ふるさと納税で日本の食を守ろう!豊丘村のふるさと納税について担当者に聞いてみた
長野県の南部に位置する豊丘村(とよおかむら)は、寒暖差を利用した果物の栽培が有名な村。なかでも桃はとても甘くておいしく、ふるさと納税の返礼品として非常に人気です。
今回は、豊丘村 総務課企画財政係ふるさと納税担当の長谷川 雅(はせがわ まさし)さんに返礼品の魅力や、ふるさと納税への熱い思いについてお話を伺いました。
ふるさと納税の寄附先を探している方は、ぜひ参考にしてみてください。
豊丘村は寒暖差を利用した果物の栽培が盛んな村
―本日はよろしくお願いいたします。まずは、豊丘村についてご説明をお願いいたします。
長谷川 雅(以下、長谷川):豊丘村は長野県の南部に位置しており、左右に南アルプス、中央アルプスといった3,000メートル級の山脈があり、谷のような場所にあります。
長野県というと、長野市の善光寺や松本市の松本城などをイメージする人が多いと思うのですが、岐阜や名古屋寄りの地域になりまして、比較的長野でも温暖な地域になります。
1年間に一回雪が降るかどうかっていう場所なので、みなさんが想像する長野県のイメージとは異なるような場所ですね。
比較的温暖ではあるものの冬はある程度寒いので、寒暖差を利用した作物が栽培されています。
とくに、果物が有名ですね。豊丘村では、りんごや梨、桃の栽培が盛んです。
桃は返礼品の中でも一番人気
―ふるさと納税の返礼品としても果物が人気なのでしょうか。
長谷川:そうですね。なかでも桃が一番の人気となっております。最高で年間約24,000件の注文が入りました。一つの市場並みですね。
しかし、生産量としては、桃ではなくてりんごなんですよ。桃は3番目くらいの生産量で、村としても、もともと桃を推してはいなかったんですが、この桃の人気の高さは、寄附をしてくださるお客様から教えていただきました。
僕らは、桃を食べるってなったら、このあたりで生産した桃しか食べません。村で生産しているので、わざわざほかの地域からは取り寄せないんですよね。
なので、この桃のおいしさを当たり前のように感じていたのですが、ほかの地域の桃よりもめちゃくちゃおいしいらしいです(笑)。
ふるさと納税で寄付してくれるような、桃の生産をしていない地域の方は、さまざまな産地の桃を食べ比べしているんですよね。そんな舌の肥えたみなさまが「豊丘村の桃は最高だ」ておっしゃってくれるので、最高なんだと思います。
―そんなにおいしい桃なんですね!どういった点が人気の要因となっているのでしょうか。
長谷川:とにかく甘くておいしいらしいです。また、桃を5キロ箱などの箱で送っているのですが、送られてきた桃がすべておいしいらしいんですよね。
これもお客様に聞いたのですが、桃って当たり外れがあるらしくて、すべておいしいってことはなかなかないみたいです。ただ、豊丘村の桃はすべておいしいみたいですね。
ただ、この美味しさを当たり前だと思っていたので、僕の口からは、そんなにおいしいってのはなかなか伝えられないんですよね。
産地のものを食べた感動の言葉って僕らには出せない感情なんですよ。だから、お客様からの感動のコメントや電話での様子は、僕らにとってはとても新鮮です。
桃を中心にお話しましたが、りんごや梨でもそのようなお声を頂いております。
食べたら人気の秘密がわかると思いますので、気になっている方はぜひ食べていただきたいですね。
お客様とのやり取りをどこよりも大事にしている
―2020年度は、8億円を超える寄付額が集まったと聞いたのですが、やはり桃の人気からなんでしょうか。
長谷川:2020年度は8億2,600万円を超えており、これは過去最高額です。件数でいうと63,000件を超えてきていますので、これも過去最高になっています。人口が約6,700人なので、約10倍のお客様が寄附をしてくれています。
桃に人気があるおかげで、ここまで寄付額が伸びたっていうのもありますが、これまでのふるさと納税に対しての取り組みの結果だと思っています。
そもそも私がふるさと納税を担当する部署に異動してきたのが、7年前の平成26年です。
平成26年度は、全国的にもふるさと納税がブームになった年でした。平成26年の6月がふるさと納税のターニングポイントでして、ふるさとチョイスというポータルサイトでクレジットカード決済が導入されました。たしか最初は40自治体限定だったんですけど、とりあえず申し込んでおきました。
もともと、ふるさとチョイスには、なにも掲載していなかったのですが、インターネットを駆使しないともったいないと考えまして、異動後すぐに掲載することに着手しました。
前年度はわずか250件くらいの申し込みで、1年間で約780万円の寄付だったんですが、返礼品を掲載し、クレジットカード決済に対応できる状態にすると、それまで1日1件あるかどうかだったのが、平日で50件、土日で100件を超える日がでできて、気づけば8月の段階で1億円を突破しました。年度では4億円を超えるような寄附をいただきました。
クレジットカード決済をいち早く導入したことは、ブレイクのきっかけだったと思います。また、当時は管理システムの開発と、返礼品を増やす営業活動に奔走していました。
―そうなんですね!4億円から8億円までの寄付額にはどうやって伸ばしたのでしょうか。
長谷川:お客様とのやり取りをもっとも大事にしており、それが伸びた要因だと考えています。
今は当たり前のようにありますけど、当時は受付から文章の発送からクレーム対応まで全部やってくれるっていうポータルサイトのサービスはありませんでした。
なので、僕らがそういった対応をしていたんですけど、一人一人のお客様に真摯に対応していると、お客様とだんだんふるさと納税以外の話もするようになるんですよね。
そのうちに、「豊丘村ってどんなところなのか」、「どんな人が生産者なのか」などの話にもなります。1人に対して30分、1時間お話するときもありました。
また、僕らも、「こういう食べ方をした方がいい」「この時期は普段よりも特別おいしい」など、産地でしかわからないような情報もお伝えするようにしています。
そうするとみなさん大変喜んでくれるんですよね。さらに、実際に食べておいしかったら、周りの方に口コミで広げてくれるんですよ。
お客様によっては、「長谷川さんと話したい」っていう方もいらっしゃいますね(笑)。
僕が嫌われたら豊丘村のファンにはなってくださらないので、「まずは窓口の僕がまず気に入ってもらうこと」、「丁寧に説明することには時間を惜しまないこと」を心掛けていましたし、今もそれが一番重要なポイントだと思っています。
感想のコメントで、「おいしかった」っていうのはもちろんすごくうれしいんですけど、「どこよりも職員の方の対応が丁寧だった」というコメントが一番うれしいです。
そういうコメントをしてきてくれる方は、間違いなくリピートしてくれます。なので、こういう方を増やしていきたいですね。
「公務員なのにこんなにサービスしてくれるんだ」っていう驚きを与えたいんですね。ここはどこにも負けない自信があります。
―寄付額が増え、ポータルサイトで対応してもらえる作業が増え、お客様との繋がりを密に取るのが難しくなったと思うのですが、今ではどのようなことをしているのでしょうか。
長谷川:メルマガですね。メルマガの登録件数が17,000件あるんですけど、この人たちにリピーターになってもらいたいと考えており、メルマガで有益な情報を発信しております。登録件数は毎年増えていて、もうすぐで2万件近くなります。
また、今はオンライン決済のみの自治体はかなり多いんですけど、うちは電話やFAX注文など、いわゆるアナログ決済を続けています。
FAX、電話でしかできないお客様もいますが、このような場合、作業としての時間はかなりかかります。効率だけ考えればアナログ決済はやめたほうがいいんですよ。
ただ、アナログ決済をまったく無駄な仕事と考えていないです。問い合わせをしていただけるってことは、僕らが新しいことに気づくチャンスです。
オンライン決済で名前と住所だけわかり、会話もしたことない状態のお客様はどんどん増えていくんですけど、電話で声を聞いてお話をするのは、必要な労力として考えていますし、今後もやめないと思います。
ふるさと納税は日本の食を守るための制度
―ふるさと納税に対してはどのような思いを持って取り組んでいるのでしょうか。
長谷川:2つあり、1つは、住民サービスを充実させたいという思いですね。
税金っていうのは人口に比例します。豊丘村のように、どんどん人口が減っていると、税収が減っていき、充実した住民サービスを提供できません。
そうなったときに、ふるさと納税って画期的だなと思ったんですよね。ふるさと納税に力を入れることで、住民サービスを充実させることができます。
豊丘村の税収がだいたい6億円です。なので、1番最初はここを目標にしました。ようやく今税収を超えたような状況ですが、これがあるのとないのでは村の財政がまったく変わってきます。
―もう1つはどういった思いなのでしょうか。
長谷川:農業の衰退を食い止めたい、日本の食を守りたいという思いですね。
このままいくと田舎の農業はかなり厳しい状態になります。そうすると、田舎云々ではなく都会のみなさまの食べるものが少なくなり、外国の食べ物を食べるしかなくなるでしょう。
これを聞いても都会の方ってピンとこないと思います。食べ物ってスーパーに行けばあるものなので。ただ、スーパーに物が入ってこなくなったらスーパーもみなさまに売れなくなってしまいます。
ふるさと納税っていうのは最初のうちは返礼品をもらうためとか、税金が控除されるためっていう目的があると思うんですけど、もしかすると、ふるさと納税をしないと、田舎のおいしい食べ物がなくなるって可能性もあると思っています。
支援をしてもらわないと日本の農業は絶対に難しいので、そういうのがリンクしたふるさと納税っていうのは、かなり画期的な制度なんですよ。こういう思いをとにかく寄付してもらった方に伝えたいっていうのが1番の熱い思いですね。
まだまだ「寄付をしてあげてる」っていう考え方の方は多いと思いますが、僕らはどんどん発信をしていって、「農家の皆さんや農産物を守るため」「自分たちの食を守るため」の寄附であるっていうことを伝えていきたいですね。
コメントが商品や農業自体をよくしていく
―熱いお話をありがとうございます!最後に豊丘村へふるさと納税を検討している方へのメッセージをお願いいたします。
長谷川:重い話は抜きにして、豊丘村の出してる果物をはじめとした返礼品には自信がありますので、ぜひ迷っている方は食べてみてください。
そして、食べてみておいしいと思ったらお気軽にコメントをください。
どんどんコメントをいただいて、職員や生産者の方とコミュニケーションをとってほしいなって思います。皆さんの意見が改善にもつながりますし、農家さんのモチベーションにもつながります。商品や農業自体をよくすることにも直結します。
そして寄附をしていくうちに、先ほどお話ししたような内容を少しでも思い出してくれればと思います。
―本日はありがとうございました!
豊丘村 総務課企画財政係ふるさと納税担当
2019年に株式会社サイバーエージェントに入社。 クレジットカード、キャッシュレス、カードローンの記事作成を担当。 愛用クレジットカードは楽天ゴールドカードでネットショッピングでは楽天市場を利用するようにしている。楽天ペイ、楽天Edyも使っており、楽天のダイヤモンド会員を維持している。最近はスマホを楽天モバイルに変えるか悩んでいる。 ヤフーカードやPayPay、Kyashなども利用しており、お得にポイントを貯めることが趣味。