IT化プロジェクトで効率化・伴走支援。館林商工会議所にインタビュー
群馬県館林市は、豊かな自然環境・水資源を活かした産業、そして都心へのアクセスの良さを併せ持つ街です。近年は空き家を活用した飲食店など、創業の動きも活発になっています。
今回は、館林商工会議所の古川さん、小林さん、遠藤さん、柿沼さんにお話を伺いました。所内のIT化を進めて企業支援にも活かしているという同所では、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
豊かな自然と水資源を持つ館林市
群馬県の東南部、関東地方のほぼ中央に位置する館林市は、渡良瀬川と利根川という大きな河川が南北に流れる街。城沼、多々良沼など多くの池沼も点在し、豊かな自然環境と水資源に恵まれています。
四季折々の花々も魅力的で、春には桜の花とたくさんの鯉のぼりがともに景色を彩ることでも知られています。
一方で、館林市は群馬県内で最も東京に近く、浅草まで約70kmです。都心への通勤圏かつ日帰りでも楽しめる観光地としてさまざまな方が訪れます。
IT化を進める館林商工会議所
―本日はよろしくお願いします。まず皆さんのお仕事内容について教えてください。
古川さん:私は経営支援課で会員事業者さんからのご相談対応などを担当しています。
小林さん:総務部で主に経理を担当しています。
遠藤さん:共済事務や青年部の経理、会報作成などを担当しています。
柿沼さん:会議準備や予定管理など、総務業務全般を担当しています。
―館林商工会議所では所内のIT化を促進されているそうですが、どのような進め方をされているのですか?
小林さん:所内の若手職員で編成した「IT化プロジェクト」というチームで、2週間に一回ほどミーティングをしながら、IT化によってより業務効率化・お客様支援につながるよう活動しています。
―たとえばどのようなことをされたのでしょうか。
古川さん:以前から一人一台パソコンを使用していたのですが、起動が遅く、無線LANにも対応していませんでした。そのためパソコンを使えるスペースが所内で限られていたんです。
小林さん:コロナ禍を機にテレワークやオンライン相談に対応する必要性が高まり、職員15名全員分、持ち運びできるパソコンに入れ替えました。
―業務のしやすさは変わりましたか?
小林さん:すぐに起動できますし、薄くて軽い小型パソコンになったため、所内でもお客さまのもとへでも、持ち運びしやすくなりました。
サーバーをクラウドサーバーに変更したため、新しいデータ保存方法に慣れない職員もいましたが、プロジェクトチームメンバーがサポートしています。
情報共有がスムーズなオンライン相談
―会員様から受けるオンライン相談には、どのような内容がありますか?
古川さん:やはり、新型コロナウイルスの影響で補助金の相談が増えました。専門家の方と事業者さん、当所職員の三者で打ち合わせをする機会が増えたと思います。
オンライン相談は、その場で開始・終了できますから、所要時間が短くなりましたし、データをその場で共有できるというメリットがありますね。
―もうオンライン相談は会員さま、職員の皆さま双方にとって当たり前になったでしょうか。
遠藤さん:青年部には若手経営者の方が多く、Zoom会議を希望されることが多いですね。ご高齢の方とは比較的、対面での会議が多いように思います。
ホームページを見やすくリニューアル
―IT化プロジェクトでは、ほかにどのようなことをされていますか?
小林さん:ホームページを2021年12月にリニューアルしました。以前のホームページでは、どこに何の情報があるかが分かりにくかったためです。
現在はトップページがとても見やすくなり、当所へのアクセスや連絡先、検定結果などがすぐにわかるようになりました。スマホ表示にも対応しています。
遠藤さん:毎月発行の会報も、ホームページ上で一年分のバックナンバーが見られるようになっています。完成したらすぐに掲載できるという点もオンライン会報のメリットです。
また、トップページの右側に「館林市商工会議所 ご利用ガイド」を掲載しています。
12ページの冊子デザインで、当所が行っている経営支援や地域活性化事業、保険・福利厚生などについて紹介するものです。ワンクリックで読み進めていけます。
文章だけでなくイラストや写真を活用しているため、活動内容がわかりやすくなっていると思います。
YouTubeを活用したPR支援も
―事業者さまのPR支援もされているそうですね。
古川さん:新規需要の開拓・売上向上を目指す小規模事業者に対して、商品・製品・サービスをPRするための動画作成支援を行っています。現在活用しているのはYouTubeとTikTokです。
内容としては、館林市の「Menkoi(めんこい)ガールズ」というご当地アイドルの方々が事業所を訪れ、商品やサービスを体験・紹介するというものです。令和3~4年度で11本の動画を当所ホームページにアップしました。
―このPR支援を開始されたのはなぜだったのでしょうか。
古川さん:地元経営者の皆さんにとって、ご自身の会社の良さや技術は当たり前のものですから、若い世代の方が初めて知ったときのリアクションを、動画を通じて届けられたらと考えました。
撮影をした事業者さまから、追加の撮影依頼をいただくこともありますので、満足いただけているのではないかと思います。
現在は国の補助事業として実施していますが、スポンサー契約のような形で発展させていけたらいいですね。
必要な情報を迅速に届けるために
―IT化や事業者支援について、今後の目標などありましたらお聞かせください。
小林さん:当所は若手職員の意見を積極的に取り入れて、パソコンの入れ替え、クラウドサーバーの利用、会報・ご利用ガイドの掲載など、IT化を進めてきました。体制は整ってきましたので、今後はテレワークも実施できたらと思います。
ただ、事業者さまへの会議出欠確認をファックスで行っていたり、電話確認をしたりとアナログな方法もまだとっていますので、業務全体の進め方を見直す必要はまだありそうです。
古川さん:会議については、全事業者さまにオンライン対応していただくのではなく、ハイブリッド式のやり方もあると思います。その場合は私たち職員が調整役をする必要がありますので、そうした準備も検討したいですね。
遠藤さん:また、会報でお知らせしている補助金の情報を見逃してしまったというお声もありますので、IT化をより良く進めることで、会員の方に必要な情報を迅速にお届けできるようにしていきたいです。
自然、食、人。魅力あふれる館林市
―最後に、館林市の魅力について教えてください。
古川さん:館林には地下水が豊富に通っていて、食品産業が盛んです。大手飲料メーカーやビール企業の工場も近くにありますし、館林の大麦を使ったビールも生産されています。
ビールがお好きな方はぜひいらしてください。ただ宿泊場所は少なめですので、来られる際は早めに宿泊先を予約されるのをおすすめします。
また、近年は創業をされる方が増えてきました。地方都市のため空き店舗がたくさんありますので、活用していただけたらと思います。実際に空き家を活用して隠れ家的飲食店をオープンされた事例もありますので、地方ならではの創業ができるのではないでしょうか。
小林さん:私は館林の出身ではないのですが、こちらに越してきて穏やかでいい街だなと感じています。自然が豊かですし、うなぎ屋さんなど、おいしい飲食店もたくさんありますよ。
古川さん:昔はうなぎとなまずがファストフードといわれたそうで、館林では手頃な値段でボリュームある川魚料理が食べられます。私も最初になまずの天ぷらを食べたときは味の予想がつきませんでしたが、おいしかったです。
遠藤さん:館林の沼は「里沼(さとぬま)」とよばれ、日本遺産に認定されています。沼の周りを気ままに散歩する時間は穏やかでお気に入りです。
柿沼さん:館林は人の良さもすごく感じる街です。起業を考えていらっしゃる方も、おいしいお店や観光スポットに興味がある方にも、商工会議所としてさらにアピールし、足を運んでいただけるきっかけ作りができたらと思います。
―本日はお話いただき、ありがとうございました!
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