3年目に転職を考える看護師は多い?3年目の転職で意識すべきポイントとは
新卒入社後、3年以内に離職する方は、大卒で31.5%です。
とりわけ、医療・福祉分野の離職者は多く、大卒後3年以内に離職する方は38.6%もいますので、看護師の離職者も同程度に多いと考えられます。
本記事では、なぜ3年目までに転職を考える看護師が多いのか、その理由や転職するメリット、デメリットについてまとめました。
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3年目に転職を考える看護師は多い?
「3年目に転職を考える看護師が多い」という統計的なデータはありませんが、3年目までに転職する看護師は多いと考えられます。
「新規学卒就職者の離職状況」によれば、全産業において大学卒業後、新卒入社した方の31.5%が3年以内に離職しています(※)。
なお、内訳は1年目11.8%、2年目9.7%、3年目10.0%であることから、3年目が特に多いというわけではありません。
また、医療・福祉分野に限るとさらに離職率は高く、大卒の新卒就職者のうち、38.6%が3年以内に離職しています。看護師だけのデータはありませんが、同水準の離職率が想定されるでしょう。
実際のところ、入職3年目の看護師には、離職を意識してしまう様々な要因が揃っています。
(※)厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)」
- お礼奉公が終わる
- 余裕が生まれてくる
- キャリアについて意識するようになる
以下よりそれぞれの要因について、詳しく説明していきます。
お礼奉公が終わる
医療機関では、看護師に数年間の勤務を約束させる代わりに、看護学校の奨学金を給付することがあります。
この勤務をお礼奉公と呼びますが、労働基準法第14条(※)では3年を超える労働契約を結ぶことを禁止しているため、3年間であることが一般的です。
そのため、3年目になるとお礼奉公も終わり、別の勤務先へと転職する看護師も少なくありません。
(※)労働基準法
余裕が生まれてくる
3年目ともなると、業務にも慣れて余裕が生まれてきます。
自分よりも後輩の看護師も増え、プリセプターとして指導する立場になることもあるでしょう。
「違う世界も見てみたい」「もっとわたしに適した職場があるかも」と思い始めるのもこの時期です。
学生時代の友人たちのなかにも、転職を経験した人が増え、「転職してよかったよ」といった話を聞くうちに、転職したいという気持ちが強まるかもしれません。
キャリアについて意識するようになる
業務に慣れて周囲を見渡す余裕が出てくると、将来的なキャリアについても意識する機会が増えます。
さまざまな医療機関・診療科で経験を積むために転職を考える方や、大学院で学ぶために、学業と両立しやすい機関への転職を決断する方もいるでしょう。
また、キャリアアップのために資格取得を目指す看護師もいます。
保健師や助産師などの看護師しか取得できない資格だけでなく、介護福祉士やケアマネージャーなどの介護系資格、教員免許や保育士などの資格を目指す方も少なくありません。
3年働いてみて、看護師に適性がないことを実感し、一般企業への転職を考えるケースもあります。
看護師が3年目に転職するのは適切なのか
新卒入職後、3年目までに転職する看護師も少なくありません。とはいえ、3年目が転職に適した時期であると断言するのも難しいところです。
たとえば、残業代が支給されないなどのブラックな職場に勤めている場合や、人間関係などに問題がありストレスを感じている場合なら、3年目といわず1年目でも転職するほうがよいでしょう。
しかし、職場環境がよく、研修制度なども充実してスキルアップできる職場なら、5年でも10年でも長く勤務する価値が十分にあります。
何年目に転職するかではなく、転職する必要性・妥当性を感じるかという点が、看護師個人のキャリアや生活において重要です。転職を思い立ったときは、まずは転職の必要性と妥当性について客観的に分析してみましょう。
看護師が3年目に転職するメリット
転職するかどうかを決めるうえで、転職のメリットについて理解しておくことは欠かせません。
看護師が3年目に転職するメリットとしては、次の3点が挙げられます。
- 業界を知った上で転職先を探せる
- 興味のある業界に就ける可能性が上がる
- 人間関係をリセットできる
業界を知った上で転職先を探せる
3年も勤めると、所属する業界についての知識も増えます。
地域の基幹病院に勤務している方なら基幹病院、国公立病院に勤務している方なら国公立病院の内情や働き方について、熟知するようになるでしょう。
また、業界についての知識が増えると、転職先を選ぶときに失敗をしにくくなります。
たとえば、急患を受け入れている病院に勤務し、急な残業の多さに悩んでいる方なら、急患対応がないことや残業がないことなどに注目して、転職先を選べるでしょう。
興味のある業務に就ける可能性が上がる
看護師として働いた経験が3年もあれば、自分自身がどのような業務を得意とするのか、あるいはどのような業務に興味を覚えるのか理解できるようになります。
たとえば、小児科外来に配属され、子どもと関わることにやりがいを感じているのであれば、保育園や小児科病棟などへの転職も検討できるかもしれません。
また、大学院で小児看護を専攻し、将来的には小児プライマリケアや、新生児集中ケアの認定看護師を目指すこともできます。
ご自身の得意分野や興味の範囲を理解するためにも、3年間はひとつの場所で働くことがおすすめです。
人間関係をリセットできる
「看護職員就業状況等実態調査」によれば、離職理由として人間関係を挙げた看護師は、12.8%も存在することが明らかになりました(※)。
基本的に、個人の努力で人間関係の悩みを解決するのは難しいため、人間関係をリセットできるのは、転職の大きなメリットといえるでしょう。
人間関係がうまくいっていない場合や、働きづらさを感じている場合は、転職してリセットしてみてはいかがでしょうか。
(※)厚生労働省「看護職員就業状況等実態調査結果」
看護師が3年目に転職するデメリット
3年目までに転職することには、デメリットもあります。
とくに次の3点については、転職を決意する前に検討しておくことが必要です。
- リーダーやプリセプターの経験が積めない
- 給与が下がる可能性がある
- 退職金が受け取れない可能性がある
リーダーやプリセプターの経験が積めない
勤務先によって、新人教育カリキュラムが異なります。数ヶ月で終わる医療機関もあれば、2年~3年かけて、多様な経験や知識を習得させる施設もあります。
スキルアップを目指すのであれば、3年目までに離職は避けたい事態といえるでしょう。すべてのカリキュラムが終わらず、経験不足のまま転職することになるかもしれません。
なお、どのような経験を積んだかという点は、転職する際の採用面接で問われることが多いポイントです。
経験が豊富であれば採用される可能性が高まるだけでなく、高く評価されるため、待遇がよくなることもあります。
給与が下がる可能性がある
職場によって給与体系は異なりますが、3年を超えているかどうかで基本給が大きく変わるところもあります。
そのため、3年目以内のタイミングで転職してしまうと、新人看護師とほぼ同じ給与となり、場合によっては現在の給与より下がってしまうかもしれません。
また、プリセプターやリーダーの経験があるかどうかで、給与が大きく変わる医療機関もあります。経験がない状態で入職すると、新人看護師と同程度の給与となるため、現在よりも給与が下がる可能性があるでしょう。
転職先を探すときは、転職先の給与体系や看護師としての経験年数をどの程度評価してくれるのかも、確認しておくことが大切です。
退職金が受け取れない可能性がある
退職金の規定も、勤務先によって異なります。
3年以上勤続することを、退職金を受給できる条件として定めている勤務先なら、3年目に離職してしまうと退職金を受け取れません。
退職してから転職活動を始める場合なら、退職金を受け取れるかどうかは生活を左右するポイントです。
離職を決める前に、現在の職場の退職金規定を確認しておきましょう。
年次に関係なく転職すべきケース
退職金を受け取りたい方も、よりよい条件で転職したい方も、3年目ではなく3年を過ぎてから離職するほうがよいでしょう。
しかし、次のいずれかのケースに該当するときは、勤続年数に関係なく早めに転職することをおすすめします。
- 人間関係による疲弊
- 病気・ケガ
- 慢性的な人手不足
- やりたいことが見つかる
人間関係による疲弊
現在の職場において人間関係の問題があり、強いストレスを感じている場合は、年次に関係なく今すぐ転職を考えましょう。
ストレスを受け続けることで、精神的に追い込まれるだけでなく、身体的な健康も損なうことがあります。
心身ともに健康な状態で働くためにも、転職して人間関係をリセットしてください。
病気・ケガ
病気やケガにより休養が必要な場合は、離職を検討できます。
フルタイムでの仕事が難しい場合であれば、パートやアルバイトとしての働き方も選択できるでしょう。
健康に問題があるときは、しっかりと休養を取ること、また、仕事を続ける場合は無理のないペースで働くことが大切です。
慢性的な人手不足
慢性的な人手不足の職場で働いている方も、今すぐ転職を検討しましょう。
ひとりあたりの労働量が通常以上に多くなるだけでなく、残業も多い傾向にあります。
また、人手不足だという現実を理解したうえで、あえて看護師を増やさない職場であれば、経営に問題を抱えているケースが想定されます。
将来的に残業代が支払われなくなる可能性や、昇給しなくなる可能性、給与やボーナスの支払いが遅れる可能性もあるでしょう。
やりたいことが見つかる
看護師としてのキャリアプランや、そのほかの道が見つかったときは、早めに行動を起こしましょう。
現在の職場で実現できないプランであれば、転職時期に悩む必要はありません。思い立ったその瞬間こそが、動くべきタイミングなのです。
特に、未経験の業界に進む場合は、基本的に若いほど転職しやすくなるということを覚えておきましょう。
3年目に転職する看護師が意識すべきポイント
終身雇用制が崩壊し、転職に対するハードルは下がってきています。とはいえ、転職にストレスを感じるのは今も昔も変わりません。
現在の職場での退職手続きや転職活動、転職先に馴染むまでの期間など、いずれもストレスを感じる事柄です。
そこで、短期間で離職する必要のないよう、自分に適した転職先を見つけていかねばなりません。
ここでは、転職による失敗を回避できるよう、意識すべきポイントについて紹介していきます。
- 転職目的を明確にする
- 現職と転職先の比較
- 長期的なライフプラン
- 転職時期をボーナス支給後に合わせる
- 転職サイトを活用する
転職目的を明確にする
転職活動に備えるためにも、転職の目的を明確にしておくことが必要です。
転職時の採用面接では、志望動機や転職理由を質問されることが少なくありません。志望動機や転職理由にスムーズに答えるためにも、転職の目的を明確にしておくことが大切です。
なお、転職の目的を、そのまま面接官に伝える必要はありません。
たとえば「給与アップ」が転職の目的であれば、志望動機や転職理由としては「今までの経験やスキルを評価してくれる職場で働きたい」などと言い換えることができます。
転職目的を明確にした上で、面接官が納得できる志望動機・転職理由を考えておきましょう。
現職と転職先の比較
転職が有意義なものとなるためにも、現在よりもメリットの多い職場を転職先として選ぶようにしましょう。
たとえば、人間関係に問題があって転職を決意するときであっても、「現在の職場でなければどこでもよい」と、投げやりに転職先を決めるのはおすすめできません。
冷静に現在の職場と転職先候補を比較し、メリットがあることを確認してから応募してください。
長期的なライフプラン
長期的なライフプランを立ててから、転職活動を始めることも大切なポイントです。
たとえば、年内に出産を予定しているのであれば、妊娠中のタイミングで転職すると、短期間で産休・育休を取得することになります。
十分に業務を覚えきらないうちに長期休暇に入ってしまうと、復職したときにスムーズに業務を遂行できません。
結婚や出産、家族の介護なども視野に入れ、適切なタイミングで転職するようにしましょう。
転職時期をボーナス支給後に合わせる
ボーナスが支給される前に転職するのも、おすすめできません。少しでも望ましい状態で転職するためにも、ボーナスを受け取ってから転職するようにしましょう。
「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、経験年数1年~4年(2年目~5年目)の看護師の平均基本給は約28.3万円、年間賞与等は平均約70.6万円でした(※)。
年2回ボーナスを支給される職場であれば、1回あたりの支給額は約35万円です。
ボーナスを受け取らずに転職すると、基本給以上の金額を受給し損ねることになるため、転職時期を慎重に決めるようにしてください。
(※)厚生労働省|令和4年賃金構造基本統計調査
転職サイトを活用する
希望する条件を満たす転職先を見つけるためにも、可能な限り多くの選択肢を比較することが必要です。
看護師専門の転職サイトを活用すると、数万件もの求人案件のなかから、ご自身の条件にあう案件を絞り込むことができます。
また、看護師転職サイトに登録すると、キャリアアドバイザーに履歴書作成や面接対策などのサポートも受けられます。
志望動機や転職理由なども一緒に考えてくれるので、転職が初めての方も、不安なく転職活動に取り組めるでしょう。
3年目の看護師におすすめの転職サイト
3年目までに転職を考えている看護師は、キャリアアドバイザーのサポートが手厚い、看護師転職サイトを活用しましょう。
なぜなら、手厚いサポートがあれば、転職活動が初めての看護師もスムーズに転職を進められるからです。
ここでは、キャリアアドバイザーのサポートの手厚さに定評がある、看護師専用の転職サイトをご紹介します。
いずれも登録は無料ですので、ぜひ活用して、理想の職場を見つけてください。
看護roo!
看護師目線でのサポートに定評があるのが看護roo!です。
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また、内定が出た後も、キャリアパートナーのサポートは続きます。
条件交渉や内定辞退の連絡なども代行してくれるため、より好条件で入職できる可能性が高まるでしょう。
レバウェル看護
転職先の情報をしっかりと集めておきたい方なら、レバウェル看護を活用してみて下さい。
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職場の良いところだけでなく、良くないところも教えてくれるので、中立的な立場で転職先を判断できるでしょう。
また、LINE・メール・ショートメッセージなどを使って気軽に連絡が取れますので、転職に対する悩みだけでなく、キャリアについての悩みも相談してみてはいかがでしょうか。
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対面やWEBなどでの面談をとおし、転職先への希望や条件をキャリアアドバイザーに伝えましょう。面接対策では、一般的なマナーだけでなく、応募先にあわせた対策も実施してもらえます。
また、入職後もお客様相談室のスタッフのフォローを受けられる点も、マイナビ看護師ならではの心強いポイントです。
まとめ
3年目になると、転職を考える看護師も増えます。お礼奉公が終わったタイミングや、結婚や出産などのタイミングで、転職する方も多いでしょう。
転職を思い立ったときは、まずは転職するメリットとデメリットを比較してみてください。
転職するメリットが多いと思われるときは、ボーナスを受給したタイミングなどで転職を実行しましょう。
また、看護師専用の転職サイトを活用すると、仕事をしながらの転職活動が容易になります。
キャリアアドバイザーのサポートも活用し、効率的に理想の職場を見つけていきましょう。