話題の「ベンチャー型事業承継」についてインタビューVol.1 ~近畿経済産業局 田代 一馬さん~ PR

話題の「ベンチャー型事業承継」についてインタビューVol.1 ~近畿経済産業局 田代 一馬さん~

新しい形のベンチャーである「ベンチャー型事業承継」を応援する、アトツギベンチャープロジェクト。

このプロジェクトは、行政と民間が連携してベンチャー型事業承継を応援しています。

マネ会では、近畿経済産業局の田代 一馬さんと、一般社団法人ベンチャー型事業承継の浅野 哲也さんに、それぞれの立場からのお話を伺いました。

この記事では、近畿経済産業局の田代 一馬さんとのインタビュー内容となっております。一般社団法人ベンチャー型事業承継の浅野 哲也さんのインタビューが気になる方は以下の記事をご覧ください。

話題の「ベンチャー型事業承継」についてインタビューVol.2 ~一般社団法人ベンチャー型事業継承 浅野哲也さん~ PR

ベンチャー型事業承継とは、若手後継者が、家業が持つ、有形無形の経営資源を最大限に活用し、リスクや障壁に果敢に立ち向かいながら、新規事業、業態転換、新市場開拓など、新たな領域に挑戦することで社会に新たな価値を生み出すこと。

ベンチャー型事業承継は新しいベンチャーの形

田代一馬さん①

―本日はお時間をいただき、ありがとうございます。早速ではありますが、「ぼくらのアトツギベンチャープロジェクト」とはどういったプロジェクトなのでしょうか。

田代 一馬さん(以下、田代):ぼくらのアトツギベンチャープロジェクトでは、ベンチャー型事業承継に関心がある若い世代を応援するプロジェクトで、先進事例やイベント情報の発信、機運醸成イベントの開催などしています。

私は、近畿経済産業局の創業・経営支援課に属していまして、この部署では、起業やベンチャー企業の支援を担当しています。なぜこの課でベンチャー型事業承継を推進しているのかというと、平成28年度に新たなベンチャー政策について議論したことが始まりです。

「ベンチャー」という言葉には、明確な定義がなく、さまざまな使われ方をしているのですが、ベンチャーと聞くと、いわゆる"スタートアップ"のようなベンチャーを想像する方が多いと思います。

私たちは議論のなかで、創業年数に関わらず成長志向を持ち新たなことに挑戦し、新しい市場を獲得しにいったり、新規事業を始めたりする企業もベンチャーだと捉えるようになりました。

とくに、経営者が代替わりしたときに、後継者の新たな取組が会社を成長させた事例がよくあるので、ベンチャー政策の中にアトツギも対象に入れたのが、プロジェクトの始まりになります。

そこから、34歳未満のアトツギ(若手後継者や後継者候補)に向けた施策を、公益財団法人大阪産業局とともに行ってきました。

行政として機運情勢の役割を担っている

アトツギベンチャーのイメージ画像

―プロジェクトに取り組むにあたって、近畿経済産業局の役割とは一体どんなものなのでしょうか。

田代:当局のアトツギベンチャープロジェクトでは機運醸成に力を入れています。

ベンチャー型事業承継を推薦するにあたり、一番は、アトツギや世の中に対して、「アトツギってかっこいい」、「アトツギベンチャーかっこいい」みたいな機運醸成が、行政の役割として重要だと考えています。

支援はアトツギの置かれているステージによって様々な段階が考えられますが、アトツギが新規事業に取り組む段階であれば、資金調達したい、仲間を集めたいなどの支援ニーズが考えられます。

このフェーズは、アトツギ向けに限らず既存の行政支援や民間のサポートが結構あります。ですので、我々は、まだ行動に移せていないアトツギに家業に向き合うきっかけだったり、支援機関には経営者だけでなくアトツギのチャレンジにも目を向けてもらえるようになど、アトツギベンチャーが注目される機運醸成につながる取り組みをおこなっています。

また、機運醸成はお金にはなりません。だからこそ、そこを行政がやる意味って強いのかなと考えています。

アトツギを取り巻く環境を変える活動をしている

近畿経済産業局のイベント画像

ー機運醸成にあたって、具体的にどのような活動をおこなっているのでしょうか。

田代:毎年さまざまなことをおこなっているんですけど、ポータルサイトでの情報発信に力を入れています。

まず、ロールモデルの取材です。新規事業や業態転換をして、成功したアトツギの方に取材をしています。

記事の内容は、事業展開の話だけではなく、パーソナルな部分にフォーカスしています。「なぜ継いだのか」、「どういう思いで家業に戻ったのか」、「アトツギならではの課題はなにがあったのか」などの部分を深掘って記事にし、毎年発信しています。今年度は10社ほど取材をしました。

つぎに、イベント情報の発信をしています。我々の実施しているイベントだけでなく、関西で参加できるイベント情報の発信もしています。

また、支援機関向けのセミナーもしています。アトツギベンチャーを盛り上げるためには、アトツギだけが盛り上がるのではなく、アトツギを取り巻く環境も盛り上げる必要があります。今後、「ベンチャー」という言葉に「アトツギベンチャー」も候補に入るような世界を作っていきたいと思っています。ほかには、新規事業開発講座を毎年開催しています。

「野心系アトツギ」というタイトルにしているのですが、家業をイノベーションしたい、と熱い想いを持った方を集めて、3日間かけて新しいビジネスモデルを考えるワークショップを実施しています。

「アトツギが10年後も会社が発展していくための種をまく」といったコンセプトで、啓発活動をしたり、新規事業を作るためのワークショップをしています。

我々としては、さまざまなイベントを通して、アトツギ同士のコミュニティ形成を大事にしており、これが一番アトツギの方々にも響いている印象はあります。アトツギって結構悩んでいる方が多いんですけど、アトツギならではなので、友達に相談する内容ではないんですよね。

相談してもわからないでしょうし、本質のところはイベントを開催している私たちもわからなくて、アトツギ同士でしかわかり合えないんです。

普通に暮らしてても、アトツギは同じ境遇の人にはなかなか会えないので、イベントを通して、同世代のアトツギの仲間に出会えることに関して価値を持ってくれている方はかなり多いです。

アトツギにはとても大きなチャンスがある

田代一馬さん②

ーイベントなどを通じて、アトツギの方にどのような姿になってほしいという思いはあるのでしょうか。

田代:アトツギには、さまざまな事業があって、さまざまなステージがあると思うんですけど、家業に戻るかどうかを迷っている人たちも、イベント参加者には多いです。

わからないことが多いからこそ、不安が多いと思います。経営を今までやってきたわけではないからこそ、家業に戻ってやっていけるのかっていう不安はありますし、大企業に勤めている人なら、今のほうが安定しているんじゃないかって思うでしょう。

ただ、ロールモデルになる人たちの話を聞くと、「アトツギってこんなにチャンスなんだ」とおっしゃる方が多いです。

家業に信用力があったり、技術があったり、場合によっては資金があったりするので、ビジネスチャンスがあって、できる幅がゼロから始める起業よりもあります。

なので私たちは、アトツギに生まれたことは、とても大きなチャンスなんだというのを伝えていき、ポジティブに家業に戻ってくれたらと思っています。また、そうやって一緒に悩んでいる方がたくさんいるんだ、っていうことにも気付いてほしいですね。


ーアトツギベンチャー、必要な素質はあるのでしょうか。


田代:ロールモデルの方を取材していると、半分以上の方が、もともと跡を継ぐ気はなかったとおっしゃります。

昔は継ぐ気はなく学生時代はアルバイトばっかりしてたとか、別の会社に就職していたとか、そういう人が大半です。

しかし、家業に戻った後、もともと家業自体が好きじゃなかったとしても、家業のリソースだけじゃなくて、そこに今までの自分の経験をマッチさせて、事業を自分の好きな方向・得意な方向に持っていってる方は多いです。

そのような方は、家業にのめり込んで、成功している印象があります。さまざまパターンがあるので一概にいえないのですが、1つはそれがあるかなと思います。

のめり込めないと成功しないっていうよりは、のめり込んでるから勉強するし、いろいろなことを調べるし、いろんなことにこだわってやっている、だからこそ成功しているのだと思います。

起業家のように、最初から自分のやりたい事業ではなく、最初はやりたくないものだと思っているものなので、家業をいかに自分がのめり込めるようにできるかっていうのは重要だと思います。


ーありがとうございます。跡を継ぐにあたって、必要な準備はあるのでしょうか。


田代:まずは親としっかり話すことだと思います。継ぐ前は、会社は親のものなので、今の社長との関係性って絶対重要なものです。

新しいことをするにあたって、実際に家業を引き継ぐことになったときに、さまざまな問題が出てきます。親との軋轢は、一番よく聞くアトツギあるあるです。

親と面と向かって真面目な話をするって恥ずかしいと思うんですけど、さまざまな問題を解決するためにも、親と対話をするべきだと思います。

アトツギもベンチャーということを世の中に伝えていきたい

田代一馬さん③

ーたくさんのお話をありがとうございました。田代さんはこのプロジェクトに対して、どのような思いを持って取り組んでいるのでしょうか。

田代:さきほども少しお話させていただいたんですけど、ベンチャーといえばゼロイチだけじゃなくて、アトツギもベンチャーだ、ということを世の中に発信していきたいですね。

また、アトツギに対しても、アトツギの社長はかっこいいということを伝えていきたいですし、そういう社会を作っていきたいと思っています。


ー最後にアトツギの方へメッセージをお願いいたします。

田代:家業に対して悩んでいる方々は多いと思いますが、跡を継ぐことだけがすべてではないです。選択肢はたくさんあると思うので、一般的な会社で働くっていう手もありますし、自分でゼロから起業するのも悪くないと思います。

ただ、家業に対して何かしらの思いがあったり、悩んだりしているのであれば、セミナーやワークショップに来ていただき、同世代の同じ境遇のアトツギの方と出会ってもらって、こういう世界がある、ということを知ってもらいたいなと思っております。

また、何か明確なビジョンがある方は、一緒に事業化のお手伝いができたらなと思っているので、ぜひイベントに参加してみてください。


ー本日はありがとうございました!

近畿経済産業局 創業・経営支援課

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2019年に株式会社サイバーエージェントに入社。 クレジットカード、キャッシュレス、カードローンの記事作成を担当。 愛用クレジットカードは楽天ゴールドカードでネットショッピングでは楽天市場を利用するようにしている。楽天ペイ、楽天Edyも使っており、楽天のダイヤモンド会員を維持している。最近はスマホを楽天モバイルに変えるか悩んでいる。 ヤフーカードやPayPay、Kyashなども利用しており、お得にポイントを貯めることが趣味。

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