【転職エージェント】 報酬の仕組みと利用するメリットについて
「転職エージェントって何で無料で利用できるの?」という疑問はありませんか?
本記事では、転職エージェントがどのように報酬を得ているのかについて詳しく解説し、上記の疑問を解決します。
また、求職者や企業が転職エージェントを利用するメリットについても詳しく解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。
【転職エージェント】報酬の仕組み
転職エージェントは、職業安定法第32条3によって、求職者から報酬を得てはいけないと定められています。そのため、求職者は無料で転職エージェントを利用できるのです。
その代わりに、人材を企業に紹介して採用に至った場合に、紹介手数料という形で報酬を受け取ります。
報酬の相場
転職エージェントが企業から報酬(=紹介手数料)を受け取る方法には、2つの種類があります。
1つは、上限手数料という方法です。上限手数料は、紹介された人材の月給に10.8%の料率をかけた金額を転職エージェントに報酬として支払うものです。最大で6ヶ月分受け取ることができます。
もう1つは、届出手数料という方法です。上限手数料は、紹介された人材の理論年収(※)に20%~35%程度の料率をかけた金額を転職エージェントに報酬として支払うものです。
届出手数料の料率は、転職エージェントが決めることができます。しかし、あまりに大きい料率には設定できません。厚生労働省に申請して「その料率でいいですよ」と許可を得なくてはいけません。
このように、転職エージェントが報酬を得る方法は2種類ありますが、得られる金額の違いから、多くの転職エージェントでは、届出手数料が利用されています。
年収500万円の人材を紹介した場合の報酬
年収500万円の人材を紹介した場合の報酬は、以下のようになります。
上限手数料で報酬を得る場合には、250万円(=6ヶ月分の金額)✕10.8%で27万円の報酬なります。
届出手数料で料率を25%に設定して報酬を得る場合には、500万円✕25%で125万の報酬になります。
報酬が支払われるタイミング
企業から転職エージェントに報酬が支払われるタイミングは、紹介した人材が企業に入社した月もしくは翌月になります。
紹介した人材が早期退職した場合
紹介した人材が早期退職した場合には、受け取った報酬のうち何%かを返金するか、代わりとなる人材を無償で紹介する必要があります。
返金に対応する期間は、一般的に3か月以内に辞めた場合に設定されています。返金する金額については、転職エージェントごとに定められています。
企業が転職エージェントを利用するメリット
企業が高い報酬を払って転職エージェントを利用するメリットは以下です。
- 人事担当者の負担を減らせる
- 面接をスムーズにおこなえる
それぞれについて解説していきます。
人事担当者の負担を減らせる
企業が自分で人材を確保する場合、多くの求職者のなかから自社に適していると思われる人材を選定する必要があります。
また、よりよい人材が集まるような場所を探し出し、求人を出さなければいけません。
加えて、求人内容についても熟考する必要があります。そのため、人事担当者の負担が大きくなるのです。
なかでも、人材の選定は企業にとって重要です。1人の人材を確保するだけでも、大きな費用が必要になるからです。もし、適していない人材を確保してしまうと、大きな損失につながります。
しかし、転職エージェントを利用すれば、プロの視点から企業に適していると思われる人材を紹介してくれます。そのため、人事担当者の負担が減るのです。
また、適していると思われる人材のなかから、採用する人材を選択できるため、より自社にとって有益な人材を確保できるようになります。
面接をスムーズにおこなえる
企業は、転職エージェントを利用することで、面接をスムーズにおこなえるようになります。
転職エージェントでは、求職者の特徴について記載した推薦状を出してくれます。そのため、初めての面接でも、求職者の人となりを理解することができるのです。
また、転職エージェントとの面談を通じて、求職者の長所や短所についても明らかになっているため、面接では、より具体的な話ができるようになります。
企業が転職エージェントを利用するデメリット
転職エージェントは、転職サイトと異なり、求人を出すために費用が必要ではありません。成果報酬型となっています。
そのため、企業が転職エージェントを利用するデメリットはないと言えます。
求職者が転職エージェントを利用するメリット
- 自己理解が深まる
- 転職のプロから具体的なアドバイスをもらえる
- 非公開求人を紹介してもらえる可能性がある
- 推薦状を出してくれるため内定率が高まる
それぞれについて解説していきます。
自己理解が深まる
転職エージェントを利用することで、自己理解が深まります。
実は、自己理解は自分1人ではおこなえません。それは、「自分では当たり前だ」と思っていることが、人から見れば長所だったり短所だったりするからです。
たとえば、日本の自動販売機を見ても、日本人は何も感じません。しかし、海外の人からすると、「外に自動販売機を置けるほど治安がいい」と感じます。
このように、客観的な視点がなければ、自分自身を理解するのは非常に難しいのです。
この客観的視点を与えてくれる人は、友だちでも親でも誰でも問題ありません。しかし、専門的な知識を有している人に意見をもらった方が、よりよい情報を得られます。
その点、転職エージェントを利用すれば、無料で転職のプロから意見をもらえるため、より深い自己理解が実現するのです。
転職のプロから具体的なアドバイスをもらえる
転職エージェントでは、履歴書や職務経歴書の作成支援や面接対策などをおこなっています。
加えて、転職に関するセミナーやイベントをおこなっている転職エージェントもあります。
それらは、転職に関する専門的な知識を有している人や大勢の転職を支援してきたプロによっておこなわれています。
そのため、自分だけで転職活動をおこなうよりも、さまざまな情報を入手できて、転職活動を充実させることができるのです。
非公開求人を紹介してもらえる可能性がある
転職エージェントは、非公開求人を保有しているところが多いです。
非公開求人とは、経営に関わる仕事だったり、極秘プロジェクトなど、ほかの人に知られたくない理由のある求人で、一般的に公開されていないものです。つまり、希少性が高くて好待遇なものが多いです。
一般的に公開されていないため、転職エージェントを利用しなければ、存在を知ることすらできません。
しかし、転職エージェントを利用すれば、その転職エージェントが保有している非公開求人を紹介してもらえる可能性があります。
推薦状を出してくれるため内定率が高まる
転職エージェントを利用すると、担当者が応募する企業に推薦状を出してくれます。
推薦状とは、履歴書や職務経歴書とは別で、担当者から見た求職者の特徴などを記載した書類です。内定を薦める内容であることが多いです。
このような書類を作成してくれるため、自分で応募するよりも内定率を高めることができます。
求職者が転職エージェントを利用するデメリット
- 転職意欲が低いと支援を後回しにされる可能性がある
- 自分のペースで転職活動ができない
それぞれについて解説していきます。
転職意欲が低いと支援を後回しにされる可能性がある
転職エージェントは、人材を企業に紹介して採用に至った場合に利益を得られます。
この性質があるため、転職エージェントは、転職意欲が高く、転職しやすい人を優先的に支援する可能性があります。
転職意欲が低いと、どれだけ手厚い支援をおこなっても、一切の利益を得られない可能性があるからです。
そのため、より手厚い支援を望む場合には、転職意欲の高さをアピールする必要があります。
自分のペースで転職活動ができない
転職エージェントを利用すると、面談をおこない、求人を紹介してもらえるまで応募できません。
そのため、転職エージェントと面談をしている時間や求人を探している間の待機時間が発生してしまいます。
また、転職エージェントは成果報酬型のビジネスモデルなため、「早く転職してほしい」と考えています。それによって、転職を急かされる可能性もあります。
転職エージェントを有効活用するポイント
転職エージェントを最大限有効に活用するには、以下のポイントを抑えておく必要があります。
- 横柄な態度を取らない
- 担当者の質を見極める
- 複数の転職エージェントを利用する
それぞれについて解説していきます。
横柄な態度を取らない
転職エージェントを利用する際には、横柄な態度を取らないようにしましょう。最悪の場合、求人を紹介されなくなってしまいます。
転職エージェントは、企業に人材を紹介して採用に至った場合に利益を得られます。求職者から利益を得ることは、職業安定法第32条3によって、禁じられています。
つまり、転職エージェントにとってのお客さんは、求職者ではなく、企業なのです。
そのため、求職者が横柄な態度を取ってしまうと、お客さんである企業に紹介できなくなってしまいます。それは、質の悪い商品をお客さんに売ることと同義だからです。
横柄な態度の求職者を企業に紹介してしまうと、企業からの信頼を失う可能性が高く、事業を継続させることが困難になってしまいます。
担当者の質を見極める
転職エージェントには、多くのキャリアアドバイザーが在籍していて、質にも差があります。
多くの求職者を支援してきたキャリアアドバイザーや専門的な資格を有しているキャリアアドバイザーなどの質が高い人もいれば、経験が浅く、知識もないキャリアアドバイザーもいます。
もし、質の低いキャリアアドバイザーが担当者になれば、支援内容も質が悪くなってしまいます。
また、転職エージェントは成果報酬型のビジネスモデルであるため、「とにかく利益を得たい」と求職者に適していない求人を紹介してくる場合もあります。
このように、担当者の質によって、支援内容や紹介求人も変わってくるため、担当者の質を見極めることは、転職エージェントを最大限有効活用するうえで重要です。
複数の転職エージェントを利用する
転職エージェントを有効活用するには、複数の転職エージェントを利用することをおすすめします。
それぞれの転職エージェントには、それぞれの特徴があります。さまざまな業界・職種に対応しているものや特定の業界に特化しているものなどがあります。
また、多くの年齢に対応しているものや特定の年齢に特化したものなどもあります。
これらの転職エージェントを組み合わせて利用することで、それぞれの転職エージェントの長所を活かし、短所を潰すことができます。
この理由から、複数の転職エージェントを利用することをおすすめします。
おすすめの転職エージェント
- doda
- リクルートエージェント
- マイナビエージェント
それぞれについて解説していきます。
doda
- 転職者の満足度No.1(※)
- 業界最大級に求人を保有
- 質の高い支援を実施
doda最大の特徴は、転職者の満足度がNo.1であることです。
その理由は2つあります。1つは、業界最大級に求人を保有していることです。もう1つは、質の高い支援を実施していることです。
多くの求人を保有していることは、求職者にとって転職先の選択肢が多いことや新しい職業に挑戦するチャンスが増えることに直結します。
また、以下の支援を実施することによって、求職者の転職活動を手厚くサポートしてくれるため、よりよい転職活動がおこなえるようになります。
- キャリアカウンセリング
- 書類作成支援
- 自己理解支援
上記のようにdodaでは、キャリアアドバイザーと企業プロジェクト担当者という2種類のプロから支援を受けることができます。
キャリアアドバイザーの支援によって、自分の望みや特徴を明確化できます。それによって、より自分に適した職種を選択できるようになります。
企業プロジェクト担当者の支援によって、企業の中身を明確に理解できます。それによって、よりよい環境の企業を選択できるようになります。
dodaには、このような特徴があるため、「自分の望みが明確でない」というような方でも効果的に利用できる転職エージェントになっているのです。
- 企業1社ごとに1人の担当者が在籍
- 企業の人事と同じ視点でのアドバイス
- 企業との条件交渉
リクルートエージェント
- 転職支援実績No.1(※)
- 業界最大級に求人を保有
- 各業界に精通したキャリアアドバイザーが在籍
リクルートエージェント最大の特徴は、転職支援実績がNo.1であることです。
その理由は2つあります。1つは、業界最大級に求人数を保有していることです。もう1つは、各業界に精通したキャリアアドバイザーが在籍していることです。
求人を多く保有していることは、求職者にとって転職先の選択肢が多いことや新しい職種に挑戦するチャンスが多いことに直結します。
そして、各業界に精通したキャリアアドバイザーが在籍していることによって、求職者のスキルや希望、特徴などに適した求人を紹介できるようになっています。
業界に精通していないキャリアアドバイザーではできないような専門的なアドバイスや業界の内情を求職者が知れることによって、より転職しやすい環境を整えているのです。
このような質の高い支援をおこなうことによって、転職支援実績でNo.1を獲得しています。
マイナビエージェント
- 各業界に精通したキャリアアドバイザーが在籍
- 企業担当アドバイザーが在籍
マイナビエージェントでは、各業界に精通したキャリアアドバイザーと企業担当アドバイザーの2種類のプロから支援を受けることができます。
キャリアアドバイザーは、面談をとおして求職者を分析し、多くの求人のなかから最も適していると思われる求人を紹介してくれます。
そのため、「どんな仕事がしたいのかわからない」という転職軸が明確でない方でも、有効活用できる転職エージェントです。
そして、企業担当アドバイザーは、企業の人事とのやりとりをとおして、求人票からはわからない職場のリアルな雰囲気を教えてくれます。
そのため、転職が成功した後に「想い描いていたのと違う」というギャップを感じづらく、満足度の高い転職が実現する可能性が高まります。
このようにマイナビエージェントでは、視点が異なる2種類のプロから支援を受けられるため、よりよい転職が実行可能になるのです。
転職エージェントを利用する流れ
- 公式サイトから登録する
- 面談日程を決める
- 面談をおこなう
- 求人の紹介を待つ
- 紹介された求人に応募する
それぞれについて解説していきます。
公式サイトから登録する
転職エージェントには、さまざまなものがあります。そして、それぞれ別の特徴を持っています。
大別すると、さまざまな業界・年齢に対応した総合型の転職エージェントと、特定の業界・年齢に特化した特化型の転職エージェントがあります。
もし、転職したい業界が明確であれば特化型を選択し、何も決まっていなければ総合型を選択するとよいでしょう。
このように、自分に適していると思われる転職エージェントを探して登録しましょう。
面談日程を決める
転職エージェントの選択を終えて登録したら、面談の日程を決めます。
転職エージェントを利用する場合、面談で求職者の特徴や希望をヒアリングしてから求人紹介に移るため、早めに面談をおこなった方がいいでしょう。
面談を先延ばしにしてしまうと、転職活動が進まなくなります。
面談をおこなう
決定した面談日程に転職エージェントとの面談をおこないます。
面談では、自身のキャリアを振り返ったり、長所や短所について聞かれるため、事前に答えを考えておきましょう。もし、答えを準備していなければ、大事な面談の時間が無駄になってしまいます。
また、転職したい企業の特徴などの転職軸を明確にしておくことも重要です。
面談で、求職者の特徴や希望をヒアリングして、それに適した求人を定してくれるため、希望が曖昧なままだと、よい求人を紹介してもらいづらくなります。
転職エージェントとの面談で無断欠席や遅刻などをおこなうと、転職エージェントとの信頼関係を築けず、よい求人を紹介してもらえなくなる可能性があるため注意が必要です。
もし、どうしても決定した面談日程に面談をおこなえない場合には、事前に連絡をして、転職エージェントの了承を得ておきましょう。
求人の紹介を待つ
転職エージェントとの面談を終えたら、求人を紹介されるまで待機しましょう。
より適した求人を紹介しようと努力してくれるため、少し時間がかかる可能性もあります。
また、伝えた条件が厳しければ厳しいほど時間がかかることも覚えておきましょう。
紹介された求人に応募する
最後に紹介された求人に応募します。
利用する転職エージェントによっては、応募する企業に特化した面接対策などをおこなってくれる場合もあります。
また、履歴書や職務経歴書の作成支援をおこなってくれるため、転職エージェントとの信頼関係を維持できるように努めましょう。
まとめ|転職エージェントは成果報酬
転職エージェントは、求職者からではなく企業から報酬をもらっているため、求職者は無料でサービスを利用できるのです。
しかし、無料だからといっていい加減な利用をしていては、転職エージェントを有効活用できません。「有料でサービスを受けている」と思って、担当者と接することをおすすめします。
キャリア形成支援を主な事業とするCareer Expertを経営。具体的には、就職・転職支援や自己理解支援、キャリアデザイン支援などを実行。その経験や専門知識を活かし、読者の役に立つ記事を執筆。