看護師を辞めたい理由とは?辞める時の判断基準や対処法も解説
看護師の仕事が大変で辛いために、辞めたいと悩む人は多いです。
また、辞めたいと悩みつつも、今の仕事にやりがいを感じており「本当に看護師を辞めるべきなのだろうか?」と判断に迷う人もいることでしょう。
しかし、あまり考えずに看護師の仕事を辞めてしまうと、今以上に条件の悪い職場を選んで後悔する可能性もあるため、注意が必要です。
そこでこの記事では、看護師を辞めたいと感じる理由と対処法について解説します。
また、看護師の仕事を辞めるべきかの判断基準や、看護師を辞めるデメリットについても解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
- 看護師を辞めたいと感じる主な理由は「人間関係」
- しっかり休むことで辞めたい気持ちが解消することもある
- どうしても看護師を辞めたい場合は転職も検討しよう
看護師を辞めたいと感じる9つの理由
看護師の仕事はハードで辛いことも多く、辞めたいと考える人もいるでしょう。
看護師を辞めたいと感じる主な理由として、次のものが挙げられます。
- 人間関係のストレス
- 責任が重すぎる
- 労働環境が悪い
- 給料が安い
- 患者さんとのコミュニケーションがつらい
- 想像していた業務内容と違う
- 業務中のミスが多い
- 業務内容が想像以上にきつい
- ほかに興味のある分野ができた
看護師を辞めたいを感じる理由について、詳しく紹介していきます。
人間関係のストレス
看護師としての仕事は、病院や施設の状況によって強いストレスがかかります。
そのなかで、同僚や上司とのコミュニケーション、仕事の不公平などをきっかけに、仕事に対するストレスが増大します。
看護師はチームとして働くため、ほかの看護師との協力体制が重要です。しかし、人間関係が悪い場合には、上手く連携が取れないことも起こり得ます。
そうすると肉体的にも負荷が大きくなり、精神的なストレスも大きくなってしまいます。
責任が重すぎる
看護師の仕事は、患者さんの命に関わることから、責任が重くてやめたいと感じる人もいます。
例えば、薬の投与、手術の介助、救急対応などの医療行為には、看護師が責任を持って対応しないといけません。
このような医療行為は、誤った処置や対応をすると、患者さんに深刻な影響を及ぼす可能性があります。
そのような状況下で働き続けていると、責任の重さからストレスを感じ、辞めたいと思うようになる看護師も出てきます。
労働環境が悪い
高齢化に伴う患者数の増加により、看護師の需要は増加しています。
しかし、看護師は人手不足であることから、看護師1人あたりの業務量も増加傾向にあります。
このような状況下で多忙な業務をこなそうとすると、定時内に業務が終わらない看護師も多く、残業が増えます。加えて、夜勤のある職場では、さらに業務の負担が大きくなります。
十分な休暇制度が整備されていないと、看護師として働くモチベーションも減退してしまうでしょう。
給料が安い
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、看護師全体の平均年収は約509万円です。
日本全体の平均年収と比べると高い傾向にありますが、看護師の仕事の辛さや忙しさを考慮すると、給料が割に合わないと感じる看護師もいます。
さらに、人手不足で業務量が多い職場や、残業や休日出勤の多い職場の場合には、看護師を辞めたいと感じる人も多いことでしょう。
患者さんとのコミュニケーションがつらい
看護師を辞めたいと思う理由の1つに「患者さんの対応によるストレス」も挙げられます。
看護師は、患者の体調管理や治療、看護計画の実行、病状の監視などの業務をおこなうため、患者と接する機会が多々あります。
この際、患者さんから暴言を受けたり、セクハラや嫌がらせを受けることもあります。
こうした行為を日々受け続けていると精神的にも疲弊してしまい、辞めたいと思うようになっても不思議ではありません。
想像していた業務内容と違う
就職する前に抱いていた理想と、就職をした後で分かった現実とがあまりに乖離していると、看護師をやめたいという気持ちが強まってしまいます。
「想像していた以上に仕事がきつい」「肉体労働が多く辛い」など、実際に現場に入ってみないとわからないこともたくさんあります。
また、拘束時間や業務のきつさは、勤務する病院によっても異なります。
想像していた仕事と現実のギャップも、看護師が仕事をやめたいと考える原因になります。
業務中のミスが多い
看護師の仕事は、患者の健康管理や医療行為の実施など、非常に重要な役割を担っています。
そのため、看護師が業務中にミスを犯すと、深刻な影響を及ぼす可能性があります。
ミスを度々犯した時には、先輩看護師から叱責を受けることもあるでしょう。強く叱責されるほどに、強いストレスを受け、辞めたいと考えるようになることもあります。
業務内容が想像以上にきつい
職場によっては、業務内容が想像以上にきついこともあり、辞めたいと感じる看護師もいます。
例えば、重篤度の高い患者さんを扱う職場や、専門性の高い医療技術を提供する職場では、ほかの施設と比べて看護師に求められる技術が高くなります。
また、夜勤の回数が多い職場や、人手不足で残業が多いような職場も、きつくて辞めたいと感じる看護師は多いことでしょう。
ほかに興味のある分野ができた
今までの勤務経験から、ほかに興味のある分野ができて、今の職場を辞めたいと感じる看護師もいます。
例えば、スキルアップを目的に、経験したことのない診療科目へ転職したいと思う看護師もいます。また、今以上に専門性を高めていきたいために、クリニックや大学病院への転職を希望する看護師もいるでしょう。
ほかに興味のある分野がある場合には、ポジティブな転職理由なため、積極的に転職活動を進めるのが良いでしょう。
看護師を辞めるべきかの判断基準
「看護師を辞めたい」と感じたとしても、即決すべきではありません。
本当に看護師を辞めるべきか、辞めないべきかは、状況に応じて適切に判断することが大切です。
まずは初めに、看護師を辞めた方がいいケースを説明していきます。
看護師を辞めた方がいい場合
看護師を辞めた方がいい人の特徴は、次の4つです。
- 肉体的・精神的な不調が見られる
- 労働環境が悪い
- ハラスメントが多い
- 新しい仕事に挑戦したい
特に、肉体的・精神的に体調を崩している場合には、看護師の仕事を辞めた方がいいといえるでしょう。
具体的に、看護師を辞めた方がいい場合について、詳しく解説していきます。
肉体的・精神的な不調が見られる
看護師は、高い負荷やストレスを伴う仕事です。長時間の勤務や夜勤、多忙な業務により、肉体的・精神的な不調を抱えることもあります。
体調を崩した場合には、うつ病やパニック障害などの精神疾患などを患うこともあります。
具体的には、以下のような不調が出てきた時には、看護師の仕事を辞めた方がいいでしょう。
- 慢性的な疲れがあり、仕事に専念できない
- 重度の疲労感がある
- 急性の病気やケガで、仕事に復帰するのが困難
- 治療のために定期的な通院が必要で、仕事との両立が困難
- 重度のアレルギー症状を発症した
- 職場環境が原因でアレルギーやアトピーなどの症状が悪化した
労働環境が悪い
看護師の労働環境が悪い場合、職場でストレスを感じ、心身の健康を損なうことがあります。
特に、過剰な業務負荷や人手不足、長時間勤務などは、大きなストレスになります。
また、休みが取れない、残業が多すぎる、といった状況が改善されない場合は、看護師を辞めた方がいいでしょう。
ハラスメントが多い
職場でのハラスメントが原因で、心身ともに疲弊することもあります。
ハラスメントには「パワハラ」「セクハラ」「モラハラ」など、いくつかの種類があります。
例えば、パワハラは、上司や先輩が業務上の権限を背景に、看護師を無理やり働かせたり、恫喝したりする行為のことです。上司や先輩から無理な要求をされることも、パワーハラスメントに該当することがあります。
セクハラは、職場での性的な嫌がらせや言動、またはセクシャルなアプローチなどが該当します。看護師同士での性的なジョークや冗談、嫌がらせとしておこなわれることも、職場内のセクハラといえます。
また、モラハラは「同僚看護師から無視をされる」「職場で孤立させられる」「誹謗中傷や噂話などにより、名誉やプライバシーを侵害される」などが該当します。
もし職場全体でハラスメントの解決に向けた対策がなされない場合は、看護師の仕事は辞めた方が良いでしょう。
新しい仕事に挑戦したい場合
看護師の仕事を辞める理由は、必ずしもネガティブとは限りません。
「新しい仕事にチャレンジしたい」というポジティブな理由による退職もあります。
看護師よりも興味のある仕事が見つかった時には、その自分の考えを尊重し、看護師を辞める決断をするのも良いでしょう。
ライフステージの変化、家庭の事情などにより、自身のキャリアプランが変わることもあります。
そのような前向きな理由で転職した人のなかには、看護師を辞めてよかったと感じる人もいます。
看護師を辞めてよかったと思える転職方法については、以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
看護師を辞めない方がいい場合
次のようなケースでは、今すぐ看護師を辞めるという選択をすべきではありません。
- 人間関係のストレスが辛い
- 転職先が決まっていない
- ミスが多くて自信が持てない
人間関係のストレスが辛い
当然ですが、どの職場でも人間関係によるストレスはあります。
ストレスの大きさこそ違うかもしれませんが、少しストレスに感じることがあったからといって即座にやめたいと考えるのは、適切ではありません。
人間関係が原因でやめたいと感じている場合、次の職場でも人間関係に悩む可能性はあります。
そのため、人間関係をストレスに感じている場合は、具体的に何を負担に感じているのかを考えることが大切です。そして、その原因が一時的なものである時は、退職以外の解決策を考えてみましょう。
一時的に辛い状況にあるだけであり、一定期間が経てば再び環境が良くなることもあります。ただし、あまりにも辛いと感じる場合は、心身に不調をきたす前に看護師の仕事を辞めることも大切です。
看護師の人間関係における悩みの対処法については、以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。
転職先が決まっていない
看護師の仕事を辞める際には、転職先を決めてから退職をするのがおすすめです。
生活費に困窮するリスクが少なくなりますし、看護師を辞めてから仕事探しを始めたのでは、精神的な負担も大きくなります。
「早く転職先を決めなければ生活費がなくなってしまう...」といったプレッシャーに苛まれていると、転職活動でも良い結果は出しづらいことでしょう。
ミスが多くて自信が持てない
仕事でのミスや、先輩看護師からの叱責が原因で、自分に自信が持てない場合には、看護師をやめたいと感じる人もいるでしょう。
しかし、ミスが原因な場合や、知識不足が原因な場合には、看護師の仕事は辞めるべきではありません。
現場での実務経験を積むことで、仕事のミスは自然と減っていきますし、知識も身についていくはずです。
もし経験不足でミスが多い場合には、今の職場で実務経験を積むことをおすすめします。
看護師を辞めたいと思う1年目の新人は多い
看護師1年目の新人でも「看護師を辞めたい」と考えている人は多くいます。
先輩看護師のなかには「1年目が一番辛かった」という人も多いほど、新人のうちは大変な時期です。
実際に、日本看護協会の「2022年 病院看護実態調査」によると、2021年度の新卒離職率は10.3%です。
また、直近5年間分の新卒看護師の離職率を比較すると、以下のとおりです。
調査年度 | 新卒看護師の離職率 |
---|---|
2017年度 | 7.5% |
2018年度 | 7.8% |
2019年度 | 8.6% |
2020年度 | 8.2% |
2021年度 | 10.3% |
このように、せっかく看護師になっても、仕事の辛さや業務内容についていけない等の理由から、やめたいと感じる新人看護師は多いです。
具体的に、新人看護師が辞めたいと感じる理由については、以下の記事で解説しています。合わせて読んでみてください。
また、看護師全体の離職率については、以下の記事を参考にしてみてください。
看護師が辞めたいといえない理由
「看護師を辞めたいけど、上司に辞めたいといえない…」そう悩んでいる看護師も多いのではないでしょうか。
看護師を辞めたいといえない理由には、以下のようなものがあります。
- 怒られそう、文句をいわれそう
- 辞める理由を説明しづらい
- 辞めるまでが気まずい
- お金のことが不安
看護師を辞めたいといえない理由について、それぞれ紹介していきます。
怒られそう、文句をいわれそう
看護師を辞める際に心理的障壁となるのが「怒られそうで嫌だ」という理由です。
特に、早期退職などの場合、ひどいことをいわれたり、引き留めに合うことを不安に感じ、退職を戸惑う人も多いのではないでしょうか。看護師長のなかには、心ないことをいう人もいるかもしれません。
しかし、現在では部下もハラスメント委員会への報告などが可能なため、上司も退職の際に強い口調を使わないことが一般的になっています。
もし退職への不安が強かったり、日ごろからハラスメントがおこなわれている場合は、現場でのやり取りを録音しておきましょう。
辞める理由を説明しづらい
辞める理由をうまく説明できないことも、辞めたいといえないハードルになります。
特に、人間関係が問題の場合には、その理由をいい出せないことも多いでしょう。
また、仕事が辛い、夜勤が辛いなどの理由を説明した場合、現場の環境改善や配置換えを提案され、退職を引き止められる可能性もあります。
しかし、本来は看護師が退職を申し出た場合、無理やり引き止めて働かせることはできません。
絶対に引き止めには付き合わない、とにかく看護師の仕事を辞めたいと決めていると強く伝えることができれば、退職がスムーズに進みます。
退職理由の伝え方については以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。
辞めるまでが気まずい
看護師を辞めると、その後の上司との関係が気まずい、同僚に申し訳ないと考える人もいます。
同じ部署で噂になると、何となく居づらいと感じることもあるでしょう。
しかし、転職は自分のためにおこなうものです。
どの職場でも、退職者が発生した際には業務の負担が増えることがありますが、これは退職者のせいではありません。
多少気まずくても、退職までの僅かな時間だけだと割り切って考えることが必要です。
お金のことが不安
転職の際には、将来のお金の不安がつきものです。
家賃や年金、奨学金など、毎月の支払いを考えると、看護師を辞めたくても思いとどまってしまうこともあるでしょう。
しかし、固定支出のうちいくつかは、退職を理由に支払いを待ってもらえるものもあります。
例えば、年金や奨学金は、一定の要件を満たし申請することにより、一定期間支払いに猶予を与えてもらうことも可能です。
看護師を退職する前には、半年分程度の生活費は貯金しておきたいところですが、使える支援策や猶予制度は上手に使いましょう。
看護師を辞めたいと感じた時の対処法
看護師をやめたいと思っても「突然明日から辞める」といったことはできません。
もし看護師をやめたいと感じた際には、次の対処法を試してみましょう。
- 有給休暇を取得して休む
- 悩みを上司に相談する
- 部署異動を申し出る
- 転職を検討する
看護師を辞めたいと感じた時の対処法について、詳しく解説していきます。
有給休暇を取得して休む
ストレスや疲れが原因で看護師をやめたい場合、有給休暇を使って休むことも考えましょう。
休息をとって体を休めたり、自分の気持ちを整理したりすることで、問題が解決する可能性があります。
また、看護師をやめたいと決めている場合には、転職活動などについて考える時間としても使えます。
悩みを上司に相談する
看護師をやめたい理由が、職場の人間関係や業務の負担によるものである場合、上司に相談することで解決できるケースもあります。
この場合は、1人で悩み続けるのではなく、上司にも相談し、悩みの改善に向けて取り組むことも検討しましょう。
もし悩みを相談できるような人が身近にいない場合は、以下の記事で対処法を解説していますので、合わせて読んでみてください。
部署異動を申し出る
今の職場を辞めるかどうかの決断をする前に、まずは「部署異動の申出」を検討しましょう。
部署移動をすることで、転職をすることなく、人間関係や仕事内容を大きく変えることができます。
人間関係のストレスを解消できたり、自分の性格に合った仕事を見つけられたりする可能性もあります。
小規模の病院やクリニック等に務めている場合には、そもそも異動がない場合もあるため、部署異動ができるかどうかは事前に確認しておきましょう。
看護師の異動については以下の記事で解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
転職を検討する
もし上司への相談や部署異動をしてもやめたい気持ちが強い場合には、転職することも検討しましょう。
無理をして同じ職場で働き続けるよりも、職場を変えることで、今の悩みが解決する可能性もあります。
ただし、看護師をやめたい気持ちが先行し、闇雲に転職をするのは避けるべきです。場合によっては、今の職場以上に雇用条件が悪くなったり、仕事にやりがいを感じられなかったりする可能性もあります。
また、看護師としての経験年数が浅い場合には、転職をするデメリットも存在するため、注意が必要です。
そこで次の章では、看護師の仕事を辞めるデメリットについて解説していきます。
看護師の仕事を辞めるデメリット
看護師をやめたい気持ちが強くなると、転職を検討する人もいるはずです。
しかし、看護師の仕事を辞める際にはデメリットも存在するため、予め理解しておくことが大切です。
具体的に、看護師の仕事を辞めるデメリットは以下の5つです。
- すぐに辞めそうだと思われる
- 収入が下がる可能性がある
- 転職先の選択肢が少ない
- やりがいを感じられない可能性がある
- 奨学金の返済を求められる場合がある
それでは、看護師の仕事を辞めるデメリットをそれぞれ解説していきます。
すぐに辞めそうだと思われる
新人看護師が仕事を辞める場合、次の転職先でもすぐに辞めそうな印象を与えてしまいます。
また、今の職場で働き始めてから間もない場合にも、早期離職するイメージを与える可能性が高いでしょう。
勤務期間があまりにも短い場合には、履歴書や職務経歴書等の書類選考で落ちてしまう場合もあるため、注意が必要です。
収入が下がる可能性がある
看護師の仕事は、夜勤手当や残業手当がつくため、平均年収が高い傾向にあります。
しかし、夜勤手当や休日出勤のない仕事に転職した場合、その分年収が下がる可能性があるでしょう。
看護師をやめたい気持ちが先走って転職をし、年収が下がった場合には、かえって転職しない方が良かったと後悔する可能性もあります。
そのため、年収が下がってでも転職したいかどうかを踏まえて、転職活動を進めることが大切です。
転職先の選択肢が少ない
新人看護師のように、経験年数が短い人が転職をする場合、転職先の選択肢が狭まります。
「経験年数が3年以上であること」「臨床経験が5年以上であること」などの応募条件がある施設も多く、経験が少ない場合には、そもそも応募できない求人も多いでしょう。
そのため、看護師を辞めたい気持ちが先行して辞めてしまう前に、転職先があるかどうかを考えておくことも大切です。
やりがいを感じられない可能性がある
看護師の仕事は体力的にきつく、精神的なプレッシャーも大きいことから、やめたいと感じる人もいます。
一方で、患者さんとのコミュニケーションを通して、やりがいを感じられる機会も多いです。
看護師を辞めて転職した場合、看護師とは業務内容が大きく異なることから、やりがいを感じられない可能性もあります。
看護師から転職をする際には「看護師をやめたい理由」「看護師を辞めて何がしたいのか」の2点を考えてから転職活動を進めるのが良いでしょう。
奨学金の返済を求められる場合がある
奨学金の返済が完了していない場合、退職時に一括で返済を求められる可能性があります。
経験年数が短い看護師ほど、多くの返済額を要求されるため、注意が必要です。
ただし、奨学金返済に関する具体的な規約は病院によって異なるため、退職時には必ず確認をしておきましょう。
看護師を辞める際の手続き
看護師の仕事を辞めようと思い立っても、すぐに退職ができるわけではありません。
書類のやり取りや、業務の引継ぎなどもおこなう必要があります。
そのため、退職を決意した場合には早めに計画を立て、退職に向けた準備を進めていきましょう。
- 退職の3ヶ月前には上司に申し出る
- 職場の引継ぎ作業を進める
- ボーナス支給日を把握しておく
- 保険の手続きを進める
- 失業保険を申請する
退職の3ヶ月前には上司に申し出る
法令上は、14日前の報告で退職をすることができます。
しかし14日前ギリギリで報告をしたのでは、トラブルが起こる可能性があります。
自身のいい分が法令上は正しいものであったとしても、その理解が得られないおそれがありますし、実際に業務に支障をきたすおそれもあります。
そこで余裕を持って3ヶ月前には上司に申し出ておくことが望ましいです。
自身の考える退職予定日まで3ヶ月の期間があると、書類のやり取りがスムーズにできますし、ほかに必要な作業も落ち着いて進めることができます。
職場の引継ぎ作業を進める
退職を申し出てから、退職日がやってくるまでの間、引継ぎ作業をおこなわないといけません。
新人の場合だと大きな作業量とはなりませんが、責任ある立場の方だと、特にこの引継ぎが大変な作業となります。
場合によっては、後任の方が困ることのないように引継ぎ書などを作成するケースもあります。
書類を作成する場合、次の担当者がスムーズに業務を継続できるよう、細かな業務内容や手順を記載しましょう。
ボーナス支給日を把握しておく
看護師の場合、ボーナス支給日が設定されていることがあります。
ボーナス日を把握しておき、ボーナス日の後に退職日が来る形で退職日を設定しておけば、最後のボーナスを受け取ることができます。
ただし、ボーナス日よりも前に退職を申し出ることで、ボーナスが期待どおりにもらえない可能性もあります。
そのためより確実にボーナスを受け取りたい場合は、ボーナス日を迎えてから退職したい旨伝えるといいでしょう。
おおよそのボーナス支給時期や平均支給額については、以下の記事で解説しています。
保険の手続きを進める
次の職場へ入職するまでに空白の期間がある場合には、社会保険から国民健康保険に切り替えるための手続きが必要です。
国民健康保険に加入する手続きは「退職日の翌日から14日以内」とされていますので、早めに対応しておきましょう。
また、手続きの際は、前に加入していた健康保険の資格喪失日が示せる書類、本人確認書類を準備しておく必要があります。
そのほか、必要書類が後から発覚したのでは手間がかかりますので、事前に役所の担当者に問い合わせておくといいです。
失業保険を申請する
もし退職後に次の仕事が見つかっていない場合は、失業保険の申請もおこないましょう。
失業保険の受給要件における「失業の状態」とは、次のすべてを満たした状態を指します。
- 就職しようとする前向きな意思を持っている
- 健康面や環境面で、いつでも就職する能力がある
- 積極的に仕事探しをしているが、現在職業に就いていない
失業保険は「雇用保険」とも呼ばれ、失業した期間の収入を補償する目的で支払われます。
退職から一定期間、前職の収入を基準に算定した額が支給されます。
ただし、原則として「離職前の2年間に、12ヶ月以上の被保険者期間がある」ことが必要です。
【ケース別】看護師が転職を成功させるためのコツ
看護師が転職する際は、自身の経験年数や経歴を加味しながら転職活動をする必要があります。
今回は、看護師の転職先の選び方、考え方について、経歴別にまとめました。
看護師1年目の転職先は教育体制を考慮して選ぶ
看護師1年目は、まだ自分のスキルや経験がないことが多いため、転職先でも様々な経験を積む必要があります。
そのため、転職後も先輩や上司から適切なバックアップをしてもらうために、教育体制が充実した病院への転職を考えるべきでしょう。
経験が浅い看護師への教育体制として代表的な制度としては、「プリセプターシップ」があります。
この制度は、エルダーと呼ばれるベテランの看護師、プリセプターと呼ばれる3~5年目程度の看護師が、プリセプティである新卒看護師に教育する方法です。
ほかにも、新人が所属病棟以外の病棟を短い期間でローテーションしながら研修を受ける「ジョブローテーション」という制度もあります。
1年目で転職を考えている方は、このように教育制度が充実した転職先を選定すると良いでしょう。
2年目以降は看護師としての専門性を活かせる転職先を
看護師として現場で経験を積んだ人であれば、転職先はより専門性を活かせる場所にするのが良いでしょう。
ここでは、それぞれの専門別に転職のコツを解説します。
内科
内科は緊急対応が少なめで、患者さんと密なコミュニケーションを取ることが必要です。
そのため、病院内での高いコミュニケーション能力が求められます。
また、内科疾患は消化器系・循環器系・腎臓系などがあり、幅広い知識が求められます。
転職後も、こうした広範な知識を学ぶ意欲がある人が向いているといえるでしょう。
麻酔科
麻酔科では、医師の指示に従いつつ、患者さんのペインコントロールを担います。
また、医師の指示を仰ぎながら、患者さんに鎮痛薬の指導をすることも求められる場合があります。
麻酔科は専門性が高い領域であり、広く浅くというよりは、特定分野を深く学ぶことが求められます。
小児科
小児科は、子どもの患者さんを診るため、成人とは異なる身体の特徴をよく理解しておく必要があります。
また、子どもやその保護者を相手に会話をすることが多いため、看護師は不安のケアなども含めた経験が必要です。
小児科における看護師の仕事内容については、以下の記事で解説していますので、合わせて読んでみてください。
整形外科
整形外科では、患者さんの体の不調やトラブルに向き合います。
患者さんは、加齢や事故による不調から、スポーツ中の怪我まで、様々な原因で来院します。
身体に関する高い専門知識と経験が求められるため、積極的に勉強できる看護師に向いている職場です。
産婦人科
産婦人科では、医師や助産師のほかに、看護師も働いています。
産婦人科では、助産師は赤ちゃんを取り上げる作業である分娩の介助、産前の妊婦健診や生活指導などを担います。
一方で、産婦人科における看護師の業務は、妊産婦のケア、助産師の指示によるサポートなどが挙げられます。
新生児を扱う現場は限られているため、産婦人科ならではの経験を積むことができます。
皮膚科
皮膚科では、内服薬や軟膏を扱うため、これらの薬などの知識や使用経験が求められます。
また、美容皮膚科では、美容に特化したケアや手術の介助をおこなうことで、専門性を高めることができます。
泌尿器科
泌尿器科は、泌尿器に関する炎症やがんなど、幅広い病状の治療に携わります。
頻尿や膀胱炎などは、高齢者層の来院も多く、泌尿器に関する専門的な知識が必要です。
口腔外科
口腔外科は、歯や舌など、口腔に関する治療やケアをおこなう専門的な領域です。
歯科は虫歯や歯周病の治療を専門におこないますが、口腔外科は親知らずの抜歯やインプラントの治療、口腔内の抗がん治療など、幅広い治療・ケアを担います。
そのため、口腔外科への転職は、これらの知識や経験が必要です。
精神科
精神科の病院は看護師にとってはやや特殊で、患者さんとの付き合いが長期化することが一般的です。
また、ほかの診療科とは異なり、身体だけでなく患者さんごとの特性をよく理解し、コミュニケーションを図ることが求められます。
医療や看護に関する手先の技術よりも、経験が重要視される現場でもあります。
精神科での看護師の仕事については、以下の記事で解説しています。
病院以外の勤務先も視野に入れる
看護師1年目は病院勤務がほとんどですが、2年目以降の経験者であれば、病院以外を転職先として視野に入れても良いでしょう。
なかでも、自宅を訪問してケアをおこなう訪問看護は、看護師としての経験を活かしながら、病院以外で働けます。
また、訪問看護には夜勤はなく、比較的少人数でケアをおこなうため、病院勤務時のような集団での行動はあまり求められません。
そのほかにも、有料老人ホームや保育園、各種施設勤務などが考えられます。
病院以外の転職先については以下の記事で紹介していますので、合わせて読んでみてください。
看護師を辞めて別の仕事に転職する場合の注意点
看護師を辞める際には、転職活動を成功させるという意識もその時点で持っておくことが大事です。
早めにその意識を持っておくことで、対策が取りやすく、辞めるべき適切なタイミングについても掴みやすくなります。
例えば退職理由は転職活動でほぼ確実に聞かれることですし、新しいスキルを身に付けるには相当の期間を要します。
- 看護師を本当に辞めるべきか考える
- 退職理由を明確にする
- 転職後のキャリアプランを決めておく
- 新しいスキルを身に着ける
- 希望する業界や会社のOB・OGに相談する
- 看護師転職サイトを活用する
看護師を本当に辞めるべきか考える
看護師は、心身ともにきつい仕事であり、辞めたいと思う人も多いです。
しかし、看護師が高い需要のある職業であることも確かであり、比較的安定性の高い職種でもあります。
また、若い時期から高い収入を得ることも可能な職種ともいえます。
思い付きで判断するのではなく「今後のキャリアプラン」「転職後の収入」「職場環境」などを考慮し、本当に看護師を辞めるべきかを考えることが大事です。
また、異業種への転職だけでなく、看護師としての転職も考えてみると良いでしょう。
もし看護師を辞めて違う仕事に転職したい場合には、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせて読んでみてください。
退職理由を明確にする
転職の面接では「なぜ前職を辞めるのか」と退職理由を聞かれます。
そのため、面接時に回答に困ることがないよう、どのように答えるのかをシミュレーションしておくことが大事です。
また、退職理由はただ正直に答えるだけでなく、相手方が受け取る印象も考慮して考える必要があります。
嘘の内容となってはいけませんが、あまりマイナスの印象を与えるような形ではなく、ポジティブに捉えられる内容で退職理由をまとめておくことが大事です。
転職後のキャリアプランを決めておく
看護師としてのキャリアは、異業種に転職することで一変する可能性があります。
転職前には今後のキャリアプランを見直しておき、転職後の方向性を明確にしておきましょう。
そうすることで、転職活動の方向性が定まり、効率的に転職活動を進めやすくなります。
転職時の面接でも、目指しているキャリアをうまく伝えられるようになり、好印象を与えやすいことでしょう。
看護師のキャリアプランについては以下の記事で解説しています。合わせて読んでみてください。
新しいスキルを身に着ける
転職するまでに一定の期間がある場合は、次の仕事に役立つスキルや資格の獲得に努めましょう。
看護師として培ったスキルが、転職先で必ずしも生かせるとは限りません。
特に、看護師以外の異業種に転職する場合は、新しいスキルの獲得にも積極的に取り組むことが大切です。
希望する業界や会社のOB・OGに相談する
看護師以外の仕事に転職する際には、希望の業界や会社に属するOB・OGに相談することも有効です。
実際にその業界で働いた経験のあるOB・OGだからこそ知っている情報もあります。
例えば、希望業界における一般的な仕事内容は、インターネットで検索すればある程度は調べられます。
しかし、特定の会社の雰囲気、その業界で求められるスキルや適性については、現場で実際に働いている人に聞かないとわからない部分も多いです。
そのため、OB・OGも上手く活用して、事前の情報収集に努めましょう。
看護師転職サイトを活用する
転職活動をする際には、看護師転職サイトを活用するのがおすすめです。
看護師転職サイトでは、希望条件に沿った求人を簡単に見つけられ、効率的に転職活動を進められます。
履歴書・職務経歴書の添削や、面接対策などの転職サポートを実施しているサイトも多いです。
なかには、面接への同行や、面接日程の調整等もフォローしてもらえるサイトもあります。
初めての転職活動でうまく進められるか不安な人には、看護師転職サイトを活用して転職活動を進めるのがおすすめです。
しかし、転職サイトによって強みとする領域は異なるため、どの看護師転職サイトを使えば良いかと悩む人も多いはずです。
そこでこの記事の最後に、マネ会がおすすめする看護師転職サイト3選を紹介していきます。
看護師を辞めたい人におすすめの転職サイト3選
看護師を辞めて別の職種に就く人、看護師になる人、いずれにも対応した転職サイトを以下で紹介します。
- 看護roo!
- レバウェル看護(旧:看護のお仕事)
- ナース人材バンク
ここで紹介する看護師転職サイトは、どれも無料で利用できます。
保有している求人もサイトによって異なるため、複数の転職サイトを同時に利用して、自分に合った求人を見つけるのがおすすめです。
それでは、看護師を辞める時におすすめの転職サイトをそれぞれ紹介していきます。
看護roo!
看護roo!は、看護師に特化した求人サイトです。
看護roo!では、掲載求人数が約42,000件と非常に多く、看護師に関する様々な情報を得ることができます。
また、単に求人情報を掲載しているだけでなく、掲示板機能や用語辞典等の機能も充実していることから、転職に関する情報収集を目的に利用することもできます。
また、ほかの看護師の給料明細をチェックすることもでき、給料の相場を把握するのにも役立ちます。
レバウェル看護(旧:看護のお仕事)
レバウェル看護も、看護師専門の転職サイトです。
求人情報に加えて、看護師に関する様々な情報もレバウェル看護からチェックすることができます。
看護師に関する総合支援サービスであり、看護師の転職支援、とりわけアドバイザーの対応に関して高い評価を得ています。
サイト内には「職場インタビューあり」の求人が掲載されていますので、実際に働く前に、その現場で働いている人たちの声を聴くことができます。
インタビュー記事が掲載されていることもありますので、志望する施設について丁寧に調べたい方におすすめです。
ナース人材バンク
ナース人材バンクは、年間10万人以上の看護師が利用する看護師転職サイトです。
ナース人材バンクでは、キャリアパートナーという相談役を担ってくれるスタッフが在籍しており、看護師転職の専門知識を持ったスタッフが転職をサポートしてくれます。
さらに、看護師専門で地域専任のキャリアパートナーが労働条件の交渉もおこなってくれるため、好条件の転職を必ず実現させたいならおすすめのサービスです。
まとめ
看護師は辛く大変な仕事で、辞めたいと感じる人も多いです。
仕事の責任も重く、ほかの看護師とコミュニケーションがうまく取れなければ、精神的、肉体的にも大きな負担がかかり、辞めたいと感じることでしょう。
今すぐに辞めたいと思い悩む人もいるかもしれませんが、そうでない場合は、転職に向けて事前準備をしながら進めていきましょう。
転職活動を成功させるために資格取得を目指したり、スキルを磨いたり、できるだけ良い環境の職場で働くには、それ相応に求められる人材にならなければなりません。
看護師の仕事を辞めたいと悩んだ際には、看護師転職サイトを活用して、自分に合った求人を見つけてみましょう。
希望条件に近い求人を見つけられ、手厚い転職サポートも受けられることで、きっと納得のいく転職ができることでしょう。
気になるけど、なかなか話しづらい。けどとても大事な「お金」のこと。 日々の生活の中の身近な節約術から、ちょっと難しい金融知識まで、知ってて得する、為になるお金の情報を更新していきます。