銀聯カードはどんなクレジットカード?中国で便利に使えるカード、スマホ決済もあわせて解説します
クレジットカードのブランドとして、VISAやMastercard、JCBをご存じの方は多いと思いますが、最近では新たに銀聯(ぎんれん)、別名UnionPay(ユニオンペイ)というブランドを見かけることが増えてきました。
銀聯は中国のクレジットカードブランドであり、主な利用者である中国人の多さを背景に、どんどんと世界中に広まってきています。
そこで今回は、銀聯カードはどんなカードなのか、また銀聯カードのメリットなどについて説明していきたいと思います。
日本人でも発行できる銀聯のクレジットカードもありますので、そちらも併せて紹介しますね。
銀聯(ぎんれん)カードってどんなカード?
銀聯カードは、中国の企業である「中国銀聯」が発行しているカードです。銀聯はなじみのない漢字ですが、日本では「ぎんれい」、中国語読みでは「インリェン」と発音するので覚えておきましょう。
新しく出てきてあまりなじみのないカードだけに、「どのようなカードなのか?」と思われるかもしれませんが、「銀聯」は「VISA」や「Mastercard」と同じようなものだと思っていただければOKです。
ですので、銀聯(UnionPay)のロゴがある加盟店で、支払いが可能です。
もともとは中国の人の買い物が便利になるように発行されたカード
銀行の口座をつくればキャッシュカードが発行されますが、中国ではそのキャッシュカードに、必ず銀聯ブランドが付与されています。
我々がクレジットカードを発行する際には、カード会社に申込みをおこなわなければなりませんが、中国の人が銀聯カードを所有するためには銀行口座を開設するだけでOKなのです。
この銀聯カードを買い物の支払いに利用すると、銀聯カードに紐づいている銀行口座からお金が引き落とされるので、中国国民には現金代わりのような感覚で利用されています。
銀聯カードはクレジットカードではなくデビットカード
先ほどの説明を踏まえると、「銀聯カードはクレジットカードではなくデビットカードなのでは?」と思われる方もおられるかもしれません。
まさにそのとおりで、VISAやMastercardが主に発行しているのはクレジットカードですが、銀聯が主に発行しているのはデビットカードなのです。
クレジットカードとデビットカードの違いは決済方法にあり、クレジットカードでは一定期間にクレジットカードで決済された金額が、引き落とし日にまとめて引き落とされます。
それに対してデビットカードは即時決済で、カードを利用した瞬間に紐づいている口座からお金が引き落とされるのです。
銀聯カードがデビットカードである理由には、中国の国内事情が大きく関与しています。
クレジットカードは後払いで支払いをおこなうため、「利用者が信用できる人かどうか」が、カード発行の際に大きなカギを握ることになります。
しかし中国では、申込み者の信用力を判断するための与信システムが発達していないため、クレジットカードを発行しにくいという事情があります。
その点デビットカードであれば、即時決済で口座に入っている金額までしか利用できないため、クレジットカードのような与信審査をおこなう必要がありません。
そのため、銀聯カードはクレジットカードではなくデビットカードとなっているのです。
中国では「VISA」や「Mastercard」以上に使いやすいカード
中国発祥のブランドだけあって、銀聯カードは中国ではVISAやMastercard以上に使いやすいカードとなっています。
中国国内での加盟店舗数は2,000万店以上ともいわれていますが、銀聯カードの発行枚数は右肩上がりなので、今後さらに増えていくと考えられるでしょう。
日本での加盟店数は、2018年4月の銀聯国際日本支社の発表によると、67万店となっています。
ただ、中国人による「爆買い」という言葉が聞かれるようになって久しいですし、観光地に行っても中国人の方を非常によく見かけます。
そのため、日本国内の銀聯加盟店も中国国内同様に、今後さらに増え続けていくでしょう。
銀聯カードの5つのメリット
銀聯カードは中国の人にとってはなくてはならないカードですが、そんな銀聯カードにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
銀聯カードのメリットを、以下でいくつかあげていきます。
①銀聯カードさえあれば中国国内どこでも買い物が可能
上述したように、中国国内には非常に多くの銀聯の加盟店舗があります。
そのため、銀聯カードを持ってさえいれば、どこでも自由に買い物ができます。
中国には紙幣が6種類ありますが、最高額の紙幣でも100元(日本円換算でおよそ1,500円前後)です。
高額の買い物をする場合には、多額の紙幣を持ち歩かなければならないことになり不安ですが、銀聯カードがあればその心配もありません。
②中国のATMでも海外のATMでも利用可能
銀聯カードはデビットカードであり、キャッシュカードの機能も有しているので、現金が必要な場合にはATMを利用してお金を引き出すことも可能です。
また、海外で銀聯の加盟店舗が増えてきているように、銀聯カードが利用できる海外のATMも少しずつ増えてきています。
海外のATMで利用すれば現地通貨の引き出しが可能なので、海外旅行に行く際にも銀聯カードがあれば安心です。
③海外旅行時にも現金の持ち出し制限を気にする必要がない
中国では、海外旅行に行く際に国外に持ち出せる現金が、2万元(日本円換算でおよそ30万円前後)と制限されています。
また、外国の通貨であっても、たとえば日本円の場合は100万円までしか国外に持ち出せないようになっています。
これでは、海外で「爆買い」をしたい中国人にとってはお金が足りないのでは…と思われるかもしれませんが、そういった不便を解消するのもやはり銀聯カードです。
現金がなくても銀聯カードで決済できるので、中国人の海外での買い物にはあまり支障がないようです。
なお2016年1月から、銀聯カードで海外の外貨を引き出す際の上限額は、1枚あたり1年間で「最高10万元(日本円換算でおよそ150万円前後)」に制限されています。
④6ケタの暗証番号の入力とサインでセキュリティもバッチリ
クレジットカードを利用する際に気になるのはセキュリティ面ですが、銀聯カードはセキュリティもバッチリです。
通常のクレジットカードの暗証番号は4ケタですが、銀聯カードの暗証番号は6ケタあるうえに、利用時にはサインも必要です。
「6ケタの暗証番号」+「利用時のサイン」という2段階のセキュリティがあるおかげで、悪用の心配はほとんどないでしょう。
⑤偽札をチェックする必要がないため、店側にも大きなメリット
銀聯カードのメリットを享受しているのは利用者だけではなく、実は店側にも大きなメリットがあるのです。
中国では、現在でも偽札が横行しているという現状があるので、支払いの際に現金を利用すると、お店としては偽札かどうかの確認のために時間と労力を割かなければなりません。
そのため、現金払いを嫌うお店も多いのです。
しかし銀聯カードを利用すれば、現金チェックの必要がないため、銀聯カードの利用は店側にも好まれます。
銀聯カードはどんな人がつくるべき?
ここまでの説明で、銀聯カードは「中国人のためのクレジットカード」というような印象を受けている人もいるかもしれません。
しかしもちろん、中国人以外でも銀聯カードの発行は可能です。
日本人で銀聯カードをつくるべきなのは、どのような人なのでしょうか。
中国に長期滞在予定の人
中国人が銀聯カードを必要としているのは、当たり前のことかもしれませんが「中国で生活をしているから」です。
そのため、たとえば仕事の出向や留学などで中国に長期滞在する予定があり、中国で普通に生活をするのであれば、銀聯カードは欠かせないでしょう。
まさに「郷に入っては郷に従え」ということですね。
出張や旅行などで何度も中国に行く予定のある人
長期滞在というわけではないものの、出張や旅行などで何度か中国に行く予定のある人も、銀聯カードをつくっておいたほうがいいでしょう。
現地で買い物をする機会も多いと思いますので、銀聯カードがあるかないかで利便性は段違いです。
中国に1回だけ旅行に行くつもりのある人
中国に行く予定が1回だけの人の場合は、銀聯カードをつくるべきかどうかの判断が分かれます。
長期旅行なのであれば、銀聯カードを持っておいたほうが便利なことは間違いありません。
短期旅行であれば、1回の旅行のためだけにわざわざカードを発行すべきかどうかは微妙なところです。
中国では銀聯カードが便利に使えるものの、VISAやMastercardなどのクレジットカードが使えないというわけではありません。
とくに、海外からの観光客が多い大都市などでは、銀聯カード以外のクレジットカードが使えるところが多いですので、旅行先がそういった都市中心なのであれば、既に持っているクレジットカードを利用してもいいでしょう。
日本でつくれる銀聯のクレジットカード3選
では、日本でつくれる銀聯カードを3つ紹介します。
中国の方が利用している銀聯カードは主にデビットカードですが、日本で発行できる銀聯カードはクレジットカードが中心です。
「3選」といっているものの、現在日本で発行できるクレジットカードは以下の3つしかないので、銀聯のクレジットカードを発行する場合は、以下の3つのいずれかのクレジットカードを選ぶことになります。
三井住友銀聯カード
三井住友銀聯カードは、日本で発行できる銀聯のクレジットカードのなかで、唯一単体での発行が可能なカードです。
三井住友銀聯カードでは1,000円(税込)の決済で1ポイントが付与され、1ポイントが5円相当の価値なので、通常のポイント還元率は0.5%です。
新規発行手数料と年会費はともに無料ですし、上海にある銀聯コールセンターでは、日本語による照会受付もおこなっているので、サポート体制もしっかりしているカードになっています。
ANA銀聯カード
ANA銀聯カードと三井住友銀聯カードは、ともに三井住友カードが発行するクレジットカードです。
しかし、クレジットカード決済でマイルを貯めたいのであれば、ANA銀聯カードのほうがおすすめです。
三井住友銀聯カードでは、貯めたポイント1ポイントにつき3マイルに交換できますが、ANA銀聯カードでは貯めたポイント1ポイントにつき5マイルに交換できます。
また、マイル移行手数料が無料な点も大きなメリットですね。
ただし、ANA銀聯カードは単体では発行できず、以下のクレジットカードの追加カードとして発行する形になります。
- ANA VISAカード
- ANA マスターカード
- ANA VISA Suica カード
- ANA TOKYU POINT ClubQ PASMO マスターカード
- ANA VISA nimocaカード
三井住友銀聯カード同様に、新規発行手数料、年会費ともに無料です。
MUFGカード 銀聯カード
MUFGカードの銀聯カードも、MUFGカードに紐づけて発行する形となります。
海外の銀聯加盟店でのショッピング利用分については、基本ポイントが通常の2倍になるので、中国旅行のおみやげを本カードで購入することで、一気にポイントを貯められます。
また中国国内に、海外アシスタンスサービスの窓口である「ハローデスク」を設けており、現地スタッフが日本語で対応してくれるので、旅行時には非常に心強いですね。
年会費は無料ですが、新規発行手数料は本会員が1,100円(税込)、家族会員が330円(税込)必要です。
リクルートカードの銀聯カードは高還元率!
国際ブランドがVISAとMastercardのリクルートカードは、三菱UFJニコスが発行するクレジットカードなので、追加カードとして銀聯カードを発行することが可能です。
ポイント還元率はリクルートカード同様に1.2%となっているので、高還元率の銀聯カードを持つことができます。
新規発行手数料として1,100円(税込)かかってしまいますが、年会費は無料となっているので、中国に行く機会が多い人は、利用を検討してみてもよいでしょう。
ちなみに、リクルートカードは国際ブランドとしてJCBを選択することも可能ですが、JCBの場合は銀聯カードを発行することはできませんので注意してください。
中国で人気のスマホ決済
キャッシュレス先進国いわれている中国では、Alipay(アリペイ)とWeChat Pay(ウィーチャット ペイ)の2大スマホ決済アプリが広く浸透しています。
ここでは、中国に行く機会がある人は知っておきたいAlipayとWeChat Payの特徴について簡単に紹介していきます。
中国の消費者が最も利用している「Alipay(アリペイ)」
Alipayは、中国のネット通販業界でも有名なアリババグループが提供するスマホ決済アプリで、中国ではショッピングや飲食、交通、お小遣いのやり取りなど、さまざまなシーンで使われています。
また、中国の小規模店舗では、お客が店頭に提示されたQRコードをスキャンし、購入した金額を入力するだけのステッカー型の決済方法を取り入れている店舗が多くあります。
そのため、Alipayがあれば中国での買い物をスマホ決済で簡単に済ませるということも可能になります。
Alipayは、現地口座がなくてもクレジットカードを登録してチャージすることが可能なので、中国に行く機会がある人は利用を検討してみてもよいでしょう。
中国で100万店舗以上が導入する「WeChat Pay(ウィーチャット ペイ)」
WeChat Payは、ユーザーが自分の銀行口座を「WeChat」に登録するだけで利用できる手軽さが人気のスマホ決済サービスです。
WeChatは、LINEと同じような中国で人気のSNSで、中国や香港などでは多くの人が利用しているため、広く浸透しています。
ただし、WeChat Payに関しては、基本的に現地口座がなくては利用できないので、現地の人が利用するスマホ決済ということを覚えておきましょう。
WeChat PayはAlipay同様にクレジットカードでのチャージに対応するという発表がありましたが、現状だとカードの登録はできるものの、チャージはできないようです。
今後は、クレジットカードからのチャージに対応していくと考えられますが、まだ正式な発表がないので、利用を検討している人は小まめに情報を確認するようにしてください。
クレジットカード銀聯のまとめ
中国発祥の銀聯カードは、今ではクレジットカードの7大国際ブランドのひとつに数えられるほどであり、海外でも利用できるところがどんどん増えてきています。
中国でもVISAやMastercardのクレジットカードが使えるところは多いものの、銀聯カードを1枚持っておけば安心感は段違いです。
旅行や出張、留学などで中国に行く予定のある方は、渡航前に銀聯カードを発行しておくことをおすすめします。
不動産広告の営業マンを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中。 クレジットカードやカードローンに関する知識を、公平な視点で分かりやすく伝えることを目指しています。 私生活でもいろいろなクレジットカードを使い分けながら、自分にとって最適な使い方を模索中。毎月貯まっていくポイントを見ながらその使い方を考えるのが、ひそかな楽しみ。 自分の実体験や気付きをもとにした、オリジナリティのある記事をお届けしたいと思っています。