今、何に一番お金を使ってる? 女性3人が本音で語る「お小遣い」座談会
「金が全てじゃねぇが、全てに金が必要だ」──これは人気マンガ『闇金ウシジマくん』の主人公・丑嶋馨(うしじまかおる)の名言。実際、今の世の中は、何をするにもお金がないと不自由なもの。とはいえ、お金をどう使うかは人それぞれです。特に収入から非消費支出を差し引いた可処分所得の使い道には、その人ならではの価値観が自然と投影されるのではないでしょうか。だからこそ、みんながどのようなお金の使い方をしているのか、ちょっと気になりますよね。そこで、今回は10代(大学生)、20代、30代の独身女性3名の座談会を実施。お金の使い方について、存分に語っていただきました。
座談会の参加者
Kさん(19歳) 大学生。東京生まれ、東京育ちで今も実家から大学に通う。自由に使えるお金は月5万円で、飲食店のホールアルバイトで稼いでいる。洋服やサークルの交際費、映画鑑賞などの出費がメイン。“ケチ”を自認している。周りがどのようにお金を貯めているのか気になる。
Mさん(22歳) 社会人1年目。大学で日本文学を専攻するも、IT系企業でシステムエンジニアとして採用。手取りは21万円で、実家暮らしのため自由に使えるお金は10万円程度。オタ活(オタク活動)が生き甲斐で、ジャニーズJr.やK-POPアイドルへの投資は惜しまない。本当はもう少し美容代にお金を掛けたいと考えている。
Aさん(32歳) 社会人歴7年目、一人暮らし歴12年目のWebデザイナー。手取りは20万円後半と3人の中では一番多い。家賃や固定費の割合が高く、好きに使える3〜5万円程度のうち美容やリラクゼーションに最もお金をかけている。貯金や老後の備えが「心もとない感じ」なのが悩み。
社会人になってから、好きなことへの出費に迷いがなくなった
──今日はよろしくお願いします! 早速ですが、まず、みなさんのお金の使いどころについて詳しく教えてください。
Aさん 私は、最近「美容」にハマっていますね。実は、50万円の脱毛コースを契約したのですが、ちょうどあと2カ月で、毎月5万円の分割払いを完済できます。
Mさん 脱毛コース、うらやましいです! 私はそこまで手が回らなくて……。何かきっかけがあったんですか?
Aさん 30歳を過ぎて、どうせやるなら先延ばしにしないで、今やっちゃおう! と思うようになったんですよね。まだ独身ですけど、もし結婚して妊娠、子育てと忙しくなったら時間が取れないかもしれないし、早めにやっておきたいなって。
Kさん さすが大人です……。私も脱毛いいなぁと思いますけど、学生でお金がないから無理ですね……。
Aさん お金のことを考えると、手が出せないことも多いですよね。私は働くようになってそこそこたつんですけど、それでも「やる」と決めたことを時間や金銭面を理由に先延ばしにしてしまうことが多かったので、今それを後悔しているんです。「絶対にやりたいし、やったらより快適に過ごせる」と分かっていたのに。
最近は後悔したくないという気持ちが強くなってきて、時間がかかることは早めに済ませようと思うようになりましたし、それにかかるお金も可能な限り捻出したいと考えるようになりました。年齢を重ねるにつれて経済的なゆとりが出てきたことも、考え方の変化に影響しているのかもしれません。
Mさん 私は、割とハッピー思考なので、何にお金を使ったのか、何に使わなかったのかとか、すぐ忘れちゃうんです。「今が楽しければそれでいっか!」みたいな。ちなみに、自分の人生の中では、オタ活が最優先事項なので、自然とお金もオタ活に流れていますね。今は、「Travis Japan(ジャニーズJr.内の7人組男性アイドルグループ)」、「SEVENTEEN(K-POPグループ)」を追い掛けています。
Kさん 私もアイドルが好きで、最近は「欅坂46」に夢中です。でも、やっぱりお金がないからコンサート行きたいなとかグッズ欲しいなと思っても、諦めているところがありますね。欅坂46はYouTubeに公式チャンネルがあるので、そこにアップされる映像を楽しんでいます。
Mさん 私もお金をがっつりかけられるようになったのは社会人になってからですよ。一番変化を感じることとしては、学生時代は何を買うにしても結構吟味していたのに、今では「CD10枚を普通に買えるようになったこと」ですね。
Kさん すごい……! 大人だ……。私は、使えるお金が少ないので、まずは洋服って感じです。欲しいと思ったらすぐに買っちゃうので、あっという間にお金がなくなっちゃうんです。だから、すごく吟味して、「今日は何着までにしよう」とかちゃんと基準を決めてから買うようにしています。月にもよりますが、季節の初めに4万円分くらい買って、あとは、毎月1万円くらいちょこちょこ買い足していますね。
年齢とともに健康への投資が増えた。人それぞれの「実質無料」!
── 限られた収入でのやり繰りとあって、それぞれお金の使い方の優先順位が違うようですが、予想していない出費ってありますか?
Mさん SEVENTEENのライブで、買って開けるまで中身が分からないトレーディングカードが3枚1セット500円で売られていたんですが、全部で101枚あるんですよ。メンバーが13人もいるので、推し(イチ押しメンバー)のカードになかなか巡り会えず……。気が付けば2万円くらい使ってしまいましたね。これは予想していませんでした。
Kさん でも、後悔はしていないんですよね?
Mさん はい。オタクがよく使う便利な言葉に「実質無料」っていうのがあるんです。推しから得られる幸福感が金額を上回ってお金を支払っていないのも同然、という感覚を表すときに使います。例えば、コンサートチケットも安くないですけど、めっちゃ楽しければ終わった後に「実質無料だったわ~」って。後悔が顔を出す余地がなくなるんですよね。
Aさん 分かります。私も最近「家事代行」を利用しはじめて、2時間で6,000円くらいかかるんですけど、明らかにプロはレベルが高い。部屋がいい感じに片付くんです。仕事から帰ってきたときに、散らかっている家に帰ってくるのは嫌だったので、満足度はとても高いですね。お値段以上の価値を感じるから、これも「実質無料」なのかも。
Kさん 片付けにもお金がいるんですね……。私はいまだに親にやってもらってるから、早く自立しないとな。
Aさん 多分、長く働いていると「生活の質を落とさない」ってことに意識が向いてくるんだと思います。仕事が大事なので、ずっと続けるためにプライベートでは自分よりも得意な人がいるなら任せたい、みたいな。
── そういえば、Mさんは、事前アンケートに「ジムに通っている」と書いていますね。これは健康のためですか?
Mさん いや、体を鍛えて推しを守るためです。
Kさん・Aさん えっ!?
Mさん もしコンサートに悪い人たちが乱入して、自分の推しが襲われたら、守れずに見ているしかないっていう状況がすごく嫌じゃないですか。それで、筋トレを始めたんですけど、もっと実践的なことをした方がいいなって思って、格闘技を習えるところに通おうかなって。でも、お金をかけられたとしても、月1万円くらいですね。
Kさん 動機がスゴ過ぎです……。
1駅歩いて数十円浮かす! 優先順位が低い出費にはかなりシビア
── では、節約で工夫されていることはありますか? 趣味と生活費とのバランスを取るのも大変だと思いますが。
Aさん 具体的な工夫ってないんですよね……。1万以上のものを買うときには、一旦エクセルに記入して寝かすくらいですかね。優先順位が分かると、抑止力になるかなって。
Kさん 一旦落ち着かせるのは、私もやっています。服をすぐ買ってしまうので、一瞬待って気を落ち着かせるために、写真を撮ってあとで画像を見て、やっぱりこれは欲しいなとかコスパが良いなと思えたら買うようにしています。
Mさん 私は、オタ活以外のことはかなりケチケチしていて、小さいことですけど交通費とかも、時間はかかるけどこっちの方が20円安いなとか。
Kさん お金をかけるところと、かけないところとの落差が……(笑)。
Mさん 1駅歩くこともありますからね。
Aさん 私も細々した節約だと、ドリップコーヒーを会社に持って行って、常設されているウォーターサーバーで水を入れるようにして、外でコーヒーを買わないようにする、みたいな工夫はしてますね。
Kさん 私も、食費系は結構ケチですね。一番安いものを食べています。基本、大学にも家で作ったお弁当を持参しますし、買うとしてもパンとかおにぎりを1個だけにするとか。200円くらいに収まるようにしていますね。
Mさん それはちょっと心配だなあ……。同僚にもそういう子がいるんですけど、タンパク質の摂取量大丈夫かな? って思いながら見ています。ちなみに、衣食住の中で食費を削るのって、オタクあるあるだと思うんです。でも、オタクといえども体が資本なので、コンビニでお昼ご飯を買うときは、多少お金がかかってもなるべくお肉が入っているものを買いますね。タンパク質が足りないと、筋肉がどんどん減ってしまう気がして…。体調を崩してコンサートに行けなくなったら悲劇ですからね。
Aさん 私は自炊派ですが、30歳を過ぎたあたりから食事により気を使うようになりました。偏食すると明らかに体調に出るようになってしまって。鶏肉や野菜はしっかり摂るように気を付けています。
ただ、20代後半までは調味料も結構いいものを買っていたんですが、最近はそこまでしなくてもいいかなと思って、あまり重視しないようになりました。私の場合、いいものを買おうとすると店そのものもしっかり選びたいと思うのですが、これもわずかとはいえ時間や手間がかかってしまうので。なので今は、自分のペースでさっと買えるものを選んでいるのかもしれません。
Mさん あと、節約という意味でも、なるべく飲み会には参加しない。金銭的な問題というよりは、行きたいか行きたくないかも大きいですが。3000円くらいだったら、楽しくなくても我慢できるかな…。
Aさん 私は収入が上がるにつれて、飲み会に行くかどうか悩まなくなった気がします。前まではお金がかかるからどうしようかと悩んでいましたが、今は金銭的に余裕が生まれたので、いいなと思った飲み会には参加することが増えました。
夢はマンションの購入! お金がかかる旅にも出掛けてみたい
── 最後に、「これからこんなことにお金を使いたい」っていうことがあれば教えてください。
Mさん 私はマンションを買いたいと思っています。
Aさん え! 22歳なのに? 早い!
Mさん はい、結婚する気もさらさらないので、これからきっとずっと独り身なんだろうなと思っていて。今は実家暮らしですが、いずれは出ていかないといけないことが確定しているんです。今後のことを考えると、賃貸よりはおひとり様用のマンションを買った方がいいんじゃないかなって。Kさんは一人暮らしの予定は?
Kさん 私は料理も家事も得意ではないので、これ以上自分に負担をかけたくないなあと……。
Aさん でも一人暮らしって自分のペースで生活できるから、楽なこともありますよ。ちなみに、私も家を買うのに興味があります。まだ住宅情報サイトを眺めるくらいしかしていないですけど。
Mさん ちゃんと調べなきゃですよね。家を買うシステムとか、自分にとってどのエリアがベストなのかとか、どれくらいの費用を出せるのかとか分からないので、しっかり見定めていきたいですね。
Aさん 私は堅実な志向を持ちつつも、やっぱり今しかできない経験にもお金を掛けたいですね。2年くらい前に北欧を旅行したことがあるんですけど、すごく良くて。旅費は高かったですけど、オーロラを生で見れたので、感動しました。
Kさん オーロラいいなぁ。でも、北欧って大人の旅行先っていうイメージです。学生の身分だと手が届かない…。
Mさん 確かに、私も行けて台湾とか。アジアかな……。
Kさん そうなんですよね。私は旅行も行きたいですが、現実的なところで満足しちゃってます。これからを考えてみても、学生のうちはやっぱり洋服にお金かけちゃうかな…。
Aさん ファストファッションは買わないんですか?
Kさん はい。割とルミネとかで買っちゃいます。
Aさん そうなんですね。ブランドだとファミリーセールとかで安く手に入ったりしますよ。ブランドによってはサンプル品も売ってることがあって、値引率も大きいし。
Kさん ファミリーセール! 初めて聞きました。ぜひ利用してみたいです。あ! あと、メイクも頑張りたいですね。デパコス(デパートコスメ)も買えないですが、興味はあります。
Mさん デパコスは、ある意味で学生から社会人への推移を意識させるツールかもしれませんね。
Aさん そうかもしれないですね。私も「THREE」っていうブランドを愛用しているんですけど、最初はリップだけだったけど、スキンケアラインもそろえるようになりました。
Kさん 大人、うらやましい!
お金の使い道に個性がにじみ出ていた3名。理想と現実のはざまで、工夫を重ねている様子に共感する部分も多かったのではないでしょうか。お金と一生上手に付き合っていく上でも、自分にとって何が大切なのか見極めることが、満足度の高い出費や苦のない節約につながるのかもしれませんね。
取材・文/末吉陽子(やじろべえ)
撮影/小高雅也