暮らすように観光できるまち。兵庫県丹波篠山市のふるさと納税返礼品をインタビュー
兵庫県の中東部に位置する丹波篠山市は、農業・観光業が盛んで古き良きまちなみを残す、穏やかなまちです。丹波篠山黒豆や山の芋、丹波栗など、濃厚な味わいが特徴の特産品を多数誇っています。
今回は、丹波篠山市役所 企画総務部・ブランド戦略課の新藤さんに、丹波篠山市のふるさと納税返礼品についてご紹介いただきました。
城下町・宿場町の面影をのこす丹波篠山市
―本日はよろしくお願いします。新藤さんは、丹波篠山市のブランド戦略課でお仕事をされているそうですね。
はい、企画総務部のブランド戦略課でふるさと納税を主に担当しています。ブランド戦略課は、他にも市のプロモーションや文化庁が認定している日本遺産に関することなど、市のブランド推進に関する業務を担当する課です。
―丹波篠山市の特色を教えていただけますか?
丹波篠山市には、江戸時代に築かれた篠山城というお城を中心とした城下町が広がっており、主要な産業は農業や観光産業です。
地理的には兵庫県の中東部で、大阪・京都に隣接しています。山や歴史ある建造物が存在感を示しているので、いわゆる農村の風景ですが、京都・大阪・神戸に1時間ほどでアクセスできる便利さも特徴のひとつです。
観光で丹波篠山市を訪れる方には、3つのおすすめエリアに分けてご案内しています。まず、篠山城周辺の風情あるまちなみの中を散策するコースです。最近は古民家を活用したおしゃれなお店も増えていて、若い世代のお客様もよくいらっしゃいます。
2つ目は、市の東部にある福住(ふくすみ)という地域です。ここは大阪や京都との府県境に位置していて、かつては京都に向かう街道の宿場町として栄えていました。伝統的なまちなみの中に古民家を改装したショップや飲食店もあり、穴場エリアとなっています。
市の南西部には立杭(たちくい)という地域があり、「日本六古窯(にほんろっこよう)」(※)のひとつに数えられている丹波焼の窯元が50軒ほど並んでいます。
ーありがとうございます。特産品や定番グルメはありますか?
はい、丹波篠山市には自信を持って美味しいといえる特産品が多数あります。まずは丹波篠山黒豆です。丹波の黒豆は、ほくほく、もっちりとした食感が特徴で、とても食べ応えがあります。
黒くなって硬くなる前の段階で収穫するのが枝豆で、これは「黒枝豆」と呼ばれています。この黒枝豆が非常に美味しくて、秋ごろになると塩茹でして、ビールと一緒に楽しむのが定番です。
毎年10月5日前後に販売の「解禁日」が定められているのですが、生の状態で流通するのは解禁からわずか2週間ほどなので、市内でもプレミア的な価値があります。
この2週間の中でも、「10月初旬の若い豆が好き」という人もいれば「少し渋くなってきた豆が好き」という人もいて、どんどん味が変わっていくのがおもしろいところです。
また、イノシシの肉と季節の野菜を味噌で煮込んだ「ぼたん鍋」という郷土料理もおすすめです。
他の地域でも山あいならイノシシ肉が食されていると思いますが、丹波篠山市はこのぼたん鍋の発祥の地と言われており、ぼたん鍋のお店も数十件あるくらい、地域に根付いた料理で、「100年フード」として文化庁に認定されています。
他には、「丹波栗」や「山の芋」といった山の幸、そしてお米、お茶も名産品です。
煮込めば煮込むほどおいしくなるぼたん鍋
ー丹波篠山市のふるさと納税についてお伺いします。まず、人気の返礼品を教えてください。
イノシシ肉とお味噌が入っているぼたん鍋のセットや、黒豆煮の瓶詰めなどは特に人気があります。令和5年の冬頃にリリースした神戸牛のローストビーフや、「丹波篠山牛」(※)のステーキ肉、ベーコンなども人気です。
ーぼたん鍋をつくる際のコツはありますか?
一般的には、お肉を煮込みすぎると硬くなってしまうと思います。でもイノシシ肉は煮込めば煮込むほど甘く美味しくなると言われていますので、味噌を入れておだしを作ったら最初にイノシシ肉を入れて、その後に野菜を入れて煮込むのがおすすめです。
城主気分を味わえる、体験型の返礼品も
ー人気の有無にかかわらず、丹波篠山市ならではのユニークな返礼品がありましたら教えてください。
実際に丹波篠山市へ来て楽しんでいただく「体験」にも注目していただけると嬉しいです。
例えば、ふるさと納税の返礼品に、篠山城跡の大書院を貸し切り、ディナーなどを堪能できる「殿様御成(おなり)体験/殿様御膳(ごぜん)」という旅行プランを用意しています。これは、まるで城主のような気分で丹波篠山の魅力を味わっていただくプランです。
大書院の「上段の間」や「次の間」には見事な障壁画が飾られていて、通常は立ち入ることができませんが、このプランではここでディナーを提供します。
また、天守台に設けるプライベートバーで、お城からの景色と星空を眺めながらお酒を楽しめるのもポイントです。
―城主気分の体験、とてもユニークですね。旅行プランということは宿泊もセットなのでしょうか。
はい。お食事やお酒を楽しんだ後は、「篠山城下町ホテルNIPPONIA(ニッポニア)」のスイートルームにご宿泊いただきます。
ここは「城下町全体をホテルに」というホテルで、古民家を改修して運営しているんです。
当初は「お城に泊まれる」という返礼品を検討したのですが、建築基準法などの制限があり難しいため、宿泊先はホテルでありながらも丹波篠山の様々な魅力を体験できるこのプランを用意しました。
寄附額は基本プランで161万5千円の返礼品ですが、まるで丹波篠山に暮らしているかのようで、かつ特別な体験ができる商品なので、注目していただけると嬉しいです。
寄附金の使い道は5つの使い道+クラウドファンディング型から選択可能
―ふるさと納税寄附者の声をお聞かせください。
黒豆、ぼたん鍋などいくつかご紹介しましたが、どれも満足の声をいただいています。品質の良さ、おいしさを感じていただけているのだと思います。
ー集まった寄附金はどのように活用されていますか?
丹波篠山市では、ふるさと納税でいただいた寄附金の使い道が5つあります。まず、豊かな自然環境の保全に関する事業、2つ目が農の都としての農業振興に関する事業、3つ目が日本遺産の街の魅力発信に関わる事業、4つ目が伝統文化の保全や教育環境の充実に関する事業、5つ目がその他です。
丹波篠山では環境関係の事業に数多く取り組んでいるので、自然環境の保全事業に対して集まる寄附は比較的多いように感じます。
教育環境の充実に関する事業の例としては、いただいた寄附金を使って、子どもたちの遊び場作りなどに使わせていただいています。
また、最近は「ガバメントクラウドファンディング」という取組みもあるのをご存知でしょうか。クラウドファンディング型でふるさと納税を集める取組みで、寄附金はごく限定的な目的に活用されます。
例えば丹波篠山では、丹波焼をはじめ、手仕事で工芸品を作っている作家さんがたくさんいらっしゃるので、そうした方々をサポートするため、クラフトイベントで販売会場を設けるための費用などをガバメントクラウドファンディングで集めました。
ー作家さんは、昔から丹波篠山にいらっしゃる方々なのでしょうか?
丹波焼に関しては、昔からこのまちに根づいて活動されている方が多いですね。でも他の工芸作家さんの中には、他の地域から移住されてきた方もたくさんいらっしゃいます。
ガラス工芸や革製品、時計、家具など、皆さんそれぞれにスキルを持って丹波篠山に移住してこられて、お店を開いていらっしゃいます。
色々な方が移住してこられていますが、丹波篠山の歴史・文化を踏まえて、皆さん調和しながら、新しい空気を作ってくださっていると感じます。
歴史と豊かな食文化をもつ丹波篠山市。ふるさと納税を活用して魅力を広めたい
ー今後の丹波篠山市ふるさと納税について、展望をお聞かせください。
丹波篠山の良さが全国の皆さんに届き、市のブランド力がより向上するように、今後もふるさと納税制度を活用していきたいと思います。
今回は黒豆やぼたん鍋などをご紹介しましたが、丹波篠山にはまだまだたくさんの特産品、おすすめしたいものがありますので、ふるさと納税を考える際には、このまちの返礼品をチェックしていただけると嬉しいです。
私自身、丹波篠山の出身ですが、他の地域で暮らしたこともあります。こちらに帰ってきて感じるのは、丹波篠山にはやはり美味しいものがたくさんあること、そしてのんびりした穏やかな空気がありつつ、都市圏と適度に近いことで、暮らしやすかったり、様々な人との交流があったりすることです。
旅行で来ていただくのはもちろん、丹波篠山の特色を満喫できる体験型のふるさと納税返礼品もありますので、ぜひご覧ください。皆さんのお越しをお待ちしています。
―本日はご紹介いただき、ありがとうございました!
丹波篠山市役所 企画総務部ブランド戦略課 主査
気になるけど、なかなか話しづらい。けどとても大事な「お金」のこと。 日々の生活の中の身近な節約術から、ちょっと難しい金融知識まで、知ってて得する、為になるお金の情報を更新していきます。