ICチップ付きクレジットカードの意味を解説!磁気ストライプカードとの違いも
ICチップ付きクレジットカードとは、金属製のICチップに情報が記録されているカードのことです。
従来の磁気ストライプカードと比べセキュリティ面で優れていますが、ICチップが破損するとクレジットカード自体が使えなくなるというデメリットも存在します。
この記事では、ICチップ付きクレジットカードの基本に加えメリットやデメリット、利用する際の注意点を解説していきます。
「ICチップ付きクレジットカードって何?」「これからはICチップ付きのカードじゃなきゃダメなの?」といった悩みにもお答えしますので、クレジットカードユーザーの方はぜひチェックしてください。
ICチップ付きクレジットカードとは?
ICチップ付きクレジットカードとは、金属製のチップが付いたクレジットカードです。ほとんどのクレジットカードでは、ICチップがカード表面左中央部分に搭載されています。
ICチップ付きクレジットカードでは、カード作成時に決めた暗証番号のみで決済をおこないます。
現在はICチップ付きカードが増えていますが、古いクレジットカードの場合、カード裏面丈夫に黒いストライプ上のラインがついている磁気ストライプカードが一般的で、ICチップ搭載のものは多くありません。
しかしICチップは、磁気ストライプカードと比べてより多くの情報を入れることができます。ICチップには、個人情報に加え、カード番号や有効期限などが詰め込まれています。
ICチップ搭載クレジットカードの歴史
ICチップ搭載クレジットカードが作られるようになったのは、多発するスキミング被害に対応するためでした。従来の磁気ストライプカードでは、「スキマー」という機器を近づけるだけで簡単にクレジットカード情報を盗めてしまうため、不正利用される事件があとを絶たなかったのです。
そのため1993年、カード大手のEuropay・Mastercard・VISAがICカードの共通仕様開発に合意し、スキミングされないカードとして「ICチップ搭載クレジットカード」の開発を始めたのです。
しかし、従来の磁気ストライプカードからICチップ搭載クレジットカードへと切り替える導入コストはクレジットカード発行会社にとって大きく、なかなか普及が進みませんでした。
そこでヨーロッパ各国、アメリカなどの政府は「ICチップ非対応のカードで起きた不正利用をカード会社が保証しなければけない」というライアビリティシフトという決まりを適用させ、ICチップ搭載クレジットカードの普及に努めました。
こうして今、ヨーロッパやアメリカではICチップ搭載クレジットカードの普及率は100%近くなっています。日本でも2020年までにICチップ搭載クレジットカードの普及率を100%にするという目標を掲げ、政府が様々な対策を取っています。
ICチップと磁気ストライプカードの違い
ICチップと磁気ストライプカードの違いとして挙げられるのは、セキュリティ面です。磁気ストライプカードはスキマーを近づけるだけで情報が読み取られてしまうので、セキュリティ面は脆弱と言わざるを得ません。
一方でICチップのクレジットカードは、ICチップの複製が困難です。そのため万が一クレジットカードが盗まれた場合でも、不正利用がしにくいというメリットがあります。クレジットカードに関する犯罪は日々増加していますので、セキュリティ面で優れたICチップの導入が進んでいます。
ICチップ付きクレジットカードを使うメリット
ICチップ搭載クレジットカードには、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからはICチップ付きクレジットカードを利用する利点を6つ、紹介していきます。
- スキミングされにくい
- カードが偽造されにくい
- 読み取りエラーが起きにくい
- 暗証番号がバレる危険性が少ない
- サインを書く手間がかからない
- アジア圏やアメリカ、ヨーロッパで決済しやすい
スキミングがされにくいので不正利用の頻度が減る
スキミングとは、クレジットカードの磁気情報を読み取ることです。磁気ストライプのカードではこのスキミングによる不正利用の被害が多発していました。
しかしICチップ付きクレジットカードは、スキミングによって情報を盗むことはできません。ICチップに情報を記録することで、スキミングされなくなるのです。
ただし現状、日本ではICチップ対応の店が多くないことから磁気ストライプ、ICチップが両方搭載されているカードが主流となっています。
そうしたカードは磁気ストライプ部分でのスキミングが可能なため、不正利用されないようクレジットカードの持ち運びには注意しましょう。
カードが偽造されにくい
ICチップ付きカードは、チップ部分が金属製で製造過程も複雑なため、磁気ストライプのカードと比べ偽造が困難です。
また、ICチップに入っている情報量が非常に多いことから、お店で使える偽造カードを作ることはほぼ不可能でしょう。ICチップ搭載クレジットカードなら、偽物のカードによる不正利用も防げるのです。
読み取りエラーが起きにくい
ICチップ搭載クレジットカードは磁気ストライプカードと比べ、読み取りエラーが起きにくくなっています。
従来の磁気ストライプカードでは、強い電波を発する電子機器(携帯電話やPC)の近くに置いた場合、磁気に問題が起き、カードの情報が読み取れなくなることもありました。
しかしICチップ搭載クレジットカードなら、電子機器の近くにおいても影響はないので読み取りエラーが起きにくくなっています。
暗証番号がバレる危険性が少ない
ICチップ付きクレジットカードでは、サインではなく暗証番号をお店の端末に入力して決済をおこないます。そのため、「もしカードを落としたら暗証番号がバレて不正利用されるのでは?」と不安になる方もいるでしょう。
しかしその心配はありません。ICチップ付きカードは特殊なつくりをしており、クレジットカードを落としただけで暗証番号がバレてしまうことはありません。
サインを書く手間がかからない
磁気ストライプのみのカードの場合、決済の時に自筆のサインが必要でした。いちいちレジでサインを書くのが面倒くさいという理由で、クレジットカードの利用を避けていた方は多いのではないでしょうか。
しかしICカードでは、お店の端末に暗証番号を入力するだけで決済可能です。そのため、自筆のサインを書く手間が減り、スムーズに決済することができます。
ただし現在、日本ではICチップ搭載クレジットカードに対応していないお店もあるので、場合によってはサインが必要です。しかし多くのお店で簡単に決済できるのは、従来のカードと比べて大きなメリットだといえるでしょう。
アジア圏やアメリカ、ヨーロッパで決済しやすい
ICチップ搭載クレジットカードがあれば、中国やアメリカ、ヨーロッパなどでクレジットカードをつかうことができます。
欧州、アメリカ、中国や韓国などでは現在、ICチップ搭載クレジットカードにしか対応していない店も多いです。そのためICチップ搭載クレジットカードがなければ、海外で買い物ができない可能性もあるのです。
海外出張や海外旅行に良く行くという方は、ICチップ搭載クレジットカードを持っていくのが無難です。
ICチップ付きクレジットカードを利用するデメリット
しかし、ICチップ付きクレジットカードを使う際には、注意しておかなければいけない点も存在します。
ここからはICチップ搭載クレジットカードのデメリットと、その解決方法をご紹介します。
- ICチップを綺麗に保つ必要がある
- ICチップが故障したらカードを交換しなければならない
- ICチップ搭載クレジットカードが使えない国もある
ICチップを綺麗に保つ必要がある
セキュリティ面で強いICチップですが、チップの部分が汚れてICチップが読み取れなくなると決済できなくなります。
ICチップはサビには強いものの、汚れや傷、ほこりには弱いので定期的にケアをしなければいけません。
ICチップをケアするといっても、特別な処理をする必要はありません。
ICチップの部分に傷が入らないよう財布の中で丁寧に保管する、汚れが目立ってきたら乾いた柔らかい布で少し拭き取るなどで十分です。
ICチップが故障したらカードを交換しなければならない
もしICチップに傷が入ったり、故障したりするとICチップが読み取れなくなることがあります。
他にも、とても熱い場所に置きっぱなしにしていたり、カードに強い力を加えて変形させてしまったりすると、ICチップが変形してしまいます。
ICチップが故障してしまった場合、カード会社に連絡して再発行の手続きをおこないましょう。
ICチップ搭載クレジットカードが使えない国もある
現在では先進国を中心に、ICチップ搭載クレジットカードが利用できるようになっています。
一方、まだICチップ搭載クレジットカードの普及が進んでおらず、磁気ストライプカードしか使えないという国もあります。特にアフリカや南米など特定のエリアでは、ICチップ搭載クレジットカード自体が普及していません。
そのため、世界中様々な国に行くという人は、ICチップと磁気ストライプ、両方が搭載されたカードを持っていかなければ決済ができません。
ICチップ付きクレジットカードに関するまとめ
ここまでICチップ付きクレジットカードについて紹介しました。内容をまとめると以下のようになります。
- ICチップ付きクレジットカードはスキミングなどの犯罪に強い
- 世界的にICチップ付きクレジットカードに切り替える傾向にあり、日本でも切り替えが進んでいる
- ICチップ付きクレジットカードを利用する場合、ICチップを清潔に保つよう心がける
ICカードは、今後世界標準になると考えられます。ICチップ付きクレジットカードは、利便性に加えセキュリティ面でも従来の磁気ストライプカードとより優れているからです。
「カードの不正利用が心配」「海外で不便なくクレジットカードを使いたい」という方は少しでも早くICチップ付きクレジットカードに切り替えましょう。
磁気ストライプカードしか持っていない方は、ぜひこの機会に新しくクレジットカードを作ってみてください。
金融・ビジネス分野を中心にライティング活動を行う専業ライター。大学は経済学部を卒業しており、交通経済学専攻だった。ビジネスとは直接関係していないが旅行好き。大学時代は一人で日本一周をしたことがある。しかし日本一周の経験は現在の仕事でさほど生かされていない。ポイントを集めるのが好きで、ポイントカードを100枚以上持っている。お店でポイントカードを作るか聞かれると必ず作ってしまう。