ふるさと納税はすべて子育て支援に活用!大分県豊後高田市の取り組みと返礼品をご紹介
ふるさと納税のメリットには、地域の魅力的な品物を返礼品として受け取れることと、寄附金の使いみちを選べることが挙げられます。多くの自治体では複数の使いみちを用意しており、税金の使われ方を選択できます。
しかし、大分県豊後高田市のふるさと納税では、使いみちを子育て支援のみに限定。妊娠・出産から子どもが高校生になるまで8つの無料を展開し、さまざまな子育て支援施策を実現しています。
今回は豊後高田市がふるさと納税も活用して取り組む子育て支援の内容と、ふるさと納税の返礼品を紹介します。
全国トップレベルの子育て支援を実行する大分県豊後高田市
大分県豊後高田市は、県北東部にある国東半島西側のまちです。宇佐市、国東市、杵築市と隣接し、大分市や福岡県北九州市にも比較的近いところにあります。
白ネギやそばの産地として知られ、肥育牛の飼養頭数は大分県1位(2024年2月豊後高田市調べ)を誇るほか、映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のメインロケ地でもあります。
そんな豊後高田市では、全国トップレベルの子育て支援に注力。ふるさと納税で集まった寄附金の使いみちは「子育て支援」に絞っているのも市の特徴です。
ふるさと納税の寄附金はすべて「子育て支援」に活用
ふるさと納税の寄附金は、使いみちを複数から選べる自治体がほとんどです。しかし、豊後高田市では使いみちを「子育て支援」に絞り、本気の子育て支援に取り組んでいます。
総務省の「ふるさと納税に関する現況調査(令和6年度実施)」によると、9割以上の自治体が使いみちを選べるようにしています。
なかでも、子育て支援系の用途を選ぶ人は多く、使いみちを最初から限定することで、子育て支援に積極的な自治体へ寄附したいニーズに強く訴求できる点もメリットです。
寄附金の使いみちを限定した結果、豊後高田市は「妊娠・出産から高校生までのライフステージにあわせて8つの無料」を実現しました。
さらに、子どもの誕生や入学に合わせたお祝い金、子育て世帯に役立つ支援や支援窓口も用意し、子育て世帯を応援する取り組みを拡充しています。
また、豊後高田市では1,000円から気軽に寄附できる、返礼品なしのふるさと納税も用意しています。
子育て支援に役立てて欲しいけれど寄附できる金額が限られる場合や、返礼品は不要という場合は、こうした方法でふるさと納税することもできます。
全国トップレベルの子育て支援を「本気」で目指されるようになった、きっかけや経緯をお聞かせください。
「このまま何もしなければ自治体が消滅してしまう」という強い危機感から、「地域の活力は人である」という考えのもと、人口増施策を強力に進めることとしました。
その施策の大きな柱のひとつが「子育て支援」でした。
県外からの移住者支援にも積極的
子育て支援だけでなく、豊後高田市では県外からの移住を促進する施策も積極的に行っています。
大分県外から豊後高田市へ移住する人を支援する「豊後高田市移住支援金」を用意。交付申請の時期や対象世帯、就職・起業などの要件を満たすと受け取ることができ、移住に際して大きな支えとなる制度です。
単身世帯60万円、2人以上世帯100万円が補助され、子どもがいる世帯では子ども加算により最大300万円が受け取れます。
- 子ども加算(東京圏):子ども1人につき100万円(最大200万円)
- 子ども加算(東京圏以外):子ども1人につき30万円(最大60万円)
- 移住直前の10年間のうち通算5年以上、東京23区内に在住または東京圏(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)のうちの条件不利地域以外の地域に在住し、東京23区内への通勤
- 移住直前、連続1年以上を東京23区内または東京圏のうちの条件不利地域以外の地域に在住し、東京23区内への通勤
補助金のほかにも、移住者が土地代無料でマイホームを取得できる無料宅地予約もあり、移住先での住居確保も支援しています。
移住を考えている人からも注目を集めており、宝島社の2024年2月号特集「住みたい田舎ベストランキング」には、人口3万人未満の市で12年連続ベスト3入りを果たす快挙を成し遂げました。また、全国初となる、4年連続全部門第1位にも輝いています。
豊後高田市が実施する本気の子育て支援を紹介
豊後高田市では、子育て支援は「未来への投資」として、毎年さまざまな取り組みをスタートさせています。
妊娠から出産、産後の健診、子どもの成長に合わせた祝い金や支援で、子育て世帯を手厚くサポート。
国や自治体の子育て支援施策では所得制限を設けているケースも珍しくありませんが、豊後高田市の支援施策は所得制限を設けないものが多く、子育て支援への本気ぶりがうかがえます。
多くの子育て支援を展開される中、目標があればお聞かせください。また、市民の皆さんからの反響はいかがでしょうか。
目標は人口を増やすことです。
お子さんの多いご家庭では「子育てのためにずっと働き続けなければいけない」と、プレッシャーを感じておられるケースも珍しくありません。
そのような中、「誕生祝い金の存在はありがたい」とのお声をいただいております。
ケガによる整形外科通いや歯科手術など、費用が高額な治療も家計への負担なく子どもに受けさせることができ、「大変助かった」「ふるさと納税で寄附してくれた人へ直接お礼を言いたい」といったお声が集まっています。
子育てのライフステージに合わせた8つの無料
豊後高田市では、妊娠・出産・産後の医療費や子どもの成長に合わせて発生するさまざまな費用の無償化を実現しています。
妊婦健診14回分が無料 |
妊婦健診を14回分助成1(上限あり) 出産予定日に35歳以上となる妊婦へは超音波検査1回分助成 |
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妊産婦医療費が無料 | 妊産婦の医療費(保険適用分)の自己負担額を助成 |
産婦健診2回分が無料 | 産婦健康診査の費用を助成(上限あり) |
0歳~高校生まで医療費が無料 | 0歳~18歳の子どもの医療費(保険適用分)の自己負担額を助成 |
保育料、幼稚園授業料が無料 | 子どもの年齢、世帯所得に関係なく保育園保育料と幼稚園授業料を無償化 |
保育園・幼稚園・小中学校の給食費が無料 | 保育園・幼稚園・小学校・中学校の給食を無料で提供 |
幼児~小・中学生の市営塾、高田高校の生徒を対象に公設民営塾が無料 |
幼児期~中学生まで無料の市営塾「学びの21世紀塾」を運営 大分県立高田高校生を対象にした無料の公設民営塾「うみね」を運営 |
高校等の授業料が無料 | 大分県立高田高校に通う高校生及び市内在住で市外の高校へ在籍している高校生の授業料を無料化(所得制限なし) |
産前・産後に必要な妊婦健診や産婦健診の費用を助成し、妊産婦の医療費も無償化しています。妊娠中にかかる医療費負担への不安を減らし、安心して出産に臨める体制です。
生まれてきた子どもの医療費も高校生まで(18歳到達後最初の3月31日まで)は無料にし、子育て中に予期せぬ支出があっても安心して治療を受けられます。
さらに、2024年7月からは、子どもが入院した際の食事代も無料化しました。
また、医療費だけでなく、子どもの教育にかかる費用もさまざまな無料化によってサポートしています。
保育園・幼稚園から高校生までの間に発生する費用のうち、授業料や給食費の負担をなくし、無料で学べる市営塾・公設民営塾も運営しています。
子育て支援での費用助成や無償化制度は、所得制限が設けられているケースも珍しくありません。しかし、豊後高田市では、保育料・幼稚園授業料の無料化や高校の授業料無料化(※)を所得制限なく利用できるようにしています。
子どもの誕生と入学時にお祝い金を支給
ライフステージに合わせた8つの無料のほか、豊後高田市では最大200万円の子育て応援誕生祝い金と、小・中・高校の入学時に子ども1人あたり各5万円の子育て応援入学祝い金(2024年4月から)を支給しています。
第1子・第2子 | 第3子 | 第4子 | 第5子以降 | |
妊娠・出産したとき(※) | 10万円 | 10万円 | 10万円 | 10万円 |
1歳 | - | 20万円 | 30万円 | 30万円 |
2歳 | - | 20万円 | 30万円 | 30万円 |
3歳 | - | - | 30万円 | 30万円 |
4歳 | - | - | - | 30万円 |
5歳 | - | - | - | 30万円 |
6歳 | - | - | - | 40万円 |
合計 | 10万円 | 50万円 | 100万円 | 200万円 |
入学祝い金は、入学に際しての経済的負担の軽減に役立つ制度です。
その他、子どもの教育や子育て世帯を支援する取り組み
無償化やお祝い金の支給だけでなく、豊後高田市では子どもの教育や子育て世帯に役立つサービスも充実させています。
子どもを遊ばせるほか、子育て中の悩み相談や仲間作りの場に使える、無料の子育て支援拠点施設を3箇所整備しました。
通院や一時的なリフレッシュのために使える短時間の一時預かり(有料)、就職活動を応援する無料の一時預かりも実施するなど、サービスを充実させています。
子どもの医療面では、不活化ポリオ・三種混合の予防接種費用の助成も実施。三種混合ワクチンは上限6,100円、不活化ポリオワクチンは上限10,400円を、それぞれ1回助成しています。
また、子どもの教育環境を整えるため、学校の全クラスに冷暖房を完備し、市内小中学校にはタブレット端末と無線LANを整備しました。
子育て支援のワンストップ窓口として「子ども家庭センター」を設けて、妊娠から子育ての総合的な相談ができる場も用意。保健師や専門の相談員に妊娠期から子育て期のさまざまな相談ができ、状況に合わせたサポートを提供しています。
また、保育士を確保するため、市内で働きたい保育士を支援する制度も充実させています。
子育て支援策を講じても、子育てに関わる人材が不足していては、十分なサービスを提供できません。子育て世帯を呼び込むだけでなく、子育てに関わる人材を集め、サービスが行き届く体制作りにも取り組んでいることが分かります。
豊後高田市の取り組みを応援して受け取れる返礼品
紹介してきた豊後高田市の子育て支援施策には、ふるさと納税が活用されています。子育て支援への寄附がしたい人には、豊後高田市はおすすめの自治体です。
さらに、ふるさと納税制度で寄附すれば、豊後高田市の特産品などを返礼品として受け取れるメリットもあります。
豊後高田市へのふるさと納税は、特設サイトや各種ふるさと納税ポータルサイトから受け付けています。
名物肉料理やブランド牛
1万円以内の寄附金額で受け取れる名物・骨なし大分からあげや、あらびきウインナーは、人気の返礼品です。おおいた豊後牛の切り落としやすき焼きセット、焼肉セットなど、1万円台の寄附でもらえるお肉系の返礼品も多く用意されています。
豊後高田市限定のブランド牛「豊後・米仕上牛」も返礼品に並んでおり、霜降りと赤身のバランスが良い肉質が特徴。大分県産の飼料用米で育った牛で、オレイン酸を多く含んでいます。
白ネギやアスパラ、イチゴなどの野菜と果物
豊後高田市は西日本一の白ネギ産地(※)で、返礼品にも用意されています。豊後高田市の白ネギはミネラルの多い土壌で育ち、甘みが強いのが特徴です。
ほかには、地元農家が育てたのアスパラガスや大分県のブランドいちご、カボス、不知火などの農産品も選べます。
そばやハトムギ、青汁などの健康志向な食品・飲料
豊後高田市では2002年からそばの栽培がスタートし、今や西日本有数の産地です。春と秋の2回、収穫時期があり、豊後高田そばの認定店制度も設けています。
返礼品にはそば粉やそばの実、そば茶などもあり、さまざまな形で豊後高田市でできたそばを堪能できます。
また、そばの他にもハトムギや青汁など、健康志向な食品・飲料もあり、美味しくて体に良いものを取り入れたい人におすすめの返礼品です。
まとめ
大分県豊後高田市は、ふるさと納税で集まった寄附金の使いみちを「子育て支援」に絞っている点が特徴的です。
魅力的な返礼品から選ぶだけでなく、ふるさと納税を子育て支援に役立てて欲しいと思う方は、豊後高田市を寄附する自治体の候補に加えてはいかがでしょうか。
また、こうして集まった寄附金は全国トップレベルの子育て支援に活かされており、豊後高田市は子育て世帯が暮らすにもおすすめのまちです。地方への移住を考えている方も、移住先の候補地として考えてみましょう。
暮らしに関わるお金の知識を強化するため、FP技能検定に挑戦し、2021年に独学で2級FP技能検定に合格。学んだ知識を活かし、暮らしやお金に関する記事を執筆しています。