訪問看護の仕事が「きつい」理由は?きつい時の対処法や職場の選び方も解説 PR

訪問看護の仕事が「きつい」理由は?きつい時の対処法や職場の選び方も解説

訪問看護は、一人ひとりの患者さんにじっくりと向き合って必要な看護ケアをおこなう、非常にやりがいのある仕事です。

しかし、訪問看護のそのハードな仕事内容から、きついと感じる人も多いです。また、訪問看護の仕事に興味があるものの、きついと聞いたことから、自分に合うのだろうかと気になる人もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、訪問看護の仕事がきついといわれる理由について解説します。

合わせて、訪問看護の仕事がきついと感じた時の対処法や、訪問看護ステーションの選び方についても解説します。

訪問看護師がきつくて転職を検討している人や、訪問看護師に興味のある人は、ぜひ最後まで読んでみてください。

本記事のまとめ
  • 訪問看護の仕事がきつい主な理由は「身体的な負担」「オンコール対応」等
  • 転職先を選ぶ時は「1日の訪問件数」「オンコール対応の頻度」等を確認すべき
  • 訪問看護の求人を探す時は看護師転職サイトを活用しよう
目 次 更新日:
  1. 訪問看護の仕事はきつい?
  2. 訪問看護の事業主体
  3. 訪問看護の利用対象者
  4. 訪問看護の利用者数
  5. 訪問看護の仕事がきついといわれる理由
  6. 身体的な負担が大きいため
  7. オンコール対応が必要なため
  8. 責任が重いため
  9. 仕事に見合った給料を得られないため
  10. 自分一人で判断をする場面が多いため
  11. 利用者やその家族とのコミュニケーションが難しいため
  12. 訪問先の環境が整っていないことがあるため
  13. 介護業務を手伝う場合もあるため
  14. 他職種との連携が必要になるため
  15. 訪問看護の仕事がきついと感じた時の対処法
  16. 休日にしっかりと休む
  17. 職場に相談する
  18. 転職を検討する
  19. 訪問看護の仕事内容
  20. 療養生活の相談・支援
  21. 症状や健康状態の管理・看護
  22. 医療処置・治療上の看護
  23. 苦痛の緩和と看護
  24. リハビリテーション
  25. 家族の相談・支援
  26. 住まいの療養環境の調整・支援
  27. 地域の社会資源の活用
  28. 精神障がい者の看護
  29. エンドオブライフケア
  30. 在宅移行支援
  31. 訪問看護の仕事を選ぶメリット
  32. 一人ひとりの患者に向き合える
  33. ターミナルケアに意義を感じる
  34. 自分に合った働き方ができる
  35. 需要が高まっている
  36. 訪問看護の仕事を選ぶデメリット
  37. 1人で対応しなくてはいけない
  38. 医療スキルが伸びにくい
  39. 訪問看護がきついかどうかは勤務先のステーションで異なる
  40. 在宅訪問看護
  41. 施設への訪問看護
  42. 自分に合った訪問看護ステーションの選び方
  43. 1日の訪問件数で選ぶ
  44. オンコール対応の頻度で選ぶ
  45. 年間休日数で選ぶ
  46. 利用者の重篤度で選ぶ
  47. 訪問看護の種類で選ぶ
  48. 訪問看護の求人を探す時におすすめな看護師転職サイト3選
  49. 看護roo!
  50. レバウェル看護
  51. ナース人材バンク
  52. 【まとめ】訪問看護が自分に適しているかを考えよう

訪問看護の仕事はきつい?

訪問看護とは、病院ではなく患者の自宅において、医療行為や療養上で必要な世話をおこなう看護サービスです。

1日に平均4〜6件程度の患者宅を訪問することから、移動も多く、きついと感じる人も多いです。

また、訪問看護に似た言葉としては、下記が挙げられます。

種類 詳細
訪問介護 患者の自宅において、日常生活の支援をおこなう。「医療行為」は含まれない。
在宅看護 患者の自宅において、医療従事者ではなく、「家族」がおこなう看護のこと。

訪問看護の事業主体

訪問看護をおこなうには、下記の要件を満たす必要があります。

訪問看護を実施する要件
  • 法人格を有すること
  • 人員基準を満たすこと

法人格を有すること

「法人格を有すること」を満たす方法は2つあります。

1つは、都道府県知事から介護保険法に基づいた「指定居宅サービス事業者」の指定を受ける方法です。もう1つは、「医療法人」などを開設する方法です。

人員基準を満たすこと

満たすべき人員基準は2つあります。

1つは、管理者を1人配置することです。もう1つは、看護師などを常勤換算で2.5人以上配置することです。また、理学療法士などを実情に応じて配置する必要もあります。

病院や診療所

健康保険法の保険医療機関に指定されている病院や診療所は、「指定居宅サービス事業者」として指定されたものとみなされます。そのため、人員基準を満たすことで、訪問看護を実施できます。

訪問看護の利用対象者

訪問看護は、誰でも利用できます。

ただし、公的保険(医療保険や介護保険)を利用して訪問看護を受けるには、医者が発行する「訪問看護指示書」が必要となります。これ以外の場合、自費での利用になります。

訪問看護の利用者数

医療保険を利用して訪問看護を受けた人の数(※1)は、令和3年時点で約12.7万人です。令和2年時点では約9.6万人であるため、1年間で約32%増加していることがわかります。

また、介護保険を利用して訪問看護を受けた人の数(※2)は、令和3年時点で約87.4万人となっています。令和2年時点では約81.1万人であるため、1年間で約8%の増加です。

このように、訪問看護の利用者数は増加傾向にあります。

(※1)厚生労働省 訪問看護療養費実態調査
(※2)厚生労働省 介護保険給付費等実態調査

訪問看護の仕事がきついといわれる理由

訪問看護が「きつい」といわれる理由

訪問看護の仕事がきついといわれる理由には、主に以下のようなものが挙げられます。

「きつい」といわれる理由
  • 身体的な負担が大きいため
  • オンコール対応が必要なため
  • 責任が重いため
  • 仕事に見合った給料を得られないため
  • 自分一人で判断をする場面が多いため
  • 利用者やその家族とのコミュニケーションが難しいため
  • 訪問先の環境が整っていないことがあるため
  • 介護業務を手伝う場合もあるため
  • 他職種との連携が必要になるため

どれも訪問看護の仕事の特徴と呼べるものではありますが、人によってはきついと感じるものがあるかもしれません。

訪問看護の仕事がきついといわれる理由について、それぞれ詳しく解説します。

身体的な負担が大きいため

訪問看護の場合、病院と比べて設備が充実していません。たとえば、介助用の手すりなどです。

病院など設備が充実している施設であれば、手すりなどを有効活用して患者のサポートをおこないます。しかし、訪問看護では、手すりなどが十分に整備されていない場合も多いです。そのため、自身の力で患者の身体を支えなければいけないのです。

「人を支える」ということは、想像よりも力が必要で、たとえ子どもの患者であっても、身体的な負担は非常に大きくなります。

オンコール対応が必要なため

オンコール対応とは、緊急事態があった場合に出動するため、労働時間外に自宅で待機することです。

いつ緊急事態が発生するのかわからないため、オンコール対応の当番の際には、常に気を張っておかなければいけません。

そのため、十分に気を休めることができず、「疲れが取れなかった」と感じることも少なくありません。

また、オンコールの呼び出しがあり、すぐに駆けつけた場合でも、到着が遅かったと不満に感じる利用者もいるでしょう。

オンコール手当が付くとはいえ、休日でも十分に気が休まらずきついと感じる訪問看護師もいます。

責任が重いため

訪問看護では、看護師が1人で患者の自宅を訪れて看護を行います。

基本は主治医の指示に従い、決まった看護ケアをおこないます。しかし、予期せぬアクシデントが発生した場合には、訪問看護師が自身の力で解決しなければいけません。

「アクシデントが発生した際に1人」という状況は、精神的な負担が大きく、訪問看護が「きつい」と感じる原因となるでしょう。

仕事に見合った給料を得られないため

訪問看護は大きな責任を伴う仕事ですが、仕事の内容に比べて給料が見合っていないと感じる人もいます。

厚生労働省の「令和2年度介護事業経営実態調査結果」によると、常勤の訪問看護師の給料は約44.0万円(※)であり、年収に換算すると約528万円になります。

これは看護師全体の平均年収と同水準ですが、人によっては「仕事がきつい割には給料が低い」と感じてしまうかもしれません。

訪問看護師の給料事情や、給料に差がつくポイントについては、以下の記事でも解説しています。

訪問看護師の給料は高い?給料を上げる方法や転職で成功するコツも解説

自分一人で判断をする場面が多いため

訪問看護師は、基本的に自分一人で患者さんの自宅へ訪問し、必要な看護ケアを実施します。

病棟では判断に迷った際に、周りにいる看護師に相談することも可能です。しかし、訪問看護師の場合は、適切なケアの判断から処置まで、自分自身で実施する必要があります。

そのため、まだ業務に慣れていない場合や、一人での判断に慣れず不安な場合には、訪問看護師の仕事がきついと感じることもあるでしょう。

利用者やその家族とのコミュニケーションが難しいため

先述した通り、訪問看護師は基本的に自分一人で患者さんの自宅へ訪問します。

患者さんやその家族のなかには、他人とコミュニケーションをとるのが苦手な人や、うまく心を開いてくれない人もいるでしょう。

自分から積極的に話しかけても、なかなか人間関係を構築できない場合には、訪問看護の仕事がきついと感じる可能性もあります。

訪問先の環境が整っていないことがあるため

訪問先の患者さんの自宅環境によっても、訪問看護の仕事がきついと感じることもあります。

例えば、昔ながらの住宅に訪問する際には、エアコンが設置されていなかったり、段差の急な階段が多かったりして、いつも以上に気を遣う必要があります。

また、掃除がされておらず不衛生な自宅では、自身の衣服が汚れないよう気を付ける必要もあるでしょう。

介護業務を手伝う場合もあるため

訪問看護の現場では、患者さんの体調管理や必要な看護ケアの実施に加え、介護業務を手伝う場合もあります。

具体的には、食事の介助やおむつ交換、トイレへの移動介助や入浴介助などの介護業務を手伝う場合があり、看護業務だけでなく幅広い業務を求められます。

そのため、看護業務のみを実施したい人にとっては、訪問看護の仕事はきついと感じる可能性があるでしょう。

他職種との連携が必要になるため

訪問看護師は業務にあたり、ケアマネジャーや訪問介護員、病院の医師等と連携をとることが求められます。

自分一人で判断した看護ケアについて、周りの人からの理解を得られずにきついと感じる場合もあるでしょう。

しかし、前向きに考えてみると、他職種の人と連携をとれるということは、それらの人から技術を学んでスキルアップに繋げられるということです。

他職種の人と連携をとれることがメリットだと捉えて仕事に臨めると、前向きに働けるようになるかもしれません。

訪問看護の仕事がきついと感じた時の対処法

ここまで、訪問看護の仕事がきついといわれる理由について解説してきました。

もし訪問看護の仕事がきついと感じた際には、以下の対処法を実践してみてください。

きつい時の対処法
  • 休日にしっかりと休む
  • 職場に相談する
  • 転職を検討する

訪問看護の仕事がきついと感じた時の対処法について、それぞれ解説していきます。

休日にしっかりと休む

訪問看護の仕事がきついと感じた時には、まずは休日にしっかりと休みましょう。

運動をして汗を流したり、ゆっくりと読書をしたり、自分の趣味に時間を使ったりすることで、日々の疲れをリフレッシュすることが大切です。

休日が楽しみになることで、仕事とプライベートのメリハリがつき、より一層仕事に励むこともできるでしょう。

様々な方法を試してみて、最も自分に合ったリフレッシュ方法を探してみるのもおすすめです。

職場に相談する

業務量が多かったり、人間関係で悩んでいたりして「きつい」と感じる場合には、職場に相談することも大切です。

例えば、業務量が多い場合には、勤務回数を減らしてもらうことや、ほかの職員と業務を分担してもらうことで負担を軽減できる可能性があります。

また、訪問先の患者さんやその家族との人間関係で悩んでいる場合には、訪問先を変えてもらうことで解決するかもしれません。

ただし、人手不足な職場では、必ずしもすべての要望に応えてもらえるとは限りません。どこまで対応してもらえるか、職場に相談しながら決めることが大切です。

転職を検討する

どうしても悩みが解決しない場合には、転職を検討してみるのも良いでしょう。

訪問看護の仕事は好きなものの、職場の勤務環境や人間関係で悩んでいる場合には、ほかの訪問看護ステーションに転職をすることで解決するかもしれません。

また、訪問看護の仕事自体がきついと感じる場合には、ほかの看護職へ転職するのも良いでしょう。

例えば、病院やクリニック等であれば、ほかの看護師と連携して勤務できるため、自分一人で患者さんのケアをする負担は減るでしょう。また、患者さんの自宅を訪問する必要もなくなるため、体力的にも楽になります。

そもそも看護師の仕事自体がきついと感じる時は、看護師以外の職場への転職も検討しましょう。

介護施設や保育園等であれば、看護師免許を活かして勤務できるでしょう。また、検診センターや一般企業への転職も可能です。

本記事の後半では、おすすめの転職先について紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

訪問看護の仕事内容

訪問看護には、主に次のような仕事内容があります。

訪問看護の仕事内容
  • 療養生活の相談・支援
  • 症状や健康状態の管理・看護
  • 医療処置・治療上の看護
  • 苦痛の緩和と看護
  • リハビリテーション
  • 家族の相談・支援
  • 住まいの療養環境の調整・支援
  • 地域の社会資源の活用
  • 精神障がい者の看護
  • エンドオブライフケア
  • 在宅移行の支援

仕事内容が多いことから、訪問看護がきついと感じる人もいるかもしれません。

しかし、幅広い業務に対応できるようになり、看護師としてスキルアップできる側面もあるため、自分がどんな看護師になりたいかと照らし合わせて考えるのが良いでしょう。

それでは、訪問看護師の仕事内容について、それぞれ解説していきます。

療養生活の相談・支援

病気などによって生活が制限されている患者に対して、よりよい生活を送ってもらうために、相談に乗るなどの支援をおこないます。

例えば、栄養バランスに気を付けなければいけない患者に対して、「どのような食事が適切か」というアドバイスをおこなうなどです。

また、療養中で精神的に弱っている患者に対して、心理的な支援をおこなう必要もあります。

症状や健康状態の管理・看護

体温や脈拍、血圧などを測り、患者の健康状態の管理をおこないます。異変があれば、適切な対処をおこなう必要があります。

また、患者が自宅でよりよい生活を送れるように、身体機能を維持するための運動などのアドバイスをおこなう必要もあります。

加えて、「正しく薬を服用しているか」など、患者が医師の指示に従っているかの確認などもおこないます。

医療処置・治療上の看護

訪問看護師は主治医からの指示に従って、下記の処置をおこないます。

訪問看護の医療処置
  • 薬の投薬
  • 創傷処置
  • 点滴
  • 採血
  • 医療機器の管理や処置

訪問看護における医療処置は、治療の継続に必要なサービスです。そのため、新たな問題が発生した場合には、看護師による判断ではなく、必ず主治医からの指示を受ける必要があります。

例えば、患者から「薬を増やしてほしい」といわれても、訪問看護師が独断で決定できるものではありません。

基本的には主治医の判断に沿って、必要な看護ケアを実施します。

苦痛の緩和と看護

苦痛の緩和は、訪問看護に求められている重要な役割です。患者が自宅でよりよい生活を送るために、適切な対応をおこなうことが求められています。

しかし、看護師は自分の判断で薬の量や治療方法を変更できません。そのため多くの場合、ヒアリングをしっかりとおこない、主治医へ正確に伝える業務が主になります。

訪問看護師は、患者と主治医を繋げる架け橋の役割を担う必要があるのです。

リハビリテーション

患者がよりよい生活を送れるように、設定した目標に応じたリハビリテーションをおこないます。過度なリハビリテーションは、患者の体力を奪い、生活の質を低下させてしまう恐れがあるため、注意が必要です。

リハビリテーションでは、ADL(日常生活動作)訓練をおこなうことが多いです。ADLとは、患者が自分で入浴や排泄、食事や着替えなど、日常生活の動作をおこなえるようにする訓練です。

また、言語訓練や認知機能維持訓練など、患者に適した訓練の知識が必要となります。

家族の相談・支援

訪問看護では、患者だけでなく患者の家族への支援も重要となります。

例えば、薬の管理方法や副作用への対応方法です。患者だけでなく、患者の家族へ適切な説明をおこなうことで、アクシデントを防ぐことができます。

また、患者の家族は、大きな精神的ストレスを抱えている場合も多いです。特に、認知症患者などの場合には、家族自身が「どう接すればよいのか」がわからなくなりがちです。その際に、適切なアドバイスをおこなう必要があります。

住まいの療養環境の調整・支援

患者が自宅でより効果的な治療やケアを受けるためには、訪問看護師が適切な療養環境を整える必要があります。住まいの療養環境は、患者の健康や回復を促すための欠かせない要素の1つです。

例えば、室内の明るさや温度・湿度、空気の流れなど、些細なことでも適切に調整することで、患者の健康状態をよくできます。

自宅での療養は、病院での療養と比較して、設備などが不十分になってしまいがちです。これを少しでもカバーできるように、訪問看護師が療養環境を整える必要があるのです。

地域の社会資源の活用

訪問看護では、患者に常に付きっ切りでの支援はできません。そのため、地域の社会資源を有効活用することが求められます。

例えば、コミュニティセンターや地域センターでの「健康増進プログラム」などのイベントがあることを知らせるなどの方法があります。

このように、患者自身または患者の家族がより適切な対応をおこなえるよう、地域資源の活用方法を訪問看護師がアドバイスするのです。

精神障がい者の看護

精神障害は、ストレスが要因となって症状の悪化を引き起こす可能性が高いです。そのため、患者にとって安定している環境を訪問看護師が提供することが重要となります。

また、やる気の喪失や集中力・注意力の低下を引き起こすため、患者自身が「薬を服用したのか判断できる仕組み」などを取り入れる必要もあります。例えば、薬カレンダーなどの方法があります。

また、患者が悩みを抱え込まないように、患者と密に接して、何でも相談してもらえる関係性を築くことも重要です。

エンドオブライフケア

エンドオブライフケアとは、患者が尊厳を保ちながら、最期を迎えることを目的としておこなわれます。そのため、末期患者などに対しておこなわれることが多いです。

患者には、副作用が大きい薬の服用などによって、苦痛とともに治療を目指す選択肢もあります。一方で、苦痛を緩和し、残された人生を楽しむという選択肢もあります。

エンドオブライフケアでは、後者の選択をおこなった患者に対して、よりよい生活を送ってもらえるように訪問看護師が支援をおこなうのです。

在宅移行支援

在宅移行支援とは、入院中の患者や施設にいる高齢者などが、自宅で過ごせるように支援することです。具体的には、住まいの療養環境の調整や家族へのアドバイスなどをおこないます。

在宅移行支援は、介護サービスや社会福祉施設、ボランティア団体などと協力しておこわれることが多いです。患者の希望や意向を尊重しながら、状況と照らし合わせて、最適な環境を提供することが重要です。

また、在宅療養への完全移行ではなく、入院中に一時的に自宅に帰る際にも訪問看護の利用が可能となっています。その際には、訪問看護師が可能な限り適切な環境を整える必要があります。

訪問看護の仕事を選ぶメリット

訪問看護の仕事には、訪問看護ならではのやりがいやメリットがあります。

訪問看護の具体的なやりがいやメリットは、以下の通りです。

訪問看護のメリット
  • 一人ひとりの患者に向き合える
  • ターミナルケアに意義を感じる
  • 自分に合った働き方ができる
  • 需要が高まっている

きついといわれることもある訪問看護の仕事ですが、その分やりがいも多い仕事です。

それでは、訪問看護の仕事のやりがいやメリットを紹介していきます。

一人ひとりの患者に向き合える

病院などの施設では、多くの患者さんを同時に看護しなくてはいけません。一方で、訪問看護では1人の患者さんに集中して看護できます。

結果として、病院などの施設よりも訪問看護の方が、「患者さんと向き合えている」と実感できることが多くなります。

患者さんと関わる期間が長くなるほど、患者さんやその家族とも密接な関係を築くことができるでしょう。

患者さんにじっくりと関わることでやりがいを感じられるのは、訪問看護の仕事ならではのメリットです。

ターミナルケアに意義を感じる

訪問看護では、患者が最も居心地がよい場所で、よい気分で最期を迎えられるように看護するターミナルケアをおこなうこともあります。

病院などの施設では、治療が目的となっていて、苦痛とともに病気と闘う患者と向き合うことも多いです。また、緩和ケアセンターなどでも、患者が最も親しみを持っている場所でのケアではありません。

一方で、訪問看護では患者の最期が最もよい形で終われるように看護していきます。そのターミナルケアの過程にやりがいを感じる訪問看護師も多いです。

自分に合った働き方ができる

訪問看護の場合、病院などとは異なり、基本的には夜勤がありません。

一般的な看護師の場合、「夜勤をおこなっていない看護師」は全体の12.2%(※)しかいません。そのため、夜勤をしたくないと考えていても、夜勤をせざるを得ない看護師が大半です。

一方で、訪問看護の場合には、基本的には夜勤がないため、夜勤をしたくない人にとって理想の職場となり得ます。

(※)日本看護協会「2021年 看護職員実態調査

需要が高まっている

先述したとおり、訪問看護の利用者数は増加傾向にあります。

今後の日本は高齢化が加速していくと予想でき、医療を必要とする人の数も比例して多くなると思われます。

このことから、訪問看護だけでなく医療業界の需要は高まっていくでしょう。そのなかでも、自分に合った働き方が選択できる訪問看護は、適切な選択肢の1つになります。

訪問看護の仕事を選ぶデメリット

訪問看護の仕事にはメリットも多いですが、一方でデメリットも存在します。

具体的には、訪問看護には次のようなデメリットがあります。

訪問看護のデメリット
  • 1人で対応しなくてはいけない
  • 医療スキルが伸びにくい

訪問看護の仕事を選ぶデメリットについて、それぞれ解説していきます。

1人で対応しなくてはいけない

訪問看護は、1人で患者の自宅を訪問して看護をおこないます。

基本は主治医の指示に従って、決まった看護ケアをおこなうことが業務となります。しかし、患者やその家族からの相談には、1人で応じなければいけません。そのため、知識が不足していればうまく対応できず、悩まされる可能性もあります。

また、手すりなどの設備が充実していない患者の自宅であれば、患者の身体を支える業務等をおこなわなければならず、肉体的負担も大きいといえます。

訪問看護の仕事に悩む人の中には、やはり「自分の判断で動くことの不安」がストレスになる人が多いようです。

以下の記事では、訪問看護が合わないと感じる理由や、対処法について詳しく解説しています。

「訪問看護は合わなかった」と感じる5つの理由!合わない人の特徴や対処法も解説

医療スキルが伸びにくい

訪問看護では、高度な医療処置を実施する機会は少ないです。

また、医療行為をする機会も、病院勤務の看護師よりは少なく、看護スキルが上達する機会はあまりありません。

そのため、勤務後などに医療スキルの勉強をおこなうなどの工夫をしなければ、病院勤務の看護師よりも医療スキルで劣る可能性があります。

また、自分のスキル不足が原因で、訪問看護師を辞めてしまう人もいます。

ほかにも、訪問看護師を辞める理由については以下の記事で詳しく解説していますので、合わせて読んでみてください。

訪問看護師を辞める理由は?辞める前に試すべき対処法やおすすめの転職先も解説

訪問看護がきついかどうかは勤務先のステーションで異なる

訪問看護はきついと一概にいっても、その業務内容は勤務先によって異なります。

訪問看護には、以下の2種類が存在します。

訪問看護の種類
  • 在宅訪問看護
  • 施設への訪問看護

それぞれの勤務先における働き方について、詳しく解説していきます。

在宅訪問看護

在宅訪問看護では、患者さんの自宅に訪問して必要な看護ケアを実施します。一般的に訪問看護と呼ばれるものは、この在宅訪問看護のイメージが強いです。

自動車や自転車等で、それぞれの患者さんの自宅を訪問する必要があるため、長時間の移動を伴います。

季節や天候に関わらず移動をする必要があるため、悪天候の時には移動も大変になります。

施設への訪問看護

患者さんの自宅でなく、施設へ訪問して看護を実施する場合もあります。

施設であれば設備が整っていることから、必要な看護ケアも実施しやすいでしょう。

また、患者さんの自宅を一件一件訪問する必要もないことから、移動が少ないのも特徴的です。

在宅訪問看護と施設への訪問看護のどちらが自分に向いているかを考えたうえで、訪問看護の仕事を選ぶことが大切です。

自分に合った訪問看護ステーションの選び方

訪問看護の仕事がきついかどうかは、勤務先によっても大きく異なります。

そのため、訪問看護の仕事を長く続けるためには、自分の性格に合った勤務先を選ぶことが大切です。

そこで次に、自分に合った訪問看護ステーションの選び方を紹介します。

訪問看護ステーションの選び方
  • 1日の訪問件数で選ぶ
  • オンコール対応の頻度で選ぶ
  • 年間休日数で選ぶ
  • 利用者の重篤度で選ぶ
  • 訪問看護の種類で選ぶ

一度きついと感じてしまうと、なかなか訪問看護の仕事は長続きしないものです。

ここで紹介する訪問看護ステーションの選び方を参考に、自分に合った職場を見つけてみてください。

それでは、訪問看護ステーションの選び方を詳しく解説していきます。

1日の訪問件数で選ぶ

勤務先の訪問看護ステーションを決める際には、1日の訪問件数で選ぶのも良いでしょう。

一般的に、訪問看護では1日あたり4〜6件程度の患者宅を訪問するケースが多いです。そのため、1日の訪問件数が4〜6件かそれ以下であれば、働きやすい職場といえるでしょう。

しかし、患者さんの重篤度や要求によっては、必要な看護ケアに時間がかかり、1件あたりの訪問時間が長くなる場合もあります。

訪問件数に加えて、1件あたりの訪問時間も把握しておくことで、働きやすい訪問看護ステーションを見つけられるでしょう。

オンコール対応の頻度で選ぶ

オンコール対応の頻度で訪問看護ステーションを選ぶのも良いでしょう。

日本看護協会が2014年に調査した「訪問看護実態調査」によると、訪問看護師の平均オンコール待機回数は9.4回です。

休日にも気を張っておくプレッシャーが苦手な場合は、オンコール対応の頻度が少ない職場を選ぶのが良いでしょう。

ただし、オンコール対応をすればオンコール手当がつくことから、オンコール対応の頻度を減らしすぎると、支給される給料も減ってしまいます。

実際のオンコール対応の頻度は職場によって異なりますが、プレッシャーと求める給料の観点から、オンコール対応の頻度を選ぶことが大切です。

年間休日数で選ぶ

年間休日数の多さは、訪問看護ステーションによって異なります。

勤務先が「週休二日制」「完全週休二日制」のどちらなのか、職員の有休消化率は高いのか等の部分を確認することで、年間休日数が把握できるでしょう。

目安としては、年間120日の休日があれば、ワークライフバランスに考慮しているステーションだといえるでしょう。

利用者の重篤度で選ぶ

訪問看護の仕事の大変さは、利用者の症状や重篤度によっても異なります。

難病を抱えていたり、精神疾患を抱えていたりするような患者さんを相手にする場合は、高度な看護スキルを求められることもあります。

まだ訪問看護の仕事に慣れていなかったり、自分に看護スキルが足りていなかったりする場合には、きついと感じることもあるでしょう。

その場合は、自分の看護師としての経験を活かせるようなステーションを選ぶことで、訪問看護師として活躍できるでしょう。

訪問看護の種類で選ぶ

繰り返しになりますが、訪問看護ステーションには「施設への訪問看護」「在宅訪問看護」の2種類があります。

それぞれの種類によって、移動が必要だったり、設備環境が異なったりと様々な違いがあるため、自分に合った環境を選ぶことが大切です。

また、給料や福利厚生等の観点で選びたい場合には、看護師転職サイトを使って求人を見つけるのも良いでしょう。

多様な訪問看護の求人から、自分の希望条件に合った勤務先を見つけられるはずです。

そこで最後に、訪問看護の求人を探す時におすすめな看護師転職サイト3選を紹介します。

訪問看護の求人を探す時におすすめな看護師転職サイト3選

自分に適した訪問介護を探すことができる転職サイトとしては、主に以下のようなものが挙げられます。

おすすめの転職サイト
  • 看護roo!
  • レバウェル看護
  • ナース人材バンク

ここで紹介する看護師転職サイトは、どれも無料で利用できます。

サイトによって保有する訪問看護師の求人も異なるため、3つ同時登録して、複数の求人から自分に合った勤務先を見つけるのがおすすめです。

それでは、訪問看護の求人を探す時におすすめな看護師転職サイトをそれぞれ紹介していきます。

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  • 業界トップクラスの求人数
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ナース人材バンク」は看護師専門の転職サイトで、転職実績が高く利用者満足度も高い転職エージェントです。

公開求人だけではなく、一般には公開されていない非公開求人も多いので、転職先の選択肢を増やしたい人は登録しておいて損はありません。

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またサイト上で求人検索をすると、地域ごとの全体的な求人の傾向を見ることができます。

他社で転職を考えている方も、自分に適した訪問看護の転職活動に生かせる情報があるかもしれません。

【まとめ】訪問看護が自分に適しているかを考えよう

訪問看護は、病院などの施設での看護と異なる部分が多いです。そのため、看護師ができるからといって、訪問看護師もできるとは限らないのです。

特に、周囲の人と連携して看護業務をおこなうことが得意な人は戸惑うかもしれません。訪問看護は、患者の自宅に1人で訪問して業務をおこなうからです。

上記以外にも、さまざまな点で看護師と訪問看護師には違いがあります。そのため、「訪問看護師になろう」と考えている方は、違いを理解して「自分に適しているか」を考えるようにしましょう。

キャリア形成支援を主な事業とするCareer Expertを経営。具体的には、就職・転職支援や自己理解支援、キャリアデザイン支援などを実行。その経験や専門知識を活かし、読者の役に立つ記事を執筆。

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