箕面商工会議所の商店街支援を担当者の方に聞いてみた!まちゼミや小さなお店応援チケットとは?
大阪府箕面市(みのおし)は大阪府の北部に位置しており、大阪「梅田」まで最短24分のところにある緑豊かなまちです。
通勤が便利で、たくさんの自然があり、商業施設や医療施設も充実していて、働いたり、子育てしたりするのにぴったりな環境がある箕面市。
今回は、そんな箕面市で展開されている箕面商工会議所の商店街支援を、箕面商工会議所の担当者の方のお話とともに紹介します。
ベッドタウンと観光都市の2つの顔を持つ「箕面市」
箕面市では1910年に現在の阪急箕面線が開通し、大阪中心部とのアクセスが良好となったこともあり、大阪のベッドタウンとして発展してきました。
箕面市のもうひとつの魅力が、豊かな自然です。「名勝 箕面の滝」は、紅葉のシーズンに100万人以上の観光客で賑わう観光の名所となっています。
2023年には北大阪急行が延伸し、「箕面船場阪大前(みのおせんばはんだいまえ)」駅と「箕面萱野(みのおかやの)」駅の2駅も開業予定。新駅には大型商業施設が隣接するなど、「新箕面エリア」として注目を集めています。
箕面商工会議所の商店街支援
魅力的な住環境や豊かな自然をもつ箕面市ですが、全国各地の自治体と同様に、商店街・中心市街地の活性化に問題を抱えています。
郊外の住宅地や観光地で人が増加する一方、市街地の商店街では人が減少する傾向にあるためです。
そこで箕面商工会議所では、箕面市と協力し、さまざまな活性化策を実施しています。例えば、下記のような施策です。
- 箕面まちゼミ「みのおのまち商学校」
- 小さなお店応援チケット
- 個別の経営相談
箕面商工会議所では、まちゼミや小さなお店応援チケットのような特徴的な商店街支援を行っています。その内容をくわしく見ていきましょう。
箕面まちゼミ「みのおのまち商学校」
箕面まちゼミ「みのおのまち商学校」は、箕面市各店舗の店主が講師となり、受講者(お客様)にプロならではの知識や情報を伝える少人数ゼミです。
ゼミにはいろいろな種類があり、2021年に開催された第18回「みのおのまち商学校」では全42講座が実施されました。以下は、そのなかの一例です。
ゼミ名 | ゼミ内容 | 会場・費用など |
---|---|---|
朝活ヨガ | 「朝ごはんが美味しくなる」朝活にピッタリのヨガを学べる |
・会場:Zoomオンライン ・材料費:0円 |
酵素と発酵のWパワーで免疫力UP「万能調味料」 | 美肌やむくみ解消を期待できる梅と味噌を使い、万能調味料をつくる |
・会場:CALLA采カフェ酵素教室 ・材料費:1,000円(酵素シロップ&ピューレ、味噌、瓶) |
筆ペンで書く「熨斗書」実践講座(無料) | 筆ペンの基本を無料で学べる |
・会場:みのおサンプラザ1号館 ・材料費:0円 |
「みのおのまち商学校」の特長は材料費以外の費用は基本的に無料であること。1回のゼミの受講者数は原則5人以下(コロナ禍では原則3人以下)で、店主の方とアットホームな雰囲気で受講できます。
箕面まちゼミ「みのおのまち商学校」が始まった経緯
お店とお客様が交流しながら、さまざまな知識を学べるまちゼミ「みのおのまち商学校」。その誕生の経緯を、箕面商工会議所まちゼミ担当の村山紀子さんにお伺いしました。
箕面まちゼミ「みのおのまち商学校」はどのような経緯で始まったのでしょうか。
実はまちゼミを始める前に、商店街の販促策の一環として「100円商店街」というイベントを実施していました。
各店舗で100円の商品を一斉に売る内容のイベントで、圧倒的な集客力がありました。
しかし、お店とお客様がつながる仕組みづくりとしては難しい部分があるなど、いくつかの課題も生まれたんです。
その課題を検討するなかで、まちゼミという案が浮上したということでしょうか。
はい、もっとダイレクトにお客様と関係性を構築する良い事業がないかと模索していたところ、大阪商工会議所の紹介でまちゼミ事業を知り、取り組んでみることとしました。
まちゼミは100円商店街とは違い、これをきっかけに初めてお店を訪れる参加者の方も多く、そうした方と1時間以上ゼミを通じて会話をするので、その後の関係性が劇的に違います。
これをきっかけに常連顧客につながったという事例をよく聞きます。
一過性のイベントではなく、その後にお店の常連顧客として末永いお付き合いも期待できるまちゼミ。現在では第18回を数え、コロナ禍ではオンライン形式も採用され、継続して実施される事業となっています。
箕面まちゼミ「みのおのまち商学校」の魅力
まちゼミは「お客様」「お店」「地域」がwin-winの関係を築ける点も魅力です。
- お客様:お店を経営するプロの知識や知恵を、実際に対面して体験することができる
- お店:お店のサービス内容を実体験してもらうことで、お店のファンづくりにつながる
- 地域:箕面商工会議所という公共的な団体が実施しており、お客様に安心を与え、地域の魅力向上につながる
箕面商工会議所では、ゼミの講師となる店主の方々へ向け、定期的に勉強会も開催しています。
箕面市内の約400店舗で使える「小さなお店応援チケット」
次に紹介する商店街支援は「小さなお店応援チケット」です。箕面市の補助金を活用し、箕面商工会議所が実施している小規模事業者向けプレミアム商品券となっています。
2021年7月~8月に募集された「小さなお店応援チケット」第2弾では、4種類のお得なチケットが販売されました。
レギュラー商品券 (限定20,000冊) |
6,000円(500円×12枚)の商品券を5,000円で販売 |
---|---|
阪急バス1日乗車券付商品券 (限定1,000冊) |
・2,500円分(500円×5枚)の商品券 ・阪急バス1日乗車券1枚(810円相当) ・上記を2,000円で販売 |
オレンジゆずるバス1日乗車券付商品券 (限定1,000冊) |
・2,500円分(500円×5枚)の商品券 ・オレンジゆずるバス1日乗車券2枚(880円相当) ・上記を2,000円で販売 |
タクシーチケット付商品券 (限定2,000冊) |
・2,500円分(500円×5枚)の商品券 ・タクシーチケット1,000円分(500円×2枚) ・上記を2,000円で販売 |
「小さなお店応援チケット」が始まった経緯
この「小さなお店応援チケット」が始まった経緯について、箕面商工会議所小さなお店応援チケット担当の西川さんにお話を伺いました。
こちらの「小さなお店応援チケット」はどのような経緯で始まったのでしょうか。
はい、「小さなお店応援チケット」は、従来のプレミアム商品券の9割以上が大手チェーン店舗などで利用されてしまう実情を鑑み、考案したプレミアム商品券です。
お客様の目線からすると大手チェーン店舗で利用できるほうが利便性が良いのですが、商工会議所の立場としては地元の中小企業を支援したいという思いがあります。
市長に、中小企業だけで使えるプレミアム商品券を作れないかと相談したところ、大いに賛同していただき、事業として実現したものです。
「小さなお店応援チケット」を実施した反響はどのようなものだったのでしょうか。
箕面市は住宅街であり、もともと個性豊かな魅力的なお店が多かったこともあり、多くの方に購入申し込みを頂くなど人気事業となりました。
しかし、「中小企業でしか使えない商品券は市民から見て魅力的に映るのか?」という課題があり、これを解消するためにお店の特徴などを記したガイドブックを作成することとしました。
「小さなお店の魅力満載ガイドブック」
箕面商工会議所が作成した「小さなお店の魅力満載ガイドブック」は、対象店舗の情報や魅力が書かれています。
ガイドブックには対象店舗ごとに、お店のイメージ画像や住所、営業時間や定休日、紹介コメントや最寄りのバスなどが記載。一目で必要な情報がわかるような仕組みです。
また、箕面市をA~Fに区分し、巻末にはエリアごとの地図が掲載されています。行きたい店がすぐにわかり、便利なガイドブックです。
中小企業診断士に無料で相談できる「個別の経営相談」
箕面商工会議所では、小規模事業を営む方々へ向け「個別の経営相談」を随時実施しています。箕面商工会議所経営指導員の藤本太恒さんに、その内容をお伺いしました。
箕面商工会議所で実施している「個別の経営相談」とはどのような内容なのでしょうか。
箕面商工会議所の個別相談は、経営課題の大小を問わず何度でも無料で相談できるコンサルティングサービスです。
ご商売のお悩みを中小企業診断士が傾聴したうえで、抱えているお悩みの本質的な課題を明確化し、相談者それぞれの課題にあった適切なアドバイス・各支援機関へのコーディネート・解決策をご提案します。
経営相談には、具体的にどのような相談が寄せられているのでしょうか。
例えば、最近では「補助金でECサイト(ホームページ上でネット販売することができる機能)を導入したい」という相談が多く寄せられます。
コロナによってネット販売が特需となっているため、この好機を逃さずECサイトを導入するのは方向性として決して間違ってはいません。
ですが、そもそも「お客さまにとってその商品をネットで購入する理由がない」のであれば、サイトを作っても意味がありません。まずは経営全体の戦略が必要です。
そういった場合、私たちは資格を活かし、SWOT分析やビジネスモデルキャンバスなど、経営戦略フレームワークを適宜活用することで、戦略構築のお役立ちができます。
中小企業診断士はコンサルタントの唯一の国家資格。箕面商工会議所では、経営相談に対応する職員がこの中小企業診断士の資格を所持されているそうです。
そのため、「コロナへどう対応したらよいか」、「販路の拡大はどうしたらよいか」などより具体的な課題について、専門的な視点からさまざまな支援を受けられる点が魅力です。
まとめ
大阪中心部とのアクセスがよく、たくさんの自然があり、子育てにも適した住環境のある大阪府箕面市。さまざまな魅力をもつ都市ですが、商店街の活性化には問題も抱えています。
箕面商工会議所では、行政である箕面市と協力し、箕面まちゼミ「みのおのまち商学校」や「小さなお店応援チケット」など、多くの商店街支援を実施しています。
今回お話を伺って強く感じたことは、箕面商工会議所の方々が地域のお店、お客様の目線に立ち、寄り添うかたちで支援を行っていることです。ぜひこの機会に、さまざまな施策を利用してみてください。
食品や雑貨商品などを扱うライター・編集を経て、マネ会を担当。クレジットカードのポイント還元や特典だけでなく、各カード会社の戦略やマーケティングにも興味あり。普段使っているクレジットカードはJALカードで、実家への帰省の際には、貯めたマイルを特典航空券に交換している。ヤフオクやヤフーショッピングで買い物をする際には、ヤフーカードも使用。体を動かすことが好きで、定期的にジムで筋トレ。機会あれば、山へハイキングに出かけ、帰りの温泉を楽しむ。