
働き方に悩む看護師は多い?自分に合った働き方を見つけるポイントとは
看護師はほかの職業と比べても、働き方の選択肢が多い仕事です。
常勤か非常勤かを選べるだけでなく、夜勤あり・なし、夜勤専従などの選択肢もあります。
また、医療機関以外にも、介護施設や福祉施設、教育施設や一般企業など、幅広い職場で働くことが可能です。
ただ選択肢が多い分、働き方に悩む看護師は少なくありません。
希望する働き方の職場を選んだものの、残業が多かったり、有給休暇を取得できなかったりと、悩みの要因はさまざまです。
そこで今回は、看護師の働き方と、自分に合った働き方を見つけるポイントについて解説していきます。
働き方に悩まれる看護師の方は、ぜひ参考にしてみてください。
働き方に悩む看護師は多い
厚生労働省が実施した「看護職員就業状況等実態調査」によれば、看護師の方の約6割が過去に退職を経験されています。
退職されたということは、それに至る明確な理由があったということです。
たとえば、退職理由としてもっとも多いのは「出産・育児のため(22.1%)」ですが、「超過勤務」や「休暇が取れない」を理由として挙げた看護師も多く、それぞれ10%を超えています。
このことからも、働き方に悩む看護師が多いことが分かります。
(※)看護職員就業状況等実態調査結果
看護師の働き方について
看護師の働き方については、勤務先と勤務形態から考えると理解しやすくなるはずです。
勤務先で分類すると、医療機関や介護施設、福祉施設、教育機関、一般企業などが挙げられるでしょう。
ただし、医療機関とひとくくりにいっても、大学付属病院や国公立病院、小規模クリニック、自由診療のみを扱う美容系の整形外科・皮膚科などによっても働き方は異なります。
また、勤務形態で分類すると、まずは常勤か非常勤かに注目できるでしょう。
その次に「日勤のみ」「夜勤あり」「夜勤専従」で区分できます。
「夜勤あり」のなかにも、二交代制と三交代制があり、それぞれ就業スケジュールが異なるため、違いをよく把握しておかねばなりません。
勤務先ごとの看護師の働き方
勤務先によって看護師の働き方は変わります。
ここでは、看護師の勤務先・施設別に、働き方の特徴や適性、注意したいポイントなどを紹介していきます。
病院
病院は、患者さんの緊急度によって高度急性期病院(ICUを持つ病院)・急性期病院・回復期病院・慢性期病院に大別できます。
高度急性期病院は、24時間365日患者さんを受け入れているため、勤務する看護師は基本的に「夜勤あり」の働き方になります。
また、緊急対応のためにスケジュールが組みにくく、残業が多くなりがちな点も特徴です。
一方、急性期病院・回復期病院・慢性期病院では、病棟に配属されるか、一般外来に配属されるかで働き方が大きく異なります。
救急外来と病棟に配属された場合は「夜勤あり」となりますが、一般外来に配属された場合は夜勤がなく、残業も少ない傾向にあります。
クリニック・診療所
クリニックや診療所は、基本的には「日勤のみ」の働き方となりますが、産婦人科などの入院施設のあるクリニックでは、夜勤シフトもあります。
また、土日祝日は休日となることが多いため、規則的な生活を送りやすいのもメリットです。
クリニックの多くは、午前診療と午後診療に分かれているため、フルタイムでの募集はそう多くありません。
一日数時間だけ働きたい方、非常勤として働きたい方は、クリニックや診療所がおすすめです。
介護施設
住宅型の介護施設では、夜勤だけでなくオンコール待機もあります。
しかし、夜勤専従の働き方を選択できる介護施設も多いため、「日勤のみ」で働くことも可能です。
一方、通所型の介護施設は、基本的には日勤シフトに固定され、土日祝日は休日です。
そのため、規則正しい生活をしたい方や、子どものスケジュールに合わせて働きたい方にとって、おすすめの勤務先といえるでしょう。
また、緊急対応が必要になることはあまりないため、残業が少ない点も特徴です。
訪問看護
訪問看護では、基本的には「日勤のみ」の働き方が可能です。
土日祝日は休日の事業所も多く、基本的には規則正しい生活を送ることができます。
ただし、訪問看護ステーションによっては、土日祝日や夜間はオンコール対応が求められることもあり、出勤はしなくても、常に利用者さんの自宅に行けるよう備えておく姿勢が必要です。
また、普通自動車免許が必須となっている訪問看護ステーションも多いため、その点に注意しましょう。
保育園
保育園は基本的に「日勤のみ」のため、夜勤シフトをなるべく避けたい方におすすめです。
業務内容としては、健康観察や緊急時の対応などが主となりますが、それ以外の時間は保健だよりなどの作成や、保育士とともに保育業務にあたります。
また、退勤時間の間際に子どもがケガをしたなどの状況にならない限り、残業になることはありません。
子どもが好きな方や、定時に退勤できる職場を探している看護師にとっては、理想的な環境といえるでしょう。
福祉施設
障害者施設や児童福祉施設などの福祉施設は、看護師は「日勤のみ」かつ、土日祝日は休日というケースが多いです。
規則正しい生活を送りたい看護師にとっても、働きやすい環境といえるでしょう。
ただし、入所型の施設では、「夜勤あり」の働き方になることがあります。日勤のみを希望する方は、転勤する前にシフトを確認しておきましょう。
一般企業
企業内の保健室に勤務する産業保健師・産業看護師は、勤務先の一般社員と同様の働き方になります。
9時~17時・土日祝日は休日という企業であれば、保健師・看護師も同じ勤務時間、休日になるということです。
また、製薬企業などに勤務し、看護師としての知見を活かして、臨床開発モニター(CRA)や治験コーディネーター(CRO)として働く方もいます。
この場合も、夜勤シフトはなく土日祝日は休日となりますが、接待などに参加する機会もあり、帰宅時間がまちまちになることもあります。
勤務形態ごとの看護師の働き方
勤務形態によっても、看護師の働き方は異なります。
ここでは、「常勤」と「非常勤」、「交代制」と「夜勤専従」に分けて説明していきます。
常勤
常勤とは、フルタイムで働く勤務形態のことです。
原則として1週間に最大40時間働きますが、夜勤があるときなどは、その限りではありません。
一方、日勤のみの常勤であれば、1日8時間勤務、週休二日制が一般的です。
給与以外にボーナスや退職金を受け取れること、福利厚生が充実していることは、日勤・夜勤を問わず、常勤のメリットといえます。
規則正しい生活を送りたい方にとっては、日勤かつ常勤は適した働き方といえますが、それでも育児や介護と両立するのは簡単ではありません。
そのため、週に40時間働くことが難しい場合は、非常勤の働き方も検討してみましょう。
非常勤
非常勤とはフルタイムではない働き方で、パートやアルバイトとして雇用されることを指します。
勤務時間は週40時間未満で、給与は時給で計算されることが一般的ですが、ボーナスや退職金がないことが多く、通勤手当など各種手当は労働条件によって異なります。
また、メリットとしては、勤務時間や勤務日などの調整が容易であるという点で、午前中のみ、月水金のみといったように、自由度の高い働き方も可能です。
ただし、勤務先によっては、社会保険に加入できない点や、雇用期間が短期である点に注意しなければなりません。
そのため、より安定した働き方を希望する方であれば、常勤を視野に入れて転職を検討してみるべきでしょう。
交代制
交代制とは夜勤を含むシフトのことです。
病棟や高度急性期病院、入所型の施設では、24時間体制が求められるため、シフトを組んで対応していきます。
シフトの組み方は医療機関によって異なりますが、二交代制と三交代制のいずれかを採用していることが一般的です。
以下より、二交代制と三交代制の違いについて、それぞれ説明していきます。
二交代制
二交代制とは、日勤と夜勤の2つのシフトを組む方式のことです。
日勤は8時間勤務、夜勤は16時間勤務となりますが、休憩時間を含めて前後に少し時間を設け、30分程度は引き継ぎの時間を確保することが一般的です。
ただ、二交代制はパターンが2つしかないため、三交代制と比べると生活リズムを取りやすいといわれています。
また、夜勤の翌日は休日となるため、丸一日休みが多くなるという点もメリットです。
夜勤手当もつくため、収入を増やしたい方にも適した働き方といえるでしょう。
ただし、同じ夜勤でも、勤務先によって忙しさは大きく異なる点に注意が必要です。
たとえば、高度急性期病院などでは、十分に仮眠や休憩が取れないことも多く、介護施設や一般病棟などでは、定時の見回り以外に仕事がないこともあります。
三交代制
三交代制とは、日勤・準夜勤・深夜勤の3つのシフトを組む方式のことです。
基本的には日勤は8時間勤務、準夜勤8時間勤務、深夜勤8時間勤務ですが、日勤と準夜勤は短め、深夜勤は長めに設定している職場もあります。
三交代制では夜勤の時間が二交代制よりも短いため、夜間も忙しくなることが多い高度急性期病院などで採用されています。
特徴として、勤務時間が短く集中力を保ちやすい点が挙げられますが、二交代制とは異なり、準夜勤・深夜勤の翌日に丸一日休みが設けられているとは限りません。
準夜勤の退勤時間と、深夜勤の出勤時間は深夜になるため、公共交通機関の利用が難しくなる点にも注意が必要です。
夜勤専従
夜勤専従とは、「夜勤のみ」の働き方です。
すべての勤務に夜勤手当が発生するため、効率よく収入を得られるというメリットがあります。
ただ、昼夜逆転して生活を送ることになるため、世間と時間を合わせづらくなるといったデメリットも挙げられます。
夜勤専従は、介護施設や福祉施設などで導入されることの多い働き方であるため、効率よく稼ぎたい看護師の方は、それらの職場への転職を検討してみましょう。
自分に合った働き方を見つけるポイント
どの働き方も一長一短があり、すべての看護師にとってよい働き方というものは存在しません。
自分にとってどのような働き方が合うか、一人ひとりが吟味することが必要です。
自分に合う働き方が明確ではないときは、次の方法で見つけてみましょう。
- 自己分析
- 希望条件の明確化
- キャリア目標の設定
- 職場環境の調査・比較
- 転職サイト・エージェントの活用
それぞれの方法について説明します。
自己分析
まずは、自分の性格や好み、ライフスタイルを分析してみましょう。
たとえば、看護師としてキャリアアップ・スキルアップを目指す方であれば、最新の医療や看護を学べる、高度急性期病院や大学付属病院などが適していると考えられます。
また、専門的なスキルや知識を習得したいのであれば、特定の治療法などに特化したクリニックや、一般病棟などもおすすめです。
家事や育児、介護との両立を目指すなら、非常勤の働き方も検討してみましょう。
自分の性格やライフスタイルを客観的に見つめる機会は、そう多くはありません。
時間を取り、看護師としての今までのキャリアについて紙に書き出し、働きやすいと感じたのはどのような条件のときだったのか分析してみましょう。
希望条件の明確化
どのような働き方を希望するのか、具体的かつ現実的な条件を書き出してみましょう。
書き出した条件に優先順位をつけ、本当に希望する働き方とは何か、入念に探っていくことが重要です。
たとえば、仕事に対してもっとも優先したいものが収入なら、夜勤専従や大規模医療機関などで、常勤として働くことを選択できます。
また、規則正しい生活を何よりも重視しているなら、日勤のみの常勤か、夜勤専従の働き方を検討できるでしょう。
キャリア目標の設定
キャリア目標についても考えてみましょう。将来的にどのような姿を希望するのかによって、適切な働き方は異なります。
たとえば、看護師としてキャリアを積み、看護師長や看護部長などの管理職を目指すのであれば、病院で常勤を選択することが一般的です。
また、将来的には介護分野に進みたいと考えている方なら、介護施設や福祉施設に勤務し、介護を実践で習得するだけでなく、介護福祉士やケアマネジャーなどの資格取得も視野に入れてみましょう。
職場環境の調査・比較
同じ条件でも、勤務先が変わると働き方は変わります。
たとえば、常勤・日勤のみ・病院外来という働き方でも、病院によっては研修や勉強会の機会が多く、新しい医療知識の習得が可能です。
一方、別の病院では、学びの機会が少なく、毎日ルーチンワークのみをこなすといった働き方かもしれません。
そのため、自分に合いそうな職場をいくつか絞り、職場環境を独自調査してじっくりと比較・検討してみましょう。
そうすることで、より満足度の高い働き方を実現しやすくなるはずです。
転職サイト・エージェントの活用
希望条件を明確にしたら、転職サイトで条件に合う求人案件があるか探してみてください。
看護師専用の転職サイトでは、「日勤のみ」や「夜勤のみ」、常勤・非常勤、施設などで求人案件を絞り込むツールを公開しています。
また、職場環境の調査・比較にも、看護師専用の転職サイトを活用してみましょう。
実際に、看護師専用の転職サイトのなかには、登録するだけで専属のキャリアアドバイザーに相談でき、職場調査を委託できるものもあります。
夜勤シフトの有無や職場の雰囲気など、インターネットだけでは集めにくい情報も、キャリアアドバイザーが独自のルートを使って詳細に調べてくれます。
ぜひキャリアアドバイザーのいる転職サイトを活用し、効率よく自分に合う働き方や職場を見つけてみましょう。
働き方に悩んだ看護師におすすめな転職サイト
働き方に悩んだときは、キャリアアドバイザーのいる看護師専用の転職サイトを活用してみましょう。
キャリアアドバイザーは職場調査を請け負ってくれるだけでなく、キャリアや転職についての悩みに対しても丁寧に答えてくれます。
誰に相談してよいか迷ったときも、ぜひキャリアアドバイザーに尋ねてみましょう。客観的かつ親身なアドバイスを得られることがあります。
ここでは、看護師専用の転職サイトのなかでも、キャリアアドバイザーのサポート力に定評のあるサイトを3つ厳選してご紹介します。
看護roo!
看護roo!の求人案件検索ツールは、登録を済ませずとも誰でも利用可能です。
施設の種類や診療科、夜勤の有無などで求人案件を絞り込み、給与などの勤務条件を確認してみましょう。
また、転職エージェントによるサポートも手厚く、非公開求人の紹介や、面接への応募および日程調整、勤務条件の交渉なども代行してもらえます。
キャリアの悩みもLINEやメールで気軽に相談できるため、より効果的に転職を進めたいという方は、ぜひ積極的に活用していきましょう。
レバウェル看護
レバウェル看護は、転職を決意した看護師だけでなく、転職するか迷っている看護師も利用可能な転職サイトです。
気になる施設について、良い部分だけでなく大変と思われる点も詳しく提示されるため、転職におけるミスマッチは起こりにくいといえます。
また、実際に働いている看護師の声や、働いていた看護師の意見も教えてくれるため、より客観的な視点で転職先を選べるようになるでしょう。
登録後には、アドバイザーとLINEやメール、ショートメッセージなどで、時間をかけずテンポよくやり取りできるのも大きな特徴です。
マイナビ看護師
マイナビ看護師の求人案件検索ツールは、使いやすさに定評があります。
「二交代制」や「三交代制」、「日勤のみ」などの働き方だけでなく、施設形態や担当業務、雇用形態、診療科など、細かい条件で求人を絞り込めます。
また、無料登録すると、専属のキャリアアドバイザーによる転職サポートを受けられます。
メールや電話でのやり取りだけでなく、キャリアアドバイザーと対面での相談も可能となりますので、ご自身にとって利用しやすい方法で相談してみると良いでしょう。
まとめ
看護師は多様な働き方を選択できる職業です。
しかし、働き方の選択肢が多い分、自分に合う働き方が見つかりにくく、働きにくさを感じる場面も多々あります。
思うような働き方ができていないと感じている方は、まずは自己分析をおこない、仕事における優先順位や、キャリアプランなどを書き出してみましょう。
また、看護師の転職に特化した「看護師転職サイト」を活用するのもおすすめの方法です。
看護師転職サイトでは、働き方で求人案件を絞り込めるだけでなく、キャリアアドバイザーによるキャリア相談を受けることもできます。
転職を考えたときだけでなく、キャリアに迷っているという方でも、ぜひ積極的に看護師転職サイトを活用してみましょう。
投資信託・株式の運用歴20年以上。相続問題が発生したことを機に、ファイナンシャルプランナー2級とAFPの資格を取得。 大学や省庁で研究活動をおこないながら、2014年度からはマネーやファイナンス、医学関係の執筆活動を開始。 ライフマネープランニングやIPO投資、金融詐欺の見分け方、ローン・クレジットカードの使い方などを得意テーマとしている。 現在メインで利用しているカードはアメリカンエクスプレスのプラチナ。招待制から申込制に変わって、ちょっと残念に思う毎日。