「ココナラビジネス」で企業のフリーランス人材活用を後押し!株式会社ココナラに聞いてみた
副業の流行や働き方の多様化などからフリーランス人材が増加する昨今。法人企業が特定分野で優れたスキルを持つ個人へ仕事を依頼するケースも珍しくありません。社員自身の担当業務にリソースを集中させ、それ以外の業務をアウトソースすることで、業務の効率化とクオリティアップが期待できます。
今回は「知識・スキル・経験」を可視化しオンラインで売買できる「ココナラ」や、法人向けスキルマーケット「ココナラビジネス」を展開する、株式会社ココナラのビジネス統括部 部長 小林 祥太さん、柳澤 芙美さんにサービスの強みやフリーランス活用事例についてお話を伺いました。
スキルマーケットを展開する株式会社ココナラ
―本日はよろしくおねがいします。まずは、御社の事業内容を教えてください。
小林:弊社は、スキルマーケットの「ココナラ」というサービスを運営しています。私はビジネス統括部の部長を務め、対法人向け戦略の立案・実行が担当です。元々はCtoCのサービスとして展開していましたが、最近は全社的な戦略に対法人向けサービス展開も掲げ、事業を推進しています。
スキルマーケットの「ココナラ」は、ものを販売するECサイトと同じ感覚で、サービスを出品・購入できるのが大きな特徴です。このプラットフォームで10年ほど運営しており、個人間でのスキル売買をマッチングさせる、CtoCの形式からスタートしました。
しかし、ここ数年で市場の変化が見られ、プライベートで利用するような占い・悩み相談カテゴリーの流通だけでなく、明らかにビジネスで利用されるカテゴリーの流通高が伸びています。
法人ユーザーの需要拡大に伴い、もっと使ってもらえるサービスにしていくため何が必要かを考えるなかで、ビジネス利用されるスキルのカテゴリーををプライベート向けなものから独立させた方が良いのではないかと思いました。
法人がココナラを利用する際、社内稟議を通すことになると思いますが、サイトで表示されるカテゴリーに「占い」や「悩み相談」があると、個人向けサービスやプライベート利用するもののように見えてしまいます。
信頼性の観点で、利用したくても稟議が通らない場合もあるのではと考え、2021年8月に法人向けのスキルマーケットとして「ココナラビジネス」を立ち上げました。
「ココナラビジネス」では、カテゴリーをビジネス目的の9つに絞り込み、一定以上のスキル・実績を持った出品者に限定して検索できるようにしています。
また、CtoCをメインとしていた「ココナラ」ではクレジットカード払いがメインでしたが、「ココナラビジネス」では法人企業が使いやすいよう、請求書払いにも対応。企業内のグループ・部署で使える機能も提供しています。
現在、「ココナラビジネス」のリリースから1年半ほど経過していますが、2万社以上の企業で利用いただき、毎月順調に法人利用者も増加しています。
―副業人材の増加もあり、業務をアウトソースする企業が増えた印象がありますが、ココナラビジネスならでは強みや特徴はどこにあると感じていますか?
小林:よくあるクラウドソーシングサービスでは、仕事を依頼するとき要件定義してエントリーを募る、求人媒体のような形式になっていると思います。
それに対し弊社のサービスでは、スキルを持っている人たち自らが、仕事内容をパッケージ化し任意の単価を提示して出品するのが特徴です。ECサイトに出品するような感覚で出品者はスキルを提示し、購入する企業は求める能力・予算に合う人を探して依頼します。
募集したなかから選ぶのではなく、必要な人材を探して個別にアプローチできる部分が、大きな強みではないかと思っています。
「働き方」の変化で外部リソース活用の需要が高まる
―世の中の「働き方」に変化を感じる点はありますか?
小林:副業が流行り、フリーランスが増えているのはもちろんですが、スキルを購入する企業側も考え方が変化しているようです。これまで社内で対応してきた業務を、専門スキルを持つ外部の人材に任せる動きが強くなったように感じます。
例えば、営業資料や顧客へ配布するチラシを営業担当が作る体制だった場合、そういった制作物を作るのは営業担当の強みではありません。営業活動へリソースを振って、顧客との対話に注力し、資料やチラシの作成は外部のリソースを使った方が効率的です。
でも、外部の法人へ依頼するとコストが高くなってしまうので、その分野に強いフリーランスへ依頼した方が合理的だと考えて、弊社サービスを選んでもらっている方が増えていると感じています。
柳澤:出品者の単純な増加だけではなく、プロフェッショナルの方の割合が増え、法人企業が依頼しても期待値以上のクオリティのものを提供できているようです。
小林:最初は外注するなら法人よりフリーランスの方がコストカットになるからと発注していたのが、依頼してみるとクオリティも高くて喜ばれるという効果も出てきているようです。
業務のアウトソーシングを円滑に進めるには「要件定義」が重要
―企業がフリーランスの方と一緒に仕事をしていくうえで、業務を円滑に進めるために大事なことはありますか?
小林:最初の要件定義が特に重要ではないかと思います。フリーランスに発注するとき、何をどう依頼すればいいかが、まず課題になるのではないでしょうか?
どんなものを作って欲しいのか、何を依頼したいのか、発注段階の要件定義があいまいだと、期待した成果物は納品されません。フリーランスへ発注するときには、そこの部分をしっかり詰めておく必要があるでしょう。
弊社のサービスでは見積のフォーマットも細かく作り込んでいますし、購入前の相談時にフォーマットを埋めていただければ、要件定義がスムーズにできるよう工夫しています。納品物に対する認識の齟齬も極力起きないよう、我々のサービスで補完している状態です。
チラシや販促ツール作成でのフリーランス活用事例
―ココナラビジネスを活用された企業の事例で、紹介いただけるものはありますか?
小林:「ココナラビジネス」のサイトでも、法人ビジネスでの活用事例を紹介していますが、ある大手保険会社様からはチラシ作りの発注でよく利用いただいています。
簡単なチラシ作りは社内で対応されていたそうですが、営業担当者はデザインやキャッチコピー制作は本業分野ではありません。そこで「ココナラビジネス」を使って発注したところ、顧客からの評判もいいチラシができあがったそうです。
以来、その保険会社様には弊社サービスをご愛顧いただいています。
柳澤:その会社さんでは営業担当がそれぞれチラシ制作を発注して、反応が良かったものはどれかを発表し合う、イベントのようなものも行われていると聞いています。社内での利用が浸透した事例ではないでしょうか。
小林:今まで自分たちで対応していた業務を外部に依頼するのは、心理的なハードルもあると思います。それを、イベント的要素も取り入れて外部リソースの活用推進につなげていただいているのは、弊社としても非常にありがたいです。
柳澤:ほかにも食品メーカー「ケンミン食品」様では、今までエクセルで作っていた販促ツールをココナラビジネスで発注されて、プレゼン力が上がったと聞いています。
小林:あとはグローバル企業の日本法人様から、翻訳の発注を継続的にいただいています。
毎月本国から英文で資料が送られてくるのですが、国内の社員にそのまま展開したのでは、なかなか読み込んで業務に活かせない状態だったようです。
それで、付き合いのある法人へ翻訳を外注していたそうですが、金曜に送られてきた 資料の翻訳を依頼すると、レスポンスは週明けに。翻訳されたものが返ってくるまで時間がかかっていました。コストも高く、素早く活用でき ないのがネックだったようです。
それに対して「ココナラビジネス」でフリーランスの翻訳家へ依頼すると、金曜に発注したら月曜の朝には翻訳した初稿が返ってきます。コストカットになるだけでなく、スピード感が良いのも好評で、継続して利用いただいている事例があります。
―フリーランス人材の活用で、コストカットだけでなく業務のスピードもあがるのは魅力的ですね。反対に、フリーランス人材に依頼するリスクや注意点はあるのでしょうか?
小林:高単価な発注になるほど、要件定義が重要かつ複雑になり、現状のシステムだけでは難しい部分もあると思います。
10万円前後くらいのクリエイティブ制作では、要件定義は比較的シンプルで発注しやすいカテゴリです。
しかし、大規模なアプリ開発等になると、複雑な内容を数多く詰める必要が発生するでしょう。そこは要件定義を確実に行える人でないと、発注のハードルが高いのではないかと思います。
最初から大型案件の発注に使うのではなく、まずは小規模な依頼で利用いただき、少しずつ活用範囲・規模を広げていただけると良いのではないでしょうか。
「すべてが揃うサービスマーケットプレイス」を目指して機能を充実させたい
―今後、御社のビジネス展開として注力されることや、新しく実装を予定している機能などあれば教えてください。
小林:会社として現在 、対法人向けサービスの提供を強化しているところです。法人様がチームで使いやすい 機能を作ったり、コミュニケーションがより円滑に取れる機能を開発したりと、いっそう強化したいと思っています。
柳澤:大きな展望としては、「すべてが揃うサービスマーケットプレイス」 になることを掲げています。ビジネス利用もプライベート利用も含め、弊社サービスの利用を通じて私たちのビジョンである「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」を体現できるよう目指したいと思います。
―最後に読者へのメッセージをお願いします。
小林:今までフリーランスへ依頼したことのない企業さまからすると、「ココナラビジネス」を使って受注するハードルは高いのではないでしょうか。
しかし、「ココナラビジネス」を含め弊社サービスでは、発注時の不安感を取り除くべくサービスの設計・開発をしており、現在評価いただいているポイントにもなっています。
まずは簡単な依頼から発注いただいて、フリーランス活用の第一歩を踏み出していただければ、想像よりは難しくなく、良いパフォーマンスが得られると実感いただけるはずです。
業務の一部分やチラシ1枚の発注で構いませんので、弊社サービスをご利用いただけるとうれしく思います。
柳澤:IT方面に苦手意識がある 方でも使いやすいシステムにしていますので、プロ人材活用の第一歩を踏み出してみてください。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
ビジネス統括部部長
スタートアップ複数社で、SaaS、EC、Adtechといった領域で新規事業、営業組織の立ち上げを経験。2022年9月にココナラに参画。
新卒で証券会社の法人営業を経験後、2年間専門の学校で広報を学ぶ。その後アパレルやウエディングなど様々な業種で広報歴任後、2017年8月よりココナラに参画。
気になるけど、なかなか話しづらい。けどとても大事な「お金」のこと。 日々の生活の中の身近な節約術から、ちょっと難しい金融知識まで、知ってて得する、為になるお金の情報を更新していきます。