未来が明るい業界はどこ? 給与が上がった仕事、下がった仕事とこれから伸びる仕事

未来が明るい業界はどこ? 給与が上がった仕事、下がった仕事とこれから伸びる仕事

皆様の会社のお給料日は何日でしょうか? 弊社は毎月25日が給料日です。給料日になると「間違って社長のお給料が振り込まれてないかな~」なんてバカなことを考えながら預金残高を確認してみますが、いつもきちんと振り込まれております。チッ

会社員であれば毎月きちんとお給料が振り込まれていることを、つい当たり前のように感じてしまいますが、収入が不安定な自営業の方と比べると、それはもう大変有り難い話です。

とはいえ変化の激しい時代である昨今、いつまでも同じ会社で働き続けられる保証はありません。働き続けられたとしても、競争が激しくなりお給料が下がる……なんてこともあるかも!?

今回は今後どんな仕事の需要が増えていくのか? についてデータを基に調べてみました。

産業別規模の変動から見る分析

今後も必要とされる仕事を考える前に、過去どんな産業で働いている人が多かったのか、まず時系列で振り返ってみましょう。

上図は、各産業(大分類)別の雇用者数のデータを収集しています。こういった統計の難しいところではありますが、2002年に産業の分類基準が変わった為、1968年〜2002年までのかなり古めの結果になります。ご容赦ください。

かつて製造業は日本最大の規模を誇る産業でした。しかし1992年をピークに減少に転じ、2001年には卸売・小売・飲食業に抜かれてしまいます。調査開始時点では、製造業の半分の規模でしかなかったサービス業は、2002年には製造業の1.5倍の規模となります。

もう少し新しいデータを見てみましょう。

最新の分類では、ITの進展を反映し、情報通信業と運輸業が分離された他、規模が大きくなったサービス業を細かく分類分けをしています。



上の図の通り製造業、卸売・小売業が17%と大きなシェアをおさえています。そのほか目立つ数値は、高齢化社会を迎え益々需要の拡大が予想される医療・福祉業の11%です。わたしも関係する情報通信業は、雇用の規模はあまり大きくなく、農林業と同じくらいなんですね。

お給料から見る、“いま”熱い業界はここだ!

上記のような産業別分類だと、ちょっとくくりが大きすぎて、働く環境として将来性があるかどうかが分かりません。厚生労働省が調査している「賃金構造基本統計調査」という統計を基に、産業別ではなく業種別でより細かく見ていきましょう。

このデータは皆さんが一番気になる「お給料」についてまとめられています。ここ最近で、お給料が最も増えた業界はどこなのでしょうか? 2010年から2015年にかけて、お給料の上がった業種TOP10を見てみましょう。

1位は、金融商品取引業。ベンチャーキャピタルやファンドの運用を行うような会社がここに該当します。今回は1位でしたが、かなり浮き沈みの激しい業界のようです。



2位の郵便業は、主に郵便事業会社本体が該当し、現場の郵便局等はこれとは別に「郵便局」という区分があります。賃金が増加しているのは、郵政民営化の結果、働いている人の構成が大きく変わったことが原因だと思われます。



3位は情報通信機械器具製造業。何だか難しく聞こえますが、携帯電話・デジカメ・パソコンなどを作っている会社が該当します。製造業の空洞化が叫ばれていますが、案外デジタル機器の給与水準は良いですね。



それ以下の順位を眺めて見ると、6位、9位、10位と建設関係の業種が入っています。復興需要やオリンピック関連のため、建設業の需要が大きくなった結果でしょう。実際に現場で働いている人たちだけでなく、需要の波及効果は卸売業にまで及んでいるようです。



また5位、7位とメディア関連の業界が食い込んできています。「ペーパーレスの時代」と言われ続けてきたものの、給料だけで見ると案外悪くありません。



その他にも、いわゆるIT関連は情報サービス業が8位にランクイン。時代の流れを感じますね。



今度は反対に、お給料が下がった業種TOP10も見てみましょう。

1位は補助的金融業等。少し分かりづらいのですが、銀行や証券会社等の一般的な金融機関ではない金融業者を指します。消費者金融関系が該当しそうです。

2位は郵便局。先程取り上げた郵便業とは異なり、現場の給与水準は大きく下落しているようです。

そして3位は電気。原発問題など苦しい経営状況の中、お給料は1割近く減少しています。

4位以下を眺めていても、なんとなく需要の減少が肌で感じられる業界が多いです。


“未来”が明るい業界はどこ?

ここまでは、純粋に「給料の増減」だけを見てきました。これから目指すとすると、働いている人の数が増えていて、平均年齢が低い業種の方が良さそうですよね。この「未来が明るそうな業種」を探すために下記3つの数値を計算してみました。

「給与増加率」「雇用増加数」「平均年齢」

上記数値の業種別順位を計算し、それぞれの順位同士を掛け合わせ、値の小さかったものから順番に並べた結果が下記の表です。

トップは情報サービス業。受託開発から組込みシステムまで「IT系」をまとめた業種です。給与増加率・雇用増加数・平均年齢のいずれでもトップクラスの順位となっています。「嘘だ!」という声も聞こえてきそうですが、統計上は若い人にとって挑戦しやすい業種のように思えます。



続いて2位となったのは、インターネット付随サービス業。ネットショッピングや音楽の配信サイト、動画配信サイトなどを運営する会社がここに入ります。統計上のばらつきもありますが、ここ6年の間に雇用を数倍に増やしています。また、平均年齢でも全業種で一番若い業種となっています。



3位以下については、いままで取り上げてきた業種が多いですが、5位に医療、7位には福祉がランクインしています。平均年齢も低く、雇用者の伸び幅も大きいですが、お給料はほとんど上がっていません。政策の影響を受けやすい業種なので、財政が厳しい中、致し方ない点はあります。ただ若い世代が希望を持てるように、もう少しお給料のほうも考えてもらいたいですね。



変わりゆく時代に思うこと

おおむね、ここ6年の変化を中心に見てきましたが、皆さん6年前のことって覚えています? ちなみに2010年の新語・流行語大賞はこんな感じでした。

1.ゲゲゲの
2.いい質問ですねぇ
3.イクメン
4.AKB48
5.女子会
6.脱小沢
7.食べるラー油
8.ととのいました
9.〜なう
10.無縁社会

懐かしいですね。日経MJが発表している2010年のヒット商品番付では、スマートフォンが東の横綱、羽田空港が西の横綱でした。思えば、2010年当時のスマートフォンの普及率は10%にも届いていませんでしたが、ここ最近では「ガラケー」を探すことが難しくなるほど普及しました。いまでは当たり前のように利用されているLCCも、羽田空港の国際線旅客ターミナルの開業を皮切りに、ずいぶん身近になりました。



変化の真っただ中にいると、周囲の急激な移り変わりに気づかないことがあります。時代の中に取り残されてしまうのは、大変恐ろしいことです。ただ今回結果としての数値を見てきましたが、数値の変化ばかり追ってしまい、自分のやりたいことを実践できなくなるのは、勿体ないと思います。



常日頃からアンテナは張りつつも、時代の波に流されず、むしろ時代の波の勢いを利用して、自分のやりたいことをやり抜く。そんな生き方をしてみたいなあと思う今日この頃でございます。



ではでは、今日はこのへんで。



《参考》
賃金構造基本統計調査|厚生労働省
統計局ホームページ/労働力調査

三度の飯よりグラフが好き。87年生まれのゆとり系サラリーマン。 経済や会計をメインとした「ゆとりずむ」なるブログを書いおります。お手すきの際にでも是非!

…続きを読む

関連記事