
看護師の給料が高い病院の特徴とは?看護師が給料を上げるコツも解説
(※)レバウェル看護公式HP 2023年2月時点
看護師は、専門的な知識や技術が必要な職業です。そのため、給料が高い傾向にあります。
しかし、看護師だからといって絶対に給料が高いわけではありません。
勤務する病院の規模やエリア、対応する業務などによって給料は異なります。
では、どのような病院に勤務すれば高い給料をもらえるのでしょうか?
本記事では、上記の疑問を解決するため、給料が高い病院の特徴について解説していきます。加えて、看護師として給料を上げるコツについても解説していきます。
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看護師の平均年収
- 看護師の給料が高い理由
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看護師の給料が高い病院の6つの特徴
- 手当が充実している病院
- 2交代制の病院
- キャリアパスが提示されている病院
- 病床数が多い病院
- ハイレベルな知識・技術が必要な病院
- 関東地方の病院
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【病院の種類別】看護師の給料について
- 国が運営している病院
- 大学病院
- 一般病院
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【都道府県】看護師の給料ランキング
- 第1位 東京都
- 第2位 滋賀県
- 第3位 山口県
- 第4位 千葉県
- 第5位 栃木県
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看護師として給料を高くする5つのコツ
- 昇格する
- 夜勤のシフトを増やす
- 手当が充実している病院に転職する
- 経験年数を高める
- 単発やスポットの仕事をする
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看護師の給料が高い病院を探せる転職サイト
- 看護roo!
- レバウェル看護
- ナース人材バンク
- マイナビ看護師
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看護師として給料以外で大事なポイント
- ワークライフバランス
- 人間関係
- キャリアデザイン
- まとめ
看護師の平均年収
看護師の平均年収は、厚生労働省が公表した『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、約499万円です。
全職業での平均年収は、約489万円となっています。男女別では、男性が約545万円で、女性が約386万円です。
日本看護協会が公表した『2021年看護職員実態調査』によると、看護師の93.5%が女性となっています。このことを踏まえると、看護師の平均年収は高いと言えるでしょう。
看護師の給料が高い理由
看護師の給料が高い理由は、手当を受けられる機会が多いからです。
看護師の平均年収から平均手当額を引くと、約460万円になります(※)。
つまり、手当だけで約40万円もあるのです。
特に下記の手当は、労働基準法によって支払うことが義務付けられており、看護師の給料を高める要因となっています。
時間外手当 |
1日8時間もしくは週40時間を超える労働について、通常の1.25倍にあたる割増賃金を支払う。 週60時間を超える労働については、1.5倍にあたり割増賃金を支払う。 |
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休日手当 | 法定休日の労働について、通常の1.35倍にあたる割増賃金を支払う。 |
深夜手当 | 22時~5時までの時間の労働について、通常の1.25倍にあたる割増賃金を支払う。 |
上記のうち、看護師の給料を高める最も大きな要因となっているのは、「深夜手当」です。
一般的な職業の場合、22時ならともかく5時まで働く機会は少ないです。一方、看護師の場合は、22時~5時まで働く機会が多いです。
そのため、看護師は「深夜手当」を最大限に活動できるのです。結果として、給料が高くなります。
看護師の給料が高い病院の6つの特徴
看護師の給料が高い病院の特徴は以下の6つです。
- 手当が充実している病院
- 2交代制の病院
- キャリアパスが提示されている病院
- 病床数が多い病院
- ハイレベルの知識・技術が必要な病院
- 関東地方の病院
それぞれについて解説していきます。
手当が充実している病院
看護師の給料が高い理由として、手当を受けられる機会が多いことを挙げました。
しかし、法的に支払う義務がある手当は、「時間外手当」「休日手当」「深夜手当」だけです。「資格手当」や「夜勤手当」などは、採用している病院でしか支払われません。
そのため、「法的義務がある手当のみの病院」と「さまざまな手当を採用している病院」では、給料に大きな差ができます。
- 認定看護師手当
- 専門看護師手当
- 診療看護師手当
- 待機手当
- 夜勤手当
上記のような手当を多く採用している病院を選ぶことで、より多くの給料をもらえます。
2交代制の病院
看護師の勤務形態には、3交代制と2交代制があります。
項目 | 日勤 | 準夜勤 | 夜勤 |
---|---|---|---|
3交代制 | 8時~17時 | 16時~1時 | 24時~9時 |
2交代制 | 8時~17時 | 16時~9時 | 16時~9時 |
勤務形態によって、上記のように夜勤の時間が異なります。
「深夜手当」は、22時~5時に適応されるため、最も活かせるのは2交代制の夜勤です。また、2交代制の夜勤は1日8時間以上の労働をおこなうため、「時間外手当」も適応されます。
この理由から、2交代制の夜勤は給料が高くなると言えます。
キャリアパスが提示されている病院
キャリアパスとは、社員が希望する役職や職務に就くために必要な条件を明確にしたものです。
キャリアパスが提示されている病院であれば、昇格に必要な条件を能動的に満たせます。言い換えれば、能動的に給料を上げられるのです。
たとえば、昇格するために特定の資格が必要であれば、その資格を取得することで給料を上げられます。
一方、キャリアパスが提示されていない病院の場合、「何をすれば昇格できるのか」が不明確なため、能動的に昇格を目指せません。
この理由から、キャリアパスを提示している病院は、給料が高くしやすいと言えます。
病床数が多い病院
日本看護協会が公表した『2020年病院看護実態調査』によると、病床数が多い病院ほど給料が高くなっています。
病床数 | 平均年収 |
---|---|
99床以下 | 約370万円 |
100~199床 | 約378万円 |
200~299床 | 約381万円 |
300~399床 | 約395万円 |
400~499床 | 約402万円 |
500床以上 | 約416万円 |
病床数が多ければ、より多くの患者を受け入れられます。したがって、より多くの看護師が必要になります。
病院としては看護師不足に陥りたくないため、給料を高めに設定して人材確保しているのだと考えられます。
ハイレベルな知識・技術が必要な病院
ハイレベルの知識・技術が必要な病院の場合、そのレベルに見合った業務をおこなえる看護師が求められます。そして、その業務に見合った給料が支払われます。
たとえば、「健康診断などの看護師」と「手術を補佐する看護師」を比較した場合、「手術を補佐する看護師」の方が給料が高いとわかると思います。
この理由から、ハイレベルの知識・技術が必要な病院は給料が高いと言えます。
関東地方の病院
関東地方の看護師の平均年収は、全体の看護師の平均年収と比較して高いです。
看護師全体の平均年収が約499万円であるのに対して、関東地方の看護師の平均年収は約517万円です。
唯一平均を下回っている茨城県を除くと、関東地方の看護師の平均年収は約525万円になります(※)。
関東地方の病院の看護師の給料が高い理由としては、人口が多いことから患者の数が多く、看護師の需要が高いことが考えられます。
【病院の種類別】看護師の給料について
病院の種類としては以下の3つがあります。
- 国が運営している病院
- 大学病院
- 一般病院
それぞれについて、給料面の解説をしていきます。
国が運営している病院
国立病院など国が運営している病院の場合、公務員として勤めることになります。そのため、給料が安定していることが特徴です。
加えて、福利厚生や退職金が充実しているため、金銭的に不満を感じる部分は少ないと思われます。
大学病院
大学病院の場合、働く病院の規模やエリアによって給料は異なります。
たとえば、大規模な病院で高度な医療を提供している場合、看護師に求められる能力も高いため、給料も高くなります。
一般病院
一般病院の場合、勤務する病院の規模やエリアによって給料は異なります。
大手の企業が運営している病院であれば、財務基盤が安定していることから、看護師の給料も高い可能性があります。
一方で、町医者のように個人で経営している病院の場合、給料が高くない可能性もあります。
【都道府県】看護師の給料ランキング
看護師の給料ランキングは以下のとおりです(※)。
- 東京都
- 滋賀県
- 山口県
- 千葉県
- 栃木県
第1位 東京都
東京都の看護師の平均年収は、約542万円です。平均月収は約38万円で、1年間の賞与などが約91万円となっています。
第2位 滋賀県
滋賀県の看護師の平均年収は、約541万円です。平均月収は約37万円で、1年間の賞与などが約103万円となっています。
第3位 山口県
山口県の看護師の平均年収は、約534万円です。平均月収は約36万円で、1年間の賞与などが約106万円となっています。
第4位 千葉県
千葉県の看護師の平均年収は、約533万円です。平均月収は約37万円で、1年間の賞与などが約86万円となっています。
第5位 栃木県
栃木県の看護師の平均年収は、約530万円です。平均月収は約35万円で、1年間の賞与などが約110万円となっています。
看護師として給料を高くする5つのコツ
看護師が給料を高くするコツは以下の5つです。
- 昇格する
- 夜勤のシフトを増やす
- 手当が充実している病院に転職する
- 経験年数を高める
- 単発やスポットの仕事をする
それぞれについて解説していきます。
昇格する
厚生労働省が公表した『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、役職者を除いた看護師の平均年収は、約479万円となっています。
役職者も含む平均年収は約499万円のため、役職者の年収が非役職者よりも高いことは明らかです。
しかし、2つの点には注意が必要です。
1つは、キャリアパスが提示されていない場合、能動的に昇格を目指しにくいことです。もう1つは、昇格先の役職が充実していない場合、すぐに年収が頭打ちになってしまうことです。
夜勤のシフトを増やす
22時~5時の労働は「深夜手当」が適応され、通常の労働に対して1.25倍の割増賃金が支払われます。そのため、日勤よりも夜勤の方が給料が高くなります。
また、2交代制の夜勤の場合、1日に8時間以上の労働をおこなうことになります。そのため、「時間外手当」が適応され、通常の労働の1.25倍の割増賃金が支払われます。
加えて、「夜勤手当」などを採用している病院の場合、さらなる給料UPにつながります。
手当が充実している病院に転職する
同じ業務をこなしていても、手当の有無によって給料が異なります。
たとえば、夜勤をおこなっている場合です。法的に支払い義務がある「深夜手当」だけなら、通常の労働の1.25倍の割増賃金だけになります。一方で、「夜勤手当」を採用している病院であれば、さらに給料が高くなります。
このように、同じ人間が働くとしても、多くの手当を採用している病院の方が給料は高くなるのです。
経験年数を高める
厚生労働省が公表した『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、看護師の経験が1~4年の場合、平均年収は約373万円です。一方で、11~14年の場合は約511万円になります。
このように、経験年数を高めることで確実に給料UPを叶えられます。
特に、国立病院や公的な医療機関の場合、公務員として勤めることになるため、継続して勤務すれば給料も上がっていきます。
単発やスポットの仕事をする
端的に言えば、副業をおこなうことで給料を上げる方法です。
看護師の場合、専門的な知識や技術が必要なため、副業であっても多くの給料をもらえます。
そのため、空いている時間を単発やスポットの仕事に充てることで、大幅に給料を上げられます。
看護師の給料が高い病院を探せる転職サイト
給料が高い転職サイトをご紹介します。
- 看護roo!
- レバウェル看護
- マイナビ看護師
- ナース人材バンク
それぞれについて解説していきます。
看護roo!
- 業界トップクラスの求人数
- 質の高いサポート
- 詳細な条件検索が可能
看護roo!は、東証プライム市場上場企業の株式会社クイックが運営する大手看護師転職サイトです。
本サイトは、登録しなくても、日本全国の看護師向けの求人案件を検索でき、勤務条件や給料の相場などをあらかじめチェックすることができます。
求人紹介はもちろん、履歴書添削や面接対策、面接日の調整などもすべてエージェントに任せることができるため、看護師になりたい方は、ぜひチェックしてみてください。
レバウェル看護
- 求人数が多い
- 現場の声を聞ける
レバウェル看護は、『良いところも大変なところもしっかり伝える』を理念としている看護師専門の転職サイトです。
理念のとおり、レバウェル看護をとおして転職した方にアンケートを実施し、「実際に働いてみた感想」を聞き、情報を共有してくれます。
加えて、年間4000回を超える現場訪問(※)をおこない、病院の医療方針や辞めた人の理由などの情報を集めています。そして、その情報を共有してくれるのです。
また、レバウェル看護に掲載されている求人は10万件以上(※)と非常に多く、さまざまな条件で求人を探せます。
ナース人材バンク
- 多くの方が利用している
- 求人数が多い
- 的確かつ専門的なアドバイスをもらえる
ナース人材バンクは、年間利用者数が10万人以上(※)もいます。多くの方に利用されていることは、それだけよいサービスを提供している証拠です。
また、北海道から沖縄、そして離島まで、幅広い求人を扱っています。そのため、より自分に適した求人を探しやすいです。
加えて、看護師の就職・転職支援に特化しているため、看護業界の内情を詳しく理解しています。そのため、求人票からはわからない病院の特徴などを教えてもらえます。
マイナビ看護師
- 求人数が多い
- 的確かつ専門的なアドバイスをもらえる
- 安心して利用できる
マイナビ看護師は、全国に専任アドバイザーを配置し、医療施設に直接訪問をおこなっています。
その際には、採用担当者の話だけではなく、現場で働く看護師からも話を聞いています。そのため、労働条件だけでなく職場の雰囲気など、さまざまな情報を取得しています。
その情報から就職・転職希望者の希望にマッチした求人を紹介してくれます。
また、マイナビ看護師は「職業紹介優良事業者」の認定を取得(※)しています。これは、78項目の厳しい審査基準をクリアしなければ認定されません。つまり、一定以上の支援をおこなってもらえることが確定しているのです。
看護師として給料以外で大事なポイント
給料以外で大事なポイントは以下の3つです。
- ワークライフバランス
- 人間関係
- キャリアデザイン
それぞれについて解説していきます。
ワークライフバランス
看護師として、給料を上げようとした際、最も簡単な方法が「夜勤を増やすこと」です。「深夜手当」は、22時~5時に適応されるため、必然的に昼夜逆転の生活になります。
昼夜逆転の生活を多く送ってしまうと、体内時計が狂って体調を崩してしまう可能性が高まります。
また、友達や家族との時間が合わず、人間関係が悪化してしまう可能性もあります。
このように、「給料を上げること」のみに注力してしまうと、私生活が疎かになってしまう可能性が非常に高いです。
そのため、夜勤を増やして給料を上げるのではなく、資格の取得や転職、副業などで給料を上げることも選択肢に入れましょう。
人間関係
人間関係が理由で転職を考える人は非常に多いです。
転職を考える理由としては、「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」「同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった」などが多いです。つまり、ほとんどが「人間関係」を理由に退職しているのです。
そのため、「給料が高いから」という理由だけで病院を選択してしまうと、人間関係に大きな不満が発生する可能性が高いです。
そうではなく、病院の内情や人間関係についても理解したうえで、病院を選んだ方が満足度は高くなるでしょう。
キャリアデザイン
キャリアデザインとは、仕事と私生活を含めて、よりよい自分を実現するための目標・計画のことです。
たとえば、「給料を上げたい」という望みでも、叶える方法はさまざまです。夜勤を増やして上げる方法もあれば、資格取得をして上げる方法もあります。また、副業によって上げる方法もあります。
このように、さまざまな方法があるなかで、「将来的にどうなりたいのか」を明確にして、実現できるように行動する必要があります。
「看護師として将来的には、より高度な業務をこなしたい」という気持ちがあれば、資格取得のための時間を多く設ける必要があります。それなのに、夜勤を増やして、私生活の時間を削ってしまっては実現しません。
もし、「お金を多く稼いで大学に入り、勉強したい」という気持ちがあれば、今すぐに勉強に取り組むのではなく、夜勤を増やしたり、副業をおこなったりしてお金を稼ぐ必要があります。
つまり、「短期的な視点」で行動するのではなく、「長期的な視点」の行動が重要なのです。
まとめ
看護師の給料は、ほかの職業と比較して高いです。その理由としては、手当を受けられる機会が多いことが挙げられます。
特に「深夜手当」は22時~5時に適応されるため、一般的な職業の場合、活かす機会は少ないです。しかし、看護師であれば夜勤があるため、活かせる機会が多いです。
また、日勤のみの勤務であっても、選択する病院によって高い給料を得られます。
たとえば、国立病院や公的な医療機関の場合、公務員として勤めることになるため、安定した収入が得れます。加えて、福利厚生や退職金が充実しているため、金銭的に不満を感じることは少ないでしょう。
このように、看護師としてキャリアアップする方法はさまざまです。もし、現状に不満があるなら、よりよい自分を実現できる病院への転職を考えてみましょう。
キャリア形成支援を主な事業とするCareer Expertを経営。具体的には、就職・転職支援や自己理解支援、キャリアデザイン支援などを実行。その経験や専門知識を活かし、読者の役に立つ記事を執筆。