仮想通貨(ビットコイン)の税金対策!税金がかからない方法がある?
ビットコインを始めとする仮想通貨取引を始める人が増えてきています。ビットコインの価格は上昇し続けており、ついに200万円の大台を突破しました。
運営当初の価値はゼロに等しく、投資というよりは博打に近いイメージを持たれていたため、ビットコインはごく一部の人の間で売買されていました。
しかし現在ではハイリターンを目指した多くの投資家が株やFX、投資信託などからビットコインに投資先を変更しています。
そこで今回は仮想通貨(ビットコイン)の税金対策!税金がかからない方法がある?についてご説明させて頂きます。
1.仮想通貨(ビットコイン)投資とは
ビットコインは数多く存在している仮想通貨の中でも取引高、純資産総額が№1になります。そのため単なる決済用の通貨としてだけではなく、資産運用として保有する人が年々増加してきています。
仮想通貨投資の仕組みを簡単にご説明すると、単純に「安い価格で買って、高い価格で売る」ことに尽きます。
これは株式や不動産など他の投資商品と同じになります。買った価格と売った価格の差額が「儲け」になります。
例えば1BTCを100万円で購入し、130万円に上がったところで売ると30万円の利益になり、逆に100万円で購入し、70万円で売却すると30万円の損失がでるということです。
ビットコインの価格を動かす要因は「需要と供給」になります。これが他の金融商品と少し異なるところになります。
例えば、株価の変動にはその企業の業績や決算の結果などが深く関わってきますがビットコインにはそのような要因が存在せず、単純に世界でビットコインを欲しい人が売りたい人を上回った場合に価格が上がるということになります。
ビットコインは世界共通の通貨になるため、ビットコインに関するニュースや世界情勢によって価格が動かされていると考えると良いでしょう。
仮想通貨(ビットコイン)投資のメリット
仮想通貨(ビットコイン)投資のメリットについて以下にまとめてみました。
・24時間365日取引できる
・少額から投資できる
・インターネット環境があればどこでも始めることができる
・銘柄選択などが必要ない
・値上がりが予測しやすい
などのメリットがあります。
お金がなくても始められる
ビットコインは他の金融商品に比べて少額で投資を始めることができます。例えば、現在のビットコイン価格を1BTC=120万円とします。
ビットコインは0.0001BTCほどから購入できるためわずか120円で取引を開始することができます。他の株式やFXでは最低でも数万円ほど必要になってくるためこの差は歴然としています。
更にビットコインはオンライン上で取引できるため、スマホやPCなどインターネット環境があれば取引をすることがいつでもどこでもできます。
難しい専門知識がいらない
次にビットコイン取引はビットコイン自体の売買をするだけなので他の銘柄や通貨ペアなどを選択する必要がありません。単純に安く買って高く売るだけなので初心者でも難しい勉強をせずに参加できます。
最後に、ビットコインを始めとする仮想通貨は今まさにバブルを迎えています。そして仮想通貨を支えている「ブロックチェーン」という技術は限りない可能性を秘めており、今後も需要が伸びることが予想できます。
ビットコインの発行上限
更に、ビットコインは発行上限が2100万BTCと決められていて、2017年9月の時点で約1600万BTCが発行されています。2140年頃に最終発行が予定されていますが2033年にはほぼ新規発行がストップすると言われています。
このため、ビットコインが欲しい人が増えれば増えるほど価格が高騰する仕組みになっているのです。特にここ数年の値上がりはすさまじく、億単位で利益を上げた投資家も存在するとのことです。
ビットコイン投資のポイント
・ビットコイン価格は需要と供給によってきまる
・ビットコイン投資は売買差益によって利益を得ることができる
・利益に課税がされる
・正に今、ビットコインはバブルを迎えている
2.ビットコインと税金
平成29年12月1日に作成された国税庁のHPによると、ビットコイン投資で得た利益は「雑所得」に分類され、所得税の確定申告が必要になるということです。
雑所得とは?
雑所得とは、個人が1年間で得た所得を10種類に分類したうちの1種類の所得になります。
総合課税にあたるため、雑所得の税率は他の所得と合算してその金額に対して超過累進課税により税金が計算されます。ビットコインなどの仮想通貨で得た利益はこの「雑所得」にあたります。
総合課税は超過累進課税が採用されているため所得が高くなればなるほど税率が高くなるのが特徴です。つまり、ビットコインで得た利益が大きくあるほど税率が高くなると言うわけです。
所得金額と税率
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
以上が所得と税率の関係になります。仮にビットコインで800万円の所得があった場合、税金は800万円×0.23-63万6000円=1,204,000円になります。
損益通算と損失繰越
株式などは1年間の売買でマイナスが出た場合、マイナス分を他の所得と合算して払う税金を少なくしたり、損失を3年間繰り越すことができます。
雑所得は損益通算と損失の繰越ができません。つまり、ビットコインでその年にマイナスを出してしまっても、翌年に利益がでたらその分の税金をまるまる支払わなければならないということになります。
雑所得は①公的年金などの雑所得と②公的年金以外の雑所得の合計額になります。ビットコインで得た所得は②で計算することになります。
②公的年金以外の雑所得の計算式
総収入金額-必要経費=その他の雑所得とされているため、ビットコインの所得を計算する場合は
ビットコインの売却価格-(購入代金+必要経費)=利益
上記の計算式になります。この場合ビットコイン投資での必要経費として認められるものは以下のものと思われます。
・ビットコイン関連の書籍購入費
・ビットコインに係るセミナー費用や教室代
・ビットコイン取引に必要なパソコンの購入代金やインターネットプロバイダー料
・自宅の一室を取引専用の部屋として利用している場合は、家賃や火災保険代、固定資産税など
以上が確定申告の際に経費と認められる可能性があるので領収書、レシート、証明書類などは必ず保管しておきましょう。
サラリーマンの場合
サラリーマンなど年末調整済みの場合は、ビットコインでの所得が20万円以下の場合はその他に所得がない場合につき確定申告が不要になります。
仮想通貨(ビットコイン)の税金についてのポイント
・仮想通貨(ビットコイン)所得は雑所得に分類される
・税率は超過累進課税
・仮想通貨(ビットコイン)投資に関する書籍やパソコン代、家賃などは経費として計上できる
・損失を他の所得と合算することができない
・損失繰越もできない
・サラリーマンは年間20万円以下の利益の場合は確定申告が必要ない
では続いて仮想通貨(ビットコイン)投資の具体的な税金の計算方法について見ていきましょう。
3.税金の計算方法
仮想通貨(ビットコイン)所得の計算方法
仮想通貨(ビットコイン)所得の種類は①仮想通貨の売却益②仮想通貨で商品を買った時③仮想通貨と仮想通貨を交換した時の3種類あります。①から順番に詳しく見ていきましょう。
①仮想通貨(ビットコイン)の売却益
仮想通貨を売却して円と交換した場合の所得の計算方法になります。例えば9月13日に400万円で4BTCを購入したとします、それを11月21日に1BTCを150万円で売却したとすると利益が発生します。
(所得の計算式)150万円-(400万円÷4BTC)×1BTC=50万円
売却価格と仮想通貨を取得した時の価格差が所得の金額になります。この場合、所得金は50万円になりその50万円に対して課税されることになります。
50万円の所得を超過累進課税に当てはめてみると、税率5%の控除が0円のため払うべき税金は2万5000円になります。
②仮想通貨(ビットコイン)で商品を購入した場合の所得
ビットコインで商品の購入をした場合、ビットコイン購入時よりも価格が上昇した際に得ることができる所得を指します。
例えば10月1日に400万円で4BTCを購入したとして、11月1日にビットコインが値上がり4BTC=440万円になったとし、そのうちの1BTCで110万円のものを買ったとします。
110万円(商品代金)-(400万円÷4BTC)×1(支払ったビットコイン)=10万円つまり、ビットコインで10万円の所得があったとみなされます。10万円の所得にかかる税金は5000円になります。
③ビットコインと他の仮想通貨を交換した場合の所得
ビットコインと他のイーサリアムやリップルなどの仮想通貨に交換した場合の所得にも税金がかかってきます。
例えば、4月に400万円で4BTC購入し6月に1BTCを支払ってイーサリアムを時価で120万円分購入したとします。ビットコインの購入金額とイーサリアムの購入価格との差額が所得になります。
120万円(イーサリアムの購入金額)-(400万円÷4BTC)÷1BTC=20万円この20万円が所得と見なされ課税され、超過累進課税により税金1万円支払うことになります。
1年間の仮想通貨(ビットコイン)の取得価格を計算する
ビットコインを始めとする仮想通貨の取引価格を計算する場合、年間を通して何度も取引をしているとその時々の時価によって取得価格が違ってきます。
そこで1年間にビットコインを2回以上取引をした場合は、移動平均法を用いてあ1BTCたりの取得金額を算出します。
取得例
取引の日付 | ビットコイン取引内容 |
---|---|
1月3日 | 200万円で2BTCを購入 |
2月10日 | 0.1BTCを15万円で売却 |
4月20日 | 80万円の商品を0.5BTCで購入 |
7月13日 | 400万円で2BTCを購入 |
上記の1年間のビットコインの取引を踏まえて結果的に1BTCの取得金額は一体いくらなのかを計算してみます。
移動平均法による算出方法
1月3日 1BTC=100万円
7月13日のビットコイン購入までの保有してるビットコインの価格
100万円×(2BTC-0.6BTC)=140万円
7月13日のビットコインを購入直後の1BTC あたりの取得金額
(140万円+400万円)÷(1.4BTC+2BTC)=1,588,235…
つまり、この年のビットコインの取引が7月13日の購入で最後となる場合、年間のビットコインの平均価格は1BTC=158万円ほどということです。
複数の取引所で取引をしている場合
複数の取引所で仮想通貨(ビットコイン)投資をしている場合は合算して利益を計算します。例えばAの取引所で100万円の利益があり、Bの取引所では30万円のマイナスが出たとします。
この場合は100万円-30万円で70万円の利益に対して税金がかかります。このように複数の取引所でトレードしている場合は合算して計算します。
ビットコインの分裂
ビットコインの分裂で新たに通貨を手に入れた場合の所得計算についてご説明させていただきます。ビットコインに関しては分裂時点において取引相場が存在しておらず、その時点では価値がないものと見なされます。
つまり、分裂によって得たビットコインは所得と見なされず、ビットコインを売却もしくは商品購入などで利用した時に所得が生じると考えられ、その際の取得金額は0円とされます。
ビットコインの証拠金取引
ビットコインもFXと同様に少額のビットコインを業者に預けることでレバレッジを利用した取引を行うことができます。FXの証拠金取引は申告分離課税の対象になりますが、ビットコインの証拠金取引は総合課税による申告になります。
マイニング(採掘)で取得したビットコインの税金
マイニングで得たビットコインは事業所得もしくは雑所得にあたり、所得金額の計算方法は収入金額-必要経費=所得になります。取得価格はビットコインをマイニングによって取得した時点の時価で計算されることになります。
仮想通貨(ビットコイン)の税金の計算方法のポイント
・仮想通貨(ビットコイン)で買い物をした際の差額も所得になる
・他の仮想通貨と交換した際の利益も所得になる
・仮想通貨(ビットコイン)を円に両替した際の利益にも税金がかかる
・複数の取引所で取引をしている場合は、合算して課税金額を計算する
・分裂で得たビットコインは取得時には課税されないが、売却や利用時に課税される
・ビットコインの証拠金取引も総合課税に分類される
4.節税方法について
仮想通貨(ビットコイン)の節税は、株や他の投資に比べて非常に難しくなっています。ビットコインに税金がかからないのは、保有しているだけの場合のみです。
売却や交換、買物することによって利益を出さない限り課税はされません。ビットコイン投資で節税したい場合は長期で保有し、大きな値上がりを期待することをおすすめ致します。
もしくは、サラリーマンが仮想通貨(ビットコイン)投資を行う場合は、年間利益を20万円までに抑えると良いでしょう。
事業所得として計上する
仮想通貨は原則的に雑所得に課税されますが、以下の場合、事業所得として計上することができることもあります。
①事業所得者が事業用資産として仮想通貨を保有し、決済手段として使用している場合で、その使用により生じた損益については事業に付随して生じた所得と考えられ、その所得は事業所得となる
②個人などが単なる資産運用ではなく、その収入によって生計を立てていることが客観的に明らかな場合
③仮想通貨取引が事業として行われる場合
以上などが雑所得ではなく、事業所得と見なされるケースになります。事業所得と見なされると様々なメリットがあります。
事業所得のメリット
・損失が出た場合、他の所得と損益通算することができる
・損失を3年間繰越控除することができる
・青色申告特別控除が利用できる
・青色事業専従者として届け出を出すと、親族を従業員として雇った場合その給与を経費とすることができる
会社で決済用としてビットコインを採用するか、仮想通貨取引業を行う会社を設立する、もしくは専業トレーダーで売買する場合は、雑所得から事業所得としてみなされ節税効果が発揮できます。
仮想通貨(ビットコイン)の節税ポイント
・個人で節税した場合は、仮想通貨売買で生計を立てていることを証明する
・会社を設立し、仮想通貨取引事業として申告する
・雑所得から事業所得へ所得の種類を変更することで損益通算や3年繰越控除を受けることができ節税効果がある
5.仮想通貨(ビットコイン)に関する法律
仮想通貨の規制は2016年に「仮想通貨法」が定められ、2017年4月から施行されています。その中では仮想通貨や取扱業者の定義・規制などが定められています。
仮想通貨法によって定められたもの
・仮想通貨交換業者は登録制になり、内閣総理大臣の登録を受けなければならない
・顧客の本人確認の徹底
・顧客と取引業者の資産の分別管理
・取引業者の監視の義務化など
この仮想通貨法は以前よりも厳しく取引所を取り締まることができます。特にシステムセキュリティに対する姿勢なども厳しく監視されるため、ハッキングなどによるビットコインの消失などを防止し、悪徳業者を淘汰していくことを目的としています。
いかがでしたか。この記事が皆様の一助になれば幸いです。
著者:petitbonbon
前職では大手証券会社のコンサルティング業務に携わり、現在は金融ライター兼トレーダーとして活動しています。皆様のお役に立てる情報を発信していきたいと思います。