看護師の転職は年齢がネックになる?年齢を気にせず転職できる看護師の職場とは
看護師として働いている方のなかには、転職を検討されている方もいるかもしれません。
ただ、長年看護師として働いてきた方の場合、ご自身の年齢が転職活動の成否に影響を与えるのではないかと、気にされることもあるでしょう。
確かに一般的な転職市場では、年齢が若いほうが有利とされるケースが多いようですが、看護師の転職においてもその一般論は当てはまるのでしょうか。
この記事では、看護師の転職では年齢がネックになるか、年齢を気にせずに転職しやすい看護師の職場などについて、説明します。
転職活動をおこなう際におすすめの転職サイトも、いくつか紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
看護師転職の実情|年齢の影響度は職場次第
最初に結論からお伝えしておくと、看護師の転職において年齢がネックになるかどうかは、職場次第です。
訪問看護や小~中規模病棟のように、慢性的に人材不足に悩む職場であれば、転職時において年齢はほとんど影響ないと思われます(詳しい理由は後述)。
一方で、美容クリニックであれば美容に気を遣った見た目や若い人の感性、急性期病棟であれば体力や業務スピードが求められるため、年齢が多少なりとも影響するでしょう。
どのような職場を転職先として考えているかによって、年齢の影響度が変わってくるということは、念頭に置いておく必要があります。
多くの看護師が年齢関係なく転職できる理由
上述したように、職場によって年齢が転職の可否に影響を与える度合いは異なるものの、基本的に看護師は、年齢に関係なく転職しやすい職業です。
その理由としては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 看護師は売り手市場である
- 採用における年齢制限は原則禁止である
- 40代以上の転職活動が活発である
それぞれの理由について、詳しく説明します。
看護師は売り手市場である
日本看護協会の調査によると、2020年度の看護師の求人倍率は2.05倍でした(※)。
2.05倍という数字自体かなり高めの数字であることに加えて、この数字はそれ以前の求人倍率から見れば、少し低めの数字でもあります(2017年度:2.36倍、2018年度:2.32倍、2019年度:2.34倍)。
このことから、看護師は総じて売り手市場であることが、おわかりいただけるでしょう。
求人が豊富に存在するので、しっかりと情報を集めることで、理想の職場に転職できる可能性が高いです。
(※)2020年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析結果」
採用における年齢制限は原則禁止である
転職活動時に、年齢のことを不安に感じる方は多いかもしれませんが、そもそも、採用における年齢制限は禁止されています(※)。
求人を出している企業は、人材不足に悩んでおり、即戦力となる人材を欲しているケースが多いです。
そのため、業務能力さえあれば、年齢に関係なく転職できる可能性はあるといえるでしょう。
40代以上の転職活動が活発である
2020年における看護職の求職者は76244人であり、そのうち、40歳以上は47854人で、全体の約63%を占めています(※)。
また、40歳以上の求職者47854人のうち、約4割にあたる19141人の方は、看護職に勤めながらの求職者、つまり転職活動者です。
2020年における看護職の転職活動者は27981人であることから、年間の転職活動者のうち約68%(19141 ÷ 27981)は、40代以上であることがわかります。
こういったデータの数値からも、年齢を重ねたからといって転職活動が難しくなるわけではないことが、おわかりいただけるでしょう。
年齢を気にせず転職できる看護師の職場
緊急対応や夜勤がない職場では、採用時においても年齢がネックになりにくいです。
具体的には、以下のような職場が挙げられるでしょう。
- 診療所・クリニック
- 訪問介護
- 介護施設・老人ホーム
- 精神科
- 慢性期病棟
それぞれの職場について、詳しく説明します。
診療所・クリニック
診療所やクリニックは、定期的な体のケアのために通われる患者の方が多く、緊急性のあるケースや、専門的な知識が求められるケースは、比較的少ないです。
そのため、年齢を気にせずに転職しやすい職場のひとつといえるでしょう。
通われる患者の方も、ある程度経験を積んでいるベテランの看護師の方に対応してもらえるほうが、安心と感じるかもしれません。
訪問介護
訪問介護は、在宅で療養している患者さんのもとを訪れ、日常生活のケアなどをおこなう仕事です。
最新の医療技術を駆使したり、重篤な症状に対して処置を施したりすることは、ほとんどありません。
利用者とその家族が、穏やかに毎日を過ごせるようにサポートをするのが、主な役割です。
そのため、若い看護師よりは、経験を積んだベテラン看護師が重宝されやすいので、年齢を重ねた後でも転職しやすい職場といえます。
介護施設・老人ホーム
介護施設や老人ホームでは、利用者の体調の観察や日常生活の介助などが、主な業務となります。
そのため、観察力や判断力、熟練した介助技術などが求められるので、経験を積んだ看護師は重宝されやすい傾向にあります。
また、介護施設や老人ホームは、総じて人手不足の傾向にあるので、いくつもの候補から転職先を吟味しやすいという点も、転職検討者からすればメリットといえるでしょう。
精神科
精神科に勤務する看護師は、体ではなく「心」のケアをおこなう必要があり、患者の容態観察や日常生活のサポートなどが、主な業務となります。
一人ひとりの患者とじっくりと向き合う必要があり、高いコミュニケーション能力が求められるので、経験豊かな看護師向けの職場といえるでしょう。
また、患者だけでなく、その家族に対するケアが求められることも多いということも、人生経験豊富な看護師が重宝される理由のひとつです。
慢性期病棟
慢性期病棟では、長期的な治療や療養が必要とされる患者のケアをおこないます。
慢性的な症状を抱えた患者が中心なので、緊急性の高い処置を施すようなケースはほとんどありません。
また、慢性期病棟に入院している患者のなかには、長く続く治療や入院生活に嫌気がさして、ネガティブな気持ちを抱えている方もいます。
そういった患者の心のケアをおこなうためにも、自身の経験をもとにしたアドバイスのできるベテラン看護師は、重宝されるでしょう。
転職時に年齢が考慮されやすい看護師の職場
一方、タフさ・知識吸収力・美容感性などが求められるような職場では、採用時に年齢が考慮されやすいです。
具体的には、以下のような職場が挙げられるでしょう。
- 急性期病棟
- 大学病院
- 美容クリニック
それぞれの職場について、詳しく説明します。
急性期病棟
急性期病棟では、長時間労働や夜勤も多いため、体力に自信のある若い方が求められる傾向にあります。
また、重症患者を受け入れることが多いので忙しく、業務スピードに対応できることも必要とされます。
もちろん、看護師として積み重ねてきた経験も採用において重視されるでしょう。
しかし、そういった点だけでなく、迅速に業務対応できる体力があるのか、夜勤は可能なのか、これらの点が見られるということを念頭に置いておいてください。
大学病院
大学病院は、医療機関であると同時に教育機関でもあります。
新人教育や若手の育成に力を入れていることも多く、新卒などのようにこれからの成長が見込める、若い看護師を中心に採用することが多いです。
また、休日や時間外で研修がおこなわれることも多く、体力的にタフであることが必要なのも、大学病院が若手の看護師向けの職場である要因のひとつといえるでしょう。
美容クリニック
美容クリニックでは、訪れる患者の年齢層に合わせて、スタッフも若手中心にすることが多いです。
美容業界では、常に新しい施術の方法などが開発されていきます。
そのため、最新の技術を素早くキャッチアップできる柔軟性が求められることも、美容クリニックで若手の看護師が重宝される要因のひとつとなります。
ただし、手術の経験や形成外科的なキャリアがある場合は、30代や40代でも美容クリニックへの転職は、そこまで難しくはないでしょう。
看護職以外の分野に転職する際のポイント
今は看護師として働いているものの、次は看護職以外の仕事に就きたいと思っている方も、いるかもしれません。
看護師の方が、看護職以外の分野に転職する際のポイント・注意点としては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 未経験の場合は年齢は若いほど有利
- 看護師として得たスキルを確認する
- 年収は下がることもある
- 転職サイト・エージェントを活用する
それぞれのポイントや注意点について、詳しく説明します。
未経験の場合は年齢は若いほど有利
看護師からの転職に限らず、これまでに未経験の分野に転職する場合は、一般的に年齢が若いほど有利です。
その理由としては、採用した後に活躍してもらえる期間が長いことや、知識や技術の習得に対する柔軟性などが挙げられます。
第二新卒枠やポテンシャル採用の枠を活用できる時期を過ぎると、選択肢がグッと少なくなることを意識して、転職活動をおこないましょう。
看護師として得たスキルを確認する
看護職以外に転職するからといって、看護師として働いてきたなかで積み上げてきたスキルが、まったく使えなくなるわけではありません。
コミュニケーション・マネジメント・医療分野に関する知識やスキルなど、これらはほかの分野においても、重宝されるケースがあるでしょう。
ご自身が得たスキルを客観的に把握したうえで、それらが活かせそうな業界や職種への転職を検討するのが、おすすめです。
年収は下がることもある
看護師はほかの職種と比べても、夜勤や残業が多いのが大きな特徴です。
ただ、夜勤や残業が多いことが、看護師の収入を増やしていることも、事実ではあります。
新しい職場に転職して夜勤や残業が減ると、身体的な負担は少なくなるかもしれません。
しかし、年収が下がってしまう可能性があることは、考慮しておくべきでしょう。
転職サイト・エージェントを活用する
これまで未経験の業界への転職を検討する場合、どのような仕事がご自身に合っているのか、わからないと感じることもあるでしょう。
そのような場合は、転職サイトや転職エージェントを活用するのがおすすめです。
転職に詳しい担当アドバイザーの方と面談をすることで、ご自身に向いている業界や職種を客観的に判断しやすくなるでしょう。
各種サポートも受けられますので、在職中であったとしても、転職活動をスムーズに進められるようになるはずです。
看護師におすすめな転職サイト3選
転職活動を進めるために転職サイトを利用しようと思っても、種類が非常に多くて、どれを利用すべきかで悩んでしまうことも考えられます。
看護師におすすめな転職サイトとしては、主に以下のサイトが挙げられるでしょう。
- 看護roo!
- レバウェル看護
- マイナビ看護師
それぞれの転職サイトの特徴やメリットなどについて、詳しく説明します。
看護roo!
看護roo!は、株式会社クイックが運営する看護師のための総合サイトです。
看護roo!では、施設形態を絞って求人を検索できるので、年齢を重ねていても転職しやすい施設の求人に絞って求人をチェックすることで、転職先を効率的に見つけやすくなるでしょう。
また、看護roo!では病院以外の求人も取り扱っています。
看護師として積み重ねてきた経験や知識を活かしながら、看護職以外で働きたいという方が、求人を探すのにもおすすめです。
レバウェル看護
レバウェル看護は、レバレジーズメディカルケア株式会社が運営する、看護師求人紹介/転職支援サービスです。
転職支援サービスを利用する場合、担当アドバイザーとやり取りをしながら転職活動を進めていきますが、レバウェル看護ではLINEでやり取りをおこなうことができます。
勤務時間中は基本的に電話には出られませんが、LINEであればスキマ時間を活用してやり取りができるので、スムーズに転職活動を進められるでしょう。
また、レバウェル看護では、実際にレバウェル看護を利用して転職した方に対して、転職後のアンケートを実施しています。
年齢を重ねてから転職をした方の生の意見も聞けるので、転職先を決めるための、判断基準のひとつとするのもよいでしょう。
マイナビ看護師
マイナビ看護師は、株式会社マイナビが運営する、看護師のための無料の転職サイトです。
扱う求人数が非常に多いため、豊富な選択肢のなかから、ご自身に合った転職先を見つけられます。
とはいえ、これまで転職を経験したことがなければ、転職先を選ぶのに悩んでしまうことも考えられるでしょう。
ただ、マイナビ看護師では、転職に関することだけでなく、今後のキャリアについての相談も可能です。
年齢を重ねてからの転職ではどのような職場がおすすめかなどについても、相談してみるとよいでしょう。
まとめ
看護師の方は、年齢を重ねていても、転職に関してそこまで心配する必要はありません。
看護師は売り手市場であり、40代以上の方の転職活動も、活発におこなわれています。
ただ、職場によっては、若手の看護師を優先して採用するようなところもありますので、職場の特徴などを踏まえたうえで、転職先を吟味してみてください。
また、看護職以外への転職を希望する場合、どのような職場がご自身に合っているのかと、悩んでしまうことも考えられます。
そのような場合は、転職サイトや転職エージェントを利用して、担当アドバイザーの方と相談しながら、転職先を決めるのがおすすめです。
今回ご紹介した転職サイトの利用も検討していただき、ご自身にとって納得のいく形で、転職活動を進めてください。
不動産広告の営業マンを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中。 クレジットカードやカードローンに関する知識を、公平な視点で分かりやすく伝えることを目指しています。 私生活でもいろいろなクレジットカードを使い分けながら、自分にとって最適な使い方を模索中。毎月貯まっていくポイントを見ながらその使い方を考えるのが、ひそかな楽しみ。 自分の実体験や気付きをもとにした、オリジナリティのある記事をお届けしたいと思っています。