住民税の非課税世帯となる条件とは?年収の目安や優遇措置など解説

住民税の非課税世帯となる条件とは?年収の目安や優遇措置など解説

住民税は都道府県や市区町村の財源です。学校や病院、消防などさまざまな公共サービスを運営していくためには、地域住民が住民税を納める必要があります。

納税は国民の義務ですが、失業などで収入がなかったり、非正規労働者で収入が低かったりする事情を抱えていて、住民税を納めることができるのか不安という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、前年の所得が低い場合は住民税が非課税となり、さまざまな優遇措置が講じられるので安心してください。

本記事では、住民税が非課税となる条件を解説し、住民税非課税世帯への優遇措置についてご紹介いたします。

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住民税の非課税となる条件は所得割と均等割の両方が0円の場合

住民税は、以下の2つの要素から構成されます。

住民税の構成要素
  • 所得割
  • 均等割

住民税の課税額は、所得割均等割を合計したものです。基本的に標準税率・税額で算出されています。ただし、自治体によっては、標準税率・税額と異なる場合があるので注意しましょう。

所得割は、前年の所得金額が多くなるほど課税金額が増えます。標準税率は、市町村民税6%都道府県民税4%の合計で10%です。

均等割は、一律の金額を課税されます。標準税額は、市町村民税3,500円都道府県民税1,500円の合計で5,000円です。

前年の所得が一定以下の場合、所得割や均等割が0円になります。なお、非課税になる条件は、均等割の方が厳しいです。そのため、均等割が非課税の場合は所得割も非課税となります。

所得割が非課税になるケース

所得割が非課税となるのは、以下のようなケースです。

所得割が非課税となるケース
対象 前年の所得
控除対象配偶者や扶養親族がいない
35万円以下
控除対象配偶者や扶養親族がいる 「35万円×(本人・控除対象待遇者・扶養親族の合計人数)+32万円」以下

控除対象配偶者や扶養親族がいる場合といない場合とで、非課税となる基準が異なるので注意してください。

所得割と均等割が非課税になるケース

均等割が非課税になる基準は所得割よりも厳しいので、均等割が非課税であれば所得割も非課税です。なお、均等割は、住んでいる地域の生活保護の級地区分によって、非課税となる基準が異なるので注意しましょう。

所得割と均等割の両方が非課税となるケースを挙げると、以下のようになります。ここで示すのは、生活保護の級地区分が1級地(東京23区など)の場合です。

所得割と均等割が非課税となるケース
対象 前年の所得
控除対象配偶者や扶養親族がいない 35万円以下
控除対象配偶者や扶養親族がいる 「35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+21万円」以下

控除対象配偶者や扶養親族がいない場合は、所得割と均等割とで非課税となる条件に違いはありません。

しかし、控除対象配偶者や扶養親族がいる場合は、所得割が非課税になる条件よりも、所得割と均等割の両方が非課税になる条件の方が、11万円低くなっているので注意してください。

住民税が非課税となる年収の目安

住民税は、前年の所得金額に基づいて計算されます。収入金額ではありません。所得は、収入から必要経費給与所得控除を差し引いたものです。なお、住民税の金額は、所得の種類(※)や扶養家族の有無・人数といった要因によって変動します。

以下に示す表は、生活保護の級地区分が1級地となっている市区町村(東京23区など)の住民について、いくつかの世帯構成における非課税となる年収を試算したものです。なお、給与所得者を想定しています。

住民税が非課税となる年収の目安
対象 前年の年収
単身世帯・控除対象配偶者・扶養親族 100万円以下
専業主婦/主夫と子ども1人を扶養している世帯主 205万円以下
専業主婦/主夫と子ども2人を扶養している世帯主
255万円以下

この表は給与所得者に対する基準であり、個人事業主など事業所得者の場合は異なるので注意しましょう。なお、すべての構成員が非課税の世帯は住民税非課税世帯と呼ばれます。

(※)事業所得、給与所得など

住民税がかからない所得もある

基本的に所得には住民税が課税されますが、なかには非課税とされている所得も存在します。以下は、非課税となる所得の例です。

住民税がかからない所得の例
  • 遺族年金
  • 障害年金
  • 失業保険の給付金
  • 職業訓練受講給付金

失業保険の給付金や職業訓練を受講した際の給付金も非課税となっているので、さまざまな人が対象となる可能性があります。覚えておいて損はありません。なお、老齢年金(※)は、非課税ではありません。

(※)所定の年齢に達したことによって受給できる年金(国民年金法における「老齢基礎年金」や厚生年金保険法における「老齢厚生年金」が該当)

住民税非課税世帯が受けられる優遇

世帯全員の住民税が非課税となっている住民税非課税世帯は、以下に示すような優遇措置を受けることが可能です。

住民税非課税世帯が受けられる優遇
  • 社会保険料などの軽減措置
  • 臨時福祉給付金などの支給

以下、それぞれの項目について説明していきます。

社会保険料などの軽減措置

住民税非課税世帯が受けられる軽減措置を挙げると、以下のようになります。

住民税非課税世帯が受けられる軽減措置
  • 国民健康保険の保険料の減額
  • 介護保険や高額療養費制度における自己負担額の軽減

なお、障害者手帳所持者がいる住民税非課税世帯の場合、NHKの受信料が免除されます。自治体によっては、これら以外に独自の軽減策が講じられているケースもあるので、市区町村の公式サイトを確認してみましょう。

臨時福祉給付金などの支給

これまでに住民税非課税世帯に支給されてきたものを挙げると、以下のようになります。

住民税非課税世帯に支給されるもの
  • 臨時福祉給付金
  • プレミアム商品券の購入引換券

臨時福祉給付金は、2014(平成26)年度に1万円、2015(平成27)年度に6千円、2016(平成28)年度に3千円、2017(平成29)年度に1万5千円の支給が実施されました。

また、2019年10月の消費税率の値上げに伴って、プレミアム商品券の購入引換券が支給されています。なお、自治体によって異なりますが、プレミアム商品券の使用は最長で2020年3月までとなっているので注意してください。

今後、住民税非課税世帯にどのような給付がなされるかは不明ですが、国や市区町村の広報をときどきチェックしてみるといいでしょう。

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住民税非課税世帯のまとめ

ここまで解説してきた内容をまとめると、以下のようになります。

まとめ
  • 控除対象配偶者や扶養親族がいない場合、前年の所得が35万円以下ならば住民税が非課税
  • 控除対象配偶者や扶養親族がいる場合、前年の所得が「35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+21万円」以下ならば住民税が非課税
  • 専業主婦/主夫と子ども2人を扶養している世帯主の住民税が非課税となる目安は、前年の年収が255万円以下
  • 構成員すべての住民税が非課税の世帯は、社会保険料などの軽減措置やさまざまな給付を受けられる

なお、住民税非課税世帯に認定されるためには、税務署に確定申告をするか、市区町村役場に住民税の申告をする必要があるので、忘れずにおこないましょう。

本記事が、住民税が非課税となる条件や住民税非課税世帯の優遇措置について知りたい方のお役に立つことができれば幸いです。

株式、投資信託、ETF、REIT、FX、仮想通貨、キャッシュレス決済など、金融・マネー全般に関心を持つ。実際に投資をしており、株式やETFなどを長期保有中。PayPay、楽天ペイ、LINE Pay、メルペイ、d払いなどのQRコード決済を毎日のように利用。単にインターネット上で調べるだけではなく、実際に使って確かめるように努めている。マネ会では、主にクレジットカードやキャッシュレス決済についての記事執筆を担当。

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