歴史が色濃く残る町、秋田県小坂町のふるさと納税返礼品をご紹介!担当者にインタビュー
かつては鉱山の町として栄えた小坂町。当時の歴史ある建物を活用した施設や鉱山で培われた技術を活かした産業など、歴史を大事にしながら発展を遂げています。町外の方にも人気のイベントや観光スポットもある魅力溢れる町です。
今回は、小坂町で人気のふるさと納税返礼品や寄附金の使い道などについて、秋田県小坂町総務課の木村 卓泰さんにお話を伺いました。
鉱山の町として栄え、歴史ある建造物も数多く残る小坂町
―本日はよろしくお願いします。まずは小坂町について教えてください。
小坂町は青森県、岩手県、秋田県の北東北三県のちょうど真ん中に位置しており、田舎の小さな町ではありますがアクセスは比較的良好です。青森や盛岡など近隣の大きな町へは、高速道路を使ってそれぞれ約1時間で行くことができますし、1時間圏内に空港も2つあります。
自然のスポットとして有名なのは、国立公園の十和田湖です。十和田湖は青森県というイメージが強いかもしれませんが、実は3分の1は秋田県の小坂町にあるんです。紅葉や緑、雪景色と四季折々の自然が楽しめるスポットになっています。また、町の中心部から十和田湖へ行く途中には、日本の滝百選にも選ばれた七滝という滝があり、観光客にも人気です。
産業としては、リサイクル産業が非常に盛んです。小坂町は明治時代には鉱山の町として栄えていました。鉱石を採掘して金属を抽出する技術を活用し、現在は、携帯電話や電子部品、家電などの廃棄物から金属を抽出するリサイクル鉱山とも呼ばれるリサイクル産業が盛んに行われています。また、鉱山に関する技術などを学ぶために、海外からも多くの方々が小坂町を訪れています。
―おすすめの観光スポットはありますか?
1〜2年前から十和田湖の湖上でのアクティビティを楽しめる施設が本格的に運営を開始し、早くもリピーターの方々が少しずつ増えています。
また、町の中心部には「明治百年通り」と呼ばれるメインストリートがあり、明治時代に建てられた近代化産業遺産と呼ばれる貴重な建造物が当時のまま数多く残されています。
代表的なものの1つが、「康楽館」という木造の芝居小屋です。建設から110年以上が経過しており、国の重要文化財にも登録されています。現在は春から秋にかけて、ほぼ毎日様々な劇団によって公演が行われ、観光客や修学旅行生が芝居などを楽しんでいます。
また、康楽館の近くには鉱山の事務所の本社として使われていた「小坂鉱山事務所」があります。この建物の木材は全て天然の秋田杉を使用し、当時の最先端の技術を結集して壁や窓の装飾が施された豪華な造りとなっています。20数年前に資材を全て解体して組み立て直し、現在の姿は当時のままで、中には鉱山関連の資料館やお土産店、レストランなどが入っています。
他にも、電気施設として使われていたレンガ造りの建物をカフェにするなど、鉱山によってもたらされた古い建造物を活用しながら「明治百年通り」が形成されています。
町外の方からも人気!小坂町の2大イベント
―おすすめのイベントについても教えていただけますか?
小坂町の代表的なイベントは2つあります。まず1つ目は、毎年6月上旬に開催される「アカシアまつり」です。かつて、小坂町は鉱山で栄えていましたが、鉱山から出る煙によって小坂町中の山々の木々や植物が全て枯れてしまったことがありました。そこで、山に緑を復活させようと、目をつけたのが「アカシア」でした。アカシアは煙に強くて、繁殖性も非常に強いんです。
現在、町内には300万本以上のアカシアの木があると言われており、花が咲く6月になると甘い蜜の香りが町中に漂っています。「アカシアまつり」は約40年前から行われており、地元の方や事業者による手作りの露店やステージイベントなどが行われ、町内外から1万人近い観光客の方々が訪れる小坂町で一番大きなイベントとなっています。
2つ目は、12月に開催される「クリスマスマーケットin小坂」です。クリスマスマーケットは各地で開催されていますが、小坂町は近代クリスマス発祥の地を名乗らせていただいています。
というのも、江戸時代に禁止されていたキリスト教が明治時代に入って解禁された年、小坂鉱山に赴任したドイツ人の鉱山技師、クルト・ネットーが12月にクリスマスパーティーを開いたという記録の絵が小坂鉱山事務所に残っているんです。
クルト・ネットーが故郷のドイツを思いながら小坂町で開いたパーティーを現代版にアレンジしてやってみようということで、「クリスマスマーケットin小坂」を開催しています。地元の事業者による温かい食べ物やクリスマスにちなんだ商品の販売が行われている他、会場周辺は約7万球のイルミネーションに彩られ非常に美しい雰囲気に包まれます。
小坂町の自然の中で生まれた、人気のふるさと納税返礼品
―小坂町のふるさと納税についてお伺いします。まず人気の返礼品や近年注目されている返礼品を教えていただけますか?
返礼品の柱となっているのは、主に3つです。1つ目が、人気No.1の「十和田湖高原ポーク桃豚」という豚肉です。この桃豚の特徴は、豚特有の病原菌を持っていないSPF豚といわれ、臭みが少なく他のブランドの豚と比べて非常に食べやすいことです。しゃぶしゃぶにするとその肉質を楽しむことができ、他の豚とは異なりアクもほとんど出ません。また、とんかつにしていただくと非常に肉が柔らかくて美味しいです。県外の方にも徐々に広まりつつあり、リピーターも非常に多い人気の返礼品です。
2つ目は「アカシア蜂蜜」です。アカシア蜂蜜は非常に濃厚な味わいが特徴です。パンにかけたり温かい飲み物に入れたりと様々な使い道があり、こちらもリピーターの多い人気の返礼品です。ご紹介したように小坂町には約300万本のアカシアの木があり、アカシアの花から採れる蜜を使ったアカシア蜂蜜も町の返礼品の1つになっています。アカシアまつりなどを通じて「小坂町=アカシアの花」という認識が少しずつ広がってきており、アカシア蜂蜜を返礼品として選んでくださる方も増えてきています。
3つ目は、最近小坂町で力を入れている「ワイン」です。実はブドウ自体は約40年前から生産を始めていて、農家の方が試行錯誤しながら改良を重ね、この土地ならではの山ブドウ系の品種を育てています。5〜6年前には、七滝が目の前のロケーションに「小坂七滝ワイナリー」も設立されました。そして、2023年には国内で初めての山ブドウワインコンクールが小坂町で開催され、全国の100以上の山ブドウ系のワインが出品されました。小坂町のワインは、赤ワイン部門とロゼワイン部門で最高の賞に当たる「紫賞」を受賞しました。
独特の柔らかみのある灯りが特徴。蜜蝋を使ったキャンドルもおすすめ
―ご担当者様のおすすめ返礼品も教えてください。
2022年から返礼品に取り入れた、蜜蝋を使ったキャンドルは非常におすすめです。真っ黄色のキャンドルで、炎が灯ると独特の温かみや柔らかさのある灯りになります。蜜蝋とは、蜂が巣を作る際にお腹から分泌される、いわゆるロウのことです。高級品とも言われています。
2021年のクリスマスマーケットで、小坂町がアカシアの町ということに着目して蜜蝋を使ったキャンドルを製作されている方がいることを知りました。来場されていたお客様からも「ふるさと納税にいいんじゃない」との声もありましたし、私自身も非常に魅力を感じたため、製作者にお話して2022年から返礼品として取り扱っています。
目標金額を約1か月で達成。ふるさと納税のクラウドファンディングも実施
―寄附金の使い道についても教えてください。
ふるさと納税に関しては、寄附いただく方々に教育や観光、自然、環境など、全部で12個のジャンルから希望する使い道を指定していただいています。その中で最も人気なのは教育です。小坂町は過疎が進み、子どもの数も減少してきている中で、「子どもたちのために使ってほしい」と寄附をいただくケースが非常に多いです。実際に、学校関連の教材などに寄附金を充当させていただいたこともあります。
―小坂町ならではの寄附金の使い道はありますか?
ふるさと納税のクラウドファンディングを実施したことがあります。小坂鉄道レールパークという廃線となった線路や車両を活用して作られた鉄道のテーマパークがあるのですが、車両はもともとが古いものですし年々劣化も進んでいて、町のお金だけで維持するのは難しい状況です。
また、レールパークの中に「ブルートレインあけぼの」という、かつて東京から秋田、青森まで走っていた寝台特急の車両を活用した宿泊施設もあるのですが、こちらも同様に劣化が進んでしまっている状況です。さらに、客室が密集していることもあり、コロナをきっかけに営業ができず、その間にさらに劣化が進んでしまいました。
そこで、外壁や外装の保全費用や、施設内の車両や駅舎、レールなどの修繕費用に活用させていただこうとクラウドファンディングを実施し、おかげさまで1か月弱で目標金額を達成できました。おかげで修繕も終わり、2024年5月より営業再開できる見込みです。
通常、寄附金の使い道は「教育」「観光」など大まかにしか示されていませんが、使い道を明確に見せることによって寄附者も貢献をより実感できると思います。ですから、クラウドファンディングという形も、非常にいいのかなと思いました。
現在、今後のクラウドファンディングの予定はありませんが、小坂町には歴史的な建造物が多くあり、維持していくのは大変な部分もあります。そのため、使い道をより明確にして寄附できる形も積極的に検討していきたいと考えています。
返礼品をさらに充実させ、小坂町のファン獲得にもつなげていきたい
―今後のご計画や目標がありましたらお聞かせください。
ふるさと納税は、返礼品の認知度向上だけでなく、町全体のPRや広告としても大きな影響力があると考えています。小坂町は小さな町ということもあり、返礼品の数や種類がまだまだ少ないのが現状です。今後は、事業者の方や関係者の方と知恵を出し合いながら、返礼品を増やしていけるように取り組んでいきたいと考えています。そして、返礼品をきっかけに小坂町の魅力を知ってもらい、ファンになっていただける方々を増やしていきたいです。
―最後に、マネ会読者へメッセージをお願いします。
秋田県小坂町は小さな町ではありますが、歴史ある建造物が数多く残るなど、魅力に溢れた町だと思います。今後、返礼品についても、さらに魅力的なものを増やしていきたいと考えています。何かのきっかけで小坂町のことを知らなかった方々にも知っていただき、ファンになっていただけたら嬉しいです。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
秋田県小坂町
総務課
気になるけど、なかなか話しづらい。けどとても大事な「お金」のこと。 日々の生活の中の身近な節約術から、ちょっと難しい金融知識まで、知ってて得する、為になるお金の情報を更新していきます。