看護師の「のんびり働きたい」を叶える職場5選|労働条件・注意点もあわせて解説
看護師として働くにあたって、忙しい職場でキビキビと働きたいか、余裕のある職場でのんびりと働きたいかは、人によって異なるでしょう。
のんびりと働きたいと思っていても、職場の環境がそうさせてはくれないことも考えられます。
そのため、ご自身の希望どおりの働き方を実現するためには、勤務する診療科や施設から、しっかりと吟味する必要があるでしょう。
この記事では、看護師がのんびりと働ける労働環境・条件や、のんびりと働きやすい診療科や施設について、説明します。
より働きやすい環境を求めて転職するために、おすすめの転職サイトも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「のんびり働きたい」と思う看護師は多い?
転職したいと考えている看護師に対して、厚生労働省がその理由を調査しています。
調査結果を見てみると、「人間関係」や「給与への不満」といった理由も挙がるなかで、「責任の重さ」や「休暇が取りづらい」といった理由が占める割合は、比較的大きいことがわかります(※)。
このことから、「のんびり働きたい」と思う看護師が多いことが推察されるでしょう。
(※)厚生労働省「看護職員就業状況等実態調査結果」
看護師がのんびり働ける労働環境・条件
看護師がのんびり働くための労働環境や条件としては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 人間関係
- 業務内容
- 適切な人員配置
- 責任・プレッシャー
- 有休消化率
- 夜勤の有無
- 通勤距離
- 患者との距離感
それぞれについて、詳しく説明します。
人間関係
人間関係は、快適に働けるかどうかを大きく左右する要素のひとつです。
やたらと先輩風を吹かせてくるベテラン看護師や、小言の多いお局ポジションの師長がいるような職場では、のんびり働くのも難しいでしょう。
実際に働いてみるまで、どのような人達と一緒に働くかはわかりませんが、人間関係で悩みそうな職場だと感じた場合は、早めに転職を検討したほうがよいかもしれません。
業務内容
業務内容も、働き方に大きく関わってきます。
情報収集のためにいわゆる「前残業」をおこなったり、退勤後に申し送りをしたりする必要がある職場では、のんびり働くのは難しいかもしれません。
また、高度な医療を提供している病院やクリニックは、全国各地から患者さんが集まってきやすいため、のんびり働くことは難しいと考えられます。
適切な人員配置
業務量に対して適切な人員が配置されていることも、のんびり働けるかどうかを左右する要素です。
医療法に基づく人員配置標準において、人員確保の適正な数値は公開されおり、看護師1人あたりの受け持ち患者数は、求人にも「一般病棟(10対1)」「一般病棟(7対1)」といった形で書かれていることがあります。
ただ、人手不足に悩む病院においては、必ずしもそれが遵守されているとは限りません。
看護師1人あたりの受け持ち患者数が、基準に対して明らかに多いようであれば、当然ながら負担は増えるため、のんびり働くことは難しいといえるでしょう。
責任・プレッシャー
仕事をするからには、責任やプレッシャーはつきものです。
ただ、それがご自身の経験やスキルから考えた場合に、度を越したものである場合は、働くのがしんどく感じる可能性が高いです。
責任やプレッシャーから完全に解放されるのは難しいため、ご自身の立場に見合った程度の責任やプレッシャーのなかで、働ける職場を見つけることが重要です。
有休消化率
国は企業に対して、従業員に適切に有給を取らせるように指導をおこなっていますが、それは病院やクリニックに対しても同様です。
ただ、業務量や人員数などの関係で、有休を最低限しか消化できていない職場があるのも事実です。
就職を希望している職場で、働いている(いた)人が知人にいるのであれば、有休をどの程度消化できているかを確認することで、のんびり働きやすいかどうかが、ある程度把握できるでしょう。
夜勤の有無
病院では、交代制のシフトで働くことが多く、2交代制のところもあれば3交代制のところもあります。
3交代制の職場は8時間ごとの交代なので、仕事量が多くなりすぎることは少ないですが、2交代制の夜勤の勤務時間は16時間です。
それだけ長い間働いていると、当然業務量も多くなりますし、勤務時間中に予期せぬトラブルが起きる可能性も高くなります。
のんびり働きたい場合は、2交代制の職場よりも3交代制の職場を中心に検討したほうが、よいかもしれません。
通勤距離
自宅から会社までの距離が遠いと、通勤時間が長くなるため、朝は早くから起きる必要があり、仕事が終わって家に帰る時間も遅くなります。
そのような場合、職場での業務量などに関わらず、のんびりと働けていると感じるのは難しいかもしれません。
ご自身の体力とも相談しながら、無理なく通える職場を選ぶことで、より余裕を持って働きやすくなるでしょう。
患者との距離感
職場によって、看護師と患者との距離感は異なります。
患者に友人に近いような形で接する職場もあれば、看護師と患者という立場の違いをきっちり守って接する職場もあります。
どちらのほうが優れているというわけではなく、それぞれの職場の方針の違いなので、ご自身にとってより働きやすいと感じる職場を選ぶことで、ストレスを感じにくくのんびりと働きやすいでしょう。
看護師の「のんびり働きたい」を叶える診療科5選
病院にはいくつもの診療科がありますが、診療科によってものんびりと働きやすいかどうかは、変わってきます。
のんびりと働きたいと思っている方におすすめの診療科としては、以下のようなところが挙げられます。
- 皮膚科
- 耳鼻科
- 精神科
- 人工透析科
- 眼科
それぞれについて、詳しく説明します。
皮膚科
皮膚科では、患者に対して複雑な処置をすることが少なく、重症患者もほかの施設に比べて少数です。
業務内容的にも、日々の勉強や研修が必要になるわけではないため、のんびりと働きやすいことが多いです。
ただし、併設しているほかの診療科次第では、業務が忙しくなる可能性もあります。
皮膚科以外にのんびりと働きやすい診療科に関しては、後述しますので、そういった診療科が併設されているようなところを、選ぶとよいでしょう。
耳鼻科
耳鼻科も皮膚科と同様に、複雑な処置をする機会や、新しい業務を覚えなければならないケースが、ほかの診療科と比べると少なめです。
また、生命にかかわるケースは滅多に起きないため、精神的なプレッシャーも少ないなかで働けるでしょう。
ただし、花粉が飛散する時期は花粉症患者の方であふれ返えることが考えられます。
時期によってかなり忙しくなる可能性が高いことは、念頭に置いておきましょう。
精神科
精神科では、看護師が看護業務をおこなうことはあまりなく、受付業務や事務作業中心の仕事になります。
また、患者への影響も考慮して、勤務中は私語を禁じているところも多いため、そういった点が働きやすさにつながる可能性もあるでしょう。
ただ、精神科に通われる患者の方のなかには、突然暴れ出したり泣き出したりする方もおられます。
そのため、ご自身がそういった環境のなかで働けるかどうかを、よく考えたうえで応募する必要があります。
人工透析科
人工透析科に通われる患者は、透析をするために定期的に通う患者がほとんどであり、基本的に予約制になっています。
そのため、業務上でイレギュラーが発生する可能性が低く、余裕を持って仕事をしやすい環境です。
また、基本的に日勤での勤務になり、夜勤で働くことはほとんどありません。
ただし、人工透析技術の習得は専門性が高く、技術を身に付けるまでには長い時間がかかる点には、注意しておきましょう。
眼科
眼科では、患者に直接相対するというよりは、さまざまな機器を操作するような業務内容が多いです。
そのため、患者との距離が近すぎるようなことも少なく、働きやすく感じる方も多いでしょう。
ほかの診療科と比べると、重症患者も少ないので、プレッシャーも感じにくいです。
ただし、病院の立地によっては夜遅くまで働く可能性もあるため、病院の診察時間は事前に確認しておくのが賢明でしょう。
看護師の「のんびり働きたい」を叶える施設5選
看護師の方は、病院やクリニック以外で働くこともあり、そういった場所のほうがのんびりと働きやすいことも多いです。
のんびりと働きたいと思っている方におすすめの施設としては、以下のようなところが挙げられます。
- 介護施設
- 保育園
- 健診センター
- 訪問介護
- コールセンター
それぞれについて、詳しく説明します。
介護施設
介護施設は、特別養護老人ホームと介護老人保健施設の2つに、大きく分類されます。
主な仕事は、利用者の健康管理やリハビリ支援などなので、高度な医療スキルが求められることは、あまりありません。
また、看護師だけでなく介護士の方とも一緒に働くケースが多いので、仕事も分担しやすいです。
ただし、身体介助などで体力勝負になることが多いため、体力に自信のない方は、その点には注意しておきましょう。
保育園
保育園での看護師の仕事は、幼児や保育士の健康管理や、園内の衛生管理が中心です。
そのため、高度な医療スキルが求められることはほとんどなく、命を預かっているというようなプレッシャーを感じることも、少ないです。
また、基本的に平日の日中に限って勤務すればよいため、プライベートの時間を確保しやすいのも、大きな魅力といえるでしょう。
ただし、保育園に配属される看護師は、基本的に1つの園につき1人なので、求人を見つける難易度が高いことは、念頭に置いておく必要があります。
健診センター
健診センターは、人間ドックや健康診断などをおこなう施設です。
そのため利用者は、病気を抱えているような人ではなく健康な人が中心であり、医療的な処置を施すことは、あまりありません。
また、平日日勤での仕事が中心なので、夜や土日のプライベートの時間は、しっかり確保できます。
保育園同様に求人倍率は高めなので、健診センターで働きたいとお考えの場合は、日頃から求人をこまめにチェックしておきましょう。
訪問介護
訪問介護は、介護が必要な方の自宅に伺って、身体的な介護や家事面などにおける援助をおこなうサービスです。
同じ利用者のところに繰り返し伺うことになるので、仕事の流れをつかみやすく、ご自身のペースで仕事をおこないやすいのがメリットです。
ただし、担当する利用者の要介護度次第では、体力的に厳しい仕事になる可能性があることには、注意しておきましょう。
コールセンター
看護師としての知見を活かしつつ、看護業界以外で働きたいとお考えの方には、コールセンターもおすすめです。
製薬会社のコールセンターなどであれば、看護師として培ってきた経験を活かして、適切な対応ができるでしょう。
コールセンターでの仕事は基本的に残業がなく、シフト制で区切りよく働けるのがメリットです。
ただし、電話をかけてきた相手から心ない言葉をかけられることもあるので、メンタルの弱い方には、向いていない可能性もあります。
「のんびり働きたい」を叶えるおすすめスキル
「のんびり働きたい」と思っているだけでは、その願いを実現させることは難しいので、ご自身なりにできる範囲で努力することが重要です。
以下に挙げるようなスキルを身に付けることで、のんびり働きたいという希望を実現させやすくなるでしょう。
- コミュニケーション能力・交渉力
- 基礎看護スキル
- 意欲・向上心
それぞれのスキルについて、詳しく説明します。
コミュニケーション能力・交渉力
業務をご自身だけで抱え込んでしまうと、余裕を持ちながら仕事をこなすのは難しいです。
上司や同僚に、仕事を少し肩代わりしてもらえるようお願いする際には、コミュニケーション能力や交渉力が重要になります。
とくにコミュニケーション能力は、患者との距離を適切に保つためにも役立つので、看護師として働くために必須の能力といえるでしょう。
基礎看護スキル
業務に対して余裕を持って臨めるかどうかは、のんびり働けるかどうかに大きく関わってきます。
たとえば、患者に対して処置を施す必要があるときに、基礎的な看護スキルをしっかり習熟できているという自信があれば、慌てずに対処できるでしょう。
基礎的なスキルを身に付けていれば、ひとつひとつの仕事もスムーズにおこなえるので、結果的に業務が早く終わり、時間的な余裕も生まれやすくなります。
意欲・向上心
のんびり働くために転職を検討するにあたっては、今の技術やスキルで転職が可能な転職先を中心に選ぶことになります。
意欲や向上心に満ちており、資格を取得するなど専門性を高めている方であれば、より幅広い範囲から転職先を選ぶことが可能です。
空き時間を有効活用して、資格取得のための勉強をすることなどを、心がけるとよいでしょう。
看護師が「のんびり働きたい」と感じた時の注意点
「のんびり働きたい」と感じることは、もちろん悪いことではありません。
ただ、「のんびり働きたい」と感じている方は、以下に挙げるようなことに注意しておく必要があります。
- 看護スキル・人材価値の低下
- 病院看護師は異動も多い
- 転職でしか解決できない時もある
それぞれについて、詳しく説明します。
看護スキル・人材価値の低下
のんびりと働ける職場では、基本的に高い医療スキルは要求されません。
そのため、看護スキルが停滞して、人材価値が低下してしまう可能性が考えられます。
ラクをしたいという気持ちを否定するわけではありませんが、そういった姿勢が後々の苦労につながる可能性があるということは、念頭に置いておく必要があるでしょう。
病院看護師は異動も多い
病院勤務の看護師の場合、定期的に人事異動があります。
のんびりと働ける診療科に配属されている場合も、後の人事異動によって、忙しい診療科に配属される可能性も考えられるでしょう。
のんびりとした働き方に慣れてしまっていると、異動後の業務で苦労する可能性もあります。
もちろん逆も然りで、忙しい診療科からのんびりと働ける診療科に異動になることも、考えられます。
転職でしか解決できない時もある
のんびり働けるかどうかは、職場環境によるところが大きいため、個人の努力では解決できないこともあります。
そのような場合は、転職でしかご自身の希望を叶えられないこともあるでしょう。
のんびり働ける職場を敏感に察知できるアンテナを持っており、情報収集に長けている看護師ほど、後々ラクな職場に定着しやすくなります。
のんびり働きたい看護師におすすめな転職サイト
上述したように、のんびり働きたい場合の選択肢が転職しかないことも考えられます。
のんびり働きたい看護師におすすめの転職サイトとしては、以下のようなところが挙げられます。
- 看護roo!
- レバウェル看護
- マイナビ看護師
それぞれの転職サイトの特徴や強みなどについて、詳しく説明します。
看護roo!
看護roo!は、株式会社クイックが運営する、看護師向けの総合サイトです。
「のんびりと働きたい」という軸が決まっているのであれば、その希望をもとに求人を探すべきですが、看護roo!ではさまざまな軸をもとに求人を絞ることができるので、ご自身にとって働きやすい職場を見つけやすいでしょう。
また、看護roo!では病院以外の求人も取り扱っています。
病院以外でのんびりと働きたいという方が求人を探すのにも、おすすめです。
レバウェル看護
レバウェル看護は、レバレジーズメディカルケア株式会社が運営する、看護師求人紹介/転職支援サービスです。
転職支援サービスを利用する場合、担当アドバイザーとやり取りをしながら転職活動を進めていきますが、レバウェル看護では、LINEでやり取りをおこなうことができます。
業務が忙しいと電話に出ることは難しいですが、LINEであれば、休憩時間などを活用してやり取りができるので、スムーズに転職活動を進められるでしょう。
また、レバウェル看護では、実際にレバウェル看護を利用して転職した方に対して、転職後のアンケートを実施しています。
実際に転職してみてどうだったかなどに関する、生の声が聞けるので、本当にのんびり働けそうな職場かどうかを見極めやすいのも、メリットです。
マイナビ看護師
マイナビ看護師は、株式会社マイナビが運営する、看護師のための無料の転職サイトです。
求人数が非常に多いのが特徴なので、のんびりと働けるような転職先も見つけやすいでしょう。
また、これまで転職を経験したことがなければ、転職先を選ぶのに悩んでしまうことも、考えられます。
マイナビ看護師では、今後のキャリアや転職先選定に関する相談を無料でおこなうことができるので、そういったサービスも活用しながら納得のいく形で転職活動を進められるのも、メリットと考えられるでしょう。
まとめ
看護師がのんびりと働けるかどうかには、人間関係や人員配置・仕事における責任やプレッシャーなどの要素が、関わってきます。
診療科であれば、皮膚科や耳鼻科など、施設であれば、介護施設や健診センターなどが、のんびり働きやすい環境といえるでしょう。
コミュニケーション能力や基礎的な看護スキルを磨くことで、よりのんびりと働きやすくなりますが、場合によっては転職という手段でしか、ご自身の希望を叶えられないこともあります。
のんびりと働くために転職をする場合は、納得のいく転職先を見つけるためにも、ぜひ今回ご紹介した転職サイトを利用してみてください。
不動産広告の営業マンを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中。 クレジットカードやカードローンに関する知識を、公平な視点で分かりやすく伝えることを目指しています。 私生活でもいろいろなクレジットカードを使い分けながら、自分にとって最適な使い方を模索中。毎月貯まっていくポイントを見ながらその使い方を考えるのが、ひそかな楽しみ。 自分の実体験や気付きをもとにした、オリジナリティのある記事をお届けしたいと思っています。