5,000円から始められる!? バーチャルYouTuberになるためのお金の話

5,000円から始められる!? バーチャルYouTuberになるためのお金の話

マネ会をご覧の金の亡者の皆さんこんにちは。私はバーチャルYouTuberの「マシーナリーとも子」という者だ。

こんなちゃらんぽらんな見た目ですが、なんとか飽きずにバーチャルYouTuberを続けて、活動開始から2019年4月でめでたく1周年を迎えました。

チャンネルの登録ユーザー数は3,000台、動画の再生回数は1つあたりだいたい1,000回くらいと、逆立ちしてもバズってるとは言えない私だけど、なんとか会社を辞めても食えていけるくらいにはやっています。割と楽しいよ。

今回は、バーチャルYouTuberの中でもパッとしない割にだらだら生きている私が、自分の経験をもとに、「バーチャルYouTuberになるためにかかるお金」や、「バーチャルYouTuberを始めることで得られるメリット」、「ゆるゆる続けるコツ」などについてお話していきましょう。

マシーナリーとも子が生まれるにあたっての出費……5,000円くらい(私の場合)

バーチャルYouTuberには大きく分けて「3DCGを動かすタイプ」と「2Dイラストを動かすタイプ」があります。当時の私は3DCGを作る方法に疎く、イラストや漫画を描くためにデジタルなお絵描き環境を既に持っていたこともあり、後者を選択しました。

私がバーチャルYouTuberになるにあたって、新たに買ったのは以下のもの。

Webカメラ……2,000円程度

Skypeなどに使うような安物です。顔の動きが追えればいいので、画質の悪い安物で充分。

Logicool「C270 HD WEBCAM」
Logicool「C270 HD WEBCAM」のページ画面のキャプチャ

私はLogicool社の「C270 HD WEBCAM」という製品を活動開始から愛用しています。マイクもついてるし、これぐらいの値段のカメラで必要充分過ぎるくらいなので、とくに「いいものに買い換えるぞ!」という気も無いです。

Live2D……基本的に無料

「Live2D Cubism」
Live2D Cubism」の画面

描いたイラストを動かすためのソフト「Live2D Cubism」。無料版は機能が制限されているけど、とりあえずバーチャルYouTuberを作るくらいなら無料版で充分。商業・営利目的で、無料版を利用しても年間売上が1,000万円以下なら問題ないです。

FaceRig……1,480円

「Steam」の「FaceRig」
「Steam」の「FaceRig」購入ページ画面のキャプチャ

Webカメラで読み取った自分の表情と連動させるためのソフト。「Steam」から購入できます。

FaceRig Live2D Module……398円

「Steam」の「FaceRig Live2D Module」
「Steam」の「FaceRig Live2D Module」購入ページのキャプチャ

「Live2D」で作ったモーションデータを「FaceRig」で扱えるようにするためのダウンロードコンテンツ。こちらも「Steam」から購入できます。

これを入れないと「Live2D」で作ったデータを「FaceRig」に読み込んでもデータが微動だにせず、カメラの前で「あれ~~? おかしいな~~?」って、一人でゆらゆら動き続けることになる。忘れずに買っとこうな。

OBS Studio……無料

「OBS Studio」
OBS Studio」の画面

動画の録画やライブ配信などを行うソフト。いろいろと便利な機能がたくさんついてるのに無料でヤバい。こちらからダウンロード可能。

と、新しく用意したものは上記のような程度であまりお金をかけていません。

お絵かき環境がない人は……70,000円くらい

とはいえ上記の金額は、あくまでお絵かき環境が整っていたからです。参考までに私の環境は以下のとおり。ペンタブレットとか結構な金額がするからなー。

液晶タブレット……50,000円ほど

HUIONの液晶タブレット「GT-191」
HUIONの液晶タブレット「GT-191」のページのキャプチャ。値段は45,000〜50,000円ほど

ペンタブレットは中国製の液晶タブレットを使っています。国産のより安いけど機能的には問題ナシ。2ndディスプレイとしても使えて便利です。

私の使用しているのは、古いモデルの「GT-190」だが、同時の購入価格と同じくらいの価格で後継機の「GT-191」が販売中

CLIP STUDIO PAINT……5,000円~23,000円

「CLIP STUDIO PAINT」の画面
CLIP STUDIO PAINT」の画面。現在デジタル絵描き間ではかなり普及してるツールで、ノウハウや素材、ツールもたくさん共有されてるのでオススメ

お絵かきソフトには俗に「クリスタ」と呼ばれる「CLIP STUDIO PAINT」を使用。私の場合は同人誌を描くのにも使っているのでフル機能版の「CLIP STUDIO EX」(23,000円)を使っているけど、バーチャルYouTuber用の絵を描くなら「CLIP STUDIO PRO」(5,000円)でも大丈夫です。

コストを抑えたいのならスマホだけでもできる……5,000〜10,000円くらい

とはいえ、この「お絵描き環境」の機材はあくまで一例。画面に直接書き込まない、いわゆる「板タブレット」と呼ばれるタイプのペンタブレットであれば、5,000~10,000円くらいで購入可能。もっといえば、お絵かきソフトだって無料のものでも充分作成可能です(レイヤー分けとPSDファイルが出力できればOK)。

WACOM
「WACOM」の板タブレット「CTL-672/K0-C」のページのキャプチャ。Amazonだと6,000円ほど。液晶でなければペンタブレットもかなり安い

「FireAlpaca」のページのキャプチャ
FireAlpaca」のページのキャプチャ

お絵かきソフトはPSDファイルが出力できれば「FireAlpaca」など、フリーソフトでも充分。

それに私が始めた1年前と違って、現在はバーチャルYouTuber的なライブ配信を可能なスマホアプリも数多くリリースされています。

「カスタムキャスト」
アバターのカスタマイズが可能で、アプリからニコニコ生放送で配信も可能な「カスタムキャスト」のページのキャプチャ

中でも「REALITY」や「Mirrativ」、「カスタムキャスト」などが人気ですな。これらは既に用意されたアバターをカスタマイズできるし、アプリから直接配信もできるので、絵が描けない人でも、普段スマホしか使ってないPC操作が苦手な人でもバーチャルYouTuberになれちゃう。

3DCGを制作するノウハウがなくてもなんとなく作れちゃいそうな「pixiv」の「VRoid Studio」なんてのも無料で使えるので、タダでバーチャルYouTuberになれる手段はいろいろとあります。だから結局は最終的にどんな姿になりたいか、どんなことをしたいかなんだよな。

動きや声までこだわりたいのなら……ピンキリ!

「VIVE」
比較的安価ということで日本でも人気がでたVRキット「VIVE」(64,250円〜)のページのキャプチャ

「VIVE」に加え、手足に「VIVE トラッカー」(12,000円ほど)をつけることで四肢の動きをモーションキャプチャーできるように。例えば、3DCGの姿でダンスを踊ってる動画を配信したいんならVR用のトラッカー(さまざまな物体に取り付けることで、VR内でそれらの位置を割り出し、現実の動きとVR内での動きを同期させる端末)を用意しなければならない。費用は60,000~数十万円かかるのでピンキリっすね!

Roland「VT-4」のページのキャプチャ
Roland「VT-4」のページのキャプチャ

あと「おっさんだけど美少女っぽい声を出したい!」って人はボイスチェンジャーも必要ですね。これもいろいろあって……バーチャルYouTuber需要で話題になった「Roland」の「VT-4」だと24,000円もする上に、生産数の問題で手に入らなかったりするんだけど、例えばフリーソフトの「恋声」や「バ美声」(2019年4月現在、開発支援価格で500円)など手頃な選択肢も結構ある。予算や用途に応じていろいろ試してみるといいよ。

バーチャルYouTuberって儲かるの?

さて、上記のような方法で、あなたは晴れてバーチャルYouTuberとしての肉体を得ることができました。各々いろいろと楽しむ目的はあるだろうけど、それとは別に脳内にチラつくのは「バーチャルYouTuberって儲かるのかな!?」ってことじゃないかな。

「まぁこれは儲かる」とも言えるし、「それほどでもないッスよ」とも言えます。

YouTube自体からの収益はおおまかに3種類ある。

1. 広告収入

動画が配信される前に表示される広告の再生数に応じてYouTubeから支払われるお金だな。

2. スーパーチャット

バーチャルYouTuber界隈で「投げ銭」と言われる、ライブ配信やプレミア放送などで、視聴者から直接お金を払ってもらえるシステム。

3. メンバーシップ

視聴者に毎月定額料金を払ってもらいメンバーになってもらう、有料会員制度みたいなもんだな。ちなみにメンバーになれば限定特典などのコンテンツを楽しめます。(メンバーシップの利用資格を得るには細かい要件があります)

これらを使って月にウン十万、ナン百万円稼ぐ人も中にはいる。いるけど、そのレベルに達することができるのはホンの一部でしょう。具体例を挙げると、マシーナリーとも子の場合はYouTubeでの売上は大したことなくて、大体月4,000円くらい。多いときでも月1万円くらいだね。これはライブ配信ではなく、動画がメインの活動ってのも少なからずあるけど。だから商売というよりお小遣い感覚なんだな。

なおかつ、これらの収益を得るにはYouTubeの審査に通らなきゃいけない。そのための最低条件は、チャンネル登録数1,000以上、直近12カ月の総再生時間数が4,000時間以上と高いハードルが設けられている。この条件を満たして、収益化を申請した上でもYouTubeから「ふさわしくない」と判断されることは全然珍しくないんだよね。

じゃあバーチャルYouTuberのメリットってなんなのよ

華やかなりしバーチャルYouTuberの世界。だけど、バーチャルYouTuberで儲けようと思ったらすげ~高いハードルがあって、YouTube上で1円でも売上をあげることすら難しい。「じゃあバーチャルYouTuberのメリットってなんなんじゃい!」って言われたら、私はやっぱり「自分をキャラクター化できるのがとっても大きい」と答えると思うんだよな。

例えば、バーチャルYouTuberになれば、自分のグッズを作って売ることもできるのよ。現に私は「BOOTH」(pixivと連携して、創作物の売買ができるサービス)で「マシーナリーとも子のキーホルダー」や「LINE STORE」で「LINEスタンプ」を作って売っています。

マシーナリーとも子キーホルダーの一種
マシーナリーとも子キーホルダーの一種

自分自身のLINEスタンプ
バーチャルYouTuberになれば自分自身のLINEスタンプだって恥ずかしげなく作れる! 楽しいね

これは自分がバーチャルYouTuberになったからこそできることだね。私はナルシストではないので自分自身のブロマイドとか売る気にはなれないけど、バーチャルYouTuberとしての“自分”のキーホルダーならガンガン売れます。

私は「自分自身のことをいいカンジに他人行儀で見つめ直すことができる」ってことが、バーチャルYouTuberになって一番「良かったな~」って思っています。

私は基本的に、自分に自信を持ってないのでめちゃめちゃへりくだったりするんですよ。会社の面接で「いや~、これといって得意なことは別にないんですけど、適当に文章を書いたり、あと前職ではこんな仕事をしてたりしたんスけど……」とか、強くアピールすべきところで妙に低姿勢になってしまう。

でも、マシーナリーとも子としてだったら、ビジュアルを見せ、動画を再生し「私はこういうカンジでやっていってるんだけど、どうだ? 仕事くれ!」と、ある程度強気に言えるようになったんだよね。これはバーチャルYouTuberという、自分自身であると同時にキャラクターでもある特殊な立ち位置の“自分”を手に入れたのがとっても大きい。

バーチャルYouTuberを始めてからの方が、前よりいろいろなお仕事をもらえるようになったので、そういうメリットは間違いなくあると思います。

それに、バーチャルYouTuberの動画や、運営しているTwitterアカウント自体がポートフォリオのように機能して、仕事が増えたってのもあるね。

お小遣い程度のお金を稼ぎながら、当初のキッカケを忘れずユルく続けいきたい

私がバーチャルYouTuberになろうとしたキッカケは、別に「金儲けするぞ~!」とかってわけじゃなく、完全に趣味からの派生です。具体的に言えば、『アイドルマスターシンデレラガールズ』ってゲームで、応援しているキャラクターの池袋晶葉ちゃんって子がいるのね。その子を今までとは違う方法で推していこうと思ったのが始まりなのよ。

それまではTwitter上で、絵や漫画を描いたり、ツイートしたり、いろいろなやり方で発信して広めていたんだけど、そんな活動を5年以上続けていく中で限界を感じちゃったんだよね。「これ、同じ輪の中でグルグル回しているだけだな!」って気付いちゃった。

そんな時、目についたのが「バーチャルYouTuber」だった。「これならTwitterのフォロワーだけじゃなくてYouTuberを見る層にも池袋晶葉ちゃんを広められる!」「このブームに乗っかって今まで触れてこなかった層にも届けられるかも~!」と思って始めたんです。だから、バズったらバズったでオイシイけど、別にバズらなかったとしても、以前とは違う層の人に届けばいいや、くらいの気持ちだったのよ。

これって個人的には「物事を長く続けるコツ」かなと思っている。「バーチャルYouTuberやるからにはウン万人にチャンネル登録してもらって、いろいろコラボするぞ~! 生放送でめちゃめちゃ見てもらうぞ~!」なんて考えながら始めるのも悪いことじゃないけどね。私は失敗したときにガクーンとしちゃいそうだなあって思うので、自分に合った低めの目標を設定しました。「今の肉体とは別の身体を手に入れて、ひょうひょうと暮らしたい」とか「動画を作って、数人にでもいいから見てもらいたい」とか、日々それを実感し続けることが長くユルく続けるコツかな~と思います。

そして、長くユルく続けていくと、お小遣い程度のお金を稼げるタイミングが出てくるとも思う。お金を稼げるようになると、モチベーションも上がり、続けていくための好循環ができるんだよね。なのでお小遣い程度でもお金を稼ぐことは、継続するためにやった方がいいと思います。

YouTubeの審査が通らなかったとしても、さっき触れたみたいに自分のグッズ作っちゃうとかね。例えば「pixivFACTORY」や「SUZURI」などのサービスは、画像さえアップすれば商品が作れます。注文が入ってから生産するオンデマンドな生産方式なので、在庫を抱える心配がない。元手も一切必要ないから、バーチャルYouTuberが小銭を稼ぐのには打って付けのサービスだと思うぜ。

ほかにも「pixivFANBOX」や「fantia」といったクリエイターとファンを繋ぐ支援サービスを使ってみるとか、自分のボイスを販売しちゃうとか……。「コレもやっちゃってもいいんじゃないか!?」って試行錯誤しながら考えることも、バーチャルYouTuberの楽しみ方のひとつなんだよな。

ちなみに私の場合、バーチャルYouTuberを始めてしばらくした後「うおー! マネタイズしたいぜ!」って作ったLINEスタンプ第1弾が、大体6万円くらいの利益になりました。他には、電子書籍が3万円分くらい購入されていたりとか、作るたび売れたり売れなかったりするグッズが月5,000~2万円くらい売れたりとか、そんなモンですね。

「pixivFANBOX」については総支援額はナイショですが、50人以上の人類に支援してもらっています。こういうマネタイズも、半年くらいダラダラと動画を作っていったおかげで、広がっていった結果なんだよな。「やっぱなんだかんだ言って継続に勝るものはないし、継続するために負担なく、できれば儲けられるように動くのがイイよね。

「目標は自分に合ったもので低くユルく」「お小遣い程度のお金儲けをいろいろとやってみる」この2つがバーチャルYouTuberを続けるコツかな。

といっても私もまだ1年チョイしか活動していないわけだけどね。でもまあ、ユルユルと死なない程度にあと10年くらいやっていきてぇな~なんて思っています。

◇◆◇

というわけで、ざっくり語ってみました。え?「バーチャルYouTuberになるためのコスト感はなんとなく分かったけど、具体的なバーチャルYouTuberの作り方が分からない!」だって? それはね……

『スマホだけでもOK! VTuberのはじめかた』

弊著、『スマホだけでもOK! VTuberのはじめかた』(洋泉社)をお読みください。ガハハ、宣伝。いや実際きちんと説明しようとすると、本が一冊書けちゃうくらいいろいろとあるので、今回は割愛させていただきましたん。

インターネット上にもいろいろHow to情報があるしね。いろいろやってみてくださいな。というわけで今回はこのへんで失礼いたします。ついでにマシーナリーとも子のYouTubeチャンネルとかもヨロシク! ほんならな。

※金額などの情報は全て2019年4月現在のものになります。

徳で動くサイボーグ女子中学生。『アイドルマスターシンデレラガールズ』の池袋晶葉ちゃんを応援するためにバーチャルユーチューバーとして活動中。人類の敵です。よろしくね。

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編集:はてな編集部