収入の9割をアイドルに使い、年間400以上の現場に通う “ドルヲタ”ガリバーさんの「お金」と「時間」の使い方

収入の9割をアイドルに使い、年間400以上の現場に通う “ドルヲタ”ガリバーさんの「お金」と「時間」の使い方

初めまして! ガリバー(@gulliverdj)です。突然ですが、私はアイドルが大好きです。

もともとアイドルに関しては、テレビでモーニング娘。の番組を観る程度の接し方でしたが、2005年にモーニング娘。のコンサートを見たことをきっかけに、アイドルのライブの楽しさに目覚めて、アイドルヲタクになりました。

・用語解説【1】モーニング娘。……テレビ番組の企画から誕生したアイドルグループ。2014年1月よりアーティスト名の後ろに、西暦の年号を入れて表記している。2017年で結成20周年を迎える

平日は大阪の会社でサラリーマンとして働き、週末はアイドル現場に通うべく全国を飛び回っています(平日でも夜に行われている現場には足を運びます)。特に多いのが東京への遠征。金曜の夜に仕事を終えそのまま夜行バスで東京へ行き、日曜の夜に再び夜行バスで大阪へ戻り、月曜の朝に出勤する……ということもしばしば。

そんな私が2016年に通った現場の数は401でした。「1年は365日しかないのにおかしいだろ!」と言う人もいますが、週末に朝から晩までライブやイベントに参加しているとそんなにおかしな数ではありません。ちなみに2015年は「アイドルネッサンス」に大ハマリしたこともあり、トータルの現場数は466にふくらみました。

・用語解説【2】現場……ライブ会場や握手会(※後述)の会場など、アイドルを観たり、アイドルと会える場所のこと

・用語解説【3】アイドルネッサンス……ソニー・ミュージックアーティスツ所属のアイドルグループ。「名曲ルネッサンス」をテーマに、古今の名曲をカバーしている。2017年春には、初のオリジナル曲のリリースを控える

とてもありがたいことに、さまざまなアイドル現場に通いながらTwitterで感想を発信し続けていたら、インタビューや、雑誌への寄稿などで声を掛けていただくことも増えていきました。最近ではハロショ大阪店にて定期トークイベント「ガリバーのアイドル漫遊記」を開催しています。

・用語解説【4】ハロショ……ハロー! プロジェクトオフィシャルショップの略。モーニング娘。や℃-uteなど、アップフロントグループ所属アーティストのグッズ直営店

アイドルを中心に据えた生活を続けて早10年以上。今日はそんな私がドルヲタのお金や時間の使い方について書いてみようと思います。

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  • アーティスト:アイドルネッサンス
  • 出版社/メーカー: T-Palette Records
  • 発売日:2016/03/224
  • メディア: CD

スケジュールと移動を制する者は現場を制す

アイドル現場のハシゴを楽しみつつ、仕事もイベントもやるという生活を送っている私ですが、スケジュール管理はすべてGoogleカレンダーで行っています。

手持ちの全デバイスで同期できるのが楽ですし、何よりさまざまなアイドル運営がイベントスケジュール表にGoogleカレンダーを採用しているので、「マイカレンダー」への登録も非常にスムーズです。

基本的な使い方は、まず行きたい現場・場所が決まると、その日にそのエリアで行われていて、楽しそうな現場を片っ端から突っ込みます。軸となる最優先現場を除いて、時間のかぶりは気にしません。とりあえず放り込んでおいて、予定をすり合わせるのはギリギリ直前、当日になることも。

Googleカレンダーに突っ込んだ予定を見つつ、「今いる現場から行きやすい現場」「時間が間に合う現場」を探し、現場に着く目処が立ったらすぐさまその次の現場への移動時間を調べます。とはいえ、あまり時間を気にしすぎるとよくないので、ある程度余裕を持つことが大事。その分移動はなるべく走ります。ダッシュです。ここしか時間短縮の道はありません。

基本は1日3現場。多いときは6現場になることも

休日は、10時〜12時ごろに1現場、13時〜17時ごろに1現場、18時〜21時ごろに1現場の1日3現場が基本です。ただ観たいという気持ちから結果的にそうなるだけであって、無理やり詰め込んでいるわけではありません。やっぱり、自分のこの眼で直接観た感覚がすべてなので、少しでも「気になる」「観てみたい」と思ったアイドルは、必ず一度は現場に行くようにしています。
ちなみに、早朝にイベントがあれば1日6現場になる日もあります。「甘噛みモーニングコール」やAKBグループなどの握手会は朝8時前後から始まることがあり、そこからスタートを切れると充実した1日になります。

・用語解説【5】甘噛みモーニングコール……「アイドルオタの朝は早い」をテーマに開催する、早朝アイドルイベント

・用語解説【6】握手会……CDや写真集などの購入特典として、アイドルと握手できるイベント。ライブとセットで実施されることも

タクシー移動をためらうな! 物販を我慢して車を使え!!

特に地方は公共交通機関が充実しておらず、タクシーは積極的に使った方が良いと感じることが多いです。

つい、いつものクセで「タクシーなんて贅沢」と思うことがありますが、ライブに遅れるくらいなら、タクシーに乗って、その分、特典会などの物販を1回分我慢すればよいのです。ケチってライブに遅れるくらいなら、特典会のお金を少しでも削る、これがあるべきヲタクの姿だと私は思います。

・用語解説【7】物販・特典会……物販では、Tシャツやタオル、CDなどアイドルの公式グッズを購入できる。また、購入の“特典”として、握手やアイドルと2ショットでチェキ(写真)を撮影できることも(※冒頭画像参照)

ちなみにタクシー移動は東京でもかなり有効。東京は鉄道網が張り巡らせられているがあまり、直線距離だと近いのに電車だと遠回りということがよくあります。2017年1月からほとんどのエリアで初乗り410円になったことですし、ダッシュではどうにもならない移動の場合、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

収入の9割をアイドルに使う、その内訳

私は、サラリーマンとして得た収入の約9割をアイドルに使っています。平日の夜、土日祝日そのほぼすべてをアイドルに会いに行く・観に行く時間に費やしていると自然とそうなりました。単純に、アイドル以外のことにお金を使う時間がないですし。

そして9割の内のほとんどは、交通費宿泊費です。前述の通り全国へアイドルを観に行くため、チケットや物販の費用以上にお金がかかります。遠征費がかさむのは地方在住ヲタクあるあるですが、私の場合は大阪から西の地方に関しては有利な部分もあります。



次に多い順から、チケット代、物販代、握手券です。グッズの収集癖はあまりなく、オリジナルのTシャツなどもほとんど着ません。また、ペンライトを持たない手ぶら参戦スタイルなので、そこは節約できているかと思います。あくまで私の優先順位は、いかにたくさんライブを観るか、というところにあります。

・用語解説【8】ペンライト……ライブやイベントなどでファンが振る光る棒。単色のほか、複数のカラーを選べるものもあり、グループのイメージカラーや、好きなメンバーのカラーに合わせて振ることが多い

これまでに最も消費したのは「ひめキュンフルーツ缶1stアルバムリリースイベント」

そんな思いがありながら、どうしてもチケット代以上にお金を使わなければいけない場面があります。それはCDのリリースイベントです。

多くの場合、リリース期間はCDを買わないと握手ができない仕組みになっているほか、アイドル側もオリコンチャートの上位を目指してとにかくCDを売りにきます。この時ばかりはヲタクもCDをたくさん買い、ほかのヲタクに配って布教するという流れが生まれます。

・用語解説【9】リリースイベント……主にレコードショップのイベントスペースで、シングルやアルバムの発売前後に開催されるライブや握手会などのイベント。ライブは無料だがライブ後に握手をするにはCDの購入が必須、というケースが多い

・用語解説【10】布教……ほかのアイドルが好きな人に(ときにはアイドルに興味がない人にも)、自分が好きなアイドルをすすめること

自分自身はなるべくそういった流れから距離を置こうとしているものの、振り返ってみると今まで最もお金を使ったのは「ひめキュンフルーツ缶」の1stアルバム『恋愛ミラクル!!』リリースイベントでした。アルバムなので1枚3,000円ほどと単価が高く、また1stということでファンも気合いが入っており、どんどん買って気がつけば優に50枚は買っていたと思います。シングル換算だと約150枚、つまり同じCDを15万円以上買っていた計算ですね。

・用語解説【11】ひめキュンフルーツ缶……愛媛を中心に活動するローカルアイドルグループ(ロコドル)。2013年夏に徳間ジャパンコミュニケーションズよりメジャーデビュー

しかしアルバムは1枚購入あたりの精神的・財政的ダメージが重く、つらかった……。結果としてはいい思い出となりましたが、これだけ同じCDを複数枚買ったのは後にも先にもひめキュンフルーツ缶だけだと思います。

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個別握手会は1回1,000円の握手を繰り返してしまう“禁断の蜜”



今やアイドル現場の“定番”ともいえる握手会。特に、AKBグループをきっかけに各アイドルグループでも導入されるようになったメンバー別の「個別握手会」スタイルは、金銭感覚が麻痺する仕組みがいっぱいあります。



単価自体は1回の握手(握手券)につき1,000円前後。しかし、はるか先に開催される握手券を簡単に買えてしまうほか、2次、3次、4次と何度も申し込みでき「ついでに、自分が参加する同時間帯のほかのメンバーも申し込んでみようか」となるともう止まらない。1枚1,000円という軽い気持ちで申し込んでいたら、気付くと50枚、100枚となっていることも珍しくありません。申し込みから握手会まで期間が空くということもあり、いざ当日になるとお金のことなど忘れて楽しんでしまいます。



そして、握手を重ねれば重ねるほど、どんどんメンバーと距離が近付く錯覚に陥り、握手券を買い足していく……という連鎖が起こるのです。

アイドルと会うために握手に来ているのか、握手するためにアイドルに会いに来ているのか

AKBグループの全国握手会と呼ばれるイベントではライブがセットになっていますが、個別握手会では握手しかしません。メンバーとお話するのが目的であり、そこで起こるほぼすべてのこととなります。

私は本来、アイドルが歌って踊るライブがあり、その後握手会で感想を述べるというサイクルが理想的だと思っています。しかし、個別握手会においては、メンバーとの信頼関係を構築していく作業にしかならなくなっていくことが多い。



もちろんそれはそれで楽しいんですが、ただ純粋に会いたくて来ている握手会なのに、握手あるいはコミュニケーションを深めるために握手会に参加しているような感覚に陥り、果たしてこれはアイドルとヲタクの健全なる関係なのかと疑問が浮かんでしまう。それでも楽しいからやめられない……。個別握手会は“禁断の蜜”です。

一切やめていた握手会の沼へ、再び……?

そんな疑問を抱くようになり、次第に個別握手会とは距離を置くようになりました。


個別握手会に行けば行くほど、ほかのアイドルのライブを観る機会は減っていくため、より広く、多くの現場に行きたい私には耐えられなかったのです。中途半端にやめるのではダメだ。AKBグループもハロプロの個別も一切合切行かない。そう決めました。決めてからは意外と楽で、何も気にならない。むしろ握手会のシステムに病む人たちを見ては、やめてよかったと思ったりもしました。



乃木坂46の齋藤飛鳥さんにハマるまでは……。



乃木坂46の主なコンサート現場は、全国ツアーが年に1回、周年ライブが年に1回と、至ってシンプルかつ少ない。そして、シングルを出すたびに関東・名古屋・京都などでライブと握手会が行われるだけ。握手会を逃すと、そもそも観れる機会がないことから、久しぶりに乃木坂46の個別握手会に参加するようになり、今でも行ける範囲で参加しています……。

・用語解説【12】乃木坂46……AKB48の公式ライバルとして2011年に結成。プロデュースは秋元康

・用語解説【13】齋藤飛鳥……乃木坂46の1期生オーディションに合格し、加入。愛称は「あしゅ」「飛鳥さん」など

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「メジャーアイドルはお金がかかる」は誤解?

こういった個別握手会のイメージなどから、メジャーアイドルの応援はお金がかかると言われがちです。ただ私は、それは誤解だといつも思っています。

たしかに、メジャーアイドルのライブチケットは高い。ベビメタやももクロ、ハロプロは8,000円~9,000円前後。握手会をやっているアイドルでも、1回の握手で話せる時間が短い。ただ一方で、ライブの終演後に物販がないため、チケット代だけで済むケースが多く、使うお金を自然とセーブできます。何も心配いらない。

・用語解説【14】ベビメタ……BABYMETALの略。「アイドルとメタルの融合」をテーマに、2010年に結成。海外での公演も行うなど、国内外にファンがいる

・用語解説【15】ももクロ……ももいろクローバーZの略。2008年に結成。路上ライブやワゴン車での全国一周ツアーなどの苦労を経て、2014年には、史上5組目となる国立競技場公演(当時)を実施した

インディーズの現場は、ライブチケットが安いです(と言っても高いところもたくさんあります)が、結局ライブの後の物販の時間で握手やチェキを楽しむ分、気が付けばメジャー現場のチケット代よりはるかに高いお金を使っていた、なんていうのはよくあることです。

夜行バスを駆使する、出張の予定と絡める……アイドルヲタクの節約テク

前述の通り、地方民にとって交通費&宿泊費は切実な問題です。地元のアイドルだけを中心に応援するスタイルは例外として、遠征費をどうやりくりするかが、活発なヲタク活(ヲタ活)の肝と言っても良いでしょう。

交通費はもちろん宿泊費も浮く夜行バスは、最強の節約移動手段

現代の日本において、交通費・宿泊費を節約するには夜行バス以上に最強の移動手段はありません(断言)。2日分の移動費と1泊分の宿泊費をわずか数千円に圧縮できるからです。



私が乗るのは4列シートのバス。「とてもじゃないがあんなものには乗れない」という方もいると思いますが、一度慣れてしまえば非常に便利。4列シートで快適に過ごす方法については、私のブログで紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。



そして特に好んで利用しているのがJRの夜行バスです。会員になり、よく使うお気に入り路線を登録しておけば、利用回数に応じて割り引きされます。さらに、Web限定の予約割引と併用すると、通常なら高い金曜の夜の便も、安く乗車できます。JRは4列シートの中でも座席の前後が広めなほか「座席指定ができる/通路座席が選べる」「直前まで予約の変更・払い戻しが可能」というのも大きなポイントです。路線によっては、WILLER EXPRESSさくら観光など、ほかのバスも利用します。



とはいえ、夜行バスは長距離の移動に向いているとは言い難く、遠距離になると発車時間が早い上に乗車時間が12時間を越えることも……。現在はLCC(格安航空会社)も多くの路線が就航しているので、行き先に応じて使い分けるのがコツです。



また、ヲタリーマン(ヲタク+サラリーマンの造語)として積極的に行っていきたいのが、出張などの仕事とヲタ活の両立。出張にうまく絡められれば、空いた時間に現場に行けることも。なかなかうまく予定が合うことはありませんが、出張がある場合は予定を合わせようという意識を常に持っていることが大切です。

アイドルヲタクとお金の関係性~“推し”視点が大事~

手元に自由に使えるお金がある場合、どう使うかを考えるよりも、どうやったら好きなアイドルが喜んでくれ、自分も一緒に楽しめるか、“推し”視点で考えることが大事だと思います。

たしかに、アイドルとたくさん会話を重ねれば重ねるほど、見えてくる景色や関係性というものもあるかもしれません。しかし、CDをたくさん買うこと、握手会を何回もループすることだけが、アイドルとの関わり方のすべてではありません。逆に、アイドルにお金を使いすぎているから切り詰めようという感覚で考えても、息苦しくなり我慢のヲタク活動になってしまいます。

金額の問題ではなく、自分自身で楽しみ方のスタイルを見つけるのです。そしてそれを“推し”と共有するのです。

・用語解説【16】推し……アイドルグループで自身が最も応援している・好みな「一推しのメンバー」のこと。「推しメン」とも

自分の中で「尺度」をしっかり持っていれば、それは我慢ではなく、自然と身の丈に合ったヲタク活となることでしょう(……説得力、ありませんか?)。

アイドルのライブに通い始めて15年目。メジャーアイドルからインディーズ、地方アイドルのライブや握手会に、大阪から年間約300回ほど足を運んでいます。北海道から沖縄まで全国を回りますが、最近の遠征先は東京が多め。現在最もハマっている「推し」は乃木坂46の齋藤飛鳥、岩本蓮加、筒井あやめ、弓木奈於、欅坂46の藤吉夏鈴、ラストアイドル・Love Cocchiの西村歩乃果です。

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