話題の「ベンチャー型事業承継」についてインタビューVol.2 ~一般社団法人ベンチャー型事業継承 浅野哲也さん~ PR

話題の「ベンチャー型事業承継」についてインタビューVol.2 ~一般社団法人ベンチャー型事業継承 浅野哲也さん~

新しい形のベンチャーである「ベンチャー型事業承継」を応援する、アトツギベンチャープロジェクト。

このプロジェクトは、行政と民間が連携してベンチャー型事業承継を応援しています。

マネ会では、一般社団法人ベンチャー型事業承継の浅野 哲也さんと近畿経済産業局の田代 一馬さんに、それぞれの立場からのお話を伺いました。

この記事では、一般社団法人ベンチャー型事業承継の浅野 哲也さんとのインタビュー内容となっております。近畿経済産業局の田代 一馬さんのインタビューが気になる方は以下の記事をご覧ください。

話題の「ベンチャー型事業承継」についてインタビューVol.1 ~近畿経済産業局 田代 一馬さん~ PR

ベンチャー型事業承継とは、若手後継者が、家業が持つ、有形無形の経営資源を最大限に活用し、リスクや障壁に果敢に立ち向かいながら、新規事業、業態転換、新市場開拓など、新たな領域に挑戦することで社会に新たな価値を生み出すこと。

一般社団法人ベンチャー型事業承継はアトツギが挑戦する環境を全国に拡げる団体

浅野 哲也さん①

ー本日はお時間をいただき、ありがとうございます。早速ではありますが、「一般社団法人ベンチャー型事業承継」とはどういった団体なのでしょうか。

浅野 哲也さん(以下、浅野):「一般社団法人ベンチャー型事業承継」は、ファミリービジネス(同族企業)の承継予定者(以下、「アトツギ」)に特化した新規事業開発支援団体として2018年に設立しました。

「ベンチャー」という言葉には、明確な定義がなく、さまざまな使われ方をしているのですが、ベンチャーと聞くと、いわゆる「スタートアップ」のようなベンチャーを想像する方が多いと思います。

しかし、ファミリービジネスに目を向けてみると、創業年数に関わらず長年あるような会社でも、有形・無形の経営資源とアトツギが持つ成長思考を掛け合わせて、新たなことに挑戦して、新しい市場を獲得しにいったり、新規事業を始めたりする会社もベンチャーではないかと、考えるようになりました。

ベンチャー型事業承継のイメージ図

浅野:私たち「一般社団法人ベンチャー型事業承継」は、スタートアップと中小企業の中間領域である「アトツギベンチャー」を日本のカルチャーとして根付かせることをミッションとし、両方の分野に精通するボードメンバーで構成しています。

一般社団法人ベンチャー型事業継承の立ち上げ時の画像

アトツギだけが集まれるコミュニティ作りを大切にしている

ー具体的にどんな活動をしているのでしょうか。

浅野:私たち一般社団法人ベンチャー型事業承継では、アトツギ支援の一環として、民間企業・行政機関と連携したイベント開催をおこなっています。

具体的には、アトツギとして事業を構築した先輩経営者から経験シェアしてもらう場を作ったり、家業の経営資源を活用した新規事業の開発の講座をおこなったり、投資家・経営者に向けて自社で考えたサービス・製品を発表するピッチ大会を開催したりしています。

イベントを通して、アトツギの成長を手助けしているわけです。

ピッチ大会の様子

浅野:もちろん、イベントが終わったら、アトツギとの縁が切れるというわけではなく、アトツギの方だけが集まれるコミュニティとしてオンラインサロンの運営もしております。

オンラインサロンは、Facebookの非公開ページで作っていて、北は北海道、南は沖縄まで全国のアトツギが自発的に集まって、家業ならではの懸念点、家業の経営資源を活用した新規事業をおこなう上での課題を解決していくために、同じ立場の公開者と話し合うようなコミュニティです。

実際、話し合いでは「なんで家業を継いだの?」「先代や古参の社員との良い関係を築くためには何をすべき?」「新規事業を立ち上げるために家業の強みをどう活かしたのか?」といった家業ならではの課題感をぶっちゃけてます。

全国各地の同世代のアトツギが集まれる、出会えるようなコミュニティって、実は今までなかったんです。だから、オンラインサロンに価値を感じてくれる方は多いですね。

もちろん、それだけですべてが解決するわけではないですけど、悩みを共有し合う、ノウハウを共有し合う場があるっていうことが、アトツギにとっては貴重なんです。

アトツギが話し合っている様子

ーイベントやオンラインサロンへの参加を34歳未満に限定していますが、なぜでしょうか。

浅野:34歳未満にこだわっているのは、1つの仮説です。

家業の経営資源を活かして、新規事業を立ち上げた先輩経営者の方に話を伺うと、新しい事業の立ち上げのきっかけとなったアイデアを考えだしたのが34歳未満なんですよ。

若いうちに考えて、コツコツ積み立てて、10年後に花開いたっていう方が多いです。新規事業って、華々しく見えますが、意外と泥臭くて、はじめてすぐに結果が出るものではないです。

家業ならなおさらなんですけど、現社長や古参社員から新規事業の立ち上げを反対されたり、家業の経営資源を使いたいものの、決裁権を持っているのは現社長のため、理解が得られず、使えなかったりっていうのはよくあることです。

また、事業承継して、社長になった時には、経営や財務、目の前の業務に忙殺されてしまい、新規事業を考える時間がなかなか取れません。そんな事情も踏まえて、「10年後のメシの種を作る」新規事業に注力できる34歳未満の若手後継者に限定にしているわけです。

アトツギの方には外に出た経験を家業に還元してほしい

浅野 哲也さん②

ーイベントなどを通じて、アトツギの方にどのような姿になってほしいという思いはあるのでしょうか。

浅野:
実は、家業に入られてアトツギとして活動していく方の多くは、絶望感で未来に希望を抱けない方が多いですね。

というのも、アトツギの家業の実態は古臭く規模も小さいビジネス、令和とは思えないようなアナログな環境も多いんです。

一方、同年代のスタートアップや大手企業で働く若手を見ると、社会課題を解決するビジネスをおこなったり、規模の大きい研究開発に取り組んだりと、キラキラと輝いてるように見えます。

そんな中、アトツギとなった方たちは、家業を背負って生きていかなければいけない、という絶望感があります。

そういうアトツギの方には、家業の経営資源を使えば、キラキラしていること、自分がやりたいことができるんだよ、っていうのを伝えていきたいですね。そして、家業に対する後ろめたさをなくして欲しいですね。


ー家業を継ぐにあたって、必要な素質はあるのでしょうか。

浅野:大きく分けて、3つあると思っています。

1つめは、家業と真摯に向き合って、家業の経営資源を正しく理解している人です。

2つめは、どんなビジネスを行う上でも大事な視点ですが、顧客が誰なのか、ニーズは何か、というのを理解している人です。家業の経営資源と顧客が何を求めているのかをマッチすることで、新しい事業の立ち上げに繋がりますね。

3つめは、強靭な精神力を持つ人です。アトツギが家業を辞める、転職することは、ほとんど聞いたことがありません。一概には言えませんが、代々継がれてきた家業では企業永続を掲げているところも多く、企業売却という手段を選ぶアトツギは少なく感じます。

そのため、時には家業の経営状況が悪くなることもありますが、それでも安易に売却することができない、家業を守っていかなくてはいけない、という強靭な精神力が求められますね。


ー家業を継ぐにあたって、必要な準備はあるのでしょうか。

浅野:多くのアトツギは、高校・大学を卒業した後、家業以外のキャリアに進む方が多いので、そういった方向けに話したいと思います。

そういう方たちに準備していただきたいことは、家業以外のキャリアで培った経験を家業に還元すると、どうなるか想像することです。多くの家業は閉じられた世界です。

常に社内に目が向き、外に出たとしても同業種の取引先しか関わりがありません。そのような環境では、発想も小さくなってしまいますよね。

だからこそ、外からの知見や経験を持ったアトツギが入ると、解決すべき課題が明確になり、一気に変わることがあるんです。まずは、どんな分野でもいいので、外に出て一つの専門家になること、そして家業に戻ったら、どんなことができるだろうか、と想像することが大事だと思います。


ー家業以外のキャリアを積む、というのはどんな業界でもよいのでしょうか。

浅野:業態や規模によると思います。それこそ家業がアパレルのECを運営していて、ずっと伸びてきているっていうのであれば、それに関連した仕事をするほうが良いでしょうし、反対に、斜陽産業であれば、新市場に参入したり、業態を変える必要がありますよね。

家業とは別の業界に行って、そこで知見を深めたほうが、戻ってきた時に、その知見を活かした新規事業を立ち上げることでV字回復する可能性があるのではないかと思います。

よく「業界の常識は世間の常識ではない」と言われるんですが、家業以外のキャリアを積んで戻ってきた人ほどそれが理解できるはずです。

アトツギに対する偏見は捨ててほしい

浅野 哲也さん③

ーたくさんのお話をありがとうございました。浅野さんはこのプロジェクトに対してどのような思いを持って取り組んでいるのでしょうか。

浅野:本プロジェクトを通して、地域の活性化に繋げたいと思っています。首都圏ではスタートアップのような成長する企業が多く、比例して、経営資源であるヒト・モノ・カネも揃いやすい環境にあります。

しかし、実は地域で老舗と言われる家業にも経営資源が多く眠っていて、これを使わないのはもったいないと思っていました。家業では、ちょっとした業務改善や新しい取り組みが成長に繋がり、それをノウハウ化して同じ業界の企業に横展開するだけでも大きなビジネスになります。

本プロジェクトによって、地域に根を張りつつ、長く成長し続ける企業をいくつも作っていくことが、結果として、地方創生に繋がるとも思っています。

また、すぐには芽が出るわけではないアトツギは軽視されがちな存在でした。

しかし、アトツギは地域経済の発展には大事な存在です。私たちは、そんなアトツギを支援しつつ、アトツギを目指す若者を一人でも増やすために頑張っています。


ー最後にアトツギの方へメッセージをお願いいたします。

浅野:家業に偏見がある方は、偏見を捨ててほしいです。アトツギって、「親の七光り」や「金持ちのぼんぼん」というイメージがすごい強くて、ネガティブなイメージを持たれがちなので、キャリアを描く時の選択肢として出てこないことが多いです。

しかし、家業を持ってることは、本来、幸せなことで、先人たちが築いた資産がある状態からスタートできるのをプラスに捉えることもできます。まずは、家業に対するネガティブなイメージを捨てて、アトツギになることをキャリアを描く中での一つの選択肢として浮上させてほしいです。

そのための支援として先ほど話したコミュニティ運営や、イベントの運営をさせていただいていますので、1人で悩まずに、活動しているところをぜひ見に来てください。

ー本日はありがとうございました!

一般社団法人ベンチャー型事業承継 事務局

…続きを読む

2019年に株式会社サイバーエージェントに入社。 クレジットカード、キャッシュレス、カードローンの記事作成を担当。 愛用クレジットカードは楽天ゴールドカードでネットショッピングでは楽天市場を利用するようにしている。楽天ペイ、楽天Edyも使っており、楽天のダイヤモンド会員を維持している。最近はスマホを楽天モバイルに変えるか悩んでいる。 ヤフーカードやPayPay、Kyashなども利用しており、お得にポイントを貯めることが趣味。

…続きを読む