夜勤なしで働く看護師の年収は?メリット・デメリットや夜勤なしのおすすめ職場も紹介

「看護師といえば夜勤がある」というイメージが強い方も多いと思います。
夜勤に対しては、「昼夜逆転してしまう」とか「労働時間が長い」など、悪いイメージを持っている方も多いでしょう。なかには、「夜勤は絶対にしたくない」と考えの方もいると思います。
そこで本記事では、夜勤なしの場合の年収やメリット・デメリットについて解説していきます。加えて、夜勤なしで働ける職場も紹介していきます。
そのため、「夜勤はしたくない」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
【夜勤なし看護師】年収について
日本看護協会が公表した「2021年病院看護・外来看護実態調査」によると、看護師の平均月収は320,846円となっています。
しかし、上記の月収は、「8日分の夜勤手当」と「40時間分の深夜手当」を受けた仮定で算出されている数値です。
320,846円から夜勤手当と深夜手当を引くと、平均月収は264,493円になります。
つまり、「夜勤あり」と「夜勤なし」を比較した場合、同じ時間働いたとしても年収にして676,236円の差があるのです。
このことから、夜勤なしの看護師は年収が低いと言えます。
【夜勤なし看護師】メリット
夜勤なしの看護師のメリットは以下の3つです。
- 体調を崩しにくい
- 友人や家族との時間を作れる
- プライベートな時間を作れる
それぞれについて解説していきます。
体調を崩しにくい
看護師の夜勤は、3交代制であれば24時~9時まで、2交代制であれば16時~9時までです。そのため、昼夜逆転の生活になり、体内時計が狂ってしまいます。
体内時計が狂ってしまうと、疲労を感じやすく、食欲や集中力の低下などを引き起こします。また糖尿病や肥満症、睡眠障害などの病気が発症しやすいです。
夜勤なしの看護師の場合、体内時計が狂わないため、上記の問題が発生するリスクがありません。
友人や家族との時間を作れる
夜勤をおこなうと昼夜逆転の生活になるため、友人や家族と時間が合わずに関係が崩れてしまう可能性があります。
しかし、夜勤なしの場合であれば、友人や家族との時間を作りやすいため、私生活が充実します。
プライベートな時間を作れる
夜勤なしの場合、プライベートな時間を確保できるため、資格の勉強などをおこなえます。
「夜勤をおこなっていても、夜勤前や終わりにプライベートな時間を作れる」と考える方もいると思います。
しかし、昼夜逆転してしまうと集中力の低下やモチベーションの低下を引き起こすため、日勤の場合よりも効率が下がってしまいます。
また、睡眠障害を引き起こすため、十分に体力を回復できず、何もせずにぼーっとする時間が増えてしまうでしょう。
【夜勤なし看護師】デメリット
夜勤なしの看護師のデメリットは以下の3つです。
- 年収が低い
- 採用されにくい
- 昇格しにくい
それぞれについて解説していきます。
年収が低い
前述したとおり、夜勤なしの場合は夜勤ありと比較して、同じ時間働いたとしても年収にして約70万円ほどの差があります。
夜勤には、「深夜手当」といって通常の労働の1.25倍の割増賃金を支払われる手当があります。また、病院によっては「夜勤手当」といって1回の夜勤ごとに支払われる手当があります。
夜勤なしの場合、これらの手当を受けられないため、同じ業務をこなしていたとしても年収に差ができてしまうのです。
しかし、仕事前や終わりに資格の勉強などをおこない、より高度な業務をこなせるようになれば、年収を上げることも可能です。
採用されにくい
日本看護協会が公表した「2021年病院看護・外来看護実態調査調査」によると、「職場に夜勤はない」と回答したのは4.1%でした。また、「職場に夜勤はあるが現在はしていない」と回答したのは8.1%でした。
つまり、そもそも夜勤がない病院が少ないことがわかります。加えて、「夜勤をしていない看護師」は12.2%しかいないこともわかります。
夜勤なしで働く場合の選択肢
- 夜勤がない病院に応募する
- 夜勤がある病院に応募して「夜勤はしないと伝える」
「夜勤がない病院に応募する」という選択をおこなった場合、夜勤がない病院は4.1%しかないため、応募できる求人が非常に少ないです。
「夜勤がある病院に対して、夜勤はしないと伝える」という選択をおこなった場合、採用担当者から悪印象を持たれる可能性が高いです。
このように、「夜勤なし」という選択をおこなった場合、働ける環境が非常に少なくなってしまいます。
昇格しにくい
夜勤がない病院の場合であれば、「夜勤をおこなわないこと」はマイナス評価にはなりません。
しかし、夜勤がある病院で夜勤をおこなわない場合は、やはりマイナス評価につながってしまいます。
夜勤があるのに夜勤をおこなわないことは、病院側の求めに応じないという意味だからです。
病院は、「深夜手当」や「夜勤手当」など、通常より多くのお金を払ってでも深夜帯に人材を求めています。その求めに応じない場合、病院側からの信頼を勝ち取ることは難しいです。結果として、昇格しにくくなります。
【夜勤なし看護師】おすすめの職場8選
夜勤なしの看護師におすすめの職場は以下のとおりです。
- 外来のみの病院
- 訪問看護ステーション
- 美容クリニック
- デイサービス
- 産業看護師
- 健診センター
- 保健所
- 治験コーディネーター
それぞれについて解説していきます。
外来のみの病院
外来のみの病院の場合、夜勤はありません。また、予約制の病院の場合であれば、残業は少ないです。
- プライベートの時間を充実させたい方
- 働く時間を固定させたい方
- 資格の勉強がしたい方
加えて、休日があらかじめ決まっているため、プライベートな予定を立てやすいです。
訪問看護ステーション
訪問看護は、看護が必要な方のいる家に定期的に訪問し、健康状態の確認や服薬の管理、緊急時の対応などをおこないます。
- 患者と近い距離で接したい方
- 臨機応変に対応できる方
- 生活支援の業務が苦じゃない方
基本的には、「主治医の指示を守っているか」を確認しながら、スケジュールのとおりに家を回ります。そのため、残業は少ないです。
美容クリニック
美容クリニックの看護師は、医療脱毛やレーザー治療など、美容に特化した知識・技術が必要になります。
- 土日や大型連休に働ける方
- 美容に関する知識・技術がある方
- コミュニケーション能力が高い方
また、患者と密にコミュニケーションを取り、望んでいる状態を明確に理解する能力も必要です。
デイサービス
デイサービスで看護師は、介護職員がおこなえない業務をこなします。
- バイタルチェック
- 服薬管理
- 家族への健康管理指導
- 軽度の外傷の処置
- インスリン注射
- リハビリの支援
また、デイサービスには医師が常勤しません。そのため、看護師が医療をおこなえる唯一の人材になります。
- 精神的なストレスが嫌な方
- 働く時間を固定させたい方
- 人の手助けをしたい方
しかし、本格的な医療を提供する場ではないため、医師並みの知識・技術が必要なわけではありません。
産業看護師
産業看護師とは、医療現場ではなく企業で働く看護師のことです。業務内容は、従業員の健康管理が主になります。
- 立ち仕事が苦手な方
- 精神的なストレスが嫌な方
- 働く時間を固定させたい方
身体的な病気だけでなく、精神的な病気にも気を配り、適切な対応をおこなう必要があります。しかし、自身で精神的な病気の治療をおこなうのではなく、カウンセラーなどに伝えることが業務になります。
健診センター
健診センターの看護師として、最も重要なスキルは「採血」です。大人数の採決を短時間でおこなわなければいけません。1人に多くの時間を使ってしまうと、健康診断全体の流れが悪くなってしまいます。
- 採血が上手な方
- 流れに沿って業務できる方
- コミュニケーションが高い方
また、健診結果のデータ入力をおこなうため、基本的なPCスキルは必須になります。
保健所
保健所は、医学的な知識を持った人材を求めていることが多いです。そのため、医師や看護師、薬剤師などの資格を持っている方は重宝されます。
近年では、コロナウイルスの流行によって、病気を予防するための健康教育の開催や各種検査・健診の実施などの需要が増えてきています。
- 安定した給料が欲しい方
- わかりやすく説明できる方
- 成果が見えなくても頑張れる方
また、保健所に務める場合、公務員として働くことになります。そのため、給料が安定しています。加えて、福利厚生や退職金が充実しています。
治験コーディネーター
治験コーディネーターの仕事は以下のとおりです。
治験コーディネーターの仕事内容
- 検査キットの管理
- 実験協力者探し
- 治験説明書の作成
- 検査結果の報告書
主に上記をおこないながら、さまざまな業務をおこないます。そのため、充実感や達成感が得られることが多いです。
- 仕事で充実感や達成感を得たい方
- 目に見える成果が欲しい方
- コミュニケーション能力が高い方
また、新しい薬の開発し、苦しんでいる方の症状を改善でき、「貢献できている」と感じられることも多いです。
【夜勤なし看護師】向いている方の特徴
夜勤なしが向いている看護師の特徴をご紹介します。
- 今すぐに高い給料はいらない方
- プライベートな時間が大事な方
- 規則正しい生活を送りたい方
それぞれについて解説していきます。
今すぐに高い給料はいらない方
「夜勤なし」と「夜勤あり」では、同じ時間働いたとしても年収にして約70万円の差ができます。しかし、この差が気にならない方は夜勤なしの看護師に向いています。
また、夜勤なしの看護師の場合、資格勉強の時間を確保できる可能性が高いです。そのため、より高度な業務をこなせる看護師になれるかもしれません。
取得が難しい資格を取って、能力が高い看護師になれば、夜勤ありの看護師と同等以上の給料をもらうことも可能です。
このことから、長期的な視点でお金を稼ぐことを目的としている方に向いています。
プライベートな時間が大事な方
夜勤ありの看護師の場合、どうしてもプライベートな時間を作ることは難しいです。
「日勤で8時間働くこと」と「夜勤で8時間働くこと」は、労働時間という意味では同じです。そのため、「プライベートな時間は平等に与えられている」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、夜勤をおこなっている場合、体内時計が狂うため、仕事がない時間でも活力に欠けてしまいます。そのため、日勤の看護師よりもプライベートな時間は充実しない可能性が高いです。
このことから、プライベートな時間が大事な方に向いています。
規則正しい生活を送りたい方
夜勤をおこなう場合には、必ず生活リズムが狂ってしまいます。これによって、下記の問題が引き起こされる可能性が高まります。
- 疲労を感じやすくなる
- 食欲が低下する
- モチベーションが低下する
- 高血圧になりやすい
- 肥満症になりやすい
- 睡眠障害になりやすい
- うつ病になりやすい
上記のような問題を引き起こしたくない方は、体内時計が狂わないように規則正しい生活を送り必要があります。
【夜勤あり看護師】向いている方の特徴
夜勤ありが向いている方の特徴は以下のとおりです。
- 給料を多くもらいたい方
- 昇格を目指している方
- 睡眠時間が短くても大丈夫な人
それぞれについて解説していきます。
給料を多くもらいたい方
22時~5時の間に労働した場合、「深夜手当」が適応されて、通常の労働の1.25倍の割増賃金を支払われます。そのため、日勤と同じ時間働いても、多くの給料がもらえます。
また、「夜勤手当」を採用している病院であれば、さらに給料を上げることができます。
日本看護協会が公表した調査によると、3交代制の準夜勤の場合4,154円の手当が、夜勤の場合5,122円の手当が受けられます。2交代制の夜勤の場合11,286円の手当を受けられます(※)。いずれも「1回夜勤をおこなった際に支払われる金額」です。
昇格を目指している方
また、『2021年病院看護・外来看護実態調査』によると、「職場に夜勤はない」と回答したのは4.1%で、「職場に夜勤はあるが現在はしていない」と回答したのは8.1%でした。
このことから、基本的に看護師には夜勤が求めれていることがわかります。
病院側の求めに応じて、夜勤してくれる看護師であれば、病院からの信頼を得やすく昇格しやすくなります。
特に大型連休など、ほかの看護師が休みたいときに働いてくれる人材は貴重でしょう。
睡眠時間が短くても大丈夫な方
看護師は命に係わる業務が多いです。そのため、短い睡眠時間では体調が回復できず、頭が働かない方は危険です。
一方で、短い睡眠時間、そして不規則的な生活であっても問題ない方であれば、安心して業務を任せられます。
ハーバード大学は、「睡眠時間の長さは遺伝する」と考えており、「睡眠時間の長さは、環境要因だけでなく、遺伝要因がかかわっている」と報告しています。
「夜勤を多くこなしたい」と考えている方は、遺伝子検査などを受けて、自身の睡眠について理解を深めておくとよいでしょう。
【夜勤なし看護師】失敗せず転職するコツ
失敗せずに転職するコツをご紹介します。
- アピールできる部分を見つけておく
- 職場の雰囲気を理解しておく
- 看護師専門の転職サイトを活用する
それぞれについて解説していきます。
アピールできる部分を見つけておく
前述したとおり、「夜勤をしていない看護師」は12.2%(※)しかいません。このことから、夜勤なしで働くことの難しさがわかります。
もし、どうしても夜勤なしで働きたいのであれば、「夜勤しない代わりの能力」をアピールしなければいけません。
同じ能力の人間が2人いたとして、片方は「夜勤できる」もう片方は「夜勤できない」という場合に、前者の方が求められてしまうからです。
そのため、たとえば「採血が上手」とか「取得が難しい資格を持っている」など、夜勤なしでも採用される能力をアピールする必要があります。
職場の雰囲気を理解しておく
職場の雰囲気を理解しておくことも大切です。
退職する方の理由としては、「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」「同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった」といった内容が多く見受けられるので、「人間関係」を理由に退職している人がほとんどなのです。
このことから、転職で失敗しないためには、「職場の人間関係は円滑か」を知っておくとよいでしょう。
特に、夜勤がある病院で夜勤なしとして勤務する場合、周りの看護師からよくない印象を持たれる可能性もあります。
看護師専門の転職サイトを活用する
看護師専門の転職サイトでは、自分の望んでいる条件で求人を探せます。また、エージェントが在籍している転職サイトであれば、相談に乗ってもらえます。
加えて、転職サイトが病院に訪問して情報を集めていると、求人票には載らない職場のリアルな情報を共有してもらえます。
これらの理由から、転職を考えた際には転職サイトを活用するようにしましょう。
【夜勤なし看護師】おすすめの転職サイト
以下、夜勤なしにおすすめの転職サイトです。
- レバウェル看護
- ナース人材バンク
- 看護roo!
それぞれについて解説していきます。
レバウェル看護
- 求人数が多い
- 現場の声を聞ける
レバウェル看護は、『良いところも大変なところもしっかり伝える』を理念としている看護師専門の転職サイトです。
理念のとおり、レバウェル看護をとおして転職した方にアンケートを実施し、「実際に働いてみた感想」を聞き、情報を共有してくれます。
加えて、年間4000回を超える現場訪問(※)をおこない、病院の医療方針や辞めた人の理由などの情報を集めています。そして、その情報を共有してくれるのです。
また、レバウェル看護に掲載されている求人は10万件以上(※)と非常に多く、さまざまな条件で求人を探せます。
ナース人材バンク
- 多くの方が利用している
- 求人数が多い
- 的確かつ専門的なアドバイスをもらえる
ナース人材バンクは、年間利用者数が10万人以上(※)もいます。多くの方に利用されていることは、それだけよいサービスを提供している証拠です。
また、北海道から沖縄、そして離島まで、幅広い求人を扱っています。そのため、より自分に適した求人を探しやすいです。
加えて、看護師の就職・転職支援に特化しているため、看護業界の内情を詳しく理解しています。そのため、求人票からはわからない病院の特徴などを教えてもらえます。
看護roo!
- さまざまな情報を共有してくれる
- 仲間が見つかる
看護roo!は、看護学生と若手看護師に特化したメディアです。
看護に関する知識や医療のニュース、看護用語辞典や看護技術動画など、看護に役立つ情報を共有してくれています。
また、看護学生や若手看護師が集まる掲示板があり、悩み相談や雑談などをおこなえます。仲間と同じ話題を共有できるため、1人で転職活動をおこなうより充実する可能性が高いです。
加えて、転職サイトとしても機能しており、求人を探すこともできます。
まとめ
夜勤なしの看護師の場合、同じ時間働いたとしても夜勤ありの看護師より、年収にして約70万円の差ができてしまいます。
また、夜勤をおこなわないことによって病院からの信頼を得にくく、昇格が難しくなる可能性も高いです。
しかし、夜勤なしの場合、生活リズムが狂わないため、健康的な生活を送れます。また、空いた時間を利用して資格取得を目指せば、夜勤ありの看護師よりも高い給料をもらえる可能性もあります。
キャリア形成支援を主な事業とするCareer Expertを経営。具体的には、就職・転職支援や自己理解支援、キャリアデザイン支援などを実行。その経験や専門知識を活かし、読者の役に立つ記事を執筆。
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