本庄商工会議所における街の商店支援を担当者にインタビュー!市の商工業を支える支援とは
埼玉県本庄市(ほんじょうし)は、日本最大の流域面積をもつ利根川に面し、南部には緑豊かな山々のある街です。本庄商工会議所は自然に恵まれた本庄市内で、市の商工業を支える活動を実施しています。
「商工会議所」と聞くと、言葉は知っていても、実際の活動内容はわからないという方も多いのではないでしょうか。本庄商工会議所では、市の活性化につながるイベントなどを通じ、市の商工業者と住民の方をつなぐ大切な役割を果たしています。
今回は、本庄商工会議所総務課の課長補佐兼企画戦略・ICT推進係長である蓮沼康永(はすぬま やすなが)さん、中小企業相談所主任の山口智大(やまぐち ともき)さん、同じく主事の松島麻理(まつしま まり)さんに、本庄市の魅力や本庄商工会議所で実施している街の商店支援についてお伺いしました。
蓮沼康永 (はすぬま やすなが)
歴史と自然が豊富で都心からのアクセスもよい「埼玉県本庄市」
ー本日はよろしくお願いいたします。最初に、埼玉県本庄市について教えていただけないでしょうか。
蓮沼課長補佐:本庄市は埼玉県の北西部にある都市です。利根川を挟んだ向かい側には群馬県伊勢崎市があり、埼玉県と群馬県の県境に位置しています。
人口は2021年11月1日時点で77,824人で、埼玉県にある自治体のなかでは、真ん中あたりの規模となるでしょうか。
本庄市は、古くは中山道(なかせんどう)最大の宿場町「本庄宿(ほんじょうじゅく)」として栄えた町です。その名残りもあって、市内には現在でも複数の歴史スポットがあります。
また、緑と水に恵まれていることも魅力ですね。きゅうりやナスなど野菜の生産が盛んで、「骨波田(こつはた)の藤」や「こだま千本桜」など観光名所も多数あります。
自然環境豊かな本庄市ですが、東京の方からすると、「東京から遠い」イメージがあるかもしれません。
ただ、古くからの交通要所だったこともあり、現在も国道17号や関越自動車道、上越・北陸新幹線や高崎線など多くの主要幹線道路・鉄道が通っています。実は、都心からのアクセスはよい側面ももっているんですよね。
本庄商工会議所における街の商店支援
ー本庄商工会議所では市内の商店に対してどのように支援しているのでしょうか。
山口主任:本庄市でも、他の地方自治体と同様に、市内の商店の利用客が減少傾向にある課題を抱えています。
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、地域のにぎわいや交流を支えてくれていたさまざまな商店が打撃を受けています。
本庄商工会議所は本庄市内の商工業者などを会員とする地域総合経済団体ですので、会員の皆様の危機は所内全員で共有しています。
何か商工会議所でできることはないかと考え、関係各所と協力して、以下のような支援を実施しました。
- がんばろう本庄!宅配・テイクアウトガイド
- がんばろう本庄!地域飲食店応援クラウドファンディング「みらい飯」
- 本庄街バルイベント「本庄ぐるぐる」
松島主事:「宅配・テイクアウトガイド」と「みらい飯」は、とくに新型コロナウイルス感染症の影響に対応した事業です。「本庄ぐるぐる」は、商店支援として以前から取り組んできた事業となります。
がんばろう本庄!宅配・テイクアウトガイド
ー「がんばろう本庄!宅配・テイクアウトガイド」とは、どのような事業なのでしょうか。
蓮沼課長補佐:「宅配・テイクアウトガイド」は本庄市内の飲食店などの情報が記載されたホームページです。
各店舗のイメージ画像とともに、「店内飲食」「テイクアウト」「宅配」のいずれが可能か一目でわかるマークや、店の代表的なメニューが載っています。気になった店舗をクリックすると、より詳細な情報がわかる仕組みです。
新型コロナウイルス感染症の拡大期には、不要不急の外出を控える状況が続きました。ステイホームを心がける本庄市の住民の方々と、飲食店などの皆様との間をつなげたいという想いで作成したガイドです。
なお、ガイドを作成しても、多くの方々に知ってもらわなければ意味がありません。そこで、本庄商工会議所のホームページだけでなく、マスメディアやSNSを活用し、広報活動にも力を入れました。
ー住民の方と飲食業者の方、双方へ配慮した事業だったのですね。ガイドを作成し、具体的な効果は出ているのでしょうか。
蓮沼課長補佐:はい、2021年9月時点で、市内でテイクアウトやデリバリーを実施している飲食店、酒屋さん、花屋さんなど66店舗の皆様に参加していただいています。
とてもうれしいことに、参加いただいた店舗の方からは「ホームページの効果で宅配の注文が5割増となり売上がUPした」、「店舗の認知度も高まり新規顧客の獲得や来店機会の増加につながった」などの声が寄せられています。
その他、宅配まで人手が回らない店舗の方もいらっしゃるので、期間限定で宅配をタクシー会社と連携する新たな宅配サービスの取り組み支援も実施していました。
がんばろう本庄!地域飲食店応援クラウドファンディング「みらい飯」
ー次に、クラウドファンディング「みらい飯」について教えてください。
山口主任:「みらい飯」はこれまでも実施されていた募金活動を「クラウドファンディングの枠組み」で行う事業、というとわかりやすいかもしれません。
もともと、「みらい飯」はクラウドファンディング「READYFOR」と日本商工会議所が、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた地域の飲食店をサポートする目的で立ち上げたスキームです。
本庄市では、本庄商工会議所や本庄市などが実施主体となり実行委員会(実行委員長 髙橋祐介)を組織し、64店舗の参加のもと、この「みらい飯」を実施しました。
「みらい飯」でクラウドファンディングをしたい方は、下記の2つのコースから選べます。
店舗指定コース |
・応援したい金額と応援したい店舗を指定して応募 ・お食事カードを受け取り、お店で食事ができる |
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地域応援コース |
・応援したい金額のみを決定し応募 ・集まったお金は参加店舗で均等分配する ・支援者へはお礼のメッセージが届く ・希望者はHPに氏名を掲載 |
上の表を見てもらうとわかると思うのですが、「店舗指定コース」を選択すると、応援した金額に応じた「お食事カード」が受け取れ、コロナが落ち着いたあとに支援したお店で使用できます。この点が、クラウドファンディングである「みらい飯」の特長ですね。
また、純粋に地域のお店全体を応援したい方は「地域応援コース」を選択すると、参加店舗へ均等に募金できます。
「みらい飯」は新しい試みですので、多くの方に知ってもらうために広報活動も幅広く展開しました。
公式ホームページやSNSアカウントを立ち上げたほか、チラシの作成・配布、関係機関での宣伝、そして、本庄第一高等学校美術部の方のご協力のもと、各店主の似顔絵を製作し店内や市内の銀行に掲出していただく活動も実施しました。
ー実際に、クラウドファンディングでいくらぐらい集まったのでしょうか。
山口主任:皆様のご協力のおかげで、総額3,541,000円の支援金が集まりました。内訳は店舗指定コースで1,262,000円、地域応援コースで2,279,000円です。
「みらい飯」に参加いただいた店舗からは、「支援してくれた人がわかって良かった」「描いていただいた似顔絵からは喜びと勇気・希望を与えてもらいました」など感想をいただいています。
ただし、初めてのクラウドファンディング企画であったため、年配の方には操作方法が難しいとの声も聞かれました。支援の仕方(操作方法)については、今後、実施する際には改善を検討したいです。
山口智大 (やまぐち ともき)
街バルイベント「本庄ぐるぐる」
ーほかにも「本庄ぐるぐる」というイベントがあるそうですが、どのような内容なのでしょうか。
松島主事:街バルイベント「本庄ぐるぐる」は2015年から開催しているイベントです。
スペインに「バル」という立ち飲みスタイルの飲食店があることをご存知ですか?街バルは「街」とその「バル」の造語で、本庄市の飲食店をバルに見立てて楽しむイベントとなっていました。
ただ、残念ながら、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により開催を見送りました。
そこで、2021年はコロナ禍でも開催できるように、装いを新たに「グルメラリー」を本庄ぐるぐるの第7弾として開催しました。
ー「グルメラリー」について教えてください。
松島主事:今年の10月・11月に「地域のお店を応援しよう!」を合言葉に市内の飲食店及び食品取扱店139店舗を会場にグルメラリーを開催しました。
グルメラリーは、ガイドブックを片手に参加店で食事や買い物をしていただき、応募ハガキにスタンプを集めて応募すると抽選で豪華賞品が当たるイベントです。
スタンプラリーの賞品には、参加店で利用できる商品券(2千円~3万円)や本庄ぐるぐる限定手ぬぐい、協賛企業商品を合計150本ご用意しました。また、830通(合計1,827口分)の応募ハガキが届きました。
参加者の皆様には、街めぐりと本庄の食の魅力を味わいながらお店を応援していただきました。
また、「いろいろなお店をまわれて楽しかった」「知らないお店を知るきっかけになった」という声を多くいただき、参加者の皆様が各店のリピーターになっていいただけるとうれしいです。
松島麻理 (まつしま まり)
商工会議所として市の商工業を支えていきたい
ー最後にこの記事を読んでいただいた読者の方へのメッセージをお願いします。
蓮沼課長補佐:本庄商工会議所では、本庄市の商工業の総合的な発展を図り、ひいては本庄市全体の福祉増進に貢献したいと考え、活動をつづけています。
とくに、新型コロナウイルス感染症の影響は無視できない状況です。そのため、今回紹介した「宅配・テイクアウトガイド」や「みらい飯」、「グルメラリー」などさまざまな施策を行っています。
2020年5月には、この困難を会員企業の皆様と心をひとつにして乗り切りたいとの思いを込めて、本庄商工会議所の財源を活用し、会員企業へ一律30,000円の給付金を実施しました。
本庄商工会議所として、これからも市の商工業の成長と持続的な発展を、縁の下から支えていきたいと考えています。
本庄市に興味を持っていただけましたら、ぜひ遊びに来てください!
ー本日はお時間をいただきありがとうございました!
食品や雑貨商品などを扱うライター・編集を経て、マネ会を担当。クレジットカードのポイント還元や特典だけでなく、各カード会社の戦略やマーケティングにも興味あり。普段使っているクレジットカードはJALカードで、実家への帰省の際には、貯めたマイルを特典航空券に交換している。ヤフオクやヤフーショッピングで買い物をする際には、ヤフーカードも使用。体を動かすことが好きで、定期的にジムで筋トレ。機会あれば、山へハイキングに出かけ、帰りの温泉を楽しむ。