確定申告に誤りがあったら?訂正申告・修正申告のやり方をご紹介
正確に計算したつもりであっても、後で提出した確定申告を見直してみたら、提出する前に計算した額とは違うことに気が付きますよね。
経費の計上漏れがあったり、前払金や未払金を計上していなかったり、ふるさと納税分を忘れていたりするなどの理由で、提出した確定申告が誤っているというケースがあります。
「まあ大丈夫だろう」と放置していると、思わぬ税が課税されることもあるので要注意です。
確定申告に誤りがあったときの対処法を確認してみましょう。
まずは確定申告についておさらい
会社員や年金所得者でも確定申告をしなければならない場合もありますが、主に個人事業主の場合は、特に確定申告を気にしておく必要があります。
多くの会社員の場合、源泉徴収税で給与から天引きされるかたちとなっています。
その一方で個人事業主の場合、源泉徴収税のある仕事は限られています。
さらに、源泉徴収税と所得税の割合は所得によって若干異なるため、確定申告によって正確な税金を申告して納税をする必要があります。
日本では、申告者が納税額を申告して納税するというスタイルになっています。
簡単にまとめると、「正確な納税額を確定させて税務署に申告書を提出する」というのが確定申告です。
なお、確定申告は時期が定められているので注意が必要です。
1月から12月の1年間の所得税の申告を、翌年の2月16日から3月15日までにしなければなりません。
3月15日が土曜や日曜など休日や祝日の場合は、翌平日が期限となります。
基本的に期限は1か月ほどしかないため、事前にしっかり準備しておく必要があるでしょう。
ただし、電子申告(e-tax)の場合は、翌年1月16日から申告書を送付することが可能です。
もし申告書提出後に間違いを見つけたら…
確定申告の期限はご紹介したように原則1か月ほどしかありません。
期限前に経理処理を急いで行なって、確認もおろそかになってしまうと、後々間違いがあることに気づくことがあります。
もし間違いに気がついたら、早めに対処することが大切です。
対処法は、訂正分の提出が期限内であるかどうか、また申告によって税金が多くなるか少なくなるかで変わっていきます。
- 訂正申告
- 更正の請求
- 修正申告
もしかすると、「確定申告で間違いがあっても、見過ごしておけば大丈夫だろう」だと思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
確定申告の内容でおかしな点などがあった場合は、後々、税務調査と言って税務署の調査が入る場合があります。
もし、税務調査の段階で過少に税金を申告していることが分かったら、納税が遅れたことによる延滞税のほか、過少申告加算税が納税額の5~15%、さらに故意に隠蔽していた場合は重加算税が納税額の35~45%課税されます。
申告期限内の訂正申告や、税金を多く申告していたことによる更正の請求の場合は特段問題はありません。
しかし修正申告は納税額に負担が課せられる可能性があるので、間違いが発覚したら税務調査の通告が来る前に早めに対処しておきたいものです。
訂正申告のやり方
一般的に訂正申告と言われるのは、すでに申告した内容に誤りがあった場合で、かつ申告期限内に再度提出をした場合をいいます。
国税庁では、申告した人から特に申し送りがなかった場合、期限内(ここでは原則翌年の3月15日まで)に提出された申告書のうち、最後に提出があったものを取り扱うということになっています。
つまり、訂正申告については特に通常の確定申告と比べて、なにか特別な書類を添付するなどの変更はないということです。
申告期限内で間違いが見つかった場合、新たに確定申告書を作成して、期限内に税務署に提出すれば、新たな申告分で受け付けてもらえます。
ただし、還付申告(すでに納税している分が多くて、納めた税金が戻ってくる場合の申告)には注意が必要です。
すでに還付申告のための手続きが、提出した税務署で進められている場合があります。
提出済みの確定申告で還付があった場合は、新たに申告書を作成する前に管轄の税務署に問い合わせておくと安心です。
更正の請求とは?
更正の請求とは、実際に納めるべき税金を多く申告してしまった場合の手続きです。
確定申告の期限である3月15日を超えてしまった場合や、税務署での還付手続きが進んでいて訂正申告を受け付けてもらえない場合などに、更正の手続きを行うケースが考えられます。
更正の請求にあたっては、「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」の提出が必要です。
更正の請求書は、実際に申告書に記載した額と請求額を並べて記載するようになっています。
請求額とは、実際に申告するべきだった正しい金額のことです。
なお、更正の請求については長めに設定されており、法定申告期限の5年以内であれば行うことができます。
「多めに税金を払っていることが分かって損をしてしまった」ということがないように、請求期間が長く設定されているのはありがたいですね。
ただし、必ずしも請求通りに還付されないこともあるという点には注意しておきましょう。
税務署で調査が行われた後、請求が正当だと認められないと還付されないこともあります。
修正申告のやり方
修正申告とは、法定期限後、つまり翌年の3月15日(原則)以降に納めるべき税金が少なかったことが発覚した場合の所得税の申告です。
修正申告にあたっては、確定申告書のうちの第一表と第五表を提出する必要があります。
第一表とは、収入金額や所得金額、所得控除、税金の金額が一覧になって記載された確定申告書のいわばメインのようなものです。
第一表については、新しい申告内容で記載する必要があります。
一方、第五表は修正申告において特別に必要になってくる申告書になります。
「所得税及び復興特別所得税の修正申告書(別表)」とも言い、修正前の申告書の内容を転記して、さらに修正申告によって増加する税額と異動事項(変更事項)を記載する必要があります。
修正申告にかかる延滞税
税務調査の連絡がある前に自主的に修正申告を行った場合は、過少申告加算税や重加算税は基本的に課税されません。
しかし、新たに申告する納税額によっては延滞税が課税される可能性があるので注意しましょう。
延滞税とは、本来納付すべきであった法定期日を超えて納付した場合に課税される税金のことです。
確定申告の場合は法定期日(原則3月15日)の翌日から起算して延滞税が計算されます。
2017年(平成29年)の場合は、法定期日から2か月以内は年率2.7%、2か月を超えたら年率9.0%が、修正申告によって増えた納税額に課税されます。
修正申告の期間が空いてしまうほど、本来納税するべき金額との誤差が大きいほど延滞税がかかってしまいますので、普段から正しい申告と早めの対処を心がけたいものですね。
修正申告での納税の方法は?
修正申告の納税方法については、基本的に確定申告における納税と同様と考えて問題ありません。
納付書を用いて金融機関やコンビニで納付可能なほか、インターネット上でクレジット決済をすることができます。
もちろん、修正申告を行った税務署の窓口でも支払い可能ですので、修正申告と納税額分を持参して税務署で一緒に納税するのも確実な方法でしょう。
納税は、申告したその日に行う必要がありますので、いずれも忘れずに申告だけでなく納税もセットで行うことが大切です。
それでは、振替納税を選択している場合はどうでしょうか?
本来期限の3月15日までの納付が原則ですが、振替納税の場合は4月20日に指定の口座から引き落としが行われます。
まだ振替納税が到来していない場合であっても、すでに口座の手続きが始められている可能性がありますので、一度所轄の税務署に確認してみることをおすすめします。
まとめ
- 修正が法定期限内かどうか、まずは確認
- 法定期限後の修正なら、更正の請求か修正申告
- 修正申告の場合はその日のうちに納税することも忘れずに
著者:yuki
経理部を経て会計事務所にて確定申告・決算の補助及び社会保険などの業務を担当していました。主に税金にまつわるお金の知識をお伝えできればと思います。