようになっています。
- 死亡・後遺傷害…最高1億円(最高5,000万円)
- 傷害による治療費用…最高300万円(最高200万円)
- 疾病による治療費用…最高300万円(最高200万円)
- 携行品損害…1旅行につき最高50万円(1旅行につき最高50万円)
- 賠償責任…最高4,000万円(最高4,000万円)
- 救援者費用…最高400万円(最高300万円)
アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードの海外旅行傷害保険の補償内容は、一部が自動付帯で一部が利用付帯となっています。
そのため上表では、利用付帯が適用されない場合の補償内容を、かっこ内に記載しています。
自動付帯・利用付帯とも適用されれば、最高で1億円までの補償が受けられるので、ゴールドカードの名に恥じない補償内容といえるでしょう。
ロストバゲージに対しては、「受託手荷物遅延」と「受託手荷物紛失」のふたつで補償が受けられ、前者がディレイドバゲージ、後者がロストバゲージに対応しています。
受託手荷物遅延では最高2万円、受託手荷物紛失では最高4万円の補償が受けられます。
MUFGカード ゴールドとは逆に、海外旅行中に発生したロストバゲージしか補償対象ではありませんが、ロストバゲージが起きやすいのはむしろ海外旅行中なので、問題ないでしょう。
MUFGカード ゴールド
- お得にためる充実のポイントプログラム
- 充実のトラベルサービス&サポート
- 三菱UFJならではの金融取引サービス
年会費初年度 | 2,095円(税込) |
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年会費2年目〜 | 2,095円(税込) |
ポイント還元率 | 0.4%~0.5% |
発行スピード | 最短翌営業日 |
国際ブランド |
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電子マネー |
|
- 付帯サービス
MUFGカード ゴールドの海外旅行傷害保険の補償内容は、以下のようになっています。
- 死亡・後遺傷害…最高2,000万円
- 傷害による治療費用…最高200万円
- 疾病による治療費用…最高200万円
- 賠償責任…最高2,000万円
- 携行品損害…1旅行につき最高20万円
- 救援者費用…最高200万円
最高2,000万円の補償が受けられるので、使いやすい保険といえるでしょう。
MUFGカード ゴールドの航空便遅延に関する保険は「国内渡航便遅延保険」であり、国内便でのロストバゲージに対しては最高2万円の補償が受けられます。
海外便でのロストバゲージに関しては補償対象ではありませんので、その点には注意しておきたいですね。
また、MUFGカード ゴールドでは海外旅行傷害保険は自動付帯ですが、国内渡航便遅延保険は利用付帯となっています。
ロストバゲージに対する補償を受けたい場合は、航空券などの支払いを事前にカードで済ませておいて、利用付帯の条件を満たしておくようにしましょう。
ロストバゲージまとめ
ロストバゲージが起きてしまうと、せっかく楽しみにしていた旅行に対する気持ちが萎えてしまいかねません。
ロストバゲージが起きてしまう原因をある程度把握していれば、自分なりに対策もできますので、ロストバゲージが起きてしまう可能性を少しでも減らせるように行動できるでしょう。
万が一のことを考えて、ロストバゲージに対する補償が受けられるクレジットカードを選びたい場合は、ゴールドカード以上のランクのカードを選ぶのが望ましいです。
今回ご紹介した3種類のカードも、ぜひ検討対象に加えてみてください。
食品や雑貨商品などを扱うライター・編集を経て、マネ会を担当。クレジットカードのポイント還元や特典だけでなく、各カード会社の戦略やマーケティングにも興味あり。普段使っているクレジットカードはJALカードで、実家への帰省の際には、貯めたマイルを特典航空券に交換している。ヤフオクやヤフーショッピングで買い物をする際には、ヤフーカードも使用。体を動かすことが好きで、定期的にジムで筋トレ。機会あれば、山へハイキングに出かけ、帰りの温泉を楽しむ。