自然が豊かな大刀洗町のふるさと納税について担当者に聞いてみた!
2008年にふるさと納税制度がスタートしてから地方自治体に寄附金が集まるようになり、地方が活性化しています。
福岡県三井郡大刀洗町もふるさと納税の寄附金で活性化している自治体のひとつです。平成29年度のふるさと納税の寄附金が5億7,570万円を突破し、集まった寄附金でさまざまな取り組みをおこなっています。
今回は、大刀洗町がどのような町なのか、ふるさと納税の返礼品の内容や、集めた寄附金でどんなまちづくりをしているのか、担当者の小島さんにお話を聞いてみました。
大刀洗町は水と緑に恵まれた町
―本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、大刀洗町はどのような町なのでしょうか?
小島:大刀洗町は福岡県の南部に位置する町で、すぐ近くを筑後川という大きな川が流れていることもあり、土壌が豊かな土地となっています。
南には耳納連山(みのうれんざん)が東西に約30㎞にわたって伸び、町は九州で最も大きな筑紫平野に築かれています。平坦な土地にある町で、昔から農業が盛んです。
―どのような農作物を栽培しているのでしょうか?
小島:最近ではレタスや白菜、水菜といった葉物野菜に力を入れています。といっても、有名な農作物があるわけではなく、時期によりニーズの高い野菜を柔軟に作っており、少し前にパクチーが流行したときはパクチー農家さんが急増しました。
それにお米と麦の生産も盛んです。隣の朝倉市にキリンビールの工場があるので、作った麦はビールの原材料としても使用されています。町内には酒造メーカーがあるため、大刀洗産の日本酒が造られています。
―大刀洗町は豊かな自然が息づく町ということですね。では、観光名所にどのような場所がありますか?
小島:おっしゃるとおり、大刀洗町は自然が多い町で、平野にあるということもあって北海道に行ったときのような広大さを感じる土地です。
そのため、観光名所は少ないですが、そのなかでも有名なのは今村天主堂(いまむらてんしゅどう)です。
―天主堂というと、カトリックの教会ですね。
小島:はい。今村天主堂は、世界遺産にもなった長崎の教会群の多くの建築に携わった「鉄川与助」氏が手掛けた教会で、国の重要文化財に指定されています。
赤レンガ造りの塔が2つあるという九州のみならず国内でも珍しい様式の教会で、鉄川与助氏の作品のなかでも最大かつ秀逸という評価を受けています。
大刀洗町は戦国時代のころからキリスト教信仰が根付いており、江戸時代には多くの隠れキリシタンが信仰を続けていた歴史があります。今村天主堂は大正2年に建造されましたが、建設当初の状態が保たれた貴重な文化財です。
大刀洗町の返礼品はバラエティ豊かなラインナップ
―それでは次に、大刀洗町の返礼品についてお聞かせください。
小島:大刀洗町の人気の返礼品としては、「侍マスク」が有名です。
―国会で蓮舫氏が着用していて注目を集めたマスクですね。どのようなマスクなのですか?
小島:筑後地方一帯で製造されていた久留米絣(くるめがすり)という織り方から派生した久留米織を、さらに柔らかく織りあげた布を使用したマスクです。
肌触りが良くなっており、また、自分で紐を結んで使うタイプのため耳が痛くなりにくいという特徴もあり、ストレスなくご使用できます。
サイズをあえて大きめに作っているのもポイントで、あごの下から空気が抜けるので蒸れることも少ないです。
―蓮舫氏が着けていたのはスタイリッシュな白色でしたが、ほかにもバリエーションはあるのですか?
小島:現在は白色以外に青色、赤色、茶色などのカラーバリエーションがあり、色付きのマスクの方が柔らかくて呼吸がしやすいと評判です。町の職員はもちろんのこと、町内の住民の方も着けています。
―ストレスなく着けられるマスクは魅力的ですね。ほかには、どのような返礼品がありますか?
小島:町内北西部にある「餃子菜館」の餃子は、ふるさと納税を始めた当初から人気の返礼品です。
宇都宮で修業をしてきた方が作っている餃子で、使用している皮は福岡県産のラー麦(博多ラーメンの小麦)を独自にブレンドしており、オーソドックスな味わいながら、非常にもちもちとした触感となっています。
通常の餃子よりも小ぶりに作られていて子どもでも食べやすく、柚子胡椒を付けて食べるのがおすすめです。
餃子以外にもシュウマイも人気で、大きめなサイズで食べ応えがありジューシーと評判です。
ほかにも、大刀洗町では慶事に馬肉を食べるという習慣があり、馬肉も返礼品として人気があります。また、大刀洗町の返礼品としては日本酒が有名ですね。
―町内に酒造メーカーがあるということですが、どのような日本酒が有名なのですか?
小島:例えば、「みいの寿(みいのことぶき)」という日本酒は作り手の確かな技術と経験をかけて仕上げられており、上品な香りと米の旨味が楽しめるお酒です。毎年数々の酒類鑑評会で金賞等を受賞されています。
この日本酒の名前に聞き覚えはありませんか?
―もしかして、スラムダンクのキャラクターの?
小島:そのとおりです。実はスラムダンクの原作者の井上雄彦先生はみいの寿が好きなお酒だったらしく、登場人物の名前に取り入れたのです。
その話を聞いた蔵元では、キャラクターをイメージしたラベルの日本酒を販売しており、こちらもふるさと納税の返礼品として扱っています。
―なるほど。大刀洗町はバラエティ豊かな返礼品が揃っていますね。そのなかで小島さん一押しの返礼品はどれでしょうか?
小島:私がおすすめする返礼品は、町の老舗大工さんがすべて手作りで製作する「ミニテーブル&チェア」ですね。
子ども用の机といすのセットですが、大人が座っても問題ないくらい丈夫で、インテリアとしてもすごくかわいいです。
木の温もりや優しさを感じることができ、小学2年生程度までは子ども用の机・椅子として使用できます。
子どもが小さいときは子ども用として、子どもが成長したら花瓶などを置いてインテリアとしても楽しめます。
大刀洗町は子育て支援が充実して、暮らしやすい町を目指している
―それでは次に、大刀洗町ではふるさと納税の寄附金をどのように使用しているのか、お聞かせください。
小島:大刀洗町では集めたふるさと納税の寄附金でまちづくりを推進しており、特に子育て世代を町に呼び込もうとする取り組みをしております。
例えば、寄附金で小学校の運動場を芝生に変えたり、教室内の空調設備を整えたりして子どもが学びやすい環境づくりをおこなっています。
最近では学習用のタブレットの導入や学校図書館のシステムの更新なども進めております。
また、ふるさと納税ではありませんが、子育て世代向けの住宅なども建て、産後ケア費用の一部を助成するなどの取り組みをおこなっており、子育て世代の人口が少しずつ増えてきました。
未来を創る子どもたちのため、大刀洗町では子育て支援につながる投資を進めています。
―子どもを育てやすい町というのは魅力的に映ります。ほかにも、実施している取り組みはありますか?
小島:車のないお年寄りでも暮らしやすいように地域住民が自分たちで交通巡回バス、いわゆるコミュニティバスを運行しており、そのサポートをしています。
以前は役場が管理していた古いバスを利用していましたが、このたび新しいバスを導入しました。
どなたでも無料で利用できるバスで、これもふるさと納税の寄附金の一部を使っています。
大刀洗町へ遊びに来てください!
―最後に大刀洗町のふるさと納税に興味を持った方へ一言お願いします。
小島:大刀洗町全体で、「大刀洗町が好き!」「大刀洗町を盛り上げよう!」という方が多いので、そんな方々の後押しをお願いします!
そして、ぜひ大刀洗町へ遊びに来てください! 本当に町民の人柄が良い町で、近所を歩いていると、農家さんに「これもっていかんね」とあいさつ代わりにお野菜をいただくことが多くあります。
また、誰かが新しいことをやろうとすると、協力的な方が多いのも特徴的で、みんなで町を良くするためにも頑張ろうという熱意があります。
みんながフレンドリーな関係を築いているので、ぜひ交流を深めて頂ければと思っています。
―本日は大刀洗町についてのインタビューに応じていただき、ありがとうございました!
大学卒業後、ライティング事務所に就職。2017年に独立し、フリーライターとして活動。ライティング業務に携わる中で、ジャンルを問わず多くの記事を執筆しましたが、最も得意なのは金融・経済系。特にアジア・欧州の経済や、新興スタートアップ企業に関する記事を投資webメディアにて連載中。猫が好きだけど、猫アレルギーのためモニター越しでしか眺められないのが悩み。ライティングを行う時には「分かりやすく・読みやすく・おもしろく」を心がけています。