2018年、今年こそは節税をしてみよう
年の初めは、何かを始めるには最も適したタイミングになります。
今年は株式投資を始めよう、投資信託を購入してみよう、仮想通貨に投資してみよう、などと色々考えている人は多いのではないでしょうか。
しかし、投資を行うには足元の家計を盤石にしておかなければいけません。
だからこそ、家計で無駄な税金を支払ってしまうと、投資に回せる資金が減ってしまいます。
節税というと、会社経営者や自営業者が行うイメージがありますが、サラリーマンでも簡単に節税は可能です。
2018年は節税の知識をしっかり身につけて、税金による支出が少ない家計を作りましょう。
税金はどうやってかかるのか
まずは基本に戻り、以外に知らない人が多い税金がどうやってかかるのかについて覚えましょう。
日本においての税率は所得税の速算表を見ると下図のようになります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万以下 |
5% |
0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
『自分は年収450万円』だから、税率20%だなと感じた方は間違っています。
年収は所得ではありません。
例えば、八百屋さんなどの自営業者の場合、売り上げが所得にならず、売り上げから仕入れの値段や店舗に払った賃料/電気代などの必要経費を差し引いた金額が所得になります。
サラリーマンなどの会社員にも自営業者のような必要経費の代わりとなる、給与所得控除額なるものが認められています。
平成29年の給与所得控除額は以下の票のようになります。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 |
---|---|
1,800,000円以下 |
収入金額×40% 650,000円に満たない場合には650,000円 |
1,800,000円超~3,600,000円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
3,600,000円超~6,600,000円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
6,600,000円超~10,000,000円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
10,000,000円超 | 2,200,000円(上限) |
例えば年収450万円の人は、
450万円×20%+54万円=144万円が給与所得控除になります。
この後に、つまり450万円から144万円を差し引いた306万円が計算されます。
ここから更に基礎控除となる38万円を差し引くことが出来ますので、306万円-38万円=268万円が課税所得となり、速算表の「195万円を超え 330万円以下」のステージに該当するわけですから、
268万円×10%-9.75=17.05万円が、あなたの支払わなければいけない課税所得に対する税額になります。
もう一つ計算すると、年収550万円の人の場合では、
550万円×20%+54万円=164万円が給与所得控除
550万円-164万円=386万円
386万円-基礎控除38万円=課税所得348万円
所得税は330万円を超え695万円以下のステージが適用されるわけですから、速算表に戻り
346万円×20%-42.75万円=26.85万円
があなたの課税所得に対する税額になります。
(※復興特別所得税額がここから別計算されますが、大きな利率ではありませんので今回の記事では省きます。)
課税所得を減らすのは控除
課税所得は年収ー控除によって算出される事は理解できたかと思います。
年収が高くても、控除の金額が大きければ大きいほど最終的に課税される所得は低くなり、税金を減らすことが出来ます。
年収550万円の人の所得税は、先ほど計算した、
550万円×20%+54万円=164万円が給与所得控除550万円-164万円=386万円
386万円-基礎控除38万円=課税所得348万円
346万円×20%-42.75万円=26.85万円
になり、他の控除を受けるような材料が無いのであれば26.85万円の税金が確定しますが、税金には給与所得控除、基礎控除の他にも配偶者控除、扶養者控除、住宅控除など別途色々な控除枠が設けられています。
例えば結婚していて、配偶者の年収が一定値以下の人は配偶者控除を受けることにより、課税所得を更に38万円減らすことが出来ます。
348万円-配偶者控除38万円=310万円が課税所得になり、税率ステージが下がって
310万円×10%-9.75万円=21.25万円が払わなければいけない所得税になります。
配偶者控除を受ければ、5.6万円の税金が減る事になる訳です。
簡単に課税所得を減らせる保険とIDECO
配偶者控除は結婚しなければいけませんので、簡単にはいきませんし、何より逆にコストは高くなってしまいます。
住宅を新築すれば、住宅ローン控除はもらえますが、銀行への金利など節税以上のコストがかかってしまいます。
そこで、簡単に減らせる控除としてお勧めしたいのは、保険とIDECOの2つです。
・保険
課税所得が減らせる保険は、生命保険料、介護医療保険料、個人年金の3つがあります。
あくまで節税が目的ですから、生命保険料は貯蓄性の高い終身保険を選択し、身の丈にあった生命保険料をかけるようにしてください。
終身保険なら、人間はみないつか必ず死ぬ事になりますから、死んだ際に払いだされる最期のお金と考えてしまえばいいでしょう。
介護医療保険料も現在の平均入院日数は20年前に比べて半分以下になっているといったデータがありますので、入院1日に対しての何万円保証される医療保険は一切必要ありません。
医療保険ではコスト高になり節税になりませんので、入らない、もしくは掛け捨てで安い共済保険などをお守り代わりに入っておく程度で大丈夫です。
個人年金は現在の日本の雇用制度では55歳から65歳くらいに年収が減る人がほとんどなのですから、将来の貯蓄と節税の両立で入っておくといいでしょう。
・IDECO
次にお勧めしたいのはIDECOです。
IDECOは、企業年金がしっかりしている大企業に勤めている一部の人以外、大体の人が入る事により節税効果が期待できる素晴らしい制度です。
自身の働いている会社がIDECOに入れば節税の対象となるかわからない人は、総務部に現在勤務先で加入している年金制度はどうなっているか確認してみるといいでしょう。
月額1.2万円の掛け金を拠出できる人は、課税所得を年間14.4万円減らすことが出来ます。
IDECOも年金と同様、受け取るのは将来になりますが、老後の為の貯蓄と節税の両立を目的とするといいでしょう。
毎月定期預金の積み立てを行っている人は、IDECOに切り替えた方が節税が出来ますのでお得になります。
例えば年収550万円の人が将来の事を考え、終身保険で新生命保険料に年間4万円分、新個人年金保険料を4万円分、IDECOを14.4万円(医療保険は入らない)入るとします。
生命保険料に一定の数値を掛け合わせた20.4万円が新たに課税所得から控除される事になりますので、最終的な課税所得は
550万円×20%+54万円=164万円が給与所得控除
550万円-164万円=386万円
386万円-基礎控除38万円-保険とIDECOによる控除20.4万円=課税所得327.6万円
が課税所得になります。
所得税はギリギリですが195万円を超え330万円以下が適用され、
327.6万円×10%-9.75万円=23.01万円
が適用される所得税になる訳です。
最初が26.85万円ですから、年間で3.84万円(月あたり3,200円)の節税を行う事が出来ます(IDECOと生命保険料、個人年金で積み立てているので、簡単には現金化できませんが、最終的には戻ってくるお金になります)。
更に上記の計算は所得税の計算で、課税所が下がるという事は、ここから更に住民税も節税される事になります。
年間ベースでの税金を税金シミュレーションで計算しますと、年収550万円の人が何も行わなかった場合の税金支払い額は62.96万円ですが、20.4万の控除を受ければ税額は約57.11万円まで減ります。
年間5.85万円の節税になる訳ですから、決して小さな金額ではないわけです。
ふるさと納税をしてみよう
更に節税を極めたいという人は、ここ数年で急速に市民権を得ているふるさと納税がオススメです。
ふるさと納税とは、所得によって決められた金額まで自己負担2千円で色々な自治体に寄付ができる制度です。
自治体に寄付すると、ふるさと納税額の約3割程度となる様々なお礼の商品を送ってもらえます。
その土地の特産をお礼の商品にする自治体が殆どですが、自治体によってはビールや旅行券などレジャーに使える品も提供されています。
毎日のビールや年に1度のレジャーをふるさと納税によるお礼の品に替えることにより、結果的に支出が少なくなり節税効果をもたらすことが出来るわけです。
ふるさと納税の手軽さと節税効果はとても高いので、自分の適用額を計算してみて、下調べをして始めてみるといいでしょう。
節税は将来に向けてしっかりとした計画を立てる事にもつながります。
節税をする事によって、税金やお金に対する知識を身に着ける事もでき、老後の漠然とした不安も取り除けるでしょう。
節税は家計も心も豊かになっていきやすいので、是非2018年は節税について勉強して見直しをしてみてくださいね。
まとめ
・節税について解説
・課税所得を減らせば節税できる
・生命保険(終身保険)と個人年金保険、IDECOを使って節税がお勧め
・ふるさと納税も日常生活で使う物をお礼の品としてもらう事により節税可能
・2018年は節税を始めよう
著者:先ず隗より始めよ
現役金融マン。証券アナリストの資格あり。ちょっとマニアックな金融知識やニュースをわかりやすく書いていきます。