銀行Pay(銀行ペイ)とは?仕組みや特徴、導入しているサービスなどを解説
銀行口座と連携させて使えるキャッシュレス決済サービスが、銀行Pay(銀行ペイ)です。
しかし銀行によってサービス内容や操作方法、アプリが違うので戸惑ってしまう方も多いでしょう。
この記事では、銀行Pay(銀行ペイ)の仕組みや機能、特徴について解説していきます。
また銀行Pay(銀行ペイ)のシステムを導入している銀行とサービスの内容についても紹介しているので、電子決済を導入したい方はぜひチェックしてください。
銀行Pay(銀行ペイ)の仕組みとは?
銀行Pay(銀行ペイ)とは、「銀行Pay OEMシステム」の名称でGMOペイメントゲートペイが開発したスマホ決済サービスです。
銀行Payは金融機関向けに開発されたもので、現在は以下10の銀行と銀行グループが銀行Payのシステムを利用したサービスを提供しています。
- 横浜銀行
- 福岡銀行
- 熊本銀行
- 親和銀行
- ゆうちょ銀行
- 沖縄銀行
- 北陸銀行
- 北海道銀行
- 広島銀行
- 三井住友銀行
以上の銀行はどこも銀行Pay(銀行ペイ)のシステムを利用しているものの、サービス自体は独立しているためそれぞれアプリの名前は異なります。
また2020年現在、具体的なサービスがリリースされていない銀行もあるため、それぞれの銀行サイトでお知らせをこまめにチェックすることが大切です。
銀行Pay内では参加銀行間に互換性があり、一部サービスでは加盟店も共有化されていますので今後多くのお店で利用できるようになると考えられます。
各金融機関ごとの詳しいサービス内容や、アプリについては「銀行Pay(銀行ペイ)のシステムを導入している銀行とサービス名一覧」でチェックしてください。
他の銀行系決済サービスはある?
銀行Pay(銀行ペイ)以外の銀行系決済サービスとしては、Bank Pay(バンクペイ),J-Coin Pay(ジェイコインペイ)がありますが、今の段階で使える銀行、加盟店は共通していません。
銀行Pay(銀行ペイ)はGMOが開発したシステムの総称ですので、独立したサービスであるBank Pay,J-Coin Payとは全く異なります。
まずBank Pay(バンクペイ)とは、日本電子決済推進機構(J-Debit)が2019年秋を目途にスタートさせる新しい電子決済サービスです。
1,000を超える銀行が加盟予定で、実際の決済では共通のスマートフォンアプリケーションが利用できるようになると発表されています。
またJ-Coin Pay(ジェイコインペイ)は、みずほ銀行が立ち上げたデジタル送金フォームであり、みずほ銀行など約60の金融機関での利用が可能です。
銀行Pay、Bank Pay,J-Coin Payはそれぞれ開発事業者も利用できるお店も異なるため、間違えないよう注意が必要です。
銀行Pay(銀行ペイ)の特徴とは?クレカなしで使える?
10の金融機関で使える銀行Pay(銀行ペイ)ですが、サービス共通の特徴はどのようになっているのでしょうか。
ここからは銀行Payの特徴を6つ解説していくので、電子決済サービス選びで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
特徴①銀行口座さえあれば登録できる
銀行Pay最大の特徴は、銀行口座を使って登録ができることです。口座さえあればクレジットカードを持っていなくてもすぐに登録できるので、カードを作るのが難しい方でも利用できます。
口座を登録することで、自動的に個人情報の引継ぎなどもおこなってくれるので、PayPay(ペイペイ)のように自分で全ての情報を登録したり、LINE Pay(ラインペイ)のように別のサービスに登録しておく必要はありません。
すでに銀行Payのシステムを導入している銀行に口座を持つ方であれば、簡単に登録が可能です。
ただ対象となる銀行口座以外では登録できないため、銀行Payシステムを利用するには対象となる口座を開設する必要があります。そのため対象の口座を持っていない方が使うのには、かなりの手間がかかってしまうでしょう。
すぐに使える電子決済サービスに登録したいという場合、LINE Payなど別の電子決済サービスを検討するのがおすすめです。
特徴②決済がスマホでかんたんにできる
銀行ごとに細かいサービス内容が異なりますが、スマートフォンでの決済機能はどのアプリにも搭載されています。
銀行口座とアプリを連携させ、QRコードを読み取ることで決済できるため電子決済サービスに慣れていない方でも簡単に利用可能です。
わざわざ財布を持たずとも、スマホがあれば決済ができるので非常に便利です。
特徴③口座残高の範囲内で利用できる
銀行Payは利用後、対象の口座から即時引き落としされるシステムとなっており決済に使えるのは、登録した口座に入っている金額だけです。
そのため口座にお金が無くても決済出来てしまうクレジットカードと比べ、残高以上にお金を使いすぎてしまう可能性は低いでしょう。
また一部の銀行Pay系アプリでは、利用上限額を自分で設定することもできるので現金派の方も安心です。
特徴④病院で使えるようになる可能性がある
銀行Payの開発を行っているGMOゲートウェイは、今後病院での支払いにも電子決済サービスが利用できるようにしたいと方針を語っています。
現在病院での支払いに対応しているのは横浜銀行が提供している「はまPay」のみ、対象の病院は横浜新緑総合病院(横浜市緑区)のみとなっていますが、今後多くの病院で簡単に決済ができるようになる可能性は高いでしょう。
特徴⑤個人情報が登録されるのは銀行のみ
銀行Payでは、個人情報を銀行以外の企業に渡さず登録が出来るようになっています。そのため個人情報流出の危険は他のサービスに比べ少ないと言えるでしょう。
また銀行Payでは銀行口座を入力しただけですでに銀行に登録している情報と結び付けてくれるので、氏名や住所などの入力は最低限で済みます。
「電子決済サービスに登録したいけれど、色んな企業に口座情報を教えるのが不安」という方には、銀行Payの利用がおすすめです。
特徴⑥キャッシュアウトサービスでお金を引き出せる
銀行Payのキャッシュアウトサービスなら、駅の券売機から現金を引き出すこともできます。現在対応しているのは「はまPay」と「ゆうちょPay」のみですが、東急電鉄の券売機等から預貯金の引き出しができるため近くにATMが無いという方も便利です。
使い方は非常に簡単で、「はまPay」または「ゆうちょPay」のアプリで引き出し金額を指定して、QRコードを券売機の読み取り機にかざすだけ。渡日祝含む23時まで引き出しが出来るため仕事で忙しい方も利用しやすいでしょう。
現在、引き出しにかかる手数料は「はまPay」で平日110円(税込)、土日祝220円(税込)、「ゆうちょPay」で終日110円(税込)となっています。
最大で3万円の出金が可能なので、手元の現金が足りない時気軽に使えます。
銀行Payの開発元は今後は別の鉄道駅や病院、ホテルなどでもこのキャッシュアウトサービスを充実させたいと発表しているため、いろんな場所でATMより手早く現金の受け取りができるようになるかもしれません。
特徴⑦AliPay(アリペイ)決済も利用できる
銀行Payのシステムは中国のアリババグループが提供するAliPay(アリペイ)での決済にも使えるため、加盟店になればインバウンド対策にもなります。
AliPay(アリペイ)は、5億人以上のアクティブユーザーを抱える中国の電子決済サービスで、中国国内ではもちろん他の国での導入事例も多数あります。
中国で広く使われているAliPayを導入することで、中国からの観光客を獲得しやすくなります。
中国からの観光客が多いお店であれば銀行Payを導入しAliPay決済に対応させておくと良いでしょう。
銀行Pay(銀行ペイ)を利用する際の注意点とは
銀行口座と連携させるだけで簡単に利用できる銀行Pay(銀行ペイ)ですが、利用にはいくつか注意点もあります。
ここからは銀行Payを使う上で意識すべきポイントを3つ解説していきます。サービスを利用する前に、チェックしておきましょう。
注意点①ポイント還元されないサービスがほとんど
銀行Payのシステムを利用したアプリは現在6つありありますが、ポイント還元機能のあるサービスは福岡銀行、熊本銀行、親和銀行が提供するYOKA!Pay(よかペイ)のみとなっています。
LINE PayやPayPayなど、他の電子決済サービスでは多数のポイントサービスやキャンペーンが実施されているため、電子決済サービスにお得感を求める人にとっては不満かもしれません。
ちなみにYOKA!Payでは、決済利用200円ごとにmyCoin1枚(1枚1円相当)がもらえるシステムになっており、貯めたコインはギフト商品や他社のポイントに変えることができます。
注意点②加盟店がまだ少ない
銀行Payの加盟店はまだ少ないため街中どこでも使える、という状況ではありません。
さらに銀行Payのアプリ同士で加盟店の共通化がされていないところも多いため、「登録したはいいけれど、使えるお店が近くに一軒もない」という事態も十分あり得ます。
詳しい加盟店については実際にダウンロードして調べるほか、公式サイトに載っている場合もあるのでぜひチェックしてください。
ただしゆうちょ銀行・横浜銀行・福岡銀行・熊本銀行・親和銀行ように銀行Payのシステムを利用する銀行の加盟店が共通化された例もあります。
そのため今後は銀行Pay系のアプリに1つでも登録していれば、別のアプリの加盟店でも使えるようになるかもしれません。
また今後利用者が増えれば、銀行Payの加盟店が増えていく可能性もあります。
注意点③銀行によって使えるサービスが異なる
先ほども説明した通り、銀行Pay(銀行ペイ)はアプリ自体が銀行によって分かれているため、基本的には別々のサービスとなっています。
サービスごとに加盟店や使い方が異なるのはもちろん、別のアプリから別のアプリをダウンロードするといったこともできないため複数の銀行口座を持っている方にとっては使いにくいでしょう。
またアプリごとに使える機能も異なっており、送金機能がそもそも用意されていない銀行Pay(銀行ペイ)も存在します。
今後相互利用ができるようになる可能性もありますが、今のところ銀行Payサービスはそれぞれ全く異なるものであると考えておくのが良いでしょう。
銀行Pay(銀行ペイ)のシステムを導入している銀行とサービス名一覧
これまでの説明の通り、銀行Pay(銀行ペイ)は同じシステムを利用する銀行系決済サービスの総称です。
そのため銀行ごとにサービスの細かな内容や名称は異なってきます。銀行Pay(銀行ペイ)のシステムを導入しているアプリは、以下の通りです。
- はまPay(はまペイ)
- YOKA! Pay(ヨカペイ)
- ゆうちょPay(ゆうちょペイ)
- OKI Pay(オキペイ)
- ほくほくPay(ほくほくペイ)
- こいPay(Coi Pay)
以下では、それぞれのサービス内容について詳しく紹介していきます。それぞれで使い方や機能が異なりますので、銀行Pay導入済の銀行に口座を持っている方はぜひチェックしてください。
はまPay(はまペイ)
はまPay(はまペイ)は、横浜銀行が提供している電子決済サービスで、横浜銀行に口座を持っていればすぐに登録、利用ができます。
はまPayの特徴は、以下の通りです。
- 利用限度額を設定できる
- キャッシュアウトサービスが利用できる
- YOKA!Pay、ゆうちょPayと共通の加盟店で利用できる
- 病院の支払いで利用できる
- お店ごとにスタンプやクーポンを発行できる
加盟店が少ないとされる銀行Payの中で、加盟店の共通化を積極的におこなっているのがはまPayです。
現在は全国に加盟店を持つゆうちょPayに加えYOKA!Payと加盟店が共通化されているため、九州のチェーン店などででも利用可能です。
また、お店ごとにクーポンの発行が出来るのもはまPayの特徴です。クーポンやスタンプなど、お店によって内容は異なりますが関東方面にお住いの方であれば登録しておくと良いでしょう。
YOKA!Pay(よかペイ)
YOKA!Pay(よかペイ)は、福岡銀行が提供している電子決済サービスです。福岡銀行以外に、熊本銀行、親和銀行の口座があれば簡単に登録できます。
YOKA!Pay(よかペイ)の特徴は、以下の通りです。
- はまPay、ゆうちょPayの加盟店で利用できる
- 利用に応じてmyCoinが貯まる
- YOKA!Pay(よかペイ)限定クーポンを発行できる
YOKA!Pay(よかペイ)」は、ゆうちょPay、はまPayと加盟店が共通化されておりミニストップやウェルシア薬局など全国広い範囲のお店で利用できます。
また大賀薬局やミスターマックスなど九州に多いチェーン店での利用が可能ですので、九州に住む人であれば登録しておくと良いでしょう。
そしてYOKA!Pay(よかペイ)最大の特徴は、1か月の利用額に応じてポイントが貯まることにあります。決済額200円ごとに1枚、myCoinが貯まるので現金を使うよりもお得です。
貯まったmyCoinの使い道は、以下の通りです。
- 希望のギフト商品と交換
- 1コイン1円としてキャッシュバック
- 提携先のポイントに交換
VポイントやPontaポイントなど別のポイントに交換する際はmyCoin1枚が0.9ポイントになってしまうので、貯蓄預金口座を開設しキャッシュバックするのが最もお得です。
電子決済サービスでポイントを貯めたい方、九州のお店でサービスを利用したい方におすすめです。
ゆうちょPay(ゆうちょペイ)
ゆうちょPay(ゆうちょペイ)は、ゆうちょ銀行が提供している電子決済サービスです。ゆうちょ銀行の口座があれば、すぐに登録して利用できます。
ゆうちょPayの特徴は、以下の通りです。
- 全国チェーンのお店で使える
- ゆうちょPayデビューキャンペーンで現金500円がもらえる
- お店で使えるクーポンを配信予定
- キャッシュアウトサービスを利用できる
ゆうちょPayの加盟店にはミニストップやウェルシア薬局、ヤマダ電機や松屋など全国チェーンのお店が多く、エリアを問わず便利に使えます。
キャンペーンもありますので、ゆうちょ銀行の口座をお持ちの方は登録しておくと良いでしょう。
OKI Pay(オキペイ)
OKI Pay(オキペイ)は、沖縄銀行が提供している電子決済サービスです。沖縄銀行に口座を持っている方なら簡単に登録できます。
現在、OKI Pay(オキペイ)独自の特徴はありませんが、今後は沖縄を中心に1,000店舗で使えるようになることを目指しています。
また時期は未定ですが、ホテルや病院の自動精算機から現金を引き出せるサービスも提供すると発表されています。
今後はATMの無いエリアに住んでいる方も気軽に出金が可能になるでしょう。
ほくほくPay(ほくほくペイ)
ほくほくPay(ほくほくペイ)は、北海道銀行と北陸銀行が共同で提供する電子決済サービスです。
他の銀行Pay同様銀行口座から直接支払いが出来るサービスとなるようです。
ほくほくPayは銀行Pay同士の相互連携が可能となる「マルチバンク」にも対応しています。
北海道銀行、北陸銀行に口座をお持ちの方は利用を検討してみてください。
こいPay(Coi Pay)
こいPay(Coi Pay)は、広島銀行が提供する電子決済サービスです。
銀行口座から直接支払いが可能であるため、チャージやクレジットカード登録が不要となっています。
また、銀行Payシステムの相互連携により、全国の銀行Pay加盟店で利用が可能です。
銀行Pay(銀行ペイ)と間違えやすいBank Pay、J-Coin Payとの違いを解説!
銀行PayとBank Pay,J-Coin Payは全く異なるものですが、同じ銀行系サービスなので非常に間違えやすいです。
以下では、Bank Pay,J-Coin Payそれぞれの特徴とサービス内容について解説していきますので、違いを理解して自分に合ったサービスを選択しましょう。
Bank Pay(バンクペイ)とは?
Bank Pay(バンクペイ)とは、日本電子決済推進機構(J-Debit)が提供する電子決済サービスです。
銀行Payと非常に間違われやすいのですが、銀行Payとは提供元、システムが異なる全く別のサービスです。
Bank Pay参加の金融機関は1,000を超えており、メガバンクでも地方銀行でも使えるサービスになると予想されます。
さらにBank Payは機能を外部に開放し、クーポンアプリやショッピングアプリなどでの支払い、ポイントカード機能と連携しています。
また今後、同じ銀行系決済サービスとしてBank Payと銀行Payと加盟店を共通化するなどの対応も検討されているため、発表を待ちましょう。
J-Coin Pay(ジェイコインペイ)とは?
J-Coin Pay(ジェイコインペイ)は、みずほ銀行が提供している電子決済サービスです。みずほ銀行以外にも約60の銀行が加盟しており、アプリは共通のものとなっています。
銀行口座からアプリにチャージして使う方式で、決済だけでなく送金、割り勘も可能です。
2019年3月にスタートしたサービスで知名度は低めですが、スマホアプリと銀行口座の間なら入出金の手数料がかかりません。
休日に手数料を支払い銀行口座から現金を引き出さなくても買い物ができるので、平日働いている方には大きなメリットのあるサービスです。
ただし銀行Payとは加盟店、利用可能な銀行が異なりますので注意してください。
銀行Pay(銀行ペイ)まとめ
銀行口座さえあれば、銀行Payの登録は簡単です。銀行Payを使うことで預金を引き出す手数料が不要になるので、口座を持つ銀行がサービスを提供しているのであれば使ってみるのもおすすめです。
ただし銀行ごとに提供しているアプリの名称やサービスの内容、使い方が異なるため、まずは各銀行のホームページなどをチェックしましょう。
また同じ銀行系サービスでも、銀行PayとBank Pay,J-Coin Payは異なります。まだリリースしていないサービスもありますが、それぞれの特徴を把握して、自分に合ったものを選択しましょう。
金融・ビジネス分野を中心にライティング活動を行う専業ライター。大学は経済学部を卒業しており、交通経済学専攻だった。ビジネスとは直接関係していないが旅行好き。大学時代は一人で日本一周をしたことがある。しかし日本一周の経験は現在の仕事でさほど生かされていない。ポイントを集めるのが好きで、ポイントカードを100枚以上持っている。お店でポイントカードを作るか聞かれると必ず作ってしまう。