住民税決定通知書の見方を解説!チェックすべき項目と節税につなげるポイント

住民税決定通知書の見方を解説!チェックすべき項目と節税につなげるポイント

会社員の方なら、5月~6月ごろに会社から住民税決定通知書を受けとった経験があるはず。その名を見れば住民税に関する書面であることはわかると思いますが、内容はほとんど確認していないという方も多いのでは?

この記事では、住民税決定通知書の見方やチェックポイントをわかりやすく解説。さらに、住民税を節税するヒントもあわせて紹介します。

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住民税決定通知書とは?

住民税決定通知書の見方を解説する前に、まずはその内容や目的、届くタイミングについてお伝えしましょう。

納付する住民税額を知らせる書面

住民税通知書は今期に納付する住民税の決定を通知する書面で、市区町村から送付されます。

住民税は前年の総所得額に基づいて計算されます。つまり、住民税額が決まるのは確定申告などで所得の申告を終えたあと。そのため、住民税決定通知書の配布が毎年5月~6月となるのです。

住民税の納付は、住民税決定通知書が配布されるタイミングに合わせて、毎年6月~翌年5月にかけておこないます。

理解を深めるために知っておきたい住民税の基礎知識

基本的な住民税の知識があれば、住民税決定通知書の内容がスムーズに理解できます。そこで、住民税の基礎知識を解説いたします。

住民税は道府県民税(都民税)と市町村民税(特別区民税)を合わせたもの

住民税は、道府県民税(東京では都民税)と市町村民税(特別区民税)の2つの税金から成ります。地域で提供される福祉や教育といった公共サービスにかかる財源をみんなで分担することを目的としています。

また、住民税は個人を対象とする個人住民税、企業などを対象とする法人住民税に分かれますが、この記事では個人住民税を前提にしています。

毎年1月1日時点に住んでいた市区町村に支払う

住民税は毎年1月1日時点で住所地のある市区町村から課税されます。年度途中に転居したとしても、納税先は転居前の市区町村になります。

また、住民税は前年の総所得で課税額が決まります。ですから、卒業したばかりの新社会人が、1年目から住民税を納付することはほとんどありません。しかし、学生時代に非課税枠を超えた所得があった場合には、その所得に応じた住民税を納めることになります。

住民税の納付方法には普通徴収と特別徴収がある

住民税の徴収方法には特別徴収と普通徴収があります。

会社員などの給与所得者は特別徴収です。市区町村から送付された住民税決定通知書を元に、勤務先の企業が本人に代わって住民税を徴収。6月から12回にわたって給与天引きがおこなわれます。

自営業やフリーランスなどの個人事業主は普通徴収です。市区町村から本人に住民税決定通知書が送付され、年4回に分けて納付します。

住民税は所得割と均等割から計算される

住民税額は、所得に応じて課税される「所得割」と住民が等しく分担する「均等割」を合わせたもの。つまり【住民税額=所得割+均等割】で計算されます。

所得割は所得税とほぼ同じ考え方で計算されます。所得割の具体的な計算についてはのちほど触れます。均等割は道府県民税(都民税)1,000円、市町村民税(特別区民税)3,000円で計4,000円です(※)。 

所得割と均等割のほかに、該当者に住民税にのみ加算されるものもあります。利子所得に課せられる「利子割」、特定配当等に課せられる「配当割」、上場株式等の譲渡所得に課せられる「株式等譲渡所得割」の3つですが、いずれも金融機関により特別徴収されます。

(※)東日本大震災からの復興に関する特別財源として、平成26年から令和5年までの10年間、均等割が道府県民税(都民税)・市町村民税(特別区民税)各500円ずつ、合計1,000円加算されます

住民税決定通知書の見方と3つのチェックポイント

それでは、住民税決定通知書の見方を見ていきましょう。

見慣れない文字と細かな数字の並ぶ書面に気持ちがひるむかもしれませんが、チェックポイントを3つにしぼると意外と簡単に理解できます。

1:所得欄

金額が一律の均等割に対し、住民税の所得割は前年の所得額によって変わりますよね。住民税決定通知書の所得欄を見れば、決定した所得割の根拠を知ることができます。

たくさんの項目に分かれる所得欄ですが、一般的な会社員なら給与収入給与所得の確認だけでOKでしょう。

給与収入はいわゆる年収、給与所得は給与収入から給与所得控除を差し引いた金額を表します。給与所得控除とは給与所得者を対象とした税額控除のこと。住民税は給与収入ではなく、税額控除後の給与所得を元に計算されます。

所得欄では、前年末に会社から配布されている源泉徴収票と比較して、金額に誤りがないかをチェックしましょう。

2:所得控除欄

所得控除欄では、先ほどの給与所得から差し引かれる金額を確認できます。

所得控除とは、一人ひとり異なる経済状況を税金に反映させるもの。配偶者控除や扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除など、全部で14種類あり、納税者の条件を問わない基礎控除も含まれます。

会社員であれば年末調整の時点で申告済みのはず。所得控除欄では、申告もれがないかをしっかりチェックしてください。

3:税額欄

税額欄では、道府県民税(都民税)と市町村民税(特別区民税)のそれぞれについて、所得割と均等割の税額を確認できます。

税額控除前の所得割額は、給与所得から所得控除を差し引いた金額。給与所得から所得控除を差し引いた金額に、所得割の税率10%(※)をかけたものです。税額控除額は、ふるさと納税や住宅ローンの利用など一定の条件を満たす方を対象に、所得割額から直接差し引かれる金額です。

税額欄では税額控除欄を必ず確認!税額控除の申告もれや手続きミスがみつかる可能性もあります。

(※)所得割の税率は道府県民税(都民税)が4%、市町村民税(特別区民税)が6%(政令指定都市は市民税8%、道府県民税2%)で、基本的に一律10%です
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住民税決定通知書からわかる!住民税を節税するヒント

住民税の納付額が決まる過程をチェックできる住民税決定通知書ですが、住民税を節税するヒントがみつかることもあります。

税金は収入が増えるほど多くなります。効果的に節税するには、収入はそのままに、控除をどれだけ増やすかがカギを握ります。ここでの控除とは、年収に応じた控除額が決まっている給与所得控除額を除いた、所得控除税額控除のことです。

それでは、住民税決定通知書からわかる節税のヒントをお伝えしましょう。

医療費控除や生命保険料控除などの所得控除をもれなく申告する

先ほどもお伝えしたとおり、所得控除は全部で14種類あり、給与所得から差し引かれます。所得控除が多いほど課税所得を減らすことができます。

住民税決定通知書の所得控除欄をみれば、所得控除の種類が一目瞭然。「もしかして」と思い当たる控除があれば、必ず確認して申告もれを防ぎましょう。

うっかりしやすいのが、2017年から適用されているセルフメディケーション税制。対象医薬品を12,000円超購入したときに医療費控除を受けられるとあって、対象者は多いはず。思い当たる方はレシートの管理と申告をお忘れなく。

iDoCo(個人型確定拠出年金)なら掛金が全額所得控除される

住民税決定通知書の所得控除欄で「小規模企業共済等掛金控除」が空白になっていませんか?それなら個人型確定拠出年金・iDeCo(イデコ)を活用するのもおすすめです。

iDeCo(イデコ)とは、加入者が毎月積み立てた掛金を元に投資信託や保険といった金融商品を運用し、60歳以降に年金として受け取る制度。

iDeCoで拠出する掛金は、なんと全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象に!さらに、運用益も非課税、受け取る年金も控除対象となるなど、節税効果の高さで注目される金融商品なのです。

原則60歳まで掛金を引き出せないのはネックですが、老後資金を蓄えながら節税できるメリットはかなり大きいといえるでしょう。

ふるさと納税を活用して効率よく節税!

所得控除が課税所得を減らすのに対し、税額控除は課税額からそのまま差し引かれる分、節税効果が高め。住民税決定通知書で税額控除欄がさみしい状態なら、増やす努力をはじめましょう。

とはいえ、雑損控除や配当控除、住宅ローン控除といった税額控除は、対象が限定されていますよね。そこでおすすめしたいのがふるさと納税です。

ふるさと納税は、地方自治体への寄付金のうち、2,000円を超える全額を税額控除してもらえる制度。税額控除に加え、自治体が提供する返礼品も受け取ることができるとあって、まさに一石二鳥です。

寄付金を全額控除するには上限があり、おおむね住民税の2割が目安となっています。

ふるさと納税の税額控除には申告が必要

ふるさと納税の税額控除を受けるには、自分で申告する必要があります。申告方法には、ワンストップ特例(※)確定申告があります。

ワンストップ特例はふるさと納税のために用意された申告制度で、年末までに寄付した自治体に専用の申請書を送付するだけでOKです。ワンストップ特例を利用すると、全額が翌年の住民税から税額控除されます。

確定申告を利用した場合には、所得税の還付と住民税の税額控除に分けられます。申告時期がふるさと納税の翌年1月~3月ですので、住民税の控除タイミングはふるさと納税の翌々年になります。

(※)ワンストップ特例の利用には、確定申告が必要ない給与所得者等、1年間の寄附先が5自治体以内、寄付のたびに自治体へ申請書を郵送するといった条件を満たす必要があります
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住民税決定通知書まとめ

住民税決定通知書を見れば、6月から1年かけて支払う住民税の金額がわかるだけではなく、住民税の計算根拠となるさまざまな要素を知ることができます。

所得控除税額控除の申告もれをみつけたり、追加できる控除を検討したりといった使い方をすることで、節税につながることも。

これからは住民税決定通知書の内容をしっかり確認して、自分が支払う税金を把握するとともに、節税意識を高めるのにも役立ててくださいね。

<参考> 
個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(概要)-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-(総務省)を加工

フリーランスのライターとして飲食やマネーの記事を執筆していた経緯を経てマネ会を担当。話題になったQR決済など生活に関わるお金の話題はどんどん使って調べてしまう性格。飲むこと、食べることが好きすぎて自分でおつまみからメインディッシュまで料理するのも大好き。得意料理はイタリアン。ふるさと納税で日本各地の名産物がやってくるのが楽しみで、普段では絶対変えないフルーツやお肉を頬張りながらお得な情報をお伝えします。

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