【住民税】住民税の徴収方法はたくさんある。住民税を節税できる方法は?
毎年それなりの金額が課税される住民税。
給与所得を得ている人は会社によって給与から天引きされていることがほとんどなので、普段どんな仕組みで住民税が徴収されているのかを細かく知る機会は少ないのではないでしょうか。
住民税は所得税とは別個に徴収され、所得税の仕組みと似ているところもありますが、基本的にはまったく違う性質の税金です。
どのような仕組みで税金が徴収されているのかを知ることで、納める税金を減らすことができるかもしれません。
住民税の徴収方法は主に「所得割」と「均等割」の2つ
住民税の税額は基本的には所得割によって算出された税額と、均等割で定められた税額の合計金額ということになります。
この2つは税額の算出方法が異なります。
前年の所得で計算される「所得割」
所得割は前年の所得に対して課税されます。
収入に応じて控除金額が減っていくので、収入の多い人ほど納税金額が増えていく仕組みです。
東京都の住民税の場合、控除率は「給与の収入額が360万円超660万円以下」のケースなら「収入金額×20%+54万円」となります。
1,000万円を超えると、控除金額は220万円で固定されます。
住民税の所得割は課税所得の10%が一律で課され、そのうちの6%が東京都に、4%が市区町村に納められます。
一律の金額が課税される「均等割」
全ての住民に対して原則一律で同じ金額が課税されるのが「均等割」です。
均等割の場合は全国の都道府県や市区町村で差があります。
東京都の場合は都民税として1,000円が、区市町村民税として3,000円がそれぞれ課税されています。
なお平成26年度から令和5年度までの間は地方自治体の防災対策として、都民税と区市町村民税に対してそれぞれ500円が追加で課税されています。
そのため現在の均等割は、都民税1,500円+区市町村民税3,500円=5,000円となります。
東京都以外の全国の自治体でも同様に、復興財源もしくは防災対策費の財源として住民税が増税されているケースが多く見受けられます。
専業主婦や無収入の人などは免税されている
住民税は原則その住所に住んでいる人すべてに加算されていますが、専業主婦や無収入、生活保護を受けているといった人は納税を免除されています。
収入が一定金額以下の人は非課税となる「非課税限度額」が自治体ごとに定められ、この限度額以下の収入の人は住民税を免除されます。
この非課税限度額は自治体ごとに異なるので一概には言えません。
東京都23区に住む扶養家族がいない方の場合は、35万円以下が非課税対象と定められています。
ですので、この限度額に給与所得の基礎控除額65万円を足した金額、100万円以下の年収の人には所得割は課税されません。
実は金融商品にも課税されている住民税
住民税は所得割と均等割のほかに、金融商品で得られた利益に対しても課税されています。
「利子割」「配当割」「株式等譲渡所得割」
定期預金や普通預金で得られた利子や株取引の配当金や譲渡益に対しても20%の税率で税金が徴収されています。
この20%の内訳は15%が所得税、5%が住民税となっています。
働き方によっても変わる徴収方法
給与所得を受け取り年末調整をされている人と、自営業などで自分で収入を得ている人では徴収される方法が異なります。
給与所得を受けている場合は給与から自動的に天引きされますが、そうでない場合は自分で住民税を納める必要があります。
給与を得ている人は「特別徴収」
給与を事業主から受け取って年末調整を会社でやってもらっているサラリーマンは、給与から住民税が天引きされます。
住民税は前年の収入に対して課税される金額が決まります。
今年の所得に応じて、翌年の6月から翌翌年の5月までの給与から住民税が天引きされます。
例えば、前年は違う職場で働いていた場合、事業所が天引きできないので自分で住民税を納める必要があります。
また、退職をした人も同様で、退職後は事業所が給与から住民税を徴収できないので、普通徴収となり、自分で納税をすることになります。
自営業などの人は「普通徴収」
個人事業主などで収入が給与ではない人は自分で住民税を納める必要があります。
給与所得を得ておらず、確定申告を自分で行っている場合は翌年の6月ごろに自治体から納税額の書いた納税通知書が送付されます。
納期は6月、8月、10月、1月の年4期ですが、支払い月は自治体によって異なります。
この納税通知書が届いた人は自分で住民税を納めに行く必要があります。ちなみに納税はコンビニなどでもできます。
税金を少なくするには所得控除をたくさん利用する
住民税を少なくする方法は、とにかく受けられる控除をすべて受けるということです。
住民税で認められている控除は数々ありますが、カテゴリーに分けて少し詳しくご紹介していきます。
誰でも控除を受けられる基礎控除
結婚していてもしていなくても、養っている扶養親族がいてもいなくても誰でも受けられる控除が基礎控除です。
基礎控除の額は33万円です。
非課税金限度額が33万円を上回る自治体の場合、非課税限度額を所得から差し引きます。
つまり、非課税限度額が33万円より低いもしくは同程度であり、受ける控除がほかにないといった場合は33万円+65万円=98万円までが住民税が非課税になる年収になります。
家族が多いと控除額も増える
結婚して専業主婦がいたり扶養している16歳以上の子供がいたりすると受けられる控除が増えます。
配偶者に150万以下の所得しかない場合は33万円、配偶者に103万以下の所得しかなく配偶者が70歳以上である場合は38万円の所得控除が受けられます。
また、配偶者が得ている収入が150万以上201.6万未満の金額の場合は段階的に控除が受けられます。
16歳以上23歳未満もしくは70歳以上の扶養親族がいる場合で、彼らの所得が103万円以下(給与所得)の場合、それぞれ所定の控除を受けることができます。
16歳から19歳、および23歳から70歳未満の場合は33万、19歳から23歳未満の場合は45万の控除となります。
70歳以上の扶養家族がいる場合は38万で、同居している場合は45万の控除が受けられます。
社会保険や共済掛金も控除される
国民健康保険・国民年金・介護保険料などの社会保険料や、小規模企業共済法で定められている特定の共済契約の掛金や地方公共団体が行っている心身障害者扶養共済の掛金などは支払った金額の全額を控除することができます。
生命保険や簡易保険、個人年金保険などの保険料や自身保険料の一部も控除することができます。
あまり知られていない控除も
配偶者や扶養親族に障害者がいる場合は障害者控除を受けることができます。
対象者1名につき26万円が控除され、特別障害者の方がいる場合は30万円が控除できます。
また、寡婦(※1)や寡夫(※2)という離婚や死別などでパートナーがいないといった場合にも控除が受けられます。26万円の控除を受けることができます。
ただし、寡夫の場合は年収500万円以下、同一世代に年収103万以下(給与所得)の子供がいるといった条件が付加されます。
(※1)寡婦:男性のパートナーが離婚または死別、行方不明などでいない女性
(※2)寡夫:女性のパートナーが離婚または死別、行方不明などでいない男性
また、所得金額が130万円(給与所得)以下の勤労学生については勤労学生控除を受けることができます。
こちらの控除金額は26万円です。
まとめ
- 住民税は「所得割」で算出された額と「均等割」で定められた金額の合計額
- 金融商品で得られた利益にも住民税は課税されている
- サラリーマンは「特別徴収」で天引きされ、事業所得を得て確定申告をしている人は「普通徴収」で自分で納める
- 住民税を少なくするには受けられる控除を受けられるだけ受ける
- 寡婦控除や障害者控除などはあまり知られておらず、受けられていない人もいる
- 受けられる控除はしっかりと把握して受けられるだけ受けておくほうがお得