精神科訪問看護はきつい?きつくて辞めたい理由や対処法も解説

精神科訪問看護は、一般的な病院勤務とは違うきつさがあることから、転職を考えている看護師も多いのではないでしょうか。
この記事では、精神科訪問看護をきついと感じ辞めたくなる理由や、その対処法について紹介します。
精神科訪問看護の経験を活かせる転職先についても紹介するので、現在の労働環境に限界を感じている看護師はぜひ参考にしてください。
そもそも精神科訪問看護とは?
精神科訪問看護とは、精神疾患を抱える患者さんの自宅に伺い、日常生活や心のケアを提供する仕事です。
患者さんの脈拍、血圧、呼吸、体温の測定や、服薬管理・指導、問診などが主な業務です。また、地域医療や福祉サービスとの連携をとりながら、患者さんが社会で自立できるようサポートをおこないます。
統合失調症やうつ病などの患者さんが多く、ほかの看護職種と比べて医療処置は比較的少なめです。夜勤は基本的にないので、病院勤務に比べるとワークライフバランスは整えやすいでしょう。
ただし、精神症状や精神状態は可視化しづらく「何が正解かわからない」という難しさもあるのが精神科訪問看護の仕事です。
精神科訪問看護がきついと感じる9つの理由
精神科訪問看護の仕事がきついと感じる理由は看護師によって様々ですが、主に以下のような理由が挙げられます。
- 患者の変化がわかりづらい
- 訪問先が不衛生である
- 一人で患者宅を訪問するのが不安
- 患者から暴力的な言葉や行為を受ける
- 時間外労働が多い
- オンコール対応が大変
- 患者や家族からの理解が得られない
- 医師や保健師との連携が難しい
- 想定外の対応が多い
精神科訪問看護がきついと思う理由について、一つずつ詳しく解説していきます。
患者の変化がわかりづらい
精神科訪問看護の仕事の難しさの一つに、患者の変化がわかりづらいことが挙げられます。
精神疾患や心の健康の問題を抱える患者さんは、症状や状態がほかの疾患と比べてより複雑かつ変動しやすい傾向があります。しかし、精神状態の変化は数値化ができないため、評価しづらいという側面があります。
精神疾患を抱えた患者さんの状態や症状は、生活や環境の影響を受けることがあるうえ、患者さん自身も症状の自覚がないケースもあります。
また、患者さんのなかにはコミュニケーションに関する障害を持っており、うまく会話が成立しない場合もあります。
そのため、精神科訪問看護師は、細やかな観察力や繊細なコミュニケーションを意識する必要があるでしょう。
訪問先が不衛生である
精神疾患を抱える患者さんの自宅は、整頓されておらず不衛生になっていることがあります。
精神科訪問看護では、必要に応じて環境改善の支援をしなければならず、計画していた支援ができなくなる場合もあります。
衛生状態が酷い場合には、悪臭や害虫などが発生し、訪問自体が心理的な負担になるケースもあるでしょう。
一人で患者宅を訪問するのが不安
精神科訪問看護では、訪問先に看護師単独で訪問することが多いため、不安を感じる看護師もいます。
特に、精神疾患を抱える患者さんの場合、行動の予測が困難な場合があり、予測できない状況にも一人で対応する必要があります。
常に警戒心を持ちながら訪問することが、精神的な負担になる看護師もいるでしょう。
衝動的な行動をとる可能性がある患者さんに対して訪問看護をおこなう場合、安全性の確保や、ほかの福祉サービスとの連携を確保しておくことが大切です。
患者から暴力的な言葉や行為を受ける
精神疾患を抱える患者さんは、不安や興奮、敵意や混乱などの症状を示すことがあります。精神科訪問看護師が標的となり、暴言や攻撃的な態度を受けることがあるかもしれません。
耐性のない看護師にとっては、精神的な負担になるでしょう。親切心で対応したつもりが患者さんの気に障り、クレームに繋がることもあります。
しかし、患者さんが攻撃的になるのは精神科訪問看護師を否定しているのではなく、あくまでも精神疾患の症状として理解しておくことが大切です。
時間外労働が多い
精神科訪問看護では、患者さんに対するケアだけではなく、ケアに関する計画書の作成、訪問後の記録・報告書作成などの事務的な作業もあります。
抱えている患者さんの人数によっては、事務作業に多くの時間外労働が必要になるかもしれません。
特に、記録書類や報告書は訪問後に作成する書類です。患者さんのケア後で疲労が溜まっている時に事務作業に取り掛かることが、体力的にきついと感じる看護師も多いでしょう。
オンコール対応が大変
精神科訪問看護師は、患者さんの緊急なケアや支援が必要な場合に、24時間体制でのオンコール対応が求められるケースがあります。
オンコールとは、訪問時間以外でも緊急で呼び出された際に対応できる体制のことを指します。
オンコールのタイミングによっては、自身のプライベートな時間を割く必要があります。その結果、日常生活でも気が休まらず、睡眠のリズムに影響を与える場合があります。
特に、精神科訪問看護の患者さんは状態が変動しやすく、予測困難な状況になることがあります。オンコールに備えることで、仕事とプライベートの切り替えが難しいと感じる看護師もいるでしょう。
オンコールの負担を軽減するためには、連携している福祉サービスやチーム間での役割分担が重要です。
患者や家族からの理解が得られない
精神科訪問看護師は、人間関係の構築が大切な仕事です。患者さんだけではなく、その家族からも理解を得られるような対応が必要になります。
患者さんとの信頼関係が構築できていないうちは、ケアに対して細かいクレームが入る場合があります。また、患者さんの看護計画に対して家族からの理解が得られず、苦情が寄せられるといったケースもあるでしょう。
患者さんと家族との板挟み状態になると、看護師への精神的な負担も大きくなります。必要な看護ケアに加え、患者さんやその家族と良好な信頼関係を築くコミュニケーション能力も大切です。
医師や保健師との連携が難しい
精神科訪問看護師は、患者さんにケアを提供するために、医師や保健師などの医療専門家と密接な連携をとる必要があります。
それぞれの業務負担の大きさやスケジュール、現場の実態把握の差から、意見が衝突するケースもあるかもしれません。情報共有や相談の機会を設け、協力体制が築けるように調整することが大切です。
しかし、ほかの医療専門家との連携が難しい場合は、業務負担や心理的負担が大きくなる可能性があるので注意しましょう。
想定外の対応が多い
精神的な疾患を抱えた患者さんは、状態や行動が変動しやすいため、予測困難な状況に陥ることがあります。
精神疾患からくる衝動的なもので、考えても理由がわからないケースもあるでしょう。看護師には、そのような予測不可能な状況に対応する、臨機応変な判断力や対応力が求められます。
生真面目な精神科訪問看護師だと、一つひとつに対して深く考えてしまい、身体的な負担や精神的な負担が大きくなってしまうかもしれません。
予測不可能な事態が多いことを前提として、臨機応変かつ柔軟に考えることが大切でしょう。
精神科訪問看護がきついと感じた場合の対処法
先ほど紹介したように、精神科訪問看護は一般的な看護師とは違ったきついと感じる要因があります。
精神科訪問看護がきついと感じた場合には、以下のような対処法を実践してみてください。
- きついと感じる理由を紙に書き出す
- 書き出した理由に優先順位をつける
- 上司に相談する
- 転職を検討する
精神科訪問看護がきついと感じた際の対処法について、以下で詳しく紹介します。
きついと感じる理由を紙に書き出す
精神科訪問看護の業務がきついと感じた時は、きついと感じる理由をすべて紙に書き出して可視化してみましょう。紙に書き出すだけでも、ストレスの解消に繋がります。
また、自分の感情や思考を客観的に見つめ直せるため、きついと感じる理由が明確になり、問題の本質を把握できるかもしれません。問題の本質が把握できれば、解決策の発見に繋がります。
そのほか、きついと感じる理由を言語化できれば、ほかの人に相談する時にもうまく伝えられるようになる点も、紙に書き出すことのメリットです。
書き出した理由に優先順位をつける
精神科訪問看護がきついと感じる理由を書き出したら、その理由に優先順位をつけましょう。
「きつい」と感じる理由に優先順位をつけておけば、問題の深刻さを可視化できます。どの問題に対して最優先に対処すべきかが整理できれば、問題解決もスムーズに進みます。
優先順位の高いものから対処していくことで、自分にとって大きな負担になっている事象を解決でき、ストレスが大幅に軽減される可能性もあるでしょう。
また、問題の優先順位を整理しておけば「対処すべき問題が多すぎる」「すべてに対処するための時間が足りない」といった混乱も避けられます。
上司に相談する
精神科訪問看護の仕事がきついと感じる場合、一人で悩まずに先輩や上司に相談してみましょう。
同職である先輩や上司は、同じような経験をし、同じような悩みを克服している可能性が高いです。そのため、悩みに対して具体的な解決策を教えてくれたり、腑に落ちるアドバイスをくれたりするかもしれません。
また、同じ経験をしたことがある先輩・上司に話をするだけでも、気持ちが楽になるケースもあります。
体力的・精神的にきついと限界に近づいている場合は、上司に相談してみることも一つの手段です。
転職を検討する
精神科訪問看護の仕事がきつく、心身に異常をきたしたり、プライベートにまで影響を与えていたりするのであれば、転職を検討するのも選択肢の一つです。
精神科訪問看護として培った経験・知識・スキルを活かせる職種はほかにもたくさんあります。特別なこだわりがなければ、思い切って別の職種に転職してみましょう。
働く環境や仕事内容を変えることによって、自分の適正など、新しい発見があるかもしれません。労働環境が改善されることによって、気持ちも明るくなる可能性があるほか、新しい知識・経験を積むことでキャリアの幅も広がります。
転職が初めての看護師でも、看護師の転職に詳しいキャリアアドバイザーが転職活動をサポートしてくれる転職サイトがあります。
「精神科訪問看護から転職したいけど、転職活動はしたことがないので不安」という看護師は、看護師向け転職サイトを活用してみてください。
精神科訪問看護がきつい人におすすめの転職先
精神科訪問看護の経験を活かせる職種は多数あります。
そのなかでもおすすめな転職先をピックアップすると、以下のような転職先が挙げられます。
- 一般科の看護師
- 病院以外の看護師
それぞれの職種の特徴について、以下で詳しく紹介するので参考にしてください。
一般科の看護師
精神科訪問看護の仕事がきついと感じる人におすすめなのが、一般科の看護師です。
一般科の看護師の仕事は、入院患者・通院患者の診察や検査をおこないます。また、バイタルサインの測定、採血や注射といった医療処置を補助するのが主な業務です。
つまり、精神疾患の患者さん特有の予測不可能な事態は比較的少ないといえます。医療処置は精神科訪問看護よりも多いかもしれませんが、経験することで新しい知識やスキルを習得でき、キャリアアップにもなるでしょう。
また、一般的な病院では基本的にはチームで業務にあたるため、一人での業務がきついと感じていた精神科訪問看護師にとっては、働きやすさの改善にも繋がります。
病院以外の看護師
病院以外でも、看護師の資格や看護師としての経験が重宝される職種は多くあります。
例えば、一般企業の医務室で働く産業看護師や、学校・保育園の保健室で働く看護師、イベント会場の医務室で働く看護師、医療系コールセンターなどがあります。
勤め先によって、正社員、非常勤やパート、派遣など雇用形態も様々です。夜勤を避け、仕事とプライベートを両立したい看護師であれば、日勤がメインかつ土日祝日休みの求人を選ぶと良いでしょう。
働き方を改善したい精神科訪問看護師は、病院以外の転職先も視野に入れて転職活動をしてみましょう。
精神科訪問看護からの転職は転職サイトを活用しよう
精神科訪問看護がきついと感じ、転職を検討しているのであれば、以下の3つの転職サイトに登録してみましょう。
転職を決断している看護師だけではなく、求人を見ているだけでも看護師業界の情報収集ができるので、転職しようか迷っている看護師にもおすすめです。
- 看護roo!
- レバウェル看護(旧:看護のお仕事)
- マイナビ看護師
上記の看護師向け転職サイトはどれも無料で利用できます。求人の内容も異なるので、複数に登録しておくと効率的に転職活動がすすめられるでしょう。
以下では、それぞれの看護師向け転職サイトの特徴を紹介するので、参考にしてください。
看護roo!
看護roo!は約42,000件の求人を掲載している看護師向け転職サイトです。
転職したい看護師によくある要望に応じた条件検索ができるため、自分に合った働き方ができる転職先が見つかるかもしれません。
また、看護roo!では「転職の希望条件こだわり診断」「性格からわかる職場診断」「キャリアパートナー診断」など、転職活動が初めての看護師にとって便利なサービスが多数あります。
看護roo!が運営するサイトのなかには、看護師同士で交流できる掲示板、資格取得のための情報提供もあります。閲覧するだけでも有益な情報が多数得られるため、看護師にとって登録して損はないサイトです。
転職を検討している精神科訪問看護師は、まずは看護roo!から登録してみましょう。
レバウェル看護(旧:看護のお仕事)
レバウェル看護(旧:看護のお仕事)は、約14万件の求人を掲載している看護師向け転職サイトです。
業界トップクラスの求人数のほか、一般求人誌には掲載されていない非公開求人もあるため、レアな求人を見つけられるかもしれません。
レバウェル看護では、施設と繋がりのあるアドバイザーが、施設の良い点だけではなく、大変な点も教えてくれます。サイトにはレバウェル看護を使って転職した看護師のリアルな声も掲載されているので、参考になります。
求人票からだけではわからない情報も収集しつつ、慎重に求人を比較し、転職先を決めたい精神科訪問看護師はレバウェル看護にも登録しておきましょう。
マイナビ看護師
マイナビ看護師は、大手人材企業の株式会社マイナビが運営する看護師向け転職サイトです。
看護師から転職できる一般企業や美容クリニック、コールセンターなど、幅広い職種を掲載しています。
大手人材企業のマイナビがこれまでに培った転職ノウハウを享受しながら、専任アドバイザーのサポートを受けられるのもマイナビ看護師のメリットです。
また、全国21拠点では対面による相談会も開催されています。メールや電話だけではなく、アドバイザーに対面で悩みを相談したい精神科訪問看護師は、マイナビ看護師にも登録しておきましょう。
まとめ
精神科訪問看護は、精神疾患の患者さんを対象にケアをおこないます。コミュニケーションがうまくとれない、予測できない事態が多い、一人で訪問する怖さなど、一般的な看護師とは異なるきつい部分があります。
どうしても精神科訪問看護がきついという場合は、悩みを整理して上司や先輩に相談するという方法もあります。しかし、心身に異常をきたしていてきつい場合は、転職も視野に入れましょう。
精神科訪問看護の経験を活かしつつ、労働環境を改善できる職種はたくさんあります。転職が初めての看護師や、仕事と並行しての転職活動が難しく感じる精神科訪問看護師は、看護師向け転職サイトを活用してください。
無料で利用できるほか、手厚いサポートしてくれるので、自分の適性に合った転職先を見つけられる可能性が高くなります。
気になるけど、なかなか話しづらい。けどとても大事な「お金」のこと。 日々の生活の中の身近な節約術から、ちょっと難しい金融知識まで、知ってて得する、為になるお金の情報を更新していきます。