時代に応じた価値提供を目指して大商みらい塾を開催。大阪商工会議所にインタビュー
大阪府大阪市に所在する大阪商工会議所は、大阪の経済活性化を使命としてさまざまな活動をおこなっています。
町工場の支援や企業経営に資するセミナーの開催など企業に向けた取り組みだけでなく、商工会議所そのものがより価値ある組織になっていくために、若手職員向けに、「大商みらい塾」という取り組みを展開している同会議所。
今回は大阪の魅力や大商みらい塾の活動内容について、大阪商工会議所の牧さん、永長さん、久保さんにお話を伺いました。
産業が幅広く栄える大阪のまち
ー本日はよろしくお願いします。まずは大阪の特徴について教えてください。
牧さん:大阪は、日本国内の他地域に比べて、産業分野の偏りが少なく、幅広い業種がバランスよく立地していると言われています。
例えば東京の場合は情報通信業のシェアが高く、名古屋であれば自動車メーカー関係が多いですが、大阪は製造業・商社などさまざまなビジネスから成り立っているのが特徴です。
特に、薬を扱う商店が軒を連ねた道修町(どしょうまち)など、昔から製薬業が盛んな街でもあることから、ライフサイエンスの分野では高い技術を持つ企業が集積しています。
また大阪はコミュニケーションが好きな方が多いので、こちらにお越しの際には、賑やかで明るい人柄を感じていただけるとうれしいです。
ー取材中にもみなさんの明るい人柄が伝わってきました!では、大阪のおすすめの観光スポットにはどのような場所がありますか?
牧さん:「大阪企業家ミュージアム」という企業家105人の事績と企業家精神をご紹介するスポットはいかがでしょうか。大阪商工会議所が2001年に設立し、運営しています。
現パナソニックの松下幸之助さんをはじめ、サントリーの鳥井信治郎さん、日清食品の安藤百福さんなど、明治以降の大阪、そして日本の経済発展を牽引してきた経営者たちの高い志や、勇気、果敢なチャレンジ精神といった「企業家精神」に触れていただくことができます。これは、変化が激しい現代を生きる私たちにも通じるものです。
大阪の経済活性化を支援する大阪商工会議所
ーそのほか、大阪商工会議所ではどのような活動をされているのでしょうか。
牧さん:大阪商工会議所では大阪の経済活性化のため、国や自治体への政策提言・町工場の支援・商談会・ビジネス保険・セミナーの開催に至るまで幅広く活動しています。
また大阪はライフサイエンス産業が盛んなこともあり、大阪商工会議所が軸となって全国的な支援ネットワークも構築しています。
時代に合わせた価値提供を目指し、大商みらい塾を開催
ー大商みらい塾を運営されていると伺いました。具体的にどういったことをされているのでしょうか?
永長さん:経済活性化という使命は変わりませんが「会員企業に提供すべき価値」については、時代に応じて変化させることが必要だと考えています。
そのために大商みらい塾では、「商工会議所はどのような存在であるべきなのか」「どのような価値を提供できるのか」「商工会議所内の部署を横断して、何か新しい活動ができないか」などについて、若手職員を中心にあらためて考える機会をつくり、より価値のある組織になっていくべく活動しています。
月に一回の頻度で継続的に開催しており、テーマについては、みんなで学びたい・考えたいと思ったテーマを若手職員から自由に提案してもらいます。どのような構成で勉強会を進めるのか、どのような方に話してもらうのかについても、若手職員が自ら企画している点が特徴です。
ー参加した職員からの反響はいかがですか?
永長さん:反響はとても大きいですね。「大商みらい塾に参加して大いに刺激を受けた」という声だけでなく、「自分が企画した勉強会に参加してくれる職員には、何かを得て帰ってもらいたい!」と向上心が芽生えたり、「ゼロから企画や構成を考える経験ができた!」というコメントも多くありました。
また企画は1人ではなく先輩・後輩とチームを組む場合も多いので、普段はなかなかできない部署を横断したコミュニケーションの機会となり、新しい知識を得られることも多いです。
普段の生活だけでは見過ごしていることに気づけた
ーこれまでに特に印象に残っているテーマはありますか?
牧さん:そうですね。たくさんありますが、特に印象に残っているのは初年度に開催した「町工場を知る」というプロジェクトです。
大阪商工会議所では本部のみならず支部が存在しており、支部は企業と直接交流しながら支援していますが、本部では企画の部分に携わるケースが多く、企業の方との接点は支部に比べてあまり多くありません。
このプロジェクトを通して、実際に町工場を見学することができ、普段知ることができない町工場の職人の熱い想いに胸を打たれました。
このように大商みらい塾では、みんなで学び合うなかで、日頃の仕事では見過ごしていたことに気付けるなど、新しい視点を得られる貴重な機会となっています。
ー大商みらい塾の開催による成果として、どのようなものがありますか?
牧さん:大商みらい塾が発足したのは、新型コロナウイルスの影響が大きい時期でした。
以前は日常会話から他部署の知見を得ることもありましたが、それが物理的に難しくなって、職員同士のコミュニケーション機会が大きく減ってしまいました。
しかしコロナ禍であっても、オンラインなど開催方法を工夫しながら、大商みらい塾を毎月一回のペースで開催し、部署横断の交流を作り出したことで、大商みらい塾以外の場でも自然とコミュニケーションをとっている姿を見ることが多くなり、「ほかの事業部の知見を、自分の仕事に活かすことができている」という声を聞けるようになったのは、大きな成果だと思います。
また大商みらい塾で得たヒントを活かして、「若手社員キャリアデザイン塾」という事業も企画しました。
人事担当者と共創した「若手社員キャリアデザイン塾」
ーキャリアデザイン塾とは、具体的にどういった事業なのでしょうか?
久保さん:近年はキャリア形成の価値観が大きく変化しており、社員自ら中長期的なキャリアを主体的に描き行動していく「キャリアデザイン」の重要性が高まっています。
企業にとっても「人材力の強化・底上げ」、「社員のモチベーション向上」につながることが大いに期待されます。
そこで、業種・規模もさまざまな企業の人事担当者が集まって、自社の若手に受けてもらいたいキャリアデザイン研修を共創する機会を作りたいと思い、まずは研修のプログラム考案会の開催に至りました。
プログラム考案会のなかでは、「自社の若手にとってどのようなプログラムがあればキャリアを考えられるのか」をお互いに話し合いながら企画を練っていきます。
そうして、参加企業と共に知恵を絞り、汗を流し、磨き、作り上げた研修が、若手社員が大阪のまちでキャリアをつくる同世代と刺激し合って創発するのが「若手社員キャリアデザイン塾」なのです。
ープログラム考案会に参加した方からの反響はいかがでしたか?
久保さん:参加企業からは、人事担当者は他社との交流が少ないので、プログラム考案会を通じて新鮮で斬新な意見を聞くことができ、非常に良い経験になったとのコメントをいただきました。
また、「若手社員キャリアデザイン塾」自体も定員の50名をあっという間に超過する申し込みをいただくなど、予想以上に良い反響をいただきました。
牧さん:企業の人事部門が、ほかの企業の人事担当者に直接声をかけるのはなかなか難しいですよね。そこで、大阪商工会議所が仲立ちすることで、気軽に交流できるようになるのも「キャリアデザイン塾」プログラム考案会ならではの特徴だと考えています。
組織で一丸となって万博を盛り上げたい
ー読者の方に向けてメッセージをお願いします。
永長さん:商工会議所と聞くと堅いイメージをお持ちの方も多いと思います。
しかしイメージとは違い、時代に応じた活動をスピーディーに展開しているのが大阪商工会議所です。大商みらい塾という取り組みのなかでは、1年目の職員でも「このようなことをやりたい」「もっとこうしたほうがいいのではないか」など意見を忌憚なく言える雰囲気があります。
そういった組織文化をこれからも醸成し、2025年に地元で開催される大阪・関西万博の盛り上がりにつなげることで大阪の経済発展に尽力したいと強く思います。
万博は大阪だけでなく全国、ひいては世界規模のビッグイベントですので、読者の方が大阪の方であっても、そうでなくても一緒に盛り上げていきたいですね。
ー本日はお話いただき、ありがとうございました。
大阪商工会議所 国際部
大阪商工会議所 総務企画部企画広報室
大阪商工会議所 流通・サービス産業部
気になるけど、なかなか話しづらい。けどとても大事な「お金」のこと。 日々の生活の中の身近な節約術から、ちょっと難しい金融知識まで、知ってて得する、為になるお金の情報を更新していきます。