看護師の給料は高すぎる?看護師の給料が高い理由を解説

看護師の給料について、「高い」と思っている方は多いかもしれません。
ただ、実際に看護師がどれくらいの給料をもらっているかについて、きちんと把握している方はあまりいないのではないでしょうか。
もし看護師の給料が本当に高いのであれば、その理由についても気になるところでしょう。
この記事では、看護師の給料は本当に高いのか、その理由などについて解説します。
また、実際に看護師として働いている方のなかには、もっと多くの給料をもらわなければ割に合わないと感じている方もいると思います。
そのような方に向けて、看護師が給料を上げる方法や転職する際におすすめの転職サイトなども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
看護師の給料は高すぎる?
看護師の給料が高すぎるかどうかを判断するためには、看護師の給料実態についてきちんと把握しておく必要があります。
厚生労働省がおこなった調査結果なども参照しながら、看護師の給料について以下で詳しく説明しましょう。
看護師の平均給料は約30万円ほど
厚生労働省がおこなった「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、産業別にみた賃金で「医療、福祉」に該当する産業の平均給料は291.7(千円)(※)となっており、看護師の平均的な給料は約30万円ほどであることがわかります。
なお、男女別に分けると男性の平均給料は355.5(千円)、女性の平均給料は265.3(千円)となっており、男女間で給料に少し差が生まれていることもわかります。
もらいすぎと思う人もいる
約30万円という数字を聞いて、高いと思うか低いと思うかには個人差があるでしょう。
また、医療や看護の業界にいる(いた)かどうかによっても、感じ方は変わってくると思います。
ただ、先ほど挙げた「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」において業界別に見ると、サービス業や運輸業などの平均給料は「医療、福祉」の業界よりも低くなっています。
そのため、看護師が給料をもらいすぎていると感じる人がいても、おかしくはないでしょう。
看護師の給料は都道府県によって違う
一般的な会社においても、業種が同じでも働く環境が異なれば給料が異なるように、同じ看護師という仕事をしていても、どこの都道府県で働くかによって平均的な給料は異なります。
日本看護協会がおこなった「2021年病院看護・外来看護実態調査」によると、看護師の平均税込給与総額がもっとも高い都道府県は東京都で、その金額は350,308円です(※)。
一方、看護師の平均税込給与総額がもっとも低い都道府県は宮崎県で、その金額は275,482円です。
働く都道府県によって最大で7万円強も給料に差が生まれる可能性があるということは、看護師の給料事情を考えるにあたって考慮されるべきでしょう。
看護師の給料が高い理由
看護師の給料が高いか低いかは各々の主観によるところも大きいですが、一般的には決して低くない金額と考える方が多いと思います。
看護師の給料が高い理由としては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 専門性が高いから
- 過酷な労働環境だから
- 精神的にもハードだから
- 夜勤もあるから
- 人の命を預かっているから
それぞれの理由について、詳しく説明します。
専門性が高いから
看護師として働くためには、看護師国家試験に合格して看護師免許を保有しなければなりません。
看護師という職業は、それだけ専門性の高く大変な仕事なのです。
医師や弁護士、戦略コンサルタントなどのような、国家資格が必要だったり専門的な知識が求められたりといった職業は総じて給料が高い傾向にあることから、看護師の給料がある程度高いことには納得がいくのではないでしょうか。
過酷な労働環境だから
働く病院にもよりますが、看護師は1人で多くの患者さんを担当する必要があります。
また、看護師の勤務形態には2交代制と3交代制がありますが、2交代制の夜勤で働く場合は16時間連続で仕事をしなければなりません。
看護師はそれだけ過酷な環境のなかで働いているので、それに見合うだけの対価を得るべきといえるでしょう。
精神的にもハードだから
看護師は医療現場で働いており、医療現場には心身に不調を抱えた患者さんが数多くいます。
患者さんのなかには気分が優れない方もいますし、なかなか快方に向かわないことに苛立ちを覚えている方もいるので、そういった患者さんやその家族から心無い言葉を投げかけられることも、決して少なくありません。
そういった点を考慮すると、看護師は対人関係の仕事のなかでもとくに精神的にハードな仕事といえると思いますので、その分だけの収入を得られなければ多くの人が辞めていってしまうでしょう。
夜勤もあるから
先ほど少し触れましたが、看護師は2交代制のシフトでは夜勤、3交代制のシフトでは準夜勤、深夜勤で働く必要があります。
こういったいわゆる「日勤」以外の時間帯で働く場合は、時間帯に応じて手当が支給されるのが一般的です。
そのため夜勤などで数時間働くと、日勤で同じ時間だけ働く場合よりも収入が多くなるというのも、看護師の給料が高くなっている一因として考えられます。
人の命を預かっているから
看護師の仕事は端的にいってしまえば、「人の命を預かる仕事」です。
診療などは医師が主体となっておこないますが、診療のサポートや毎日のバイタルチェック・採血など、看護師が担う役割は非常に多いです。
看護師の存在なくして医療現場は回らないわけですから、看護師はそれに見合った収入を得るべきといえるでしょう。
高い給料をもらえる看護師の職場
先ほども少し触れましたが、働く環境によって得られる給料の金額は異なります。
看護師として働くときに高い給料をもらいやすい職場としては、以下のようなところが挙げられます。
高い給料をもらえる看護師の職場
- 規模が大きな病院
- 専門性の高い仕事をする職場
- 夜勤手当が高い職場
- 美容クリニック
それぞれの職場について、詳しく説明します。
規模が大きな病院
病院の規模が大きいほうが、給料も高い傾向にあります。
病院の規模ごとの給料(※)を、以下にまとめました。
病床規模 | 平均基本給与額(円) | 平均税込給与総額(円) |
---|---|---|
99床以下 | 237,449円 | 304,829円 |
100~199床 | 242,962円 | 314,380円 |
200~299床 | 247,499円 | 322,559円 |
300~399床 | 258,261円 | 333,738円 |
400~499床 | 258,327円 | 334,149円 |
500床以上 | 270,299円 | 350,328円 |
このように、病床の数が99床以下の病院と500床以上の病院では、平均的な給与総額に5万円近い差があることがわかります。
もちろん病床が多い病院のほうが仕事がハードになる傾向にあるため、病床の少ない病院で自分のペースで仕事ができるほうが望ましい、と考える方もいると思います。
ただ一般論として、病床の数が多い病院のほうが収入は増えやすいということは、念頭に置いておくとよいでしょう。
専門性の高い仕事をする職場
看護師はただでさえ専門性の高い職業ですが、そのなかでもさらに専門性の高い仕事に従事する職場もあります。
放射線治療や救命救急センターでの勤務などが、一例として挙げられるでしょう。
こういった専門性の高い仕事に従事する場合は、仕事内容に応じた手当が支給されるケースが多いです。
そういった専門性の高い仕事に従事できるスキルがある場合は、勤務先を変更することを検討してみてもよいかもしれません。
夜勤手当が高い職場
夜勤で働くと日勤にはない夜勤手当が付くため、収入アップが見込めます。
日本看護協会によっておこなわれた「2020年病院看護実態調査報告書」によると、夜勤手当の金額の平均は以下のとおりでした(※)。
2交代制夜勤 | 11,286円 |
---|---|
3交代制準夜勤 | 4,154円 |
3交代制深夜勤 | 5,122円 |
上表の数字を見ていただいてもわかるとおり、特に2交代制夜勤で働く場合の手当が収入アップに及ぼす影響は大きいです。
手当の金額は病院によって差がありますので、今の病院の夜勤手当が少ないと感じている場合は、近場でより多くの夜勤手当がもらえる病院を探してみてもよいかもしれません。
美容クリニック
美容クリニックでは一般的な病院とは異なり自由診療をおこなっているので、治療や施術に対する金額を自由に設定することが可能です。
そのため、クリニック全体としての利益も上がりやすく、その分だけ看護師の給料も高めに設定されている傾向にあります。
また、美容クリニックのなかには看護師に対して、インセンティブ制度を設けているところもあります。
個人のノルマを達成したり、クリニック全体としての売り上げ目標を達成したりすることでインセンティブが給料に上乗せされるので、さらなる収入アップが見込めるでしょう。
看護師が給料を上げる方法とは?

看護師として働いている方にとっては、いかにして給料を上げるかは非常に重要なポイントでしょう。
看護師が給料を上げる方法としては、主に以下のようなことが考えられます。
- 資格を取得する
- 出世して役職に就く
- 転職する
資格を取得する
資格を取ることで資格手当が支給される職場は多いですが、看護師も例外ではありません。
病院によって資格手当の支給対象となる資格は異なりますが、「認定看護師」「専門看護師」「ケアマネージャー」などが支給対象になっているケースが多いです。
これらの資格を取得して資格手当を受け取ることで、効率的に給料をアップさせられますし、基本給が上がる場合もあります。
また、資格を取得するためには試験に向けて勉強する必要がありますが、そういった勉強を通じて新しい知識や技術を習得することにもなります。
その結果、これまでよりも前向きに仕事に取り組めるようになり、職場での評価・査定アップにつながることも期待できます。
出世して役職に就く
出世して役職に就く方法も、効率的に給料をアップさせる方法のひとつです。
看護師にとっての役職とは、看護師長や看護部長・看護主任などを指し、ほかの看護師を統率する役割を担います。
その分仕事はより大変になりますが、こういった立場になることでベースとなる基本給がアップします。
また、職場にもよりますが「役職手当」というような形で、手当が支給されるケースが多いです。
先ほど触れたような資格を取得することが昇進に有利に働くことも多いので、役職に就くことを目指す方は、資格取得から始めてみてもよいかもしれません。
転職する
資格は取得するまでに時間がかかりますし、試験があるため確実に取得できるとは限りません。
また、出世を目指している場合でも、職場の事情などによって役職に就けないケースも考えられます。
資格取得や昇進以外で給料をアップさせたい場合は、転職を検討してみるとよいでしょう。
同じような働き方をしていても、働く場所や環境によって収入が大きく変わるケースがあることは、先ほど触れたとおりです。
通いやすさや職場の雰囲気なども考慮しながら決める必要はありますが、今よりも給料が高い職場が近辺にあるのであれば、そちらへの転職も視野に入れて行動するのがおすすめです。
看護師におすすめの転職サイト
看護師は一般的なサラリーマンからすると少し特殊な職業のように思われますが、転職する際にはごく普通の転職活動と同じように、転職サイトで理想的な求人を探す、というのが基本的なパターンになるでしょう。
看護師の方が転職活動する際に利用するのがおすすめの転職サイトとしては、以下のようなところが挙げられます。
- 看護roo!
- マイナビ看護師
- ナース人材バンク
それぞれの転職サイトの特徴などについて、詳しく説明します。
看護roo!
看護roo!は、株式会社クイックが運営する看護師・看護学生のための総合サイトです。
転職活動をおこなう場合、今よりも待遇のよい職場に絞って求人を探したいですが、看護roo!では給料で求人を絞り込むことができるので、理想的な求人を効率的に探すことができます。
そのほかにも、2交代制か3交代制かという軸でも求人を絞ることができるので、夜勤でガッツリ稼ぎたいとお考えの場合でも、ぴったりの職場を見つけやすいでしょう。
マイナビ看護師
マイナビ看護師は、株式会社マイナビが運営する看護師のための無料の転職サイトです。
求人数が非常に多いのが特徴なので、待遇面で納得のいく転職先を見つけやすいでしょう。
また、これまで転職を経験したことがなければ、転職先を選ぶのに悩んでしまうことも考えられます。
マイナビ看護師では、今後のキャリアや転職先選定に関する相談を無料でおこなうことができるので、迷いをなくした状態で転職活動を進められるのも魅力です。
ナース人材バンク
ナース人材バンクは、株式会社エス・エム・エスが運営する、日本最大級の看護師転職サイトです。
ナース人材バンクではこれまで多くの看護師の転職活動をサポートしてきた経験があるため、病院の内部事情にも精通しているのが大きな強みです。
転職者の人となりなどを把握したうえで、担当者がその人に合った職場の求人を紹介してくれるので、ミスマッチも少ないでしょう。
また、履歴書の添削や面接対策などもおこなってくれます。
転職活動をおこなうにあたっての不安要素をなくしたうえで選考に臨めるので、自信を持って転職活動を進められるでしょう。
まとめ
看護師の給料を高いと感じるかどうかは、個人によって差がありますし、実際に医療や福祉の業界に身を置いているかどうかによっても、感じ方が変わるでしょう。
看護師の仕事は専門性が高く、精神的にもハードなものなので、ある程度の収入を得るべきなのは当然です。
ただ、同じ看護師という職業に就いていても、働く環境によって給料に差がある場合もあります。
今の職場での待遇に不満がある場合は、転職を検討してみるのがおすすめです。
転職活動の際には転職サイトを利用すると思いますので、今回ご紹介した転職サイトなども活用しながら、自分に合った職場を探しましょう。
不動産広告の営業マンを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中。 クレジットカードやカードローンに関する知識を、公平な視点で分かりやすく伝えることを目指しています。 私生活でもいろいろなクレジットカードを使い分けながら、自分にとって最適な使い方を模索中。毎月貯まっていくポイントを見ながらその使い方を考えるのが、ひそかな楽しみ。 自分の実体験や気付きをもとにした、オリジナリティのある記事をお届けしたいと思っています。
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