QRコード決済の導入は本当にすべき?おすすめサービスの費用や導入方法を解説
2019年10月時点の日本においては、キャッシュレス決済の利用者が増加中です。
そのなかでも、とくにQRコード決済は急激に利用者数が伸びています。
消費税率引き上げとともに、国のキャッシュレス・消費者還元事業(キャッシュレス・ポイント還元事業)もスタートしました。
QRコード決済もキャッシュレス・消費者還元事業の対象となります。
ポイント還元を求める顧客を逃さず、新規顧客を獲得するためには、QRコード決済による支払いに対応するべきでしょう。
本記事では、QRコード決済の2つの方式や導入のメリットについて解説し、おすすめのQRコード決済サービスの特徴や導入方法をご紹介します。
QRコード決済の2種類の方式
QRコード決済には、以下に示すような2種類の方式が存在します。
- CPM(Consumer Presented Mode)方式
- MPM(Merchant Presented Mode)方式
多くのQRコード決済サービスは、どちらの方式にも対応しています。
ただし、CPM方式の場合、初期コスト(読み取り装置の購入費)が発生する決済サービスも存在するので注意しましょう。
CPM方式の特徴
CPM(Consumer Presented Mode)は、顧客が提示したQRコードを店舗の従業員が読み取る方式です。
店舗側は、読み取るためのデバイス(タブレットやスマートフォン、専用読み取り装置など)を用意する必要があります。
店舗側は読み取るための装置を用意するコストがかかりますが、顧客側はスマートフォンに表示したQRコードを見せるだけでよいので簡単に決済可能です。
MPM方式の特徴
MPM(Merchant Presented Mode)は、店舗から提示されたQRコードを顧客が読み取る方式です。
店舗側はQRコードを紙に印刷し、それをレジなどに提示しておくだけでよいため、コストがほとんどかかりません。
ただし、顧客側がQRコードを読み取るのに手間取り、スムーズに会計できず、レジが混雑する可能性があります。
QRコード決済を導入する4つのメリット
QRコード決済には、以下に示すようなメリットがあります。
- 店舗への導入が簡単
- 集客アップに結び付く
- 業務の効率化
- 手数料などの費用が安い
各メリットについて説明していきます。
メリット① 店舗への導入が簡単
QRコード決済は、専用の読み取り装置が無くても、タブレットやスマートフォンだけで簡単に導入することが可能であり、初期コストがかからない点が魅力です。
大がかりな装置が不要なので、車両による移動販売やイベントの屋台といった狭いスペースにも導入できます。
メリット② 集客アップに結び付く
QRコード決済に対応していれば、財布を持たずにスマートフォン1つだけ持って外出している人を顧客にすることが可能です。
また、QRコード決済は、延滞などの金融事故を起こしてしまってクレジットカードを保有できない人でも利用できるため、対応していれば潜在的な顧客が増えます。
キャッシュレス・消費者還元事業(キャッシュレス・ポイント還元事業)が2019年10月1日からスタートし、ポイント還元を求めてQRコード決済を含むキャッシュレス決済を選択する消費者が増加中です。
QRコード決済に対応することで、このような顧客を逃さないようにしましょう。
キャッシュレス・消費者還元事業への対応
2019年10月1日から開始されたキャッシュレス・消費者還元事業は、消費者がキャッシュレス手段で支払いをおこなうとポイントが還元される事業です。
消費者が対象店舗においてクレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、電子マネー、QRコードといった手段で買いものをすると、5%または2%のポイント還元を受けられます。
消費税率が8%から10%(※)に引き上がり、ポイント還元を求めてキャッシュレス決済を選択する消費者が増加中です。
QRコード決済は審査がなく、誰でもスマートフォンだけで支払えるため、利用者が増加中です。
一人でも多くの顧客を獲得するために、QRコード決済を導入しましょう。
メリット③ 業務の効率化
QRコード決済を導入すると、各サービス運営事業者の独自システムや外部アプリとの連携により、本来業務や経理の一部または全部を自動化することが可能です。
また、電子データで保存することによって、紙の領収書の管理が不要となり、保管場所の確保の問題や紛失の心配がなくなります。
メリット④ 手数料などの費用が安い
QRコード決済は、既に保有しているタブレットやスマートフォンを利用して決済できるため、初期費用がかかりません。
また、決済手数料(システム手数料)が無料、または、安いという特長もあります。
クレジットカードよりも負担が少なく、個人事業主や中小企業にも優しい決済手段であるといえるでしょう。
おすすめのQRコード決済サービス6つの特徴と導入方法
おすすめのQRコード決済サービス6種類の初期コスト、システム手数料、入金手数料を以下に示します。
初期コスト | システム手数料(決済手数料) | 入金手数料 | |
PayPay | 0円 | 0円(※1) | 0円(※2) |
LINE Pay |
0円(※3) | 0円(※4) | 1回250円(税込) |
楽天ペイ | 0円 | 3.24%(キャッシュレス・消費者還元事業の対象企業の場合、2.16%) | 0円(※5) |
Origami Pay(※6) |
0円 |
3.25%(キャッシュレス・消費者還元事業の対象企業の場合、手数料の3分の1が補助) |
0円 |
Airペイ | 0円 | 3.24%(キャッシュレス・消費者還元事業の対象企業の場合、AlipayおよびWeChat Pay以外については2.16%) | 0円 |
StarPay |
38,000円(税別)(キャッシュレス・消費者還元事業の対象企業の場合、0円) |
d払いは4%、Alipay/WeChat Pay/VIAは3.25%、それ以外は3.45%(キャッシュレス・消費者還元事業の対象企業の場合、Alipay/WeChat Pay/VIA以外については手数料の3分の1が補助) |
1回220円(税込) |
それぞれのQRコード決済サービスの特徴や導入方法について詳しく説明していきます。
(※1)無料期間は2021年9月30日まで(※2)PayPay銀行は永年無料、ほかの金融機関は2020年6月30日まで無料
(※3)プリントQR(MPM方式)またはLINE Pay店舗用アプリの場合
(※4)LINE Pay据置端末/プリントQR(MPM方式)/LINE Pay店舗用アプリの場合、2021年7月まで無料(StarPay端末/POSレジの場合は3.45%)
(※5)楽天銀行の口座への入金は0円(楽天銀行以外の口座への入金は1回330円(税込)の振込手数料が発生)
(※6)Origami Payは2020年6月30日(火) 22:00に全サービス停止
おすすめ① PayPay
PayPayは、当面の間、MPM方式および「PayPay for Business」(加盟店向けのアプリ)を利用したCPM方式であれば、システム手数料(決済手数料)が無料となり、初期コストもかかりません。
また、入金手数料も無料です。
また、PayPayのQRコードはAlipay(※)にも対応しています。
こちらもMPM方式であれば2020年9月30日まで決済手数料が無料となっています。
決済管理ツールおよびQRコード読み取り機能を兼ね備えた「PayPay for Business」というアプリが提供されており、顧客が提示したQRコードを読み取ったり、パソコンやスマートフォンで売上などの情報を管理可能です。
PayPayは、ユーザーが2500万人、加盟店が194万店を突破しており、キャッシュレス・消費者還元事業にも対応しているため、導入すれば多数の顧客を獲得することができるでしょう。
おすすめ② LINE Pay
LINE Payは、SNSアプリの「LINE」と連携しており、利用者が多く、利便性が高いQRコード決済サービスです。
なお、キャッシュレス・消費者還元事業にも対応しています。
事業者がLINE PayのQRコード決済を導入する場合、以下に示すような手段・方法を選択可能です。
初期コスト | |
プリントQR(MPM方式) |
0円 |
LINE Pay店舗用アプリ |
0円 |
LINE Pay据置端末 |
端末レンタル料:月額1,500円(税別) |
StarPay端末 | SUNMI V2Pro:38,000円(税別) |
POSレジ |
数万円~数十万円程度 |
手段・方法によって導入コストが大きく異なる点に注意してください。
LINE PayのQRコード決済単独の導入であれば、StarPay端末やPOSレジは不要です。
QRコードを印刷した紙を提示する場合(MPM方式)やLINE Pay店舗用アプリを利用する場合(CPM方式に対応)は、コストをかけずに導入可能であり、システム手数料(決済手数料)も当面の間は無料となっています。
なお、銀行口座への入金手数料は1回250円(税込)です。
事業のスタイルや保有している機器(StarPay端末やPOSレジ)を考慮し、最適な手段・方法を選びましょう。
おすすめ③ 楽天ペイ
楽天ペイの導入は、QRコード決済のみの対応であれば、タブレットやスマートフォンに「楽天ペイ店舗アプリ」をインストールすることで可能となるため、初期コストが0円です。
ただし、クレジットカードやデビットカード、電子マネーといったQRコード決済以外のキャッシュレス決済手段にも対応したい場合は、18,800円(税込)の専用カードリーダーの購入が必要となります(※)。
ちなみに、「楽天ペイ店舗アプリ」は、au PAYのQRコードによる支払いにも対応しています。
QRコード決済に対するシステム手数料(決済手数料)は、支払い金額の3.24%です。
ただし、楽天ペイはキャッシュレス・消費者還元事業に対応しており、対象企業であれば2.16%になります。
なお、CPM方式とMPM方式の両方に対応しており、手数料も変わりません。
売上金の銀行口座への入金手数料は、楽天銀行の口座への振込の場合は0円、楽天銀行以外の口座への振込の場合は1回330円(税込)です。
おすすめ④ Origami Pay
Origami Payは、一律3.25%のシステム手数料(決済手数料)以外には費用がかかりません。
初期コストや入金手数料は0円であり、タブレットやスマートフォンがあれば導入可能です。
なお、CPM方式にもMPM方式にも対応しています。
キャッシュレス・消費者還元事業に対応しており、対象企業であれば決済手数料の3分の1が補助されます(※1)。
また、ポイント還元を求める顧客の獲得が可能です。
事業者向けアプリの「Origami Business」はAlipay(※2)のQRコードや銀聯QRの読み取りにも対応しており、中国人観光客によるインバウンド需要を取り込むことができます。
(※2)iPadが必要
おすすめ⑤ Airペイ
Airペイは、さまざまなキャッシュレス手段による支払いに対応したマルチ決済サービスです。
AirペイのQRコード決済サービス(Airペイ QR)が対応しているQRコード決済を挙げると、以下のようになります。
- Alipay
- WeChat Pay(※1)
- LINE Pay
- d払い
- PayPay
AirペイのQRコード決済サービス(Airペイ QR)は、iPadまたはiPhone(※2)に無料アプリの「Airペイ QR」をインストールすることで導入可能です。
iPadかiPhoneを保有している場合は専用機器購入の必要がなく、初期コストは0円になります。
なお、売上金の入金手数料も0円です。QRコード決済のシステム手数料(決済手数料)は、一律3.24%となっています。
ただし、キャッシュレス・消費者還元事業に対応しているため、対象企業であればLINE Pay、d払い、PayPayの手数料は実質2.16%となり、ポイント還元を求める顧客の獲得も可能です。
Airペイは、CPM方式に対応しており、顧客がスマートフォンに表示したさまざまなQRコードを自動識別して決済可能なので便利です。
また、AlipayやWeChat PayのQRコード決済にも対応しているので、中国人観光客によるインバウンド需要を取り込むこともできます。
(※2)Androidには非対応
おすすめ⑥ StarPay
StarPayは、QRコード決済に特化した店舗向けのマルチ決済サービスです。
StarPayを導入すると、以下のようなQRコード決済に対応できるようになります。
- LINE Pay
- d払い
- PayPay
- au PAY
- メルペイ
- ゆうちょPay
- WeChat Pay
- Alipay
- VIA(※)
StarPayは、CPM方式に対応しており、顧客がスマートフォン画面に表示したさまざまなQRコードを自動識別して決済できるので便利です。
また、WeChat PayやAlipayに対応しているため、中国人観光客によるインバウンド需要を取り込むことができます。
さらに、VIAに対応しているため、シンガポール人やタイ人の観光客によるインバウンド需要の取り込みも可能です。
StarPayは、キャッシュレス・消費者還元事業に対応しているため、対象企業であれば、通常38,000円(税別)かかる専用端末「SUNMI V2Pro」1台を無料で入手可能となり、初期コストが0円になります。
また、ポイント還元を求める顧客も獲得できます。
ちなみに、専用端末が無くても、タブレットやスマートフォンに「StarPay」の無料アプリをインストールし、ライセンスIDを登録することで、QRコード決済が可能です。
ただし、レシートを印刷したい場合は、専用端末が必要となります。
StarPayでは、月額使用料が存在せず、システム手数料(決済手数料)のみがかかります。なお、売上金の入金手数料は1回220円(税込)です。
決済手数料は、d払いについては4%、Alipay/WeChat Pay/VIAについては3.25%、それ以外については3.45%(キャッシュレス・消費者還元事業の対象企業の場合、Alipay/WeChat Pay/VIA以外については手数料の3分の1が補助)となっています。
公式サイトには詳しい情報(各QRコード決済サービスの手数料率や入金手数料)が掲載されていないため、問い合わせフォームや電話で質問・確認することをおすすめします。
なお、申込書をダウンロードすると、同時に詳しい資料(pdfファイル)を入手可能です。
QRコード決済導入のまとめ
QRコード決済には、CPMとMPMという2種類の方式があります。それぞれの特徴を踏まえて選択しましょう。
CPM方式は、顧客が提示するQRコードを店舗が読み取るため、店舗側では読み取るためのデバイスを準備する必要があります。
ただし、専用の読み取り装置を設置するのではなく、タブレットやスマートフォンを利用することも可能です。
MPM方式は、店舗側はQRコードを印刷した紙を提示しておくだけでよいため、手間がかかりません。
ただし、顧客が読み取りに手間取って会計に時間がかかる可能性がある点には留意しましょう。
QRコード決済は、簡単に導入可能であり、集客アップに結びつき、業務を効率化でき、手数料などの費用が安いという特長があります。
2019年10月1日から開始されたキャッシュレス・消費者還元事業(キャッシュレス・ポイント還元事業)によって、ポイント還元を求める消費者が増加中です。
QRコード決済を導入することにより、一人でも多くの顧客を獲得しましょう。
本記事が、QRコード決済の導入を検討している事業者のお役に立つことができれば幸いです。
株式、投資信託、ETF、REIT、FX、仮想通貨、キャッシュレス決済など、金融・マネー全般に関心を持つ。実際に投資をしており、株式やETFなどを長期保有中。PayPay、楽天ペイ、LINE Pay、メルペイ、d払いなどのQRコード決済を毎日のように利用。単にインターネット上で調べるだけではなく、実際に使って確かめるように努めている。マネ会では、主にクレジットカードやキャッシュレス決済についての記事執筆を担当。