10万円から始められるグローバルな分散投資。GOファンド株式会社にインタビュー
株式会社GOファンドの代表取締役・田沼豪さんは、個人投資家の経験とヘッジファンドのファンドマネージャーとして1,000億円以上を任された経験を持ち、氏名を公表して活動する「顔の見えるファンドマネージャー」です。
田沼さんの「身近な人の資産形成に貢献したい」という想いが高じて設立された「GOファンド」は、販売手数料・解約手数料が無料。グローバルな分散投資とレバレッジの適切な活用、クオンツ運用による機動的な売買で運用を行っています。
今回は「GOファンド」の特長や顧客への報告会、分散投資の重要性などについてお話を伺いました。
運用者の顔が見える「GOファンド」
ー本日はよろしくお願いします。まず、御社の創業の経緯について教えてください。
当社は2020年3月に設立した資産運用会社です。インターネットから口座開設の申込みができ、10万円から投資できる「GOファンド」を運営しています。
私は大学生のころから投資をしており、新卒で機関投資家向けのファンド運用会社に入り、ファンドマネージャーとして働きました。
当時は友人から「豪くんの会社にお金を預けられないか」とよく相談を受けましたが、富裕層を対象とした大口向けのヘッジファンドでしたので、前職では身近な人の資産を預かることができませんでした。
当時は1人で1,000億円以上任されて運用していましたが、小口に対応していないという理由から、身近な人には他社の一般的なファンドを案内せざるを得ない状況がもどかしく、独立することを決めました。
ー「GOファンド」はどのような特長がありますか?
一番の特長は、運用責任者であるファンドマネージャーの顔が見えることです。
日本には約6,000個の一般向け投資ファンドがありますが、その中で、ファンドマネージャーの名前や顔を開示しているファンドは2%程度しかありません。
欧米ではほぼ100%のファンドでファンドマネージャーを開示しており、日本の開示率の低さは金融庁も問題視しています。
考えてみれば、自分の大事なお金を運用するのが誰なのかわからないのは、預ける人にとって不安ではないでしょうか。
病院や弁護士事務所などで考えたら、担当の医師や弁護士が誰なのか、分かっているのが当然ですよね。
投資の世界においても、ひとつのファンドの中にいろいろなファンドマネージャーがいます。それに、成績の良いファンドマネージャーが他社に転職してしまうこともあるわけですが、その変更も顧客が知ることは困難です。
私はこの不透明さを日本の資産運用業界の問題と考えているため、当社を設立する際、自分の名前である「GO」を社名に入れました。「私が運用します」と明確に開示するスタンスは他のファンドとの差別化ポイントです。
高い運用パフォーマンスのカギは、債券重視のクオンツ運用
ー「GOファンド」の投資先と期待リターンについて教えてください。
当ファンドでは、グローバルな分散投資とレバレッジの適切な活用、クオンツ運用による機動的な売買によって高いリターン獲得を目指して運用しています。
まずグローバルな分散投資についてですが、ハイリスクな未上場株や仮想通貨ではなく、日本・アメリカ・ヨーロッパの株式と債券というオーソドックスな資産へ分散投資しています。
株式と債券の割合としては、安全資産である債券を重視しており、適切にレバレッジをかけて運用することが「GOファンド」の特長です。
そして、数学や統計学を使って投資戦略を分析する「クオンツ」という手法で機動的に運用しています。例えば、「日本株を朝9時に買い、3時間後には全て売却し、逆に値下がりを予想して空売りする」といった売買をすることもあります。
日本の個人向けファンドは、一般的に5%~7%くらいの期待リターンが多いと思いますが、「GOファンド」の期待リターンは10%~15%で、過去実績でも14%近いリターンを出しています(※将来の運用成果を約束するものではありません)。
小口から投資できるヘッジファンドでこのように分散投資を行いながらの高いリターンは、日本では希少かと考えています。
―クオンツ運用による機動性と、リスクを高めすぎない債券重視の投資が高リターンを生んでいるのですね。
そうですね。一般的なインデックスファンドは、「このポートフォリオで運用します」と最初に決めた割合でずっと投資をしますので、マーケットの暴落など状況の大きな変化があっても、同じポートフォリオで運用を続けざるを得ません。
一方で、数学的・統計学的アルゴリズムにもとづくクオンツ運用の場合、マーケットの変化を予測することで「これから株式が下がりそうだから、買う量を減らそう」「上がりそうだから、買う量を増やそう」という具合に、機動的な投資ができます。
インデックスファンドと比べると、長期的にマーケットの流れを捉え、超過収益を生もうとするところにアクティブファンドの魅力があると考えています。
ファンドマネージャーが直接答えるオンライン報告会
ー「GOファンド」のセミナーや運用報告会について教えていただけますか?
セミナーは、初中級者向けのセミナーを当社の営業担当者が週に1回ほどオンラインで開催しています。資産運用をする際に知っておきたいことや、当ファンドの特長・運用実績などについて紹介する内容です。
運用報告会は毎月2回、オンラインで実施しています。前月にマーケットがどのように動き、GOファンドではどのように運用したか、そして実績をお客様に報告する会です。
他社の場合は、運用報告会が年に1回であったり、解説が録画したものだったりするのですが、当社では毎月の2回とも、ファンドマネージャーである私が直接解説しています。このような報告会を実施しているのは日本だと当社だけではないでしょうか。
質疑応答の時間も、お客様からの質問にリアルタイムで何でもお答えしています。
―お客様から、実際にどのような質問がありますか?
マーケットの今後に関するご質問が多いですね。為替介入があるかどうかや、アメリカ大統領選挙の行方について、ファンドマネージャーである私自身がどのように個人資産を運用しているかといったご質問もあります。
あとは、面白い質問で、「豪さんが万が一亡くなってしまったらどうしたら良いですか」というご質問を受けることもあります。
なかなか聞きにくいことだと思いますが、正直、知っておきたいことですよね。私が資産を預ける側でも気になると思います。
なので、こうした質問にはストレートに「そのときは解約してください」とお答えしています。
ファンドマネージャーが変わってしまったら、たとえそのファンドマネージャーの弟子が後任を務めても、全く同じパフォーマンスにはなりません。
人が変わる以上は別の商品になったと理解すべきですから、万が一の際は解約して別の良いファンドを探していただくようお伝えしています。
運用額にかかわらず、毎月無料で出金可能
―「GOファンド」のお客様から寄せられている声をご紹介ください。
10万円~20万円で始める方も、数千万円以上を投資される方もいらっしゃいます。
ヘッジファンドの中で商品を探している方の場合、当ファンドは流動性の高さ、解約しやすさへの満足度・安心感が高いと感じています。
一般的なヘッジファンドは、投資開始から1~2年は解約できず、短期で解約する場合は手数料がかかるといったケースが多いのですが、「GOファンド」はいくら運用していても、毎月無料で出金可能です。
―こまめに出金するニーズがあるということでしょうか。
例えば富裕層の方や法人の場合、会社の決算期に出金したいといったニーズがありますので、制約なく出金できることが喜ばれています。また、当社は販売・解約手数料ゼロで、あくまで運用報酬しかいただいておりません。
ー「GOファンド」を利用する方の年齢層や、投資金額の傾向はいかがですか?
年齢層は30~40代の方が多く、単価は比較的高いのではないかと思います。10万円から投資していただけますが、平均は300万円前後です。
4年前に当社を設立した際、私自身は29歳で、同年代だと投資資金に100万円以上出せる人はなかなかいないのではないかと考えました。
そこで敷居を下げて10万円からにしましたが、実際には数百万円くらいの貯金の一部から投資してくださっている方も多いです。
恐らくその理由は、グローバルの株式・債券へ分散投資をするアクティブファンドだからではないかと思います。
もともと株式について勉強されていたり、投資に関するインターネット検索をしたりして当ファンドにたどり着く方が多いのではないでしょうか。
ただ、今後は様々なメディアへの露出を考えていますので、投資資金が少なめの方にも知っていただけるかと思います。当社としては、投資金額がいくらであっても運用報酬しかいただかないのは変わりませんし、提供するサービスも同じです。
―低めの金額で投資を始めて、後から増やすことも可能ですか?
可能です。例えば貯金が3,000万円あっても、投資にいきなり1,000万入れるのは怖いという方はたくさんいらっしゃいます。まず数百万円から始めて、様子を見て後から増資されるケースが多いですね。
ちなみに、当ファンドを始めてから約4年経ちましたが、解約率は非常に低いです。
見落とされがちな分散投資の重要性と「手数料控除後」のリターン
ーこれから投資を始めたい方が知っておくと良いことを教えてください。
まず、分散投資をおすすめします。一般投資家は米国株や日本株一本に投資する方がほとんどだと思いますが、数年に一度は30~40%の下落が起きており、リスクの高い投資の仕方です。
一次的に下落しても、長期的に考えて投資をやめなければいいのですが、不安になってすぐにやめてしまう方が多いようです。
2024年から始まった新NISA制度をきっかけに投資を始めた方の中にも、4月や8月の下落で怖くなり、投資をやめてしまった人も多いと聞きます。
一番リターンの利回りが良いのは株式投資ですが、下がるときに大きく下がるのも株式投資です。長期的な安定を目指すなら、機関投資家や金融機関のように、日本やアメリカだけでなくグローバルに投資し、国債でも運用する分散投資がおすすめです。
日本における投資信託の純資産総額ランキングを見ると、トップ10は全てeMAXIS(イーマクシス)や米国株などの株式ですが、日本の年金積立金管理運用独立行政法人は国内株、国内債券、外国株、外国債券に約25%ずつ分散投資しています。
例えば、外国株式に重きをおいて運用している場合、いつまでも米国株式が現在の利回りで上がり続けることはないですし、今の円安局面が円高局面に振れたときには、株価の値下がり、為替の損失とダブルパンチで大きくマイナスとなるリスクがあるでしょう。
そうした可能性も考えて、ぜひ分散投資を検討していただけたらと思います。
もうひとつ私の意見としてお伝えしたいのは、「手数料だけでアクティブファンドを選んではいけない」ということです。
近年、「とにかく手数料が安いファンドを探しましょう」という発信が目立ちますが、これはインデックスファンドのみに言えることだとご理解ください。
アクティブファンドは運用の中身や方法、パフォーマンスがファンドによって異なりますので、手数料で判断するのはおすすめしません。
飲食店で考えると分かりやすいと思います。例えば、安さが売りのお寿司屋さんと高級寿司店、値段だけで言ったら安いお店に行きたいのは当然です。でも、高いお店にはそれだけの価値があるから、常連客がいるんですよね。
投資においても、当社も含めてアクティブファンドが「高いからだめ」と考えられてしまうのは間違いです。
例えば、手数料がほぼ0円で利回りが5%のファンドがあるとします。それもそれで良いですが、もし手数料が高くても、手数料を引いた後で10%のリターンが出るファンドがあるなら、そちらのほうが良いですよね。
肝心なのは、手数料そのものよりも、手数料控除後のネット・リターンです。過去にどの程度のネット・リターンが出ているかを確認して見極めていただきたいと思います。
自己資金の投資からも分かる、パフォーマンスへの自信
―今後の展望をお聞かせください。
「GOファンド」のパフォーマンス状況としては、2023年はプラス16.4%で、2024年も9月末時点でプラス18.2%とまずまずの成績となっています(※グロスリターン)。
今後はマーケティングにも力を入れて、10万円からでも始められるアクティブファンドとして認知度を高めていきたいと思います。
―マネ会読者の皆さんへメッセージをお願いします。
投資の世界において、自己資金で実際に運用をしているファンドマネージャーが実は少ないということをご存知でしょうか。
米国では、ファンドマネージャーが自身の運用するファンドに自己資金をいくら入れているか開示義務がありますが、日本にはそのルールがありません。そのため、ファンドマネージャー自身は1円も入れていない可能性もあるのです。
また、金融業界に就職した方は、利益相反やインサイダー取引を防ぐために、自分で投資をすることが厳しく制限されています。したがって、実は金融に携わる人間が投資経験に乏しいというおかしな状況です。
一方、私は学生時代から個人投資家として利益を出していて、将来も個人投資家として生活していくつもりでした。
しかし、一度修行しようと思いファンドに就職して腕を磨いたところ、お金を預けたいという声を多くいただき、自身のお金と一緒に他の人のお金も運用することに決めて、創業に至りました。
そのため、私は今でもポケットマネーで「GOファンド」に追加投資していますし、その金額もお客様に開示しています。
このように、自身のお金を運用してきた経験のあるファンドマネージャーが運用をする点も、当ファンドの特徴だと思います。
上場することを目指していないため、期間を定めた売上目標などはありませんが、私を信じて預けてくれる方が今後も増えて、皆さんと一緒に楽しく資産を増やしていけたら嬉しいです。
―本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!
GOファンド株式会社
代表取締役兼ファンドマネージャー
気になるけど、なかなか話しづらい。けどとても大事な「お金」のこと。 日々の生活の中の身近な節約術から、ちょっと難しい金融知識まで、知ってて得する、為になるお金の情報を更新していきます。